過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~メイド事情と世界の理~

「はぁ、どうして俺の周りには魅力的な娘が多いのだろうか、誰か一人だけを選ぶなんて俺にはできない」

ヘイネのことはもちろん愛している、ヘイネがいなければきっと生きていけない
マリーのことももちろん愛している、マリーがいなければきっと今この場にいない
セリーヌのことももちろん愛している、セリーヌがいなければきっと今この在り方に辿り着けていない

「俺はこの3人さえいれば大丈夫だと思っていたんだけどなぁ」 
頭を掻きながら苦笑する

そこにサーシャが名乗りをあげた
3人と比べてしまうと今は全く比較にすらならないレベルだ
サーシャも今の現状は理解している、全くダメだと。それでも名乗りをあげた
護ってもらうんじゃなくて、自らの力で辿り着くんだって

「決意があっても成し遂げるには並大抵の努力ではできない。それでもセリーヌの前例があるからな。今は実力的には3人に全く敵わないサーシャでも、決意の想いだけは3人にも負けないだけのことはある。それに何より俺が、サーシャの決意の想いに見惚れちゃったんだよなぁ」

サーシャの宣誓を受けて、見惚れていた自分自身を思い出し、ただただ苦笑する

決意を秘め、それでも戦い続ける少女達の美しさに、ユウジは鼓動の高鳴りを抑えることはできなかった


□□□□

ヘイネたちと一緒にいる為には、俺自身も強くなくてはならない、強くなる為には鍛練が必要だ
鍛練をするにはスキルがたくさん必要だ
その為、俺はこの世界の魔法やスキルが書かれている本を今現在読みまくっている
本に関してはサーシャに用意してもらった

サーシャ騒動は実は昼前には終わっていた
二人で大いに盛り上がったのはいいが、単純に朝からバカップルがただいちゃいちゃしていただけだった

「な、なぁ俺なんか見ててもおもしろくないだろ?」
「そ、そんなことないです!とてもかっこいいです、はぅ~」

サーシャ騒動からまだそんなに時間がたっていない為、どこか気恥ずかしさが残る二人だった

用意してもらった本はたくさんあった
あまりの量に戦慄した
自慢ではないが、俺は本を読むのが好きではない
だから「俺」自身は読むのを放棄し、「スキル」を使って読んでいることにしている、本を読むスキル『リーディング』
それじゃ頭に入らないだろって?読んだ内容を記憶の書庫へと導くスキル『書庫』。
この二つを合成して、『無限書庫』を作り出した

今現在このスキルを使って、大量の本を読んでいるような状況を作っているわけだが、実際はヘイネ抱き枕をだきしめ、ふぇんりるマントでもふもふを満喫しているだけだ
魔力が貯まり次第スキルをどんどん作成し、同時にゴロゴロとしているだけの自堕落な生活を満喫する。まさに最高効率だ!働かなくていいって最高だよね!

「楽しそうだな」
「はい、眺めているだけで幸せです」
本当に幸せそうだ、笑顔がかわいい

俺はゴロゴロしているだけなので、たまにサーシャと会話をしている
サーシャは俺が話しかけると、とても嬉しそうに返事を返してくれるから、ついつい話しかけてしまう
サーシャはひたすらご機嫌だ、にこにことしている、ついつい魅入ってしまう
それには理由がある

『無限書庫』からの情報によると、
この世界のメイドはある程度地位があるらしい
特に王宮に仕えるメイドは一種のステータスとなるみたいだ、エリート中のエリートメイドということだろう
お給金もかなりいいらしい、誰もが羨むそんな職業だ
しかし彼女らにも不満があるらしい
各自に部屋はなく、大部屋でたくさんのメイドたちと生活しているみたいだ。便宜上個室があるのはメイド長のみ
年頃の女の子だ、プライベート空間に憧れがあるんだろう
そんなメイドにも例外があった
それが専属メイドだ。専属メイドはエリートメイドの中でも特に優秀なメイドが選ばれる、メイドの花形だ
専属メイドは基本的に夜以外は専属対象者に付きっきりになる
すなわち間接的にではあるが、メイドにも部屋ができるわけだ。もちろん対象者の部屋だから自由ではない

ユウジはベッド以外特に使用していないので、サーシャに自由にしていいと伝えた
サーシャの喜びようは凄まじく、あっという間にかわいい小物が溢れる空間が出来上がった
ユウジの部屋ではあるが、傍から見たら完全にサーシャの部屋である。これにはユウジも苦笑するしかなかった

(これはすごい、余程嬉しかったんだな。なんかサーシャの部屋にお邪魔しているみたいでドキドキするな)

「なんかかわいい小物が溢れてるけど、こういうの好きなの?」

「あっ!わかります?私大好きなんです!ユウジ様もかわいい小物使っていますよね?私達趣味合いそうですね!」
満面な笑顔である、この笑顔もいいなぁ~

(小物は俺じゃないんだよなぁ。でも、ヘイネが使っている小物がサーシャのお眼鏡にかなうことがわかったので大変満足だ。ヘイネとサーシャ、なんか仲良くやれそうな気がする。あとはサーシャの頑張り次第か)

サーシャがお部屋メイキングに勤しんでいれば、当然他の専属メイドたちも気になってくるのだろう
サーシャに羨望の眼差しを送るものや専属対象者に懇願しているものまでいる
年頃の女の子らしい一面にほっこりしつつも、押し寄せるメイド軍団をなだめ、鍛練の準備に取り掛かれたのはそれから1時間後だった
そんなメイドさん達を見てユウジは疑問を持った

「なぁ、サーシャ。メイドさんには休日はあるのか?」

「普通のメイドさんにはありますよ。専属メイドは対象者が許可して頂ければ取れますね」

(ふ~ん。でもそれ知らないと専属はずっと休みなしってことか?ブラックすぎるわ~。お給金がよくても休みないなら使えないじゃないか。サーシャは妹いるみたいだから、仕送りなんだろうが、せっかくお給金あるんだから羽を伸ばさせてあげるのもいいな)

「休日欲しいなら言ってくれよ?俺は多分今後もこんな感じだから。動かなくていいなら動きたくない!今後もだ!」

「ふふふ、なんですかそれ。それだと私は毎日が休日ですね。あっ!そういえば欲しいものあるんです!よ、よろしければ今度一緒に城下町に買いにいきませんか?」
少し不安そうな眼差しで聞いてくるサーシャ

「う~ん?今回のこの本のお礼もあるし、俺はいつでも構わないよ」

「ありがとうございます!日程決まりましたらお伝えしますね!」
(やった!ユウジ様とのデートを取り付けられた!)

歓喜するサーシャを見て、わかりすいなこいつ、と思いつつも、選択肢は間違っていなかったと思うユウジであった

□□□□

サーシャと楽しく会話しながらも、無限書庫にて知識は蓄えられていった
ユウジの過去の経験則と本から得た知識をもとに、この世界の魔法の在り方に、ある程度の結論を得た
他の異世界と比較するとこんな感じだ

(世界)  (イリアス)(グズニール)(ショーマリー)

(魔法技能)   3     8     4
(武術技能)   7     2     6
(魔力保有)   10      7     4

イリアスは比較的ショーマリーに近いことがわかる
魔法よりも直接的な技能が特化しているのだ
しかし唯一違うのが、魔力保有量である
過去の文献から推測するにイリアスはかなりの魔力保有量があるようだ
イリアスにおいては、魔法はまだまだ未知のものと認識されている
魔法を使えることがすでにすごいことらしい
魔法の代わりに魔道具として護符がある
護符は誰でも使えるが、数が少なく貴重である為、かなりの金額となるそうだ。一般市民では全く手に入らない

(なるほどなぁ。転移者が優遇されるのもよくわかる。魔法使い自体が少ないのか。でもこれだけの魔力保有量だ。きっとこの世界の人達はみんな魔法を使える可能性がある。ただ使い方がわからないだけだ。誰も試してみなかったのか?不思議なもんだな。知らないだけで使えないなんてもったいないな。それとも極秘事項とか?)

やはり知らない事は恐怖である
みんな魔法を使える事実を知らない
事実を知らないから使う機会に巡り会わない
そもそも知らないからその機会にすら気付かない

(そりぁ魔族を強大に感じるわけだよな、多分魔族はこの事実に気付いてる可能性がある。でも魔族は基本閉鎖的だからなぁ、多分イリアスでもそうだろう。マリーが特別なんだよなぁ。)

それにしてもアウラ様は本当に魔王討伐が目的なのか?
なにか別の目的があるような気がする
そもそも魔王は本当にいるのか?
魔族は悪なのか?人間は善なのか?

これは魔王討伐を急ぐのはやめたほうがいい気がする
ヘイネを手に入れたら、愛しい人達と一緒にまったりと様子を見てみるのもいいかもしれないな
日本に戻りたいとは思わない
そして急がなくてもいいなら、サーシャとも一緒にいてもいいのかもしれない

(純粋な決意を宿すサーシャなら確実に駆け上がってくるだろう、今は言うつもりはない。サーシャの頑張りを見て見たいから)

そんな気持ちでサーシャに視線をむけてみると、サーシャも視線に気付いたのだろう
いつか見た、たんぽぽのような可憐で、でも力強さを感じる笑顔にいつしか魅了されていた

どじっ子属性なのにどじっ子属性の片鱗すら見せないサーシャを見て、ヘイネの悪戯を退けるほどの大物なのかもしれない、とついつい笑ってしまっていた

□□□□

俺は今、ひたすらスキルを作成してはゴロゴロし、合成してはサーシャと会話をしている
無限書庫を使っているから、基本暇なのである

「サーシャはよく飽きもしないで、ずっと見ていられるな。たまに変な顔してるし」

そう、サーシャは時々変なタイミングでうっとりとした顔をする、恋する乙女とはまた違う、妄想や思いだし笑いとも違う感じだ、ユウジはそれがずっと気になっていた

「変な顔ってなんですか!」
憤慨するサーシャ、かわいい

「なんか変なタイミングでうっとりしてるけど自覚ある?」
ヘイネ抱き枕をぎゅ~としながら、何気なく聞いてみた

「タイミングですか?そうですね、ユウジ様が魔法を使っていらっしゃっる時でしょうか?」 
首を傾げながら答えるサーシャ

「!?」
俺はサーシャに力の事は教えていない
魔力欠損時に看病してもらってるから魔法が使えるのは知っているのだろう
でも今は傍から見たら、ゴロゴロして本を読んでいるようにしか見えないはずだ
何故今魔法を使っている事を知ってるんだ?  

俺は警戒しながら体を起こしていく
サーシャは俺が警戒したのを肌で感じたのだろう
びくっと体が跳ね上がりがたがたと震えて今にも泣きそうだ

(な、なんだ?少し大げさじゃないか?・・・やばっ!動揺してさっき創ったやつ、発動してるじゃないか。『死圧』解除!)

(う~ん、スキルの確認はできたけど、悪いことをしたな。少し優しくしてあげるか)

「サーシャ、ごめん、悪かったよ。おいで」
なるだけ怖がらせないよう優しく語りかけ、招きいれる

「うぅ~。そんなに警戒しないでくださいよぉ、怖かったんですからぁ」

俺の胸の中でがたがた震えているサーシャを優しく抱きしめ、頭を撫でる
こわれものを扱うかのように優しく、でもはっきりとわかるように少し強く抱きしめる
大分落ち着いたのだろう、体の震えもとまり、撫で撫でに気持ち良さそうにしている

「えへへっ、ユウジ様温かいです」

「おぅ、サーシャも温かいぞ。いい匂いもするしな」

「に、匂いですか?」
顔が赤くなって行く様がよくわかる

「あぁ、いい匂いだ。俺は好きだな」 
ちょっと力を入れて抱きしめる

「ひゃん!もう!ユウジ様ったら・・惚れちゃいました?」
ちょっと色っぽい声が出てどきどきした
それにしてもサーシャの体は柔らかいな~

「惚れてないけど、サーシャは好きだよ?」
サーシャ、胸を押し付けるんじゃない!
もっとお願いします!
柔らかい感触に全神経を集中させた、さぁ、どうぞ!

「ユウジ様、ずるいです。それと目がエッチですよ?」
ちょっと不満そうな顔でむくれている

「ずるくない、ずるくない。いっぱい撫でてあげるからエッチなのは許してな?笑」
冗談で言ったつもりだが、サーシャは耳元で囁いた

「ユウジ様ならどんな視線でも。それにお望みでしたら今夜にでもお相手致しますよ?」 
耳元から顔を離したサーシャの顔は赤くなりながらも妖艶な笑みで彩られていた

(え?いいの?しかも今夜とかき、急すぎません?あれか?メイドの嗜みなのか?・・・いやいやいや!俺には『約束』があるから!すげ~惜しい気がするが、ヘイネは裏切れない!落ち着け、落ち着くんだ・・・)

「気持ちは嬉しいけど、いい加減にしろ。てぃ」
サーシャの頭にチョップをかました後、また撫で撫でした

「あぅ・・・本気でしたのに・・・」

(ほ、本気とかマジか・・・我慢、我慢。それにしてもやたら甘えてくるな。妹がいて、元は完璧なメイドさんだったから甘えられることはあっても甘えたことはあまりないのかもしれないな。二人の時はおもいっきり甘えさせてやるか、俺もヘイネに甘えまくってるし。それにしてもこれはこれでいいもんだな)

「サーシャ、二人の時なら甘えていいからな?」
きっと甘えてくるだろう、チャンスだ!
もっとサーシャに触れるためのな!!

「え?甘えてもいいんですか?」
驚いてるようだ、やはり甘えたかったのか・・・
完璧メイドさんでもまだ年頃の少女だもんな

「もちろん、変なこと以外ならなんでもしてあげるよ。あとさっきの件教えてくれる?」 
更に強めに抱きしめる

「ありがとうございます。いっぱい甘えちゃいますね!それと先程のですが、気付いてなかったんですか?ユウジ様の体を包み込むに赤や青、緑などの光がでていたんです。それがあまりに綺麗で見とれていました。魔法ですよね?」

(どういうことだ?魔力が漏れ出していたのか?しかも色まで鮮明に?俺も魔力を見ることはできるが色まではわからないぞ?)

「サーシャ、それははっきりと見えるのか?」

「いえ、ぼんやりと、ですね。それがなにか?」

(ぼんやりとか・・・となるとらまさか・・・)

・・・。

「サーシャ、魔法を使ってみたくないか?」


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