過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~サーシャの憂鬱~

私はサーシャ。

王宮で副メイド長をしています。
私はこの職業に誇りを持っています。
数多の女性が憧れる職業です

きっかけは突然でした
私のお父さんとお母さんが流行り病で死んでしまい、妹のタリスと一緒に叔父さんのところにやっかいになっていました

叔父夫婦はとても優しくて、本当の親のようでした
ですが、私はどこか心苦しく感じていました
なにか恩返しをしたい、働いて叔父夫婦を楽にさせたい
叔父夫婦はどちらかと言うと、貧しい家庭でした
まだ10歳の子供です、仕事はありませんでした

そんな時、叔父さんのもとにアマンダという女性が尋ねてきました。友人なのだそうです
叔父さんはアマンダさんに、私のこと、仕事を探していることを話していました
アマンダさんは何かを感じとったのか、私に 

「ねぇ、サーシャちゃん。私と一緒に働いてみる?すごく大変だけど、頑張れる?」
「はい、お願いします!」

そして私は見習いメイドになりました
毎日毎日大変でした
疲れ果てていても、夜みんなが寝静まってからは、ひたすら勉強をしていました。文字や歴史、魔法など  
とにかく王宮にある本はどんどん読みました
そして2年後、副メイド長になりました
嬉しかった、自分が認められたのが。だからもっと頑張るようになりました。

私が18歳になった時、アマンダさんのお仕事も私が代わりにやることが多くなりました。
メイド長のお仕事を覚えてもらうためらしいです
親友であるセリスも自分のことのように喜んでくれました
セリスは私が見習いの時に先輩メイドとして色々助けてくれた人です

そんなある日、アマンダさんと私は王女のクルシ様から突然呼び出しがありました。
なんでも勇者召喚を行うので、その準備と対応をするように、と。召喚があることは知っていましたが、まさか私の時代に行われるとは思わなかったので、緊張しました

勇者様が転移されてきました
私はアマンダさんから他のメイドの指揮を任されました
お部屋に、お食事、お風呂など
勇者様に粗相のないよう全力で仕事をしました

ある日夕食にこられない勇者様がいらっしゃっいました
きっと寝過ごしているのだろうと、呼びにいきましたら倒れられていたので慌てて体調を確認したら魔力欠損のようでした
アマンダさんや王女様に報告して、そのまま看病することになりました
お目覚めになった勇者様は、どこか幼さはありましたが、とても落ち着いておられました
これが私とユウジ様の出会いでした

最初は特に好意はありませんでした
専属メイドの話が出たときには、私が適任だろう、と
いきなり倒れられてしまった勇者様だから私がしっかり補佐するように、と
私は使命感に燃えました、私がしっかりするんだ、と

ユウジ様のお部屋で挨拶をしたとき、とてもいやらしい視線に気づきました。私はこの視線が嫌いでした。
男性はそういうものと割り切って視線を落とした時、気付いてしまったのです。ユウジ様がとても興奮されていたことに
・・・。
私もそういう知識はあるので身に危険を感じ、指摘したら予想外の答えが返ってきました。
私も興味が無いわけではありません。どうしても気になって見ていたら、ユウジ様が

「えぇそうですよ。サーシャさんは普通に美しいです。それだけでも美味しそうなのに、胸も大きいですしね、さすがB88なだけはあります。巨乳好きは結構多いんですよ?もちろん俺も好きです。しかもメイド服ときた!サーシャさんの美しさとエロさが遺憾無く発揮されてるのに大きくならないのは失礼だ!俺は悪くないですよ?強いて言うなら、エロかわいいサーシャさんが悪い!本来なら悪いメイドにはおし置きとしてご奉仕させるんですが、それを我慢してる俺は誉められるべきなんです、むしろ誉めて!?」

私は唖然とした

ここまで包み隠さず本心をさらけ出し、しかもそれは男性なら当たり前のことでそうならないのは失礼であるとも
さらに悪いというなら魅力的な私が悪いのだと
考えもしなかった、考え方だ
思考が停止した、誇りを保てていなかった
素の私になっていた

しっかりしている自覚はあった
みんなをまとめて信頼されてる自信もあった
私は「副メイド長サーシャ」に誇りを持っていた

でも今、「副メイド長サーシャ」は「一人の女の子サーシャ」に戻っていた


そして、恋に落ちた

□□□□

それからの私はとにかく、ユウジ様と一緒にいたい気持ちが溢れて抑えられなかった

一度「副メイド長サーシャ」のベールを脱ぎ捨てた私は、一身に素の私をアピールした

私と一緒にいてほしい・・・
私を好きになってほしい・・・
私を愛して欲しい・・・
私を抱いて欲しい・・・
私をユウジ様のモノにして欲しい・・・

気持ちを伝えたが、フラれてしまった
それでも諦めたくなかったので、宣誓をした

とにかく私は頑張った
ユウジ様を想い、ユウジ様と一緒にいられるように
加護がついた時、私は歓喜した
ユウジ様は甘えるのも認めてくれ、たくさん抱きしめ、頭をなでてくれる
とても幸せだった。でも愛されているのかはわからなかった
好きだとは言ってくれている、でも不安だった
目に見える証拠が欲しかった、だから歓喜した
愛されているとわかった時、涙がとまらなかった

私はユウジ様を愛している

□□□□

最近気になることができた
私は副メイド長なので時々ユウジ様から離れて仕事をしなければならない
その間は代わりにセリスがユウジ様の専属となる
始めはセリスに感謝した
私がいない間にユウジ様のお世話をしてくれるのだから
でも段々と不安な気持ちになってきた

ユウジ様はお優しい、きっとセリスにも優しくするだろう
セリスがユウジ様に惚れてしまってもそれは仕方ない
セリス自身のことだから
ユウジ様がセリスを好きになったとしてもそれは構わない
ユウジ様自身のことだから
私には独占欲はないと思う
私も愛してもらえるならなんでもいい
そう思ってはいる、でもユウジ様とセリスが楽しそうに話をしているのを見た時凄く嫌な気持ちになった・・・

もしユウジ様がセリスを好きになって、私に興味がなくたなったら・・・
もしユウジ様がセリスを好きになって、私を愛してくれなくなったら・・・

不安だ、怖い、どうしようもなく、胸が締め付けられる

でもこんな私を見たら、ユウジ様は幻滅されるかもしれない

嫌われたくない・・・
離れてほしくない・・・

だから、いつものサーシャでいよう
笑顔が曇ってていてはきっとバレてしまう
ユウジ様が言っていた、たんぽぽ、という花のように明るく笑っていよう

(誰にも負けない!セリス、あなたにも!)

そんな決意を胸に抱いてる中、愛しい人が声をかけてきた

「サーシャ、明日空いてるよな?デートにいくぞ」


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