怪談殺し

ダイナソー

仮面と蜘蛛

「スクリーム。此処は任せましたよ」
 そう言って仮面の女は仮面の男を残し、老婆と蜘蛛女、そしてニャルを連れて島へと向かっていった。
 海上を走りながら遠ざかって行く仮面の女達と仮面の女に抱えらたニャルとを見ながら、仮面の男が手足を縛られた明美達に言う。
「妙なマネは起こすなよ。起こしたらこいつでズドン! だからな」
 明美達に仮面の男はその手に持つ拳銃を見せびらかした。
「ごめん、明美ちゃん。私が不甲斐ないばかりに」
 闇子が明美に謝る。
「いいよ闇子ちゃん。大切なのは今何をすべきか。でしょ?」
 そう言いながら明美は仮面の男を睨む。
「おお、怖い怖い。でもできれば女の子同士の慰め合いとかそういう尊いものをもっと見せてくれ」
 仮面の男はおどけてみせた。
「ついでに俺の息子も慰めてくれよ。仮面の坊や」
 武者が仮面の男をからかう。
「てめえ殺されてえのか」
 仮面の男が拳銃を武者の顔に突き付けた。
「冗談だよ。悪かったな」
 仮面の男は武者に突き付けていた拳銃を離す。
 明美はその様子を見ながら武者の作ってくれた隙を無駄にしない為に動く。
 明美はその手足を縛る蜘蛛の糸に対し、皮膚の分子を超高速振動させる事で摩擦熱を発生させて焼き切る。
 仮面の男が明美に向き直った時には、仮面の男の顔面に明美の拳が当たる直前だった。
 明美の拳に仮面の男は吹き飛ばされ、猛烈な勢いで砂浜を転がる。
 明美は高速で仮面の男に近づき、追撃の拳をぶつけようとしていた。
 追撃の拳が当たる前、仮面の男が強烈な悲鳴を上げた。
 そのとても大きく強烈な悲鳴は明美の動きを一時的に麻痺させた。
 明美の意識が混濁する。
「俺を舐めたな」
 仮面の男の手に持つ拳銃から銃弾が放たれる。
 明美は銃弾が直撃する寸前で、混濁する意識から回復すると間一髪で銃弾を手で弾く。
 仮面の男は再び叫ぼうとした。だが明美がそれをさせなかった。
 明美は銃弾を弾いた直後に超高速へ加速し、仮面の男の急所に超高速の蹴りを叩き込んだ。

 仮面の男が塵になって消えていく。
「ごめん。ちょっと熱いかも」
 明美はそう言いながら摩擦熱で、仲間たちを縛る蜘蛛の糸を焼き切る。
「まだそんなに時間は立ってない。今から追えばすぐに追いつく」
 武者の言葉に明美は頷く。
 武者は言葉を続ける。
「明美と闇子はついてきてくれ。残りのメンバーはトラックで待っててくれ」
 武者の言葉に闇子は頷く。
「元より海を走って渡れるのは私達三人だけだからね。私もどこまで明美ちゃん達の助けになれるか分からないけど手伝うよ」

 明美達は高速で海上を走り、海を渡る。
 島には簡単にたどり着いた。
 島は海底に沈んでいただけあり、島のあちこちに海の生物が打ち上げられ、フジツボ等がそこらじゅうの地面に見られた。
 明美達が島の足跡を追って奥へ進むと、暗く不気味な神殿にたどり着いた。
 明美達はその暗い道をスマートフォンの明かりを頼りに進んでいく。
 道には時折蜘蛛の巣が張られていて、明美達はそれを避けながら進む為時間がかかった。
 明美達は海の生物の様な不気味な像の並ぶ、薄暗く広い部屋に出て来た。僅かだが日の光が入って来てるらしい。
 その部屋の中央には四本腕の人の様な上半身と四本脚の蜘蛛の様な下半身を持つ奇怪なフォルムが待っていた。蜘蛛女だ。

「スクリームの悲鳴を聞いてね。あたしは此処であんた達の足止めをする様に命令されてる」
 蜘蛛女はそう言いながら二丁の拳銃を明美達に向ける。
 明美と武者の二人は高速に加速し、蜘蛛女の両側面に回り込もうとした。
 が、二人の動きが途中で止まる。薄暗くて気付かなかったが、この部屋の足元には蜘蛛の巣が張り巡らされれていたのだ。
「しまった!」
 二人は声を上げた。
 この蜘蛛の巣の上は蜘蛛女だけが自由に動き回ることが出来る。
 蜘蛛女は二人を目掛けて二丁の拳銃から銃弾を放ち続ける。二人はこの銃弾を弾き続けるが蜘蛛女も空いたもう二本の腕で拳銃を補充し続け、銃撃が止む事は無い。
「なんとかしないと」
 その様子を見ていた闇子は近くの石像に目を向け、石像へ向けて跳躍した。
 闇子は石像の乗る台の上に着地すると、その石像を掴んだ。
「これでも、くらえー!」
 闇子は蜘蛛女目掛けてその石像を投げる。
 しかし蜘蛛女はその石像をバックステップで避ける。
 だがこの一瞬の隙があれば明美には十分だった。
 明美は空中の蜘蛛女へ両腕を向け、その両腕をグルグルと超高速回転させる。その両腕は旋風を起こし蜘蛛女を部屋の壁に叩きつけた。
「闇子ちゃん!」
 明美のその言葉を聞いた時、既に闇子は蜘蛛女を目掛けて跳躍していた。
 そして闇子は蜘蛛女の顔に渾身の一撃を叩き込んだ。
 蜘蛛女は塵になって消えた。

 なんとか蜘蛛の巣の部屋を抜けた明美達は更に先を目指す。
 武者は言う。
「急ぐぜ。仮面の女はもうすぐだ」
 

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