異世界で災害使って無双する(仮)

水無月 葵

#11 魔法と魔法適性

「まともな魔法が欲しい!」

 いきなりの発言に隣にいた二人の男女は驚いていた。

「ツバサ君どうしたのですか? 馬鹿になっちゃったんですか?」

「おいっ馬鹿は言い過ぎだ! なんでまともな魔法が欲しいって言っただけで、馬鹿って言われなきゃならないんだ」

 俺の発言にいちゃもん的な事を言ってくる萌恵に文句を言う。

「いえ、なんでもありません……何故まともな魔法何ですか? ツバサ君の災害魔法? も、十分役に立ってますよ?」

 萌恵は、さっきシャルさんに淹れて貰った紅茶を飲みながら発する。

「いやぁ……何かさ、せっかく異世界に来たんだから色んな魔法を使いたいじゃん?」

 俺も萌恵と同じ様に、紅茶の入ったカップをを口に運ぶ。

「いせかい? そのいせかいって言うのは分からないですけど、色々な魔法を使いたいのは分かります」

「師匠! じゃあ俺のあげた魔導書から、魔法を選んで覚えればいいんじゃ無いですか?」

 萌恵の横で俺達と同じく、紅茶を飲んで発言するリョウに俺は「あぁ!」と指を鳴らした。

「リョウのクセに良いこと言うよな!」

「クセにってゆうな!」

 俺は苦笑しながら自分の部屋に、リョウから貰った(売り付けられた)魔導書を取りに行く。

 確か此処に……あったあった。

 もう既に俺の部屋と化している部屋をあさり、魔導書を見つける。

――ガタッ

「!?」

……?

 確かに物音がしたよな……

 俺は物音が鳴った方へ足を運ぶ。

――ガタッガタッ!

「!? 誰だ! 出てこい!」

 パラライズを撃つ準備をして、恐る恐る物音のする方へと近づく。

「チュー」

 チュー!? 確かチューって鳴くのは鼠だよな?

 一気に音の鳴る方を覗き込む。そこにはとてつもなく尻尾の長い鼠っぽい生き物がいた。

「うわっ!」

 鼠か?

 俺が疑問に思っているとその鼠(?)が、俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。

「うおっ! 《パラライズ》!」

 パラライズの魔法で、鼠(?)は麻痺してピクピク足を動かして、気絶していた。

「いきなり襲いかかってくる鼠……こえぇ……」

 異世界の動物、モンスターの怖さを思い知らされた。

××××××××××

 無事魔導書を見つけ、鼠的な奴を外に逃がしてから萌恵達のいるところに戻る。

「師匠! 遅かったですね! 何かあったんすか?」

 最初に飛び付いてきたのはリョウだった。俺はリョウを引き剥がし、鼠に襲われた事を話すと萌恵が、

「鼠? そりゃあそうですよ? 鼠はれっきとしたモンスターですから」

 「当たり前でしょ?」的な事を言ってくる。

 マジかよ鼠怖っ!

 またもや異世界の怖さが身に染みた会話だった。

××××××××××

「初級魔法? 何これ?」

 無事に魔導書を手にいれ、鼠に襲われた後、俺は椅子に座り紅茶を飲みながら魔導書を開く。

「初級魔法は通常の魔法より比較的簡単に、習得出来る魔法です」

 人差し指を立てながら萌恵は解りやすく説明をしてくれる。

 なるほど……簡単にね……

 俺は最初に初級魔法を覚えることにした。

「えぇーと……水を出す魔法は……」

「ちょちょ待ってください! 適性は有るんですか!?」

 俺の言葉を焦りながら遮ってくる萌恵。

「適性?」

 俺はオウム返しに聞くと、

「適性を知らないとこの世界で生きていけないですよ!? 師匠!」

「適性とは……その前に属性ってわかります?」

 馬鹿にしたような言い方をリョウと萌恵にされる。属性は説明してもらったので、首を縦に振る。

「良かった……その属性の適性は人によって異なるんです。例えば私。私は水属性と光属性と無属性を使えます。まぁ無属性は誰でも使えますが……そして適性の有るものがその適性属性の魔法を使うと……《ウォーター》」

 萌恵は紅茶が入っていたカップに魔法を撃つ。すると、萌恵の手から水が出てきた。

「おぉ! それが初級魔法か!」

「はいっ! この様に魔法が撃つことが出来ます。しかし火属性の魔法ディグレイション!」

 わくわくしながらみていたが、今度は何も起こらなかった。

「何も起きませんね。これが適性です。簡単に言うと、水属性の適性を持っている人が水属性魔法を使うと水属性魔法を出せますが、火属性の適性を持ってない人が火属性の魔法を使うと、何も起こらないってことです」

「なるほど!」

 俺は手を叩き、納得する。

「でもなんで説明してくれなかったのさ?」

 自分の疑問を萌恵にぶつける。

「それは誰でも知っている事だからですよ? ツバサ君も学校で習いませんでしたか?」

 いや、すいません……義務教育の日本では、そんなこと習ってません。

「……ま、まぁとりあえず適性が有るか無いかを、調べれば良いんだろ?」

「まぁそうですね……」

「どうやって調べるんだ?」

 俺の質問に二人は唖然あぜんとした。

「えっ? 私達が産まれたときに病院の人が調べてくれて、大きくなったらお母さんに聞くのが普通ですが? 教えて貰わなかったんですか?」

 俺も、唖然した。

 いえ、教えて貰ってません。日本には魔法なんて存在しないですから! 現代科学で魔法なんて非科学的な存在ですからね?

「えぇーと……じゃあ直接魔法を使って見て、調べる事は可能?」

 俺の質問に首を横に振る二人。

「えぇっ!? じゃあどうやって調べるの!?」

「えっと……一つだけ方法が有りますよ」

 萌恵が人差し指だけ立てて、言う。そして、その方法を説明し始める。

「魔法適性を調べる魔道具さえあれば調べる事が出来るんですが……」

 魔道具? 魔道具ってあれか魔法の道具か。

「その魔道具ってのは何処に有るんだよ?」

 紅茶を口に運びながら萌恵に問う。

「えっと……ギルドには一応有ると思いますよ?」

「よし行こう!」

 俺は即答し宿屋を出た。

××××××××××

 ギルドからの帰り道

「やっぱり俺の師匠はすげぇや!」

「やめて、恥ずかしい!」

 俺たちはギルドに入り、ギルドの役員さんに魔法適性の魔道具を借りた。その魔道具は体内の属性の魔力に反応するというものだった。俺はその魔道具に手をかざすと魔道具が赤に光ったり青に光ったり黄色に光ったり紫に光ったり、白く光ったり緑に光ったり水色に光ったり神々しく光ったり黄緑に光ったり茶色く光ったり、ごちゃごちゃしていた。俺は最初に「故障かな?」と思いギルド役員に報告。しかし故障では無いらしくどうやら全ての魔法の適性があるらしい。……知らんけど

「そういや、水属性適性が有るんだし水属性魔法使えるよな? ……《ウォーター》」

 試しに近くの草木に手を向けて詠唱してみる。

「うおっ!」

 勢いよく手から水鉄砲みたいに水が出てきて木を削る。一通り水を撒いたところでウォーターに使う魔力を止めた。

「やっぱり使える! 魔法ってすげぇ!」

「やっぱりいつものツバサ君です。何をしても驚くことばかりしてきますね……」

 萌恵は飽きれ顔でこちらを見ている。リョウも目を輝かして「師匠はすげぇや!」と、呟きながらこちらを見ている。

 こんな楽しい異世界生活が何時までも続けば良いのに……

 そう考えながら白銀に入る。

 すると俺たちが入った途端シャルさんが、泣きながらこんなことを言い張る。

「遂に! ライバル店が現れた!」

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