創成の転生者〜最強魔導師の転生記〜

RAKIHA

第23話 自己紹介

僕がゴミを黙らせた後、先生がゴミに話しかけている。


「おい、フリッツ。あんまり調子に乗ってると今みたいになるぞ?あれは俺から見てもとんでもないやつだ。もう少し自分の実力を考えてから喧嘩を売れ」
「・・・・」


ゴミ・・・フリッツは何も言わない。今更あいつの名前を知ったところで僕にはどうでもいい。僕は自分が特別だと主張し、何をしても許されると思っているやつに容赦はしない。害悪だ。僕はアドルの所に戻って来た。


「ユリエル・・・すごかったんだね・・・」
「そうですか?僕は普通に魔法を放ちましたが・・・。まあ、ゴミにが何か言っていたので多少はイラついていましたが」
「恐れ入ったよ。君は温厚そうに見えたけど、実は凄い好戦的な性格をしているんだね」
「まさか。僕は平穏主義です。平穏を崩す害虫は駆除しますがね」


僕はこうおう性格だ。本当に信頼している人以外には心を許さない。害を為すなら駆除する。立場は関係ない。そのためにSSSランクになったのだ。自由になりたかった。


「全員終わったから教室に戻るぞ。っとその前に、ユリエル!お前はあの氷をなんとかしとけ。終わったら戻ってこい」
「・・・わかりました」


どうやら僕は片付けをしなければならないらしい。気だるげに返事をした。




みんなが教室に戻った後、実習場は僕1人になっていた。誰もいないので、片付けもすぐできるのだが、少しだけ遊ぶことにした。氷魔法でやって見たいことがあったのである。


「【氷の庭園ガーデン】」


僕を中心として、氷の花々が咲き誇り、実習場を氷の花で埋め尽くしていく。これはかなりの広範囲に影響を及ぼすが、戦闘には使えない。あくまで芸の1つ、鑑賞用である。
それでも、かなり高レベルの魔法だ。僕は誰もいないのでと、氷の花々を眺めていたが、それがいけなかった。


「こ、これは一体・・・」
「・・・っ!」


人が来てしまったのだ。僕は慌てて氷の花々を消滅させ、氷の破片も粉々に砕いた。が、見られてしまったものは変わらない。


「さっきのは・・・あなたがやったの?」
「・・・」


僕は無言でその人物を見据える。それは見たことがある顔だった。
この学園の生徒会長である。確か最上級生の高等部3年だったか・・・。


「今の魔法は一体なに?かなり高位の魔法よね?少なくともAランク以上の・・・」
「では失礼しますね」
「え?」


僕は彼女が驚いている隙に、氷を僕の足元から、生徒会長の足元まで這わせる。そして、次の瞬間に彼女の背後に出現する。そのまま、彼女の意識を凍結させる。


「・・・・」
「起きたらこのことは忘れていると思いますが、念のため暗示をかけて起きますね」


僕は彼女に、このことを他言してはいけないと暗示を埋め込み、その場を後にした。




教室に戻ってくると、自己紹介が始まろうとしていた。僕は慌てて席に着く。アドルが少し笑いながら話しかけて来た。


「遅かったね。もう少しで遅れる所だったじゃないか」
「少し片付けに時間がかかったんです」


生徒会長に遭遇したことを省き、説明する。本当は遊んでいて遅れそうになったのだが・・・・・。

「じゃあ、まずは1番から」
「はい」


あのファイアアローの少女だ。

「私はレアナ=アルデンヌよ。一応アルデンヌ子爵家長女いなっているけど、気さくに話しかけてくれると嬉しいわ。適正属性は火よ。よろしく!」


どうやら大人しそうな見た目とは裏腹に、中々勝気のある子だったようだ。
しばらく、自己紹介が続き、あのゴミ貴族の番になった。


「俺はフリッツ=レドルドだ。レドルド男爵家長嫡男で、将来はSランク以上の魔法師になる男だ!適正属性は火だ!覚えとけ!!」


偉そうな口調で喋る。僕はもうどうでもいいが、他のクラスメイトたちは中々嫌そうな顔をしていた。取り巻きと思われる2人は例外だが・・・


それからも自己紹介は進み、アドルの番になった。若干緊張しているようだが・・・。あのゴミ貴族は平民の紹介だというと急に機嫌が悪くなり、なにか言ってこようとするのだが、僕が人睨みすると黙っていた。


「アドルです。平民の出身なので苗字はありません。一応水属性の魔法が得意です。これから、よろしくお願いします」


クラス内で拍手が起こる。若干名、アドルに何か含みのある視線を送っているものいたが、気づいていないようだ。
そして、次は僕の番だ。立ち上がると、急に教室の雰囲気が変わり、真剣そのものの顔で、僕を見つめている。女子は頰を若干赤くしながら・・・。怖い。


「ユリエル=フロウドです。苗字がありますが、平民の出身です。最近まで森の奥で修行をしていたのですが、王都に出て来ました。適正属性は闇以外の4つです。それと、この髪の色は元からですので、お気になさらないでください。これからよろしくお願いします」


僕はクラス全体へと微笑みながら、自己紹介を終了した。何人か卒倒している生徒がいたが、特に気にしない。


「じゃあ、とりあえず質問したい奴がいたらそいつに質問しとけ。狙ってる奴がいたら今がチャンスだぞ〜」


その瞬間。クラスの空気が変わったような気がした。一体先生は何を言ったのか?僕は関係ないと思い聞いていなかったのだが、クラスがこんな風になるようなことを言ったのだろう・・・。


「はい!!」


女子生徒が1人手を挙げた。

「お?誰かに質問か?」
「ユリエルくんに質問したいです!!」


おっと僕に質問が来たようだ。まあ、確かに先ほどの魔法を見た後では何か聞かれるとは思っていたが・・・。しかし、全く違う質問が飛んで来た。


「ユリエル君の、好きな女性のタイプを教えてください!!」
「え?」


僕は固まってしまった。自分の好きなタイプを?何を言っているんだ?僕はそんなことを聞かれるような感じではないだろうが、女子の間では、なにやら騒ぎになっている。


「流石よリナ!」「やるわね・・・あそこまで堂々と」「私も知りたかったんです!!」


こんな感じだが、正直困る。好きな女性のタイプ・・・わからない。迷っていると、アドルから催促された。


「早く答えてあげなよ。待ってるんだからさ」
「・・・人ごとだと思って・・・」

まあいいか。正直に答えれば・・・。


「実は、僕は森の中で育ったので、女性の好みは特にありません。なので、そういうのをこれから見つけていけたらいいなと、思っています」


これで十分だろう。嘘は言っていないが、おそらくタイプなどは一生わからない。そんな気がした。


「なるほどね・・」「すごいわね・・」「これは誰にでもチャンスがあるということ・・・?」


なんだかざわめきが大きくなったが、僕は気にせずに着席し、窓から入ってくる風を身体に感じながら、外の景色を眺めていた・・・。

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