怪談殺し

ダイナソー

魂と核

「彼らが来たようだよ。パシフィックリム」
 蛙男がパシフィックリムと呼ばれた巨大ロボットに語る。
「じゃあ僕は行くよ。君も存分に暴れると良い」
 そう言うと蛙男は巨大ロボットの肩から消えた。

 雨の降りしきる町を明美と武者は南へ走る。
 二人の視線の先には五十メートルはあろうかという巨大な影が見えていた。
 武者は明美に言う。
「アレどうする?」
 明美は武者に答える。
「わからない」
 武者は頷く。
「俺もだ、でもやるしかねえ」
 そう言いながらも二人は走る。海岸はもう目の前だ。
 直後。
「来る!」
 明美が叫ぶ。
 瞬間、蛙男の跳び蹴りが明美へ迫る。
 明美は蛙男の跳び蹴りをガード。そのまま戦闘状態に入る。
「先に行って!」
 明美が更に叫んだ
「任せたぜ!」
 武者は一瞬悩んだが今の自分ではこの戦いの役に立てないと思い、そのまま走り抜けた。

 海岸には自衛隊が集結していた。
 陸には戦車、海には海上護衛艦、空には武装ヘリコプター、更に遠方の空には戦闘機。
 武者は戦車隊の横を高速で駆け抜ける。
 武者は海へと入って進む。いや、正確には海の上を走って進む。
 右足が沈む前に左足を前に、左足が沈む前に右足を前に、武者は高速で水上を走る。
 武者は巨大ロボットの右足を横切り様、その足へ刀の横一線を放った。
 だがその足には傷一つ付いていない。
「やっぱりただのハリボテじゃあねえか」
 武者は水上を高速で移動しながら次の手を考えていた。
 その時、辺りに爆音が鳴り響いた。
 自衛隊の兵器達の砲弾が、ミサイルが巨大ロボットの頭へ集中放火される。
 全ての砲弾とミサイルが一発も撃ち漏らす事無くその頭へと吸い込まれる。驚きの命中精度だ。
「やったか?」
 武者の視線がその頭へと注がれる。
 しかし爆炎が晴れた時、その頭は傷一つ付かず健在だった。
 そして巨大ロボットの胸のハッチが開き。
「デストロイビーム!」
 巨大ロボットの叫びと共に、その胸から極太の光線が放たれた。
 光線が武装ヘリコプターの編隊を包み込む。
 後には塵一つ残らなかった。

「こんな化け物どうやって倒せば良い」
 武者は一人呟く。
「魂の核を狙え」
 武者の呟きに重く鋭い騎士の声が答えた。
「お前アマデウス! なんで今まで黙ってた!?」
 騎士は言う。
「それよりもだ。魂の核を狙え。お前なら奴の魂の核を感じることが出来る」
 脳内に響く声と会話をしながら武者は海岸へ駆け戻る。
「それでその魂の核を感じ取った後はどうすれば良い?」
 騎士は説明する。
「お前の刀で魂の核を突け。それで奴は死ぬ」

 武者は目を瞑り、前方の巨大ロボットへ全精神を集中させる。
「大丈夫だ。お前なら出来る。魂の特に輝く部分を探すんだ」
 武者は巨大な魂が迫ってくるのを感じ取る。
 武者は巨大な魂を巨大な人型にイメージする。
 そして武者は巨大な人型の胸に一際明るい輝きを見た。
「これが魂の核か?」
 騎士は答える。
「そうだ」
 武者は考える。
 あの胸までどうやって向かうかを。
 武者は和也へ連絡する。
「ドローンをこっちへ寄越せ。八機もあれば良い」

「信じて良いんだな?」
 ドローンの到着を待つ武者は重く鋭い声の主に問いかける。
「お前の言ってることを信じても良いんだな」
 騎士は答える。
「信じろ。私はお前の味方だ」
 二人が会話を続ける中、尚も巨大ロボットは町へ向かって前進していた。
 自衛隊も巨大ロボットの膝関節へ攻撃を集中させていたが、その膝関節にも傷一つ付かない。
 遂に戦車隊が撤退を開始する。
 その戦車隊を追いかける様に巨大ロボットの視線が動く。
 そして巨大ロボットの胸のハッチが開く。
 このままでは巨大ロボットの光線によって戦車隊は全滅だ。
 武者は呟く。
「来たぜ」
 その時八機のドローンが巨大ロボットの前に躍り出る。
 そのドローン達はまるで飛び石の様に巨大ロボットの胸へと並んでいた。
「今だ!」
 武者は叫ぶと超高速でドローンからドローンへと飛び移る。まるで八艘跳びの如く。
 巨大ロボットの胸から光線が放たれるかと思われた、その刹那。
 武者の刀がその胸を刺し、武者の体が弾丸の如くその体を貫いた。
 武者はその魂の核が破壊されるのを感じていた。
 こうして機械の巨人はその魂を砕かれ、ゆっくりと海岸に倒れ伏した。

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