俺、自分の能力判らないんですけど、どうしたら良いですか?

朝綾 夏桜希 因みに、イラストは「クロイ」さんのフリーイラストです

第三話〜入学試験・3〜

「よし、時間だ。これより入学試験実技を開始する。30秒後にA Iの魔物を放つ、死にはしないが死ぬほど痛いぞ?」

  怖いこと言わないで下さいよ・・・。 

「へっ、魔物っても偽物だろ?んなもん楽勝だぜっ!」

「だな。サクッと終わらせますか」

「この後近くのクレープ屋さん食べに行かない?」

「いいね!行こ行こ!」

 凄い小物感があるな・・・。

「フッ、その余裕いつまで続くかな?」

  敵のボスか何かなのか?この人。──教官は今軍服(開拓団の制服)を身につけていて、腰にはレイピアらしき細剣を装備している。軍服は黒を基調としていて、どことなく和のテイストを感じる。世界には日本、アメリカ、中国、イギリス、ロシアの五つのDゲートがあり、それぞれの国に開拓団の本部がある。なので見分けをつけるためその国を象徴するものだったり、民族衣装などを軍服に取り入れているらしい

「私たちは油断せずに行きましょう」

「そうだな、油断大敵って言葉があるくらいだし」

「せやね。練習通りに行くのがええだろうな」

「ん」

「そうだな、おr「よーし!みんながんばろー!」・・・」

  あ、シュンとしてる。何故だろうか、雅也に親近感を覚えた。ドンマイ、雅也

「10…9…8…7…6…

「お、そろそろ時間だな。各自役割をしっかりと着実にな」

 一同「「了解ですわ(ん)」」

 …3…2…1…0ッ!!」

「っ!!」

「GAAAAAAAAAAAAA!!!!」

  偽物だってわかっててもやっぱ怖ぇな・・・8年ぶりくらいか?けどここで止まるわけにわいかねぇんだよな。──恐怖を堪え、魔物を見据える。

「作戦通りに、麗奈!」

「ん」ダッ!!

 スパン!!───速い。麗奈ってあんなに動けたのか・・・しかも、一つ一つは浅いが着実にダメージを与えてる。なのに相手を撹乱する事も同時にこなしてる。──実はエリートだったり?教官の娘だし。

「GAAA!」

  焦っているのか魔物の視線が完全に麗奈になってるな。

「澪!」

「わかっていますわ!」

  弓を構え、引き絞り、放つーー矢はそののまま吸い込まれるかのように魔物の足関節へ───

「Gujdmjgj!?」

  当たった!?あんなに素早く動く魔物の足の関節を狙って射ったのか?


「ほぅ・・・」

  よし、魔物が大勢を崩した。狙うなら今だろう。

「宗、皐月、雅也、行くぞ!」

「任せろ!」

「いっくよー!」

「了解した」

「GAAA!!」

 ──力任せに魔物が右足を振るう。

「ハァッ!」

 魔物の攻撃に合わせ、関節に拳を叩き込む。

「!?!?」

  思わぬカウンターを受け動揺しているようだな。

「ハァッ!!」

 スパンッッッ!!───まじかよ。後ろ足を切断しやがった。あんなエセ関西弁しゃべる癖に。

「やー!!」

 ドゴッ!!──可愛らしい声とは裏腹に、魔物に与えている攻撃はえげつない威力だな・・・。
  魔物が血反吐はいてる。うわっ・・・。

「フッ!!」

「Gu、aaa・・・」

  雅也の一突きで魔物が倒れた。よし!倒せたな。これで実技は大丈夫だろ。

 ───あれ?俺って魔物にカウンターしただけであんま活躍してなくね?

「やりましたね!お疲れ様です皆さん」

 皐月「やったー!かてたね!」

「無事でなによりだな」

 ──ん?何か違和感が・・・。

「あぁ、連携も上手くいってたと思う」

「そうだな。即席でここまで出来たら十分だろう」

「ん、勝った」じーーー

「ん?どうした?こっちを見つめて。顔になんかついてるか?」

「撫でて」キラキラ
  
「へ?」

  今なんと仰いました?大勢の前で俺に羞恥プレイをしろと・・・。

「撫でて///」上目遣い

 ──そんな目されたら断れないだろ・・・。

「お、おぅ」ナデナデ

「〜♪」

 髪柔らけぇ・・・。

「「あー、なるほど・・・」」

 なんだよ?なるほどって?

「お、そこはもう終わったみたいだ、な・・・」

「あ、教官。なんとか倒せーーーあっ、いえっ、これは///」

 慌てて麗奈の頭から手を離す。

「むぅ」ぷくぅ

 そんな顔すんなって。後で撫でてやるから。

 ーー教官ーー
 付き合ってるの?ねぇ、あの子達は付き合ってるの?それに周りの「あ、そういうことね」って目は何?でもなぁ〜、頭を撫でてただけだし。
 いや!普通付き合ってもないのに撫でないわね。でも早すぎないかしら?愛に時間は関係ないって言うけどちょっとはやすぎないかしら?でもこの際どうでもいいわ!遂に!遂に娘に春が来たんだわ!

「そうか、そうかぁ・・・♪」

 なんで嬉しそうなんだ?

「それよりこっちに来ていいんですか?他の班も見なくちゃいけないんじゃ?」

「あぁ、それならしばらく大丈夫だ。あれを見てみろ」

 そう言って教官は後方を指さす──

「うわぁぉぉぁぁぁぁあああ!!助けてくれぇぇぇぇぇえええ!!!」

「っ!邪魔なんだよ!ったく、もっと周りをみろよ!!」

「何よ!そっちが邪魔なんですけど!男なんだから前に行きなさいよ!!」

「そうよそうよ!あんたが行きなさいよ!」

 あぁ、こりゃ当分かかりそうだな。

「ご覧の通りの有様だ。周り見ず、自分の役割もこなせない。だが、ちらほら連携を見せ始めたグループもある」

 グループT

「一旦態勢を立て直そう。このままじゃジリ貧だ!」

「わかった!一旦引こう」


 グループQ

「よし、そのまま引きつけてから一気に叩こう!」

「あと少しだ頑張ろう!」


  確かに。少しずつだが連携が見え始めてるな。
 だが確かに全組が終わるにはまだまだ掛かりそうだな。

「確かにまだ掛かりそうですね」

「だろう?だから気にすることはない」

「あの、一つ質問をしてもよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「麗奈さんと同じ髪と目ですが、御姉妹でしょうか?」

「それ俺も気になってた」

「あっ!!」

 ──そう言うことか!!やっと違和感の正体が掴めた!

「どうされましたか?」

「どうした?」

「宗、口調が普通になってるぞ」 

 宗「・・・ッ!! あっ、、、いやっ、、、これは、、、流せ。頼んます」

 何気に戻してやがる。まぁいいが。

「了解」

「そろそろ話を戻しても?」

「すまん、続けてくれ」

「それで、御姉妹なのでしょうか?」

「琥太郎には言ったが他はまだだったな。私と麗奈は親子だ」

「「えぇぇぇぇぇえええ!!」

「本当に親子なんですか?姉妹ではなく?」

「そうだが?まぁよく間違えられるからその反応にも慣れたがな」

「麗奈のおかーさんって、わっかーい!」

「マジかよ・・・姉妹かと思ってた」

 おい、口調がもどってるぞ

「まさか親子とは・・・」

「本当の事」

 普通驚くよな。教官って二十代にしか見えないし。ナンパとかされてそう。

「街を歩いていると未だにナンパに声を掛けられるんだが、そんなに若く見えるか?」

 うわっ、自覚無いよ。下手に自覚あるより厄介だよ・・・。

 そんな会話をしている内に他の班も大体が倒し終わったようだ。

「まだ残っている班があるな・・・時間だ、不合格とする」

「いいんですか?そんなあっさりで」

「これ以上は時間の無駄だからな」

「そうですか」

 そう言うと教官は一気に魔物へ詰め寄った。

「フッ!」スパパパパァァァン!!

「・・・」

 マジかよ・・・魔物が声すら上げずに細切れになったぞ・・・バケモンか?見ろよ。魔物を倒された班のやつら目を丸くしてるぞ。てか、レイピアってあんなに振り回すもんだっけ?

「残念だが君たちは不合格とする。今すぐここから立ち去りたまえ」

「そんな!教官が今しがた魔物を倒してしまって不合格?おかしでしょ!」

「そうです!あと少しで倒せたんです!」

「こいつらが足を引っ張ったからなんです!だから私たちは合格にして下さい!」

「そうよ!こいつらがわるいんです!」

 醜いなー、満足に攻撃も出来なくて何が「あと少し」だ。みっともない。

「黙れッ!碌に攻撃もできず、その上班の仲間に責任を押し付け自分は悪くないだと?るなッ!!恥を知れッ!!」

「っ!!!!」

 あー、言っちゃたよ。オブラートの"お"の字にすら包まず言っちゃったよ。相当アイツらショックを受けーーー

「確かに俺が周りを見てなかった。すまん」

「僕もフォローをせずに独断専行をしてました。申し訳ありません」

「私も全然前に出ようとしなかったし・・・その、ご、こめんなさい!」

「私も後ろで文句言ってるだけで何もしてなかった、ごめん!」


 あっれー?おっかしーなー?なんか謝りあってるんですけど?なんで?今の言葉の何処に諭す言葉があった?無いよね?罵倒しただけだよね?教官のカリスマ性半端なくね?

「「教官にも失礼な態度を取ってしまい、申し訳ありませんでした!」」

「潔さは認めよう。しかしだからといって不合格が無くなる訳ではないからな?」

「「はい・・・」」

 肩を落とし帰っていく受験者たち。なんなのコレ?
 なんでいい話風に終わっちゃった?

「それでは残りの受験者たちは全員合格とする。次の筆記試験も全力を出して臨んでほしい」

「「はい!」」



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