怪談殺し

ダイナソー

海岸と巨影

「小さな部屋に騎士が居た?」
 蛙男との出会いの翌日。学校の昼休みに明美達三人の少女は話し合っていた。
 今日も外では雨が降り続いている。
 明美は武者から聞いた事をそのまま三虎と闇子に話した。
 闇子は首を傾げながら明美に言う。
「悪いけど、ちょっとそれは分からない。怪談も誰しも夢を見るのか、それとも武者さんが特別なのか」
 闇子は言葉を続ける。
「わからないけど、とても興味深い。それに戦力が強化されるのは良い事だ」
 明美は首を横に振る。
「これも武者さんから聞いたんだけど、戦力強化は期待しないでくれって言ってた。今はもう騎士の声が聞こえなくて、あの時の力も出せないんだって」
 三虎も口を開く。
「大きな脅威が迫れば、またその声も聞こえる様になるかもしれないの」
 明美は昨日の事を思い出す。
「大きな脅威、ね」
 明美が苦い顔になる。
「蛙男もまたすぐ出てくるよね」
 三虎は答える。
「和也が今蛙男を探してるの。でもまだ見つかってないって」
 その場に重い空気が流れた。
 闇子がなんとか明るい表情を作って言う。
「さ、今はお昼を食べよ! 腹が減っては戦は出来ぬってね!」

 夕方、学校の授業を終わらせた後、三人は対策本部へやって来た。
 対策本部にはまた新たな顔が有った。
「フィリップです。通信機の事なら任せてください」
 痩せぎすの白人男は笑顔で明美と闇子の二人に自己紹介した。
 二人もまたフィリップの自己紹介に答えた。
「また人が増えたね」
 三虎が明美の言葉に答える。
「これで情報収集は任せてほしいの。私達は明美ちゃん達を此処から全力でサポートするよ」

「所で三虎ちゃん」
 明美が三虎に尋ねる。
「この町にはあとどれくらいの怪談があるのかな?」
 三虎が明美の問いに答える。
「あまり広まってないものも含めると無数に有るの。でもこの町で特に広まってる、十三怪談の中からならあと五つなの」
 闇子が口を挟む。
「残りは重力、口裂け女、化け猫、だいだらぼっち、そして蛙男だね」
 三虎は頷く。
「そうなの」
 二人の言葉に明美の顔が曇った。
「蛙男。次会った時に私は勝てるのかな?」
 武者も明美達の会話に口を挟む。 
「まあ考えても仕方が無い、そん時に何とかするだけさ」
 武者は力こぶを作ってみせる。
「俺もその時までにあの力を出せる様にする」
 その時だった。
 和也は驚いた様子で口を開く。
 三つの監視カメラの映像が、時空の歪みから出現する三体の影を映していた。
「監視カメラに怪談の姿あり、北の住宅区に同時に三体出現!」
 ほぼ同時にフィリップも口を開いた。
「軍の無線をキャッチしました。南の海岸に巨大なロボットが出現した様です。それと」
 三虎はフィリップを急かす。
「それと何なの!?」
 フィリップは三虎に答える。
「噂の蛙男もロボットと一緒に居るようです」

「まさか同時に五体の怪談が出現するなんて」
 対策本部では緊急の会議が開かれていた。
「武者様、機関銃は持っていかれますか?」
 十金が武者に問いかける。
「いや、いらねえ。蛙男には当たらねえし、多分ロボットにも効果が無いだろう。それよりも大事なのは誰がどう動くかだ」
 武者の言葉に滝が答える。
「やっぱり全員で一体ずつ倒していくのが一番確実じゃないでしょうか」
 明美はそれを却下する。
「それじゃあ町に被害が広まってしまう。戦力を分散するしかない」
 そして闇子が話を纏める。
「なら私と十金さんが北へ、明美ちゃんと武者さんには南を頼むよ。悔しいけど今の私じゃ蛙男相手に何も出来ないからね」

「これくらいしか言えないけど、気を付けて」
 対策本部から出ていく明美と武者に闇子が声をかけた。
「私も北の怪談を片付けたらすぐそっちに向かうから」
 そう言う闇子に明美は笑って見せる。
「大丈夫、今度こそ私達は勝つよ!」
 武者も笑って闇子に答える。
「応、任せとけ!」
 そう言って二人は暗闇に消えた。

 海岸。
 其処には巨大な影と、その肩に乗るもう一つの影があった。
「さあ、奴等が来るよ。一緒に暴れようじゃないか。パシフィックリム」
 パシフィックリムと呼ばれた巨大な影が大きな唸りを上げた。

「怪談殺し」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く