過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~再臨と3人~②

意識が覚醒していく
頭の下から柔らかい感触が、体の横から甘い吐息が聞こえる

『おはよ、ユウジ・・・ん!』
「今日何回目だろうな、おはよう。ヘイネ」
おはようの軽いキスを交わした

俺はベッドの上でヘイネに膝枕されているらしい
俺の横にはサーシャが眠っていた
なんて幸せな空間なんだろう

『ユウジ、心配したんだからね!無理しないでって言ったのに・・・ユウジのバカ!』
本当に心配だったのだろう、泣かせてしまった

「好きな子が一生懸命作ってくれた手料理を残すバカがどこにいる?それに本当に美味かった。また作ってくれよな。か、数は少なめでもいいからな?」
釘指さないとまた大変な目にあうしな

俺はこの世界にきて初めて苦戦をした
初の強敵は唐揚げでした

『くすん、また食べてくれるの?』

「あぁ、またぜひ頼む!ヘイネの唐揚げは世界一だ。だからヘイネ、もう泣かないでくれ。ヘイネのそんな顔は見たくない。笑ってくれ。俺のお願い聞いてくれるよな?」
ヘイネの頬に流れる涙を掬う

『ありがと。ユウジ!』
その笑顔だ、ヘイネには笑顔が似合う

「ヘイネ・・・」
『ユウジ・・・』

二人は見つめ合いキスを交わした
唐揚げの味がする、と二人とも微笑んだ
そのまま二人はしばらく見つめ合い

「ヘイネ・・・いいか?」
『サーシャちゃん、起きちゃうよ?』
「関係ない。今すぐヘイネがほしい」
『強引なんだから、ユウジは。でも嬉しい』

そして二人はそのまま愛し始めた
何度も軋むベッドの振動はやがてサーシャの意識を覚醒させ、サーシャは目を薄く開け現状を把握した

{{な、なんで起きたら私の横で愛しあってるの!?これじゃ動けない。終わるまで寝たフリしないと。それにしてもすごい・・・。ヘイネ様の顔がとても嬉しそうで、しかもすごく淫乱だ。私もあんな顔してるのかな・・・。二人の汗と激しい息遣いで体が熱くなる。ダメ、我慢できない。でも我慢しないとバレちゃう。・・・切ないよぉ、ユウジ様ぁ、ユウジ様ぁ}}

俺とヘイネは行為を終えると、二人顔を合わせて笑った
明らかにサーシャは起きている、もじもじしているからだ

「サーシャ、起きてるんだろ?バレバレだぞ?」

俺に声を掛けられたサーシャの体は一瞬ビクっとなった
そして突然泣き出した

{ごめんなざい、覗く気はながっだんですが・・・みでじまっだら切なくなっで・・・ごめんなざい、ごめんなさい}

「なんで泣いてるんだよ?しょうがないやつだな、サーシャは。俺達が勝手に始めたことなんだからサーシャが悪いわけないだろ?」 

泣きじゃくるサーシャを胸に抱き優しく頭をなでる
その光景をただ黙って慈愛の眼差しで見つめるヘイネ
やがて落ち着いてきたサーシャに

「サーシャ・・・いいよな?」
{でも私、今ひどい顔になってると思いますが・・・}
「そんなこと関係ない。今すぐサーシャがほしい」
{ユウジ様・・・お願いします}
『ねぇ・・・ユウジ。私もまだユウジがほしい』
「・・・仕方ないな、順番な?サーシャもそれでいいか?」
{はい、ヘイネ様も愛してあげてください}

サーシャ、本当いい子だな。嫌な顔一つもしないもんな
そんなことを思っていたら、

『じゃあサーシャちゃん!二人でいっぱいユウジの事気持ちよくしてあげよ?』
「{はい?}」
『え?3人でするんだよね?確かユウジの部屋にそういうの・・・』
「いつもの流れ!?ストップな!その・・・お願いしてもいいか?サーシャ。いや、してください!お願いします!」
『『ご奉仕プレイ』って言うんだよ!サーシャちゃんのほうがHは先輩なんだから色々教えて?』

その後俺はたっぷりとご奉仕プレイを堪能し、サーシャ→ヘイネ→サーシャの順に愛しあった
平等に愛さないとまずいからな!大変満足です!

今はとても気怠いが、その気怠さが心地いい
3人川の字で横になり、俺は両隣の美少女を抱き寄せる
二人は満足したのか、とてもつやつやした面持ちで楽しく会話をしていた
本当仲いいよな、思っていたらヘイネが少し体を寄せてきて頭を俺の胸に乗せてきた
ヘイネの甘い香りに更に心地よさが倍増した

『ユウジの心臓の鼓動が聞こえる。とても落ち着くよ?』
俺はヘイネの頭を優しくなでる
ヘイネは俺の心音と頭なでなででとても安らいだようだ

『ほら、サーシャちゃんも!』
こういう気遣いができるのがヘイネの魅力の一つだよな

{よろしいですか?ユウジ様}
「いいから、いいから。遠慮するな」
{では失礼します}
遠慮がちだけどこういう慎み深さがサーシャの魅力の一つだ

サーシャも体を寄せて、俺の胸に頭を乗せた
サーシャの甘い香りに更に更に心地よさが倍増した
もちろんヘイネ同様頭を撫でた

{はい、とても温かいです。生きてる実感がします}

大袈裟だな、と苦笑した

『ふふふ、ユウジ。本当サーシャちゃんの事好きなんだね。幸せそうな顔してるよ?』

「そうだな、サーシャの事は好きだ。もちろんヘイネもだ」

幸せな空気に包まれた俺は、隣にいる最愛の女神ヘイネ愛しのメイドサーシャにキスをして余韻を味わっていた


□□□□

城下町・出店

俺達はお部屋デートを満喫したあと城下町に繰り出していた

余談だが部屋からそのまま来た為、城内の人々の度肝を抜いた
だってそうだろう?
俺の左側にヘイネ、右側にサーシャが腕を組み、我が物顔で城内を歩いていたんだから
出羽亀メイド達はとにかくうるさかった。新たなおもちゃを見つけたかのように目がキラキラしていた
クラスメート達はただただ唖然とした
ただ一人、なぜか白鷺だけは強烈な冷たいを視線を向けてきたので恐怖した。般若、般若がいるよ!

城下町に着いてからは、やはりヘイネが色々と興味を持ち出した
特に食べ物だが。お前まだ食い足りないのかよ!
でも可愛いのでついつい許しちゃう俺

『ユウジ!次あれ、あれ行きましょ!』
もっと腕を引っ張ってください。山脈が当たってますので!

『ユウジ、これなに?』
「中華まんみたいなやつか?中に色々な具があるんだよ。サーシャも食べるか?」
{いえ、私はお腹がいっぱいで・・・}
「わかった。じゃあおばちゃん、1種類ずつ全部貰える?ほい、金貨1枚。お釣りいらないから」

驚くサーシャとおばちゃん
いやいや、そんな驚くほど多く注文したか?
だってヘイネだったら全部食べるだろ
おばちゃんはともかくサーシャは今更だろ

『ユウジ、はんぶんこする?』
ヘイネのはんぶんこは萌えるわ~

「俺もそんなに余裕ないから一口でいいわ。ヘイネいっぱい食べたいだろ?いちお興味あるから全種類一口頼む」
『はい、あ~ん』
「あ~ん。あつっ!熱すぎだろ!これあんこか?」
{ユウジ様!?大丈夫ですか?}

また別の出店では、

『次これ!この甘い匂いするやつ!』
「はいはい。これ・・・カルメ焼きか?サーシャも食べる?甘いもの好きだったろ?」
{はい、よろしいのですか?}
「よろしいもくそもない。2つね。ほい、金貨1枚。お釣りいらないから」

驚くサーシャとおじちゃん
サーシャはさっくらなにを驚いてるんだ?

『はい、ユウジ。あ~ん』
「いや、俺あんまり甘い好きじゃ・・・あ~ん。あまっ!」
甘いもの好きじゃないんだが、ヘイネ悲しそうにするし

{甘くておいしいです!}
やっぱり甘いものは別腹らしいです

更に別の出店では

『ユウジ、なんで飲み物の中に物があるの?』
「どれどれ・・・タピオカまであるの!?なにこの世界?種類も近いし。これな、中にある物が食べられるんだよ。説明しづらいから飲めばわかる。サーシャどれにす・・・」
{ユウジ様!私ミルクがいいです!}

うわっ!びっくりした。まだ言い切ってもないのに。
好きなのかな?それだけ山脈大きければミルク嫌いはないか
きっとそうだ。そうだよな?

「ヘイネ、どうする?」
『じゃあね、いちごにする』
「じゃあ、いちごに、ミルクに、コーヒーね。はい、金貨1枚。お釣りいらないから」

驚くサーシャと店員さん
ねぇ、なんなの?サーシャはどうしたの!?
挙動不審すぎる

『はい、ユウジ。どうぞ』
「ありがとな、ヘイネ。俺のも、ほれ」
『ありがと、ユウジ。・・・にがっ!にがいよ!?』
「ぷっ。ヘイネの口はおこちゃまだなぁ笑」
『もう!バカにして!よくそんなの飲めるね?』

しめしめ、絶対その反応すると思った
飲んだことない人は絶対その反応するよな  

{ユ、ユウジ様。私のもどうぞ}
そんな顔真っ赤にされたらこちらも恥ずかしくなるわ!

「お、おう。ありがとう、サーシャ。俺のもいる?」
{飲みたいのですが、苦いみたいなので遠慮します}
「そっか。わかった、ごめんな」
代わりに頭なでなで。しっとりさらさらだ

サーシャは気持ち良さそうにしている
ヘイネからの視線を感じる・・・
ヘイネも頭なでなで。ふっわふわだった

てきとうに3人で出店を梯子していった
主にヘイネが。どんだけ食べるの?食い休みないよね?

「そう言えば、ヘイネ。今回はお土産はいらないのか?」
『いいの?』

「今更だなぁ。なんでもいいよ」
『じゃあさっき食べた餃子ってやつがいい!また頑張って餃子を作ってくるね?』
「ヘイネの手作り餃子楽しみだな、期待してるぞ!」
{ユ、ユウジ様!私もお作りしますね!}

ヘイネの餃子はマジ楽しみ、唐揚げの前例あるしな
このままなんかお土産あげとけば、レパートリー増えるんじゃね?
しかもサーシャも対抗心燃やしてるし、可愛いやつだな~
サーシャはまず間違いなく美味いから心配ない

□□□□

定食屋

俺達はヘイネのお土産を買いに定食屋に入った
出店の店員さんに教えてもらったお店だ
ヘイネがとりあえず味を確認したいらしい
ふむ?正論か?まぁヘイネは食べたいだけだろう

「やっぱり俺達の世界に似通ってるな?この前の店もそうだったし。なんか意味あるのか?ヘイネ」

『地球は食の文化が進んでるからね、神達の間では参考にしたりするよ?私も参考にしてたぐらいだからよ』

「なるほどな~。じゃあ仮にサーシャが地球にきても美味い飯作れるんだな。万能嫁だな!」

{あ、ありがとうございます。お嫁さん・・・}
みるみる真っ赤になるサーシャ

「サーシャも相変わらずだな。俺の嫁なんだから堂々としとけ。ヘイネどれ食べる?」

『じゃあ、これにする』
ふ~ん。普通の焼餃子だな

「ヘイネ。まだ余裕あるだろ?これもいっとけ。サクサクでおやつとかにいいから」
俺が提案したのは揚げ餃子だ

結局注文した、焼餃子と揚げ餃子はヘイネがお気に召したものだった。
本当よく食べるなぁ~。栄養全部胸にいってるよな~
じゃあさっさとお土産注文してデート再会するか

例の如く店長を呼んでもらう

「お忙しい中すいません、この子がここの餃子気に入ったみたいでお土産にしたいんです。不躾なんですが、ここのお店一日いくらの売上ですが?」 

〔はぁ、もしかして唐揚げ勇者様ですか?〕

「・・・え?」

おいおい、どういうことだよ!
いや、知ってたよ?そういう噂があることは!
なんで俺が知らない店まで知ってるんだよ!

『ユウジ、唐揚げ勇者ってなに?』

やめて!過去を掘り返さないで!
サーシャに視線を飛ばすと憐れんだような目で俺をみる
その視線マジやめて!俺の体力は0寸前だ

〔人違いでしたか。大変失礼しました〕

「・・・いえ、唐揚げ勇者です。サーシャ・・・ヘイネに説明しといて。なんで店長さん知ってるんですか?」

〔ここ城下町の飲食店で唐揚げ勇者様を知らない者などでおりませんよ。店を貸し切るなんて剛毅なことをするものなどおりませんから。わたくしどもも密かにお目にかかれないかと思っておりました〕
商魂たくましいことで・・・

「・・・そこまで言われるとは光栄です。それで売上はいかがほどでしょうか?」

〔わたくしどもの店では一日金貨6枚でございます〕

「わかりました。今回は先程注文した焼餃子と揚げ餃子を可能な限りお願いします。ご存じの通り貸し切らせてください。二種類ありますし、金貨30枚でよろしいですか?余った分は店員さんの臨時のボーナスにしてあげてください。では先払いで金貨30枚です。頑張ってください。夕方にきます」

{〔えええええええ!?〕}

な、なんだ?びっくりした・・・
店長はともかくサーシャもかよ
あぁ、考えてみれば、店を貸し切ったことは知ってても契約内容まではわからないのか
こういうのは金に糸目をつけないのがいいんだよな

「ほら、サーシャ驚いてないでいくぞ。ヘイネも行くよ?」

俺はもう用はないとばかりに早足で店をでた
後ろからは嬉しそうな笑顔のヘイネと目が点になっているサーシャがついてきた
ヘイネの笑顔が見れるなら安い買い物だな

『ユウジ、ありがと。大好き!・・・ん!』
ヘイネが抱き着いてキスをしてきた

本当に安い買い物でした!
ヘイネのキスは餃子の味でしたが、至福だった

当たり前だが後に『餃子勇者』と噂されるようになる
もうやだ・・・この城下町

それにしてもサーシャどうしよう?
再起不能なんたが?城下町に来てからおかしい
なにかあったのだろうか?

とりあえずつついてみるか
ツン、ぶるん。ツン、ぶるん。揺れるな・・・
なんとなくヘイネもついてみる。ツン、ぶるん。たまらん!

『きゃ!なに?ユウジ?』
「いや、つついてみた?ヘイネ大きいよなぁって」

『大きいの好きなんだっけ?ユウジは』
「前も言ったが、ヘイネの胸は最高だ!ヘイネ自身が、俺の好みのどストライクだからな。いつまででも揉んでいたいよ」

『あ、ありがと。凄い嬉しいよ?い、今触ってみる?』

顔を赤くしながら妖艶な笑みを浮かべるヘイネに暴走しかけたがなんとか抑えた。色魔、色魔。
しかもここ往来だしな。さすがにまずいだろ

「後でお願いします・・・」
精一杯の抵抗だった

サーシャどうするか、まだ目が点だよ
せっかく可愛い顔が台なしだ
めんどくさいし

「早く戻ってこい、てぃ!」

サーシャの頭にチョップをおみまいした
サーシャは現実に戻ってきた

「サーシャどうした?城下町にきてから変だぞ?」
{うぅ~痛いですぅ。変なのはユウジ様ですよ!お金の使い方が荒過ぎます!}
『それは私もサーシャちゃんに同感だよ?』
裏切ったな、ヘイネ!?

「へ?なにが?」
{出店で金貨使う人いませんし、お釣りもらわないのとかもそうです。しかもさっきの交渉も5倍出すとか常識はずれです!}
あぁサーシャがおかしかったのはそのせいか

「いや~でもお金は稼げばいいし、めんどくさいじゃん。さっきのも貸し切りにするわけだから、ある程度向こうにメリットないとさ?金貨色々便利だし。お釣りも重くなるしさぁ~、合理的じゃね?」
『サーシャちゃん、説得は無理そうだよ?』
{ヘイネ様まで・・・}

常識人だからなぁ~サーシャは
強引に押し切って慣らすのがいいな
当たり前じゃないことを当たり前に感じさせていくぐらい強引にいけば、いつかは慣れるだろ

「いいから、いいから次行くぞ!時間は有限だ!」

□□□□

服飾店

「と言うわけで俺もここに用事があったから、ついでだし好きなの選んでくれ。サーシャは遠慮するなよ?」

こういうのはテンプレがある
とにかく時間がかかること!

サーシャは遠慮がちだからすぐ決めようとするが、今回はヘイネがいる
ヘイネはとにかく納得するまで考えるから、自然とサーシャも巻き込まれるだろう。いい傾向、いい傾向
可愛い女の子は着飾る義務がある。素質があるのに着飾らないのは美への冒涜だ!俺は許さん!
俺の目を楽しませるんだ!妥協は許さん!

さてと、女の子同士あれこれやってる間に俺は店主に用がある
地球の衣装のデザインの横流しだ
ある程度絵に書いて渡しておけば、近いものが出来上がる 
すでにうちの制服とナース服とエプロンはつくってもらった
まぁ普段から目にしてるし、クラスメートもこの城下町にくるしな
今回は巫女服と白衣を頼みにきた
旅立ちまでには仕上げてもらうつもりだ

ヘイネ達もある程度絞ってきてるようだ
それにしても二人仲良く服を選んでる姿をみると、年相応の女の子なんだよな、と改めて思う
本当に3人でデートできてよかった

かなり長く待たされたが、それも含めてデートなんだろう
そう思うことにした、だって長いからさ

結局ヘイネもサーシャも3着ずつ購入することにした
どれがいい?とか聞かれたのだが、どれもよかったので全部買う!
ヘイネは以前もそうだったから苦笑していたが、サーシャはまた驚いていた

可愛いは正義!
俺の為に可愛くなるなら金なんて些細なものだ
ヘイネやサーシャはそれだけの、それ以上の価値があるのだから

□□□□

王都近郊・平原

間もなくヘイネが帰る時間だ
楽しい時間はあっという間だ
餃子も受け取り、俺達は平原に来ていた

3人でまったりしている
俺は雰囲気作りに天体星群魔法アストラルを使った

『ユウジのこの魔法、凄い綺麗だよね』
「地球のプラネタリウムを参考にしたんだ、こういうのも俺のスキルから創れるからさ」

星々を仰ぎ眺めるヘイネはとても綺麗だ
そっと抱き寄せる

{ユウジ様の世界は素晴らしいものがとても多いですよね}

サーシャもこの魔法が気に入ってるようだ
サーシャもそっと抱き寄せる

あれから神託はない
きっと邪竜王の時みたいに、こちらが何かしらのアクションを起こさないとダメなんだろう
もどかしい・・・
今すぐにでもヘイネを迎えに行きたい
迎えに行くには神託をクリアしないといけない
神託を発生させるにはいつまでも王都にいたらダメだ
しかし王都にはサーシャの親友セリスや知己がいるから、できるだけ長く止まってあげたい
あと数十日の旅立ちまでもう少し・・・


『ユウジ、何考えてるの?』

にっこりと微笑んでいるその顔は、わかってるよ?と言わんばかりだ
ヘイネには敵わないなぁ

「この時間が幸せだなって。いつまでも続けばいいのにな」

『そうだね。私も幸せだよ』

「・・・」
迎えに行きたい、今すぐにでも

『・・・』
迎えに来てほしい、今すぐにでも

しばらく無言で星々を眺める3人
悠久に続くかと思われた時間は終わりを告げる

『・・・そろそろ時間だね』

「・・・」

{・・・}

『サーシャちゃん、ユウジをよろしくね』

{お任せください、ヘイネ様お元気で。またお逢いしましょう}

さようならとは言わない、また会えるのだから

『ユウジ・・・愛してる』
「ヘイネ・・・愛してる」

二人は名残惜しむように愛を確認し見つめる
そしてお別れのキスをした

「必ず迎えに行く、待っててくれ」
『うん。信じて待ってる』

『じゃあ、行くね。またね、私だけの勇者様ユウジ
「あぁ、またな。俺だけの女神様ヘイネ

まばゆい光が放たれ、ユウジの左隣には誰もいなくなっていた

ヘイネ、神界への帰還


少し前まで左隣に感じていた温かさはもうない
残っている温かさを名残惜しむように虚空を見つめる  

{{このお二人の絆は本当に固いもの。長い年月をかけて築き上げたものらしいから。本当に羨ましい。お互いがお互いをどれだけ想っているのかが、お二人を見ていればわかる。私もいずれユウジ様とそんな関係になりたい。でも今は・・・}}

{ユウジ様。お淋しいですか?}

「淋しい・・・のかな?また逢えるのにな。当たり前にいてくれた人が今は当たり前のようにいない。だから必ず手に入れてみせる。当たり前を当たり前にするために」

サーシャを抱き寄せていた腕に力が入る

{私もお手伝い致します}

「ありがとう、サーシャ。サーシャはこれからもずっと、今まで通り俺の側にいてくれ。それだけで勇気もでる」  

{はい、私はこれからもずっとユウジのお側におります}  
・・・。

{ユウジ様、愛しています} 

サーシャは意を決して、キスをした
珍しくサーシャからである
ユウジは驚いたがサーシャのキスを受け入れた

「俺もだ、サーシャ。愛してる」

サーシャの気遣いに温かい気持ちになったユウジは、サーシャを横向きに抱き抱えた

「よし帰るか、サーシャ!」 

サーシャの返事はなかった
お姫様抱っこをされて体全体が真っ赤になってユウジの胸の中で顔を埋めていたからだ

(さっきまでの勇気はどこいったんだよ。サーシャはいつまでたってもサーシャだな)

ユウジは苦笑して、王城に転移した


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