創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜
第41話 境界壁
(・・・不味いな・・)
王女様たちがこんなに早くに到着するのは正直予想外だ。が、来れない距離ではではない。本来なら僕が地龍を瞬殺しているはずだったが、凍結魔法が効かなかったのため、時間をかけてしまったようだ。
「早く逃げましょう!!」
「ま、待ってマリーちゃん!このドラゴン、なんで空中を見つめてるの?」
「え?あ、確かに・・・。私たちには気づいていないみたいですね・・・」
2人は静かに話している。僕としては、早くここから離れてほしいのだが・・。
(仕方ないなぁ)
僕は彼女たちと地龍を分断することにした。凍結が効かなくとも、氷で分断することで姿を隠すことはできる。
「【氷壁】」
地龍と彼女たちを氷の壁で分断。地龍は僕のいる方へ、王女様たちはこの壁の向こう側だ。
「キャア!!」
「え!?な、なにこの氷!?」
混乱しているようだが、僕は無視する。構っている暇はないのだ。
地龍は僕を見据えながらブレスを放とうとしている。
「そろそろ決着つけたいんだけど・・・。氷が効かないからな〜」
僕は氷が効かないモンスターなど初めてだ。大体は氷で凍結させていたので、厄介なこと極まりない。
「・・・空間を捻じ曲げさせてもらうか・・・」
僕はスパイダーコングと同じように倒すことにした。
「【空間を湾曲させろ】」
ルーン魔法により、空間を歪めて捻じ切る。が、次の瞬間。僕は眼を疑う光景を目にした。
”フッ”
「なッ・・!!」
地龍が地面に消えたのだ。空間が湾曲する前に。
僕はなにが起きたのかわからなかったが、確かに地龍が地面に消えたのだ。
「一体・・・どんな能力を・・・」
先程の戦闘を思い返す。元の地龍に張り付いており、その地龍の姿を形どり攻撃をしてくるモンスター。僕が透明化しているというのに、攻撃を当ててきた。一体どんな能力なのか・・・。
「これって魔法だよね?じゃあ誰か向こうにいるとか?」
「そ、その可能性はありますね・・。今も地龍と戦っているのかも・・・」
「ふ〜〜。よし、行ってみよう」
「わ、私たちでも助太刀できるでしょうか?」
2人の少女の声。先程分断した王女様たちが、こちらに近づいているようだ。
「【透明化】」
僕は姿を透明化させ、やり過ごすことにする。
ちなみに、学園で唱えた詠唱とは違うが、同じ効果をイメージすれば魔法は発動するのだ。
と、王女様たちがやってきた。僕は物音を立てないよう、静かに浮遊した。
そのまま、あの黒い森を見ることにした。
「・・・侵食が止まったのか?」
先程の位置から、黒い森は変わっていない。最初に見た時には、ゆっくりと侵食を続けていたのだが・・。
「一応・・・氷の壁でも構成してお
こう。気休めにはなるかもしれないし・・・・」
僕は黒い森と普通の森の境界線に、氷の壁を築くことにした。なんとなく、あのまま侵食するとまずい気がするのだ。
「目算で・・・2キロくらいかな?まあ、すぐ出来上がるか・・・」
僕は、魔力を集中させる。いつもより広範囲に魔法を行使するので、魔力はそれなりにいる。無限の魔力を持つ僕には、造作もない量だが。
一旦地面に降り立ち、地面に手を触れ、魔法を発動させる。
「【氷壁の塔】」
境界線に巨大な壁を構築する。だが、この大きさは本来のそれではない。
本来の姿は、巨大な氷の塔なのだ。その壁の一部を再現しているだけに過ぎない。氷壁の塔は巨大すぎるのだ。
「はあああああ!!な、な、なにあれ!!なんであんなのがいきなり!?」
「わわわわかりません!!で、ですが、早く逃げた方がいいです!!」
2人はパニックになっているようだ。とにかく今は、王女様が無事だったので良しとしよう。
一応、あの黒い森に誰もいないことは確認してある。
(あのモンスター・・・学園長の言っていた・・・)
僕は、あのモンスターに心当たりがある。
”シャドウハンター”
この名前は、学園長から依頼された時に聞いた名前だ。
SSランクモンスターであること、その能力は自分の影を操ること。
僕はここまで思い出し、合点がいった。あの黒い物体が影なら、凍結できないのも頷ける。
が、まだ疑問は残っている。
(なんで複数いるんだ?)
自分の影を操るモンスターなら、なぜSSランクのモンスター1体として知られているのだろうか?
「・・・あの黒い森に、何かあるんだろうな」
僕は氷壁の向こうを睨みながら、確信めいた。
◇
「はあ、はあ、はあ」
1人の生徒が森の中を走っている。草原からかなり離れたところに来てしまったようだ。
「はあ、なんなんだ・・はあ、あの黒いの・・・」
今、彼は1人で走っている。
彼は元々、4人の生徒と組んで実習をしていた。が、途中で遭遇した黒い猪を倒した後、黒い物体が猪から出て来たのである。黒い物体は猪の姿になり、突進して来た。しかも、こちらの攻撃が全く効かないのである。全て猪の身体をすり抜けてしまったのだ。
「みんな・・・すまねえ・・・」
男子生徒は、涙を流しながら走っている。彼と組んでいた仲間は、黒い物体に飲み込まれてしまったのだ。
男子生徒は、そのうちの1人、自分を助け黒い物体に飲み込まれた友人の名前を口にした。
「すまねえ・・・アドル・・」
王女様たちがこんなに早くに到着するのは正直予想外だ。が、来れない距離ではではない。本来なら僕が地龍を瞬殺しているはずだったが、凍結魔法が効かなかったのため、時間をかけてしまったようだ。
「早く逃げましょう!!」
「ま、待ってマリーちゃん!このドラゴン、なんで空中を見つめてるの?」
「え?あ、確かに・・・。私たちには気づいていないみたいですね・・・」
2人は静かに話している。僕としては、早くここから離れてほしいのだが・・。
(仕方ないなぁ)
僕は彼女たちと地龍を分断することにした。凍結が効かなくとも、氷で分断することで姿を隠すことはできる。
「【氷壁】」
地龍と彼女たちを氷の壁で分断。地龍は僕のいる方へ、王女様たちはこの壁の向こう側だ。
「キャア!!」
「え!?な、なにこの氷!?」
混乱しているようだが、僕は無視する。構っている暇はないのだ。
地龍は僕を見据えながらブレスを放とうとしている。
「そろそろ決着つけたいんだけど・・・。氷が効かないからな〜」
僕は氷が効かないモンスターなど初めてだ。大体は氷で凍結させていたので、厄介なこと極まりない。
「・・・空間を捻じ曲げさせてもらうか・・・」
僕はスパイダーコングと同じように倒すことにした。
「【空間を湾曲させろ】」
ルーン魔法により、空間を歪めて捻じ切る。が、次の瞬間。僕は眼を疑う光景を目にした。
”フッ”
「なッ・・!!」
地龍が地面に消えたのだ。空間が湾曲する前に。
僕はなにが起きたのかわからなかったが、確かに地龍が地面に消えたのだ。
「一体・・・どんな能力を・・・」
先程の戦闘を思い返す。元の地龍に張り付いており、その地龍の姿を形どり攻撃をしてくるモンスター。僕が透明化しているというのに、攻撃を当ててきた。一体どんな能力なのか・・・。
「これって魔法だよね?じゃあ誰か向こうにいるとか?」
「そ、その可能性はありますね・・。今も地龍と戦っているのかも・・・」
「ふ〜〜。よし、行ってみよう」
「わ、私たちでも助太刀できるでしょうか?」
2人の少女の声。先程分断した王女様たちが、こちらに近づいているようだ。
「【透明化】」
僕は姿を透明化させ、やり過ごすことにする。
ちなみに、学園で唱えた詠唱とは違うが、同じ効果をイメージすれば魔法は発動するのだ。
と、王女様たちがやってきた。僕は物音を立てないよう、静かに浮遊した。
そのまま、あの黒い森を見ることにした。
「・・・侵食が止まったのか?」
先程の位置から、黒い森は変わっていない。最初に見た時には、ゆっくりと侵食を続けていたのだが・・。
「一応・・・氷の壁でも構成してお
こう。気休めにはなるかもしれないし・・・・」
僕は黒い森と普通の森の境界線に、氷の壁を築くことにした。なんとなく、あのまま侵食するとまずい気がするのだ。
「目算で・・・2キロくらいかな?まあ、すぐ出来上がるか・・・」
僕は、魔力を集中させる。いつもより広範囲に魔法を行使するので、魔力はそれなりにいる。無限の魔力を持つ僕には、造作もない量だが。
一旦地面に降り立ち、地面に手を触れ、魔法を発動させる。
「【氷壁の塔】」
境界線に巨大な壁を構築する。だが、この大きさは本来のそれではない。
本来の姿は、巨大な氷の塔なのだ。その壁の一部を再現しているだけに過ぎない。氷壁の塔は巨大すぎるのだ。
「はあああああ!!な、な、なにあれ!!なんであんなのがいきなり!?」
「わわわわかりません!!で、ですが、早く逃げた方がいいです!!」
2人はパニックになっているようだ。とにかく今は、王女様が無事だったので良しとしよう。
一応、あの黒い森に誰もいないことは確認してある。
(あのモンスター・・・学園長の言っていた・・・)
僕は、あのモンスターに心当たりがある。
”シャドウハンター”
この名前は、学園長から依頼された時に聞いた名前だ。
SSランクモンスターであること、その能力は自分の影を操ること。
僕はここまで思い出し、合点がいった。あの黒い物体が影なら、凍結できないのも頷ける。
が、まだ疑問は残っている。
(なんで複数いるんだ?)
自分の影を操るモンスターなら、なぜSSランクのモンスター1体として知られているのだろうか?
「・・・あの黒い森に、何かあるんだろうな」
僕は氷壁の向こうを睨みながら、確信めいた。
◇
「はあ、はあ、はあ」
1人の生徒が森の中を走っている。草原からかなり離れたところに来てしまったようだ。
「はあ、なんなんだ・・はあ、あの黒いの・・・」
今、彼は1人で走っている。
彼は元々、4人の生徒と組んで実習をしていた。が、途中で遭遇した黒い猪を倒した後、黒い物体が猪から出て来たのである。黒い物体は猪の姿になり、突進して来た。しかも、こちらの攻撃が全く効かないのである。全て猪の身体をすり抜けてしまったのだ。
「みんな・・・すまねえ・・・」
男子生徒は、涙を流しながら走っている。彼と組んでいた仲間は、黒い物体に飲み込まれてしまったのだ。
男子生徒は、そのうちの1人、自分を助け黒い物体に飲み込まれた友人の名前を口にした。
「すまねえ・・・アドル・・」
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
63
-
-
1
-
-
440
-
-
75
-
-
29
-
-
140
-
-
2813
-
-
37
-
-
52
コメント