創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜

RAKIHA

第26話 勧誘

生徒会室に、僕の復讐の相手がいた。が、ここでは何も気づかないふりをしておくことにする。今はまだ、その時じゃない・・。僕は入学までの1ヶ月間で、少し変えたのだ。ただ復讐するだけではいけないのだ。


「生徒会長。話とは一体なんですか?」

僕は生徒会長に要件を言うように促す。とにかく今は無視をする。生徒会長は何かを察したのか、他の2人を隣の部屋に行くように指示した。


「2人は準備室で待っていて。要件はすぐ終わるから」
「し、しかし・・・」
「会長としての命令よ。わかったわね?」
「・・・はい」


アラン=ダステルは渋々と了承し、僕を悲しげな目で見てから退室して行った。生徒会長は、まず僕に自己紹介をした。


「いきなり呼び出してごめんね。私はこの学園の生徒会長のレティラ=ガティネよ。一応、公爵令嬢ってことになってるけどあんまり気にしないで。よろしくね」
「ユリエル=フロウドです。今日はどのような要件でしょうか?」


先日の実習場のことなら、今度こそ記憶を凍結させようと思ったのだが、会長からの要件は違った。


「実は噂で聞いたんだ。中等部の1年生でAランクレベルの魔法師がいるってね。それで話を聞きたくて呼んだの」
「・・・なるほど」

どうやら記憶はちゃんと凍結しているようだが、なぜ話を?僕はよくわからなかったので聞くことにした。


「話とは・・・一体なにを話せば?生憎、僕には話すことは特に思い当たらないのですが・・・」
「そうだな〜・・・まず適正属性は?」


根掘り葉掘り聞かれるわけか・・・。答えられる範囲で答えておくか・・・


「闇以外の4つです」
「4つも!?・・さすがに驚いたわ・・・。」
「とは言いますが、得意なのは水属性の中の氷魔法です」
「氷ね・・・。今回の授業のも氷だったの?」
「そうですよ。氷は一番扱いやすいんです」
「そうなんだ〜〜、将来はSSランクくらいになれるかもね」
「頑張りますよ。僕なりに」


すでに魔導師の頂点に立つSSSランクなのだが・・・、それはさすがに言わない。僕からも質問をすることにした。


「会長のランクはどれくらいなのですか?」
「ん?気になる?」
「はい。生徒会長をしているくらいですから、それなりのランクはあると言うのは予想できますが」
「ふっふっふー〜〜。私はユリエルくんと一緒のAランクよ!!」
「Aランクですか・・・予想が的中しました」
「あれ?わかってたの?」
「Sランクは生徒ではなりにくいでしょう。世界に350人しかいないんですから」


Sはないと思ったのだが、Bランクというのも考えにくかった。うちのクラスのゴミですらCランクなのだから、1つ上というのも考えにくい。


「なかなか凄い推察力ね。それじゃあ本題に入りましょうか」


会長は急に真面目な顔に切り替わる。その美貌がより引き立てられる。会長の容姿はとても綺麗だ。長い水色の髪に同色の瞳。身長は僕よりそれなりに高く、豊かな双丘が目立っている。


「本題ですか?」
「そうよ。ユリエルくん、生徒会に入るつもりはないかしら?」
「・・・僕を勧誘する理由を聞いてもいいですか?」


僕の答えは決まっているが、一応理由を聞いておく。


「優秀な魔法師はとても貴重な戦力よ。特に君のようなAランクの学生は余計にね。学園祭などでは実力のある警備も必要になるの。正式なランクではないとはいえ、Sランクの先生が認めた実力を活かさないわけにはいかないわ」


僕の正式なランクはSSSなので、その戦力を学校のために使うのは贅沢がすぎるだろうと内心思うが、僕はランクには興味がない。自由が保障されればいいのだ。


「それで、生徒会に入ってくれないかしら?」


会長は懇願するように僕を見つめながら言ってくる。一般的な生徒なら、ここで胸を高鳴らせ承諾をするのだろうが、僕は違う。なぜだろうか、全く胸が高鳴ったりしないのだ。


「お断りさせていただきます」
「え?」


僕は笑顔で断りの言葉を述べる。会長は驚いたように顔を上げ、僕に迫ってくる。


「ど、どうして?」
「僕にはメリットがありませんし、僕の信用できない人たちのために力を使うことに抵抗を覚えます」
「いえ・・・卒業後の魔導師のランクにそれなりに影響するのよ?」
「なら、なおさら僕にはメリットがありませんね」
「え?」
「僕は別に魔導師になろうとか思っていませんから。ここに来たのは、師匠と母に言われたからです。魔導師は色々と面倒ですからね」


ここまで言われても、会長はまだ諦めきれないらしい。仕方ないので、僕はバッサリ言うことにした。貴族に知られても別にいいことだ。


「会長は・・・自分に害がある相手を助けたりしますか?」
「え?・・・それは・・・」
「助けると即座に答えるのは抵抗があるでしょう。同じですよ。僕は自分に害のある貴族を助けることはしません」
「貴族を・・・?」
「僕は貴族が大嫌いなんです。昔、少しありまして・・・貴族自体を信用しきれない。信用したら終わりなんですよ」
「じゃ、じゃあ私も・・・」
「もちろんですよ。ただ、あなたは傲慢ではないので、嫌いではありませんが」
「この学校には貴族が多いのよ?その人たちはどうするの?」
「見捨てます。というより、見向きもしないでしょうね。貴族は平民にとっての害悪でしかない。特に傲慢では我儘なのは・・・・殺したくなる・・・」


僕は殺気を放ちながら会長に言う。心の底から貴族というのを嫌っているのをわかってもらうために・・・。会長は何も言わないので、僕はソファーから立ち上がり、部屋から出ようとする。が、会長の言葉を聞き、立ち止まった。



「アランとは・・・どういう関係なの?」


元姉のことが少し気になったのだろう。僕は答える義務はなかったが、少しだけ教える。


「赤の他人です。僕とは違う世界の人間」
「嘘。あの子があんなに悲しそうな顔をするのは見たことがないわ」
「彼女のことを知らないのでなんともいえませんが・・・」
「じゃあわかったわ。生徒会長として命令します。2人の関係を教えなさい」


会長が命令と言った瞬間、僕のまとう雰囲気は変わる。室内に音が響く。



パキパキパキ・・・・


室内の温度が一気に下がる。僕から溢れ出る魔力が冷気となり、僕の周りを凍結させていく音だ。会長もその異変に気付いたのか、短剣型のソウルを取り出し臨戦態勢を取っている。僕は会長に向かって教えた。


「あの時の感触を覚えていますか・・・・と、彼女に聞けばわかると思います。それだけ言えば十分ですよ」
「感触?」
「それでは」


僕は冷気を霧散させ、生徒会室から出て行った。出ていく瞬間、隣の部屋から人が足元から崩れ落ちる音が聞こえたが、僕は全く気にせずに教室に戻った。

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