過去と現在を結ぶ異世界ストーリー
~出発と到着~
俺達が転移してきて明後日で二ヶ月だ
俺はクラスメートたちとは別に明日出発することに決めた
クラスメートたちと一緒だと何かと不便だからだ
「サーシャ、前々から言ってたが明日早朝出発する。セリスやお世話になった人達に挨拶しておけよ?くれぐれもクラスメートにはバレないようにな」
『わかりました。アカリ様はいかがされますか?』
「ん?白鷺?連れてかないよ。足手まといになるしな。俺から伝えておくよ」
転移してから一ヶ月過ぎたあたりだろか、いつものように鍛練していたら、月を見に来た白鷺とばったり訓練場で出会ってしまった
そこから毎日白鷺は鍛練を見学するようになった
最初は見ていただけだったが、途中で寝やがったり、やれ回復させろだの、魔法を教えだろ、うるさかった
邪魔ではあったが白鷺もかなりの美人だ、スタイルもいい
・・・いや、かなりいい。サーシャよりもいいだろう
どうしても男の子センサーが反応して、ついには魔法を教えることになった
いや~、サーシャとお楽しみした後じゃなかったらやばかったね!
それぐらいエロいフェロモンっての?出てるんだよなぁ
だからかよく話すようになったし、本当に幼なじみな様な感じがしてきていた
まぁ出発の挨拶はしてもいいだろう
でもなんでサーシャは白鷺のこと知ってたんだ?
怖い・・・開けてはいけないパンドラの箱か?
「挨拶終わったら明日の準備の為買い出し行くからよろしく」
旅の準備と言ってもあまりないが、巫女服とか白衣とか・・・げへへ
後は足だよな。
歩いて旅とかやってられん!俺は歩きたくないでござる!
今後仲間も増えるし馬車一択だ!
じゃあ俺も白鷺に挨拶しとくか
白鷺を探して王宮内を歩き回る
副メイド長をお探しですか?と聞いてくるメイドが多い。俺とサーシャは常にワンセットらしい
白鷺が委員長と一緒にいた。
本当仲いいよな、こいつら
委員長は余計だったが、まぁいいか
「白鷺、委員長、俺達は明日早朝出発するよ。サーシャもいるし、みんなと一緒はなにかとまずいと思うんだ」
{え!?雄司君、明日出発するの?私もいっ・・・}
はぁ?白兎なに勝手なこと言ってるのよ!
白鷺はなんかごにょごにょ言ってたがよく聞きとれん
とにかく委員長がうるさい、めんどくさいなぁ
「そう言うわけだから。用事あるし、行くよ。みんな元気でな!」
ガミガミ言われる前に早々に立ち去る
よし、挨拶終了!部屋でサーシャを待つか
しばらく部屋で待っていたらサーシャが戻ってきた
サーシャは隠したつもりなんだろうが目が赤かった
まぁ長年働いてきた苦労や、セリスや同僚達の思い出が一気に押し寄せてきたんだろう
俺は静かにサーシャを抱き寄せ胸を貸すことにした
少したつとサーシャから啜り泣く声が聞こえてきたので頭を優しくなでた
しばらく泣いたサーシャは恥ずかしそうにしながらも、
『ご迷惑おかけしました。買い出しにいきましょう』
パッとあげた顔には、たんぽぽのような可愛らしい笑顔がそこにあった
うん、いつ見てもサーシャの笑顔は愛おしい
□□□□
城下町
『ユウジ様。何を買われるんですか?』
「当面の食料かな。あとは調理器具。調理は魔法でなんとかなるが器具はないと困るだろ?後は馬車。俺は歩きたくない!仲間も増える可能性あるしな」
歩きたくない!歩きたくないでござる!
『ふふ、ユウジ様ったら。先に馬車にしますか?荷物多くなるなら馬車あったほうがいいですよね?』
「ん~。俺のアイテムボックスあるから荷物は問題ないな。そうだ!サーシャ」
俺はサーシャを強引に引き寄せ、しっとりと潤ったぷるんぷるんな唇にキスをした
うまっ!サーシャの唇うっま!ぷるんぷるん最高!
突然のことにサーシャも往来の人々もビックリしていた
『ユ、ユウジ様!?いきなりなにを・・・』
「はいはい、静かにな?目立つから。今サーシャにアイテムボックスのスキル渡したから。それで食料と調理器具頼めるか?目安は二、三ヶ月だな。相場わからんし、今持ってる金全部渡すよ。俺は馬車を見てくる」
サーシャはキスしたから目立つんだろ!とでもいいたげな目だが、無視して金貨50枚渡して俺は冒険者ギルドに向かった
□□□□
冒険者ギルド
俺はサーシャに食料の買い出しを頼み、冒険者ギルドに来ていた
お金を下ろしにきたのと受付嬢のリアに挨拶するためだ
「リア、こんにちは。今日も相変わらず美しいな?」
もうこんなやり取りができるぐらい仲良くなっていた
ちなみに彼女から呼び捨ても懇願されていた
〔ユウジさん!う、美しいだなんてそんな・・・照れます〕
一気に華やいだ笑顔を見せたらと思ったら赤くなる
うん、これはこれでいいな!かわいいし!
「今日は明日王都を出るので、その挨拶と預金の引き出し、馬車を買える所を教えて欲しいんだ」
〔え?・・・ユウジさん明日旅立たれるですか?急すぎます・・・。〕
う~ん。めっちゃ落ち込んでるな~。気持ちは嬉しいんだが。リアは連れていけないしなぁ
「リア、お仕事、お仕事。頑張ってくれるよな?」
リアの頭をなでなでして仕事の催促をする
当面の資金として、白金貨1枚と金貨50(計金貨150枚)と馬車を買える場所を教えてもらった
〔・・・〕
想像以上に落ち込んでんな
「そ、そんな落ち込むなって!気持ちは嬉しいよ?もう王都に戻ってこないわけじゃないんだ。また会えるから、な?」
〔そう、・・・ですね〕
これ納得してない、絶対納得してない系ですよ!
「そ、そうそう。また会えるんだからさ。それじゃあ、俺もう行くよ。リアも元気で、またな!」
その場の雰囲気にいたたまれなくなった俺は、ギルドを出ようとそそくさと踵を返そうとした、その時
〔ユウジさん!〕
リアが呼んだので振り返ると、カウンターから乗り出してきて俺にキスをしてきた
(・・・!え?なんだ?ちょっとリア!?ここギルドだから!いやいや、違う!ギルドとかじゃなくて、リアさん!?キス!キスしましたよね!?)
俺が呆気に取られていると、リアが顔を真っ赤にしながら
〔私のファーストキスなんです!私、諦めませんから!〕
ギルド内にも関わらず、高らかに宣言してきた
宣言された俺は顔が真っ赤になりながら足早にギルドを出た
リアのキスや宣言を聞いたギルド内は騒然となっていたが、なにを言っていたのかもわからないぐらい、恥ずかしくなっていた
(リアは俺の事が好きなのか?確かに好意は感じていたが、ちょっと仲のいい友達感覚だと思ってた。どこだ?どこにフラグがあった?わからん!・・・にしても、リアの唇やわらかかったな。ファーストキスなのか。って違う!キス!キスしちゃったよ!これ浮気になるのか?浮気なの?やばいな。誰かに聞くこともできないし・・・。と、とりあえず黙っておくか。ヘイネごめん・・・。リアは諦めないとは言ってたが、旅に出ちゃったらどうにもならないしな。今は保留だ、保留!サーシャに感づかれないよう、平静だ、平静)
頭の中は錯乱していたが、平静を保ちつつ馬車を買いに足を進めた
その後2頭引きの箱型馬車を購入し、服飾店で巫女服と白衣も購入した俺は全部異空間ボックスにぶっこんでサーシャと合流した
『あ、ユウジ様!』
俺を見つけたサーシャは嬉しそうに駆け寄ってきた。可愛い
「じゃあ帰るか」
サーシャと腕組みをして王城に転移した
□□□□
ユウジの部屋 ~出発前夜~
今日がこの部屋で過ごす最後の夜となるので、いつもより激しくサーシャを愛した
巫女服サーシャに暴走しかけたが、色魔でかろうじて抑えた
なんか残念そうな顔をしたサーシャ。残念なの?
俺達は行為を終え、裸で横になりながらベッドの上でまったりしていた
サーシャは頭を俺の胸の上に乗せ腕を搦めて寄り添ってきている
ヘイネとサーシャと俺の3人で愛しあった日以来、この体勢が気に入ったのだそうだ
俺もサーシャの乱れた髪を梳きながら頭をなでる
サーシャは気持ちよさそうだ
『ユウジ様の音がきこえます。とても優しくて、温かい音です。私は今とても幸せです』
「こんなもんでよければ、いつでも貸してあげるよ」
この体勢もろにサーシャの山脈が乗っかるから俺も好きです!どんどんやってください!
『それでユウジ様。出発されましたら、どちらに向かわれるんですか?』
「それなんだが、神殿ってどこにあるの?」
そう、神殿に用がある
ヘイネから聞いた話だと、神回Pの詳細は創造神様しか知らないらしい
なので神殿に行けばもしかしたら、創造神様に会えるかもしれないということだった
今はこれにかけるしかないだろう。
ヘイネ、マジ有能!さすが俺の最愛だ!さす嫁だぜ!
『え?神殿なら王都にもありますよ?ただ今は改装中らしいので入ることはできないでしょう。神殿は各国の首都にのみ建設を許可されております』
「王都にもあったのか・・・。じゃあ一番近い所は?」
『帝国エクスペインになります。ここから馬車で一ヶ月ほどです。今からだとちょうど武闘大会が見れるかもしれませんね。もう各地の予選は始まっているので、私達は参加できませんが』
「へぇ~。ちょっと興味あるな。この世界の人達の強さがどんなものか気になるしな!決めた!エクスペインに行くぞ。サーシャは物知りで助かるよ、ありがとう」
『ありがとうございます。お役に立てて嬉しいです』
「じゃあ明日も早いし寝るか!って言いたいが、サーシャ!」
『きゃっ!ユウジ様!?』
サーシャと体を入れ替えて、サーシャをベッドに押し倒す
「もう1回だ」
『・・・ユ、ユウジ様がお求めになられるなら、何回でも』
「サーシャは可愛いな、愛してるぞ」
『私もユウジ様を愛しています』
結局2回ほど愛しあい、仲良く裸で抱き合って眠りに落ちた
□□□□
旅立ち ~早朝~
俺達は静かに出発の準備を始めた
まぁ準備といっても馬車を出しただけだが
食料とかはアイテムボックスがあるから積む必要ないしな
強いて言うなら見送りの対応ぐらいだろうか
見送りに来ていたのは、アマンダさん、セリス、そして何故か白鷺だ
なんでお前いるんだよ!?昨日挨拶したろ!
サーシャとアマンダさん、セリスは共に抱擁していた
う~ん、朝から感動だなぁ
取り残される俺と白鷺、気まずい
「白鷺、なんでいんの?」
{来ちゃいけない?}
別に悪くはないが・・・
「別に構わないけど、とりあえず見送りありがとな。俺がいなくても魔法の訓練サボるなよ?」
{うん、頑張るね。ねぇ、どこに向かうの?}
う~ん。他のクラスメートに知られるのも問題だしな~
「・・・白鷺には関係ないだろ。それと約束は守れよ?みんなに絶対話すなよ?」
{教えてくれたっていいじゃない、ケチ。・・・雄司君はどうしてみんなを避けるの?雄司君の強さならみんな安心できるんじゃないかな?}
あぁ、やっぱりそうなるのか・・・
「俺には旅の目的がある。魔王なんかどうでもいい。日本に戻りたいとも思わない。だから、みんなと目的が違う。それに俺の目的の為には、みんな足手まといだ。だから一緒に行動しない」
{足手まとい・・・それでも私は!}
白鷺はスカートの裾をキュッと掴み、何かを決意した顔で
{雄司君、私も一緒に連れいってほしい}
白鷺、リアに続きお前もか・・・
いつのまにか、セリス達と出発の挨拶を済ませたサーシャも俺達のやり取りを見ていた
『・・・』
サーシャは俺にどうするのか?と聞いてくるような視線をむけてきた
俺の答えは決まっている
「白鷺は連れていかない、なんと言われようとダメだ」
気持ちは嬉しいが、白鷺も足手まといだ
俺に断られた白鷺は困惑していた
まさか断られるとは思っていなかった、と言わんばかりだ
その余裕、その慢心がダメなんだよ
異世界を、これからの旅を甘くみすぎている
辺りを重い空気が包んでいく
その沈黙を破ったのはサーシャだった
『ユウジ様、少しアカリ様とお話してもいいでしょうか?』
サーシャはそう言って、白鷺を連れて俺から離れた
(リアに続き白鷺もか・・・。どちらも魅力的な女の子だ。正直に言えば欲しい。二人を蹂躙したい気持ちはある。ただ今の俺の旅にはどちらも足手まといだ。白鷺に行き先を教えなくてよかった・・・。白鷺ならあいつらを上手く誘導して俺達を追ってくるだけの知恵がある。中途半端に力もあるからなおタチが悪い)
空を見上げ、思案しながら溜息をつく
サーシャが戻ってきた
白鷺は断念したみたいだ
でも白鷺の顔は晴れやかだ。なんだ?なにを話した?
ちょっと不安だったが、よしとしよう
「じゃあ、皆さん。今までありがとうございました。お元気で!」
{雄司君!私負けないから!諦めないよ!}
「お、おぅ?なんかわからんが、またな。白鷺」
こうして俺とサーシャは帝国エクスペインに向けて、馬車を進めた
「なぁ、サーシャ。白鷺になに話したんだ?」
『内緒です。ユウジ様、女の子の決意はすごいんですよ?』
「なにそれ!?どういうこと!?」
そんな俺を見て、たんぽぽのような笑顔をむけてくるサーシャに俺はまた恋をした
俺とサーシャの旅は今始まったばかりだ・・・
□□最終パート□□
異世界ショーマリー
ハラスティン城
「マリー姉様、どちらに行かれたんですの?今日も鍛練にお誘いしようと思いましたのに」
マリーを探す少女はセリーヌだ
セリーヌはあらかた城内を探していた
セリーヌは王女でありながらも毎日鍛練は欠かさない
ショーマリーにおいては無敵の存在になっていた
だからこそ格上であるマリーがきたことは、セリーヌにとって嬉しいことだった
全力で戦える、それだけでセリーヌは体全体が高揚していくのがわかった
「早く鍛練したいですの・・・」
耳と尻尾がしゅんとなった
セリーヌがしゅんとうなだれている所にマリーが戻ってきた
マリーを見た瞬間、セリーヌの耳はぴくぴく動き、尻尾は勢いよく左右に振られた
ユウジが見たらこういうだろう。可愛い、と
「マリー姉様、探しましたの!どちらに行かれてたんですの?城内いっぱい探しましたの!」
『ん~?我は~転移門の~確認にいってたよ~』
もふもふ、もふもふ~
「ぁん!くすぐったいですの!転移門探してなかったですの!」
『いやいや~、我は~部屋か転移門の場所にしか~行かないから~』
もふもふ、もふもふ~
「そうでしたの!マリー姉様はお休みしてるか、鍛練しかしないでしたの!」
そう、セリーヌはバカなのだ。所謂脳筋系ヒロインだった
『それでね~。もう一人分の魔力が貯まったから~もう~ゆう君のと・・・あ~まだ話の途中~』
もふもふ、もふもふ~
「今すぐ準備してきますの!マリー姉様失礼しますの!」
マリーの話も最後まで聞かずに飛び出していった
それは嬉しさ爆発といったところだろうか
セリーヌにとってユウジはお兄ちゃんでもあり、愛しい人でもあり、全力でぶつかれる初めての異性だった
逢えるとなれば居てもたってもいられないのだろう
しばらくすると、セリーヌが戻ってきた
『もう~!話は~最後まで聞かないと~ゆう君に嫌われるよ~』
もふもふ、もふもふ~
「マリー姉様ごめんなさいですの。ユウ様に逢えると想ったらつい・・・うぅぅ」
『だ。大丈夫~。怒ってないから~』
泣き出したセリーヌに慌てるマリー
もふもふも忘れるぐらいに
「マリー姉様、大好きですの!」
マリーに勢いよく飛びつく
『それでね~話の続きなんだけど~。ゆう君移動してるみたいなんだ~。だから~転移座標が~正確にできないんだよね~』
もふもふ、もふもふ~
「?どういうことですの???」
小首を傾げるセリーヌ
『簡単に言うとね~。ゆう君の~いる世界にはいけるけど~、ゆう君の側にじゃなく~ちょっと離れた場所に~転移しちゃうかも~』
もふもふ、もふもふ~
「構いませんの!ユウ様を探し出しますの!セリーヌ頑張りますの!」
『わかった~。じゃあ~セリーヌちゃんに~これあげるね~』
もふもふ、もふもふ~
「マリー姉様、これなんですの?」
渡されたのは赤・緑・桃色の3つのキャンディだった
『我が作った~異世界用~マジックアイテムだよ~。セリーヌちゃんは~苦いの嫌いでしょ~?キャンディに~しといたから~。向こうにいったら~食べるんだよ~?今じゃないよ~?』
もふもふ、もふもふ~
「マリー姉様、ありがうですの!キャンディ好きですの!」
キャンディの内容も聞かないセリーヌ
心は既にキャンディに支配されていた
『じゃあ~そろそろいくよ~。ハンカチ持った~?ティッシュ持った~?お金持った~?忘れ物ない~?』
もふもふ、もふもふ~
「全部大丈夫ですの!メイドに用意させましたの!」
気持ちは既に異世界に!ユウ様にやっと逢えますの!
『最後に~。』
もふもふ、もふもふ~
セリーヌはビクビクし始めた
この後の展開がわかるからだ
大好きなマリーでもこれだけは苦手だった
『我の~代わりに~先にいくんだから~・・・ゆう君に悪い虫がつかないようちゃんと監視しなさい。いいわね?セリーヌ』
マリーから強烈なプレッシャーが放たれる
「ひぃぃぃっ!お言い付けしっかり守りますの!悪い虫は全部排除しますの!!」
異様なプレッシャーにビクビク震えるセリーヌ
セリーヌの苦手なもの
それはマリーの強烈な独占欲だ
セリーヌも死ぬ思いをしてようやくマリーに認めてもらった
その時の記憶が鮮明に思い出される
『セリーヌちゃんは~いい子だね~。気をつけて~いってくるんだ~よ?いってらっしゃい~、またね~。転移~』
「行ってきますの!マリー姉様も、またですの!」
いつもの優しいマリーにホッとするセリーヌ
召喚部屋が光で包まれる
光が消え部屋にいるのは魔王マリーのみ
『あ~疲れた~。お昼寝しよ~』
マリーはいつものように昼寝をするべく、借りている部屋へと戻っていった
□□□□
異世界イリアス
帝国エクスペイン領・平原
「ここがユウ様のいる世界ですの?なんか体が軽いですの」
ひとしきり体を動かして異世界に慣らす
拳を振れば拳圧が、旋脚すれば脚圧が放たれた
「体が軽すぎてなかなか慣れないですの・・・。そうですの!マリー姉様から貰ったキャンディたべるですの!・・・ん~おいしいですの!」
キャンディを食べ終えたセリーヌの体が突然、赤・緑・桃色に光り出した
光が消えたと思ったら突然セリーヌの頭に音が鳴った
【スキル『ステータス』を取得 ランク:E】
【スキル『イリアス言語』を取得 ランク:E】
【???『物質変換』を発動しました。所持道具をイリアス式に変換します。・・・変換終了。???を変換、イリアス金貨100枚になりました】
「ビックリしましたの!なんかわからないですが、さすがマリー姉様ですの!」
状況が掴めていないセリーヌ。考えるのは苦手なようだ
「さてと、ユウ様探しますの!とりあえず・・・えぃ!」
セリーヌは足に少し力を入れジャンプをした
爆音と同時にセリーヌの体は上空に跳ね上がり、セリーヌは上空から町を探しだした
「あちらに町がありますの!さっそく行きますの!」
そういって、セリーヌは鍛練も兼ねて走り出した
セリーヌがいた場所にはクレータが出来上がっていた
「ユウ様、待っていてくださいの!ユウ様の愛姫が今参りますの!」
今異世界に舞い降りた『拳帝』セリーヌは愛しい人を想い、町を目指した
ユウジとサーシャが帝国エクスペインに着く3日前のことだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マジックキャンディいちご味(赤)
スキル『異世界ステータス』獲得
マジックキャンディめろん味(緑)
スキル『異世界言語』獲得
マジックキャンディもも味(桃)
魔王流魔法『異世界自動物質変換』発動
俺はクラスメートたちとは別に明日出発することに決めた
クラスメートたちと一緒だと何かと不便だからだ
「サーシャ、前々から言ってたが明日早朝出発する。セリスやお世話になった人達に挨拶しておけよ?くれぐれもクラスメートにはバレないようにな」
『わかりました。アカリ様はいかがされますか?』
「ん?白鷺?連れてかないよ。足手まといになるしな。俺から伝えておくよ」
転移してから一ヶ月過ぎたあたりだろか、いつものように鍛練していたら、月を見に来た白鷺とばったり訓練場で出会ってしまった
そこから毎日白鷺は鍛練を見学するようになった
最初は見ていただけだったが、途中で寝やがったり、やれ回復させろだの、魔法を教えだろ、うるさかった
邪魔ではあったが白鷺もかなりの美人だ、スタイルもいい
・・・いや、かなりいい。サーシャよりもいいだろう
どうしても男の子センサーが反応して、ついには魔法を教えることになった
いや~、サーシャとお楽しみした後じゃなかったらやばかったね!
それぐらいエロいフェロモンっての?出てるんだよなぁ
だからかよく話すようになったし、本当に幼なじみな様な感じがしてきていた
まぁ出発の挨拶はしてもいいだろう
でもなんでサーシャは白鷺のこと知ってたんだ?
怖い・・・開けてはいけないパンドラの箱か?
「挨拶終わったら明日の準備の為買い出し行くからよろしく」
旅の準備と言ってもあまりないが、巫女服とか白衣とか・・・げへへ
後は足だよな。
歩いて旅とかやってられん!俺は歩きたくないでござる!
今後仲間も増えるし馬車一択だ!
じゃあ俺も白鷺に挨拶しとくか
白鷺を探して王宮内を歩き回る
副メイド長をお探しですか?と聞いてくるメイドが多い。俺とサーシャは常にワンセットらしい
白鷺が委員長と一緒にいた。
本当仲いいよな、こいつら
委員長は余計だったが、まぁいいか
「白鷺、委員長、俺達は明日早朝出発するよ。サーシャもいるし、みんなと一緒はなにかとまずいと思うんだ」
{え!?雄司君、明日出発するの?私もいっ・・・}
はぁ?白兎なに勝手なこと言ってるのよ!
白鷺はなんかごにょごにょ言ってたがよく聞きとれん
とにかく委員長がうるさい、めんどくさいなぁ
「そう言うわけだから。用事あるし、行くよ。みんな元気でな!」
ガミガミ言われる前に早々に立ち去る
よし、挨拶終了!部屋でサーシャを待つか
しばらく部屋で待っていたらサーシャが戻ってきた
サーシャは隠したつもりなんだろうが目が赤かった
まぁ長年働いてきた苦労や、セリスや同僚達の思い出が一気に押し寄せてきたんだろう
俺は静かにサーシャを抱き寄せ胸を貸すことにした
少したつとサーシャから啜り泣く声が聞こえてきたので頭を優しくなでた
しばらく泣いたサーシャは恥ずかしそうにしながらも、
『ご迷惑おかけしました。買い出しにいきましょう』
パッとあげた顔には、たんぽぽのような可愛らしい笑顔がそこにあった
うん、いつ見てもサーシャの笑顔は愛おしい
□□□□
城下町
『ユウジ様。何を買われるんですか?』
「当面の食料かな。あとは調理器具。調理は魔法でなんとかなるが器具はないと困るだろ?後は馬車。俺は歩きたくない!仲間も増える可能性あるしな」
歩きたくない!歩きたくないでござる!
『ふふ、ユウジ様ったら。先に馬車にしますか?荷物多くなるなら馬車あったほうがいいですよね?』
「ん~。俺のアイテムボックスあるから荷物は問題ないな。そうだ!サーシャ」
俺はサーシャを強引に引き寄せ、しっとりと潤ったぷるんぷるんな唇にキスをした
うまっ!サーシャの唇うっま!ぷるんぷるん最高!
突然のことにサーシャも往来の人々もビックリしていた
『ユ、ユウジ様!?いきなりなにを・・・』
「はいはい、静かにな?目立つから。今サーシャにアイテムボックスのスキル渡したから。それで食料と調理器具頼めるか?目安は二、三ヶ月だな。相場わからんし、今持ってる金全部渡すよ。俺は馬車を見てくる」
サーシャはキスしたから目立つんだろ!とでもいいたげな目だが、無視して金貨50枚渡して俺は冒険者ギルドに向かった
□□□□
冒険者ギルド
俺はサーシャに食料の買い出しを頼み、冒険者ギルドに来ていた
お金を下ろしにきたのと受付嬢のリアに挨拶するためだ
「リア、こんにちは。今日も相変わらず美しいな?」
もうこんなやり取りができるぐらい仲良くなっていた
ちなみに彼女から呼び捨ても懇願されていた
〔ユウジさん!う、美しいだなんてそんな・・・照れます〕
一気に華やいだ笑顔を見せたらと思ったら赤くなる
うん、これはこれでいいな!かわいいし!
「今日は明日王都を出るので、その挨拶と預金の引き出し、馬車を買える所を教えて欲しいんだ」
〔え?・・・ユウジさん明日旅立たれるですか?急すぎます・・・。〕
う~ん。めっちゃ落ち込んでるな~。気持ちは嬉しいんだが。リアは連れていけないしなぁ
「リア、お仕事、お仕事。頑張ってくれるよな?」
リアの頭をなでなでして仕事の催促をする
当面の資金として、白金貨1枚と金貨50(計金貨150枚)と馬車を買える場所を教えてもらった
〔・・・〕
想像以上に落ち込んでんな
「そ、そんな落ち込むなって!気持ちは嬉しいよ?もう王都に戻ってこないわけじゃないんだ。また会えるから、な?」
〔そう、・・・ですね〕
これ納得してない、絶対納得してない系ですよ!
「そ、そうそう。また会えるんだからさ。それじゃあ、俺もう行くよ。リアも元気で、またな!」
その場の雰囲気にいたたまれなくなった俺は、ギルドを出ようとそそくさと踵を返そうとした、その時
〔ユウジさん!〕
リアが呼んだので振り返ると、カウンターから乗り出してきて俺にキスをしてきた
(・・・!え?なんだ?ちょっとリア!?ここギルドだから!いやいや、違う!ギルドとかじゃなくて、リアさん!?キス!キスしましたよね!?)
俺が呆気に取られていると、リアが顔を真っ赤にしながら
〔私のファーストキスなんです!私、諦めませんから!〕
ギルド内にも関わらず、高らかに宣言してきた
宣言された俺は顔が真っ赤になりながら足早にギルドを出た
リアのキスや宣言を聞いたギルド内は騒然となっていたが、なにを言っていたのかもわからないぐらい、恥ずかしくなっていた
(リアは俺の事が好きなのか?確かに好意は感じていたが、ちょっと仲のいい友達感覚だと思ってた。どこだ?どこにフラグがあった?わからん!・・・にしても、リアの唇やわらかかったな。ファーストキスなのか。って違う!キス!キスしちゃったよ!これ浮気になるのか?浮気なの?やばいな。誰かに聞くこともできないし・・・。と、とりあえず黙っておくか。ヘイネごめん・・・。リアは諦めないとは言ってたが、旅に出ちゃったらどうにもならないしな。今は保留だ、保留!サーシャに感づかれないよう、平静だ、平静)
頭の中は錯乱していたが、平静を保ちつつ馬車を買いに足を進めた
その後2頭引きの箱型馬車を購入し、服飾店で巫女服と白衣も購入した俺は全部異空間ボックスにぶっこんでサーシャと合流した
『あ、ユウジ様!』
俺を見つけたサーシャは嬉しそうに駆け寄ってきた。可愛い
「じゃあ帰るか」
サーシャと腕組みをして王城に転移した
□□□□
ユウジの部屋 ~出発前夜~
今日がこの部屋で過ごす最後の夜となるので、いつもより激しくサーシャを愛した
巫女服サーシャに暴走しかけたが、色魔でかろうじて抑えた
なんか残念そうな顔をしたサーシャ。残念なの?
俺達は行為を終え、裸で横になりながらベッドの上でまったりしていた
サーシャは頭を俺の胸の上に乗せ腕を搦めて寄り添ってきている
ヘイネとサーシャと俺の3人で愛しあった日以来、この体勢が気に入ったのだそうだ
俺もサーシャの乱れた髪を梳きながら頭をなでる
サーシャは気持ちよさそうだ
『ユウジ様の音がきこえます。とても優しくて、温かい音です。私は今とても幸せです』
「こんなもんでよければ、いつでも貸してあげるよ」
この体勢もろにサーシャの山脈が乗っかるから俺も好きです!どんどんやってください!
『それでユウジ様。出発されましたら、どちらに向かわれるんですか?』
「それなんだが、神殿ってどこにあるの?」
そう、神殿に用がある
ヘイネから聞いた話だと、神回Pの詳細は創造神様しか知らないらしい
なので神殿に行けばもしかしたら、創造神様に会えるかもしれないということだった
今はこれにかけるしかないだろう。
ヘイネ、マジ有能!さすが俺の最愛だ!さす嫁だぜ!
『え?神殿なら王都にもありますよ?ただ今は改装中らしいので入ることはできないでしょう。神殿は各国の首都にのみ建設を許可されております』
「王都にもあったのか・・・。じゃあ一番近い所は?」
『帝国エクスペインになります。ここから馬車で一ヶ月ほどです。今からだとちょうど武闘大会が見れるかもしれませんね。もう各地の予選は始まっているので、私達は参加できませんが』
「へぇ~。ちょっと興味あるな。この世界の人達の強さがどんなものか気になるしな!決めた!エクスペインに行くぞ。サーシャは物知りで助かるよ、ありがとう」
『ありがとうございます。お役に立てて嬉しいです』
「じゃあ明日も早いし寝るか!って言いたいが、サーシャ!」
『きゃっ!ユウジ様!?』
サーシャと体を入れ替えて、サーシャをベッドに押し倒す
「もう1回だ」
『・・・ユ、ユウジ様がお求めになられるなら、何回でも』
「サーシャは可愛いな、愛してるぞ」
『私もユウジ様を愛しています』
結局2回ほど愛しあい、仲良く裸で抱き合って眠りに落ちた
□□□□
旅立ち ~早朝~
俺達は静かに出発の準備を始めた
まぁ準備といっても馬車を出しただけだが
食料とかはアイテムボックスがあるから積む必要ないしな
強いて言うなら見送りの対応ぐらいだろうか
見送りに来ていたのは、アマンダさん、セリス、そして何故か白鷺だ
なんでお前いるんだよ!?昨日挨拶したろ!
サーシャとアマンダさん、セリスは共に抱擁していた
う~ん、朝から感動だなぁ
取り残される俺と白鷺、気まずい
「白鷺、なんでいんの?」
{来ちゃいけない?}
別に悪くはないが・・・
「別に構わないけど、とりあえず見送りありがとな。俺がいなくても魔法の訓練サボるなよ?」
{うん、頑張るね。ねぇ、どこに向かうの?}
う~ん。他のクラスメートに知られるのも問題だしな~
「・・・白鷺には関係ないだろ。それと約束は守れよ?みんなに絶対話すなよ?」
{教えてくれたっていいじゃない、ケチ。・・・雄司君はどうしてみんなを避けるの?雄司君の強さならみんな安心できるんじゃないかな?}
あぁ、やっぱりそうなるのか・・・
「俺には旅の目的がある。魔王なんかどうでもいい。日本に戻りたいとも思わない。だから、みんなと目的が違う。それに俺の目的の為には、みんな足手まといだ。だから一緒に行動しない」
{足手まとい・・・それでも私は!}
白鷺はスカートの裾をキュッと掴み、何かを決意した顔で
{雄司君、私も一緒に連れいってほしい}
白鷺、リアに続きお前もか・・・
いつのまにか、セリス達と出発の挨拶を済ませたサーシャも俺達のやり取りを見ていた
『・・・』
サーシャは俺にどうするのか?と聞いてくるような視線をむけてきた
俺の答えは決まっている
「白鷺は連れていかない、なんと言われようとダメだ」
気持ちは嬉しいが、白鷺も足手まといだ
俺に断られた白鷺は困惑していた
まさか断られるとは思っていなかった、と言わんばかりだ
その余裕、その慢心がダメなんだよ
異世界を、これからの旅を甘くみすぎている
辺りを重い空気が包んでいく
その沈黙を破ったのはサーシャだった
『ユウジ様、少しアカリ様とお話してもいいでしょうか?』
サーシャはそう言って、白鷺を連れて俺から離れた
(リアに続き白鷺もか・・・。どちらも魅力的な女の子だ。正直に言えば欲しい。二人を蹂躙したい気持ちはある。ただ今の俺の旅にはどちらも足手まといだ。白鷺に行き先を教えなくてよかった・・・。白鷺ならあいつらを上手く誘導して俺達を追ってくるだけの知恵がある。中途半端に力もあるからなおタチが悪い)
空を見上げ、思案しながら溜息をつく
サーシャが戻ってきた
白鷺は断念したみたいだ
でも白鷺の顔は晴れやかだ。なんだ?なにを話した?
ちょっと不安だったが、よしとしよう
「じゃあ、皆さん。今までありがとうございました。お元気で!」
{雄司君!私負けないから!諦めないよ!}
「お、おぅ?なんかわからんが、またな。白鷺」
こうして俺とサーシャは帝国エクスペインに向けて、馬車を進めた
「なぁ、サーシャ。白鷺になに話したんだ?」
『内緒です。ユウジ様、女の子の決意はすごいんですよ?』
「なにそれ!?どういうこと!?」
そんな俺を見て、たんぽぽのような笑顔をむけてくるサーシャに俺はまた恋をした
俺とサーシャの旅は今始まったばかりだ・・・
□□最終パート□□
異世界ショーマリー
ハラスティン城
「マリー姉様、どちらに行かれたんですの?今日も鍛練にお誘いしようと思いましたのに」
マリーを探す少女はセリーヌだ
セリーヌはあらかた城内を探していた
セリーヌは王女でありながらも毎日鍛練は欠かさない
ショーマリーにおいては無敵の存在になっていた
だからこそ格上であるマリーがきたことは、セリーヌにとって嬉しいことだった
全力で戦える、それだけでセリーヌは体全体が高揚していくのがわかった
「早く鍛練したいですの・・・」
耳と尻尾がしゅんとなった
セリーヌがしゅんとうなだれている所にマリーが戻ってきた
マリーを見た瞬間、セリーヌの耳はぴくぴく動き、尻尾は勢いよく左右に振られた
ユウジが見たらこういうだろう。可愛い、と
「マリー姉様、探しましたの!どちらに行かれてたんですの?城内いっぱい探しましたの!」
『ん~?我は~転移門の~確認にいってたよ~』
もふもふ、もふもふ~
「ぁん!くすぐったいですの!転移門探してなかったですの!」
『いやいや~、我は~部屋か転移門の場所にしか~行かないから~』
もふもふ、もふもふ~
「そうでしたの!マリー姉様はお休みしてるか、鍛練しかしないでしたの!」
そう、セリーヌはバカなのだ。所謂脳筋系ヒロインだった
『それでね~。もう一人分の魔力が貯まったから~もう~ゆう君のと・・・あ~まだ話の途中~』
もふもふ、もふもふ~
「今すぐ準備してきますの!マリー姉様失礼しますの!」
マリーの話も最後まで聞かずに飛び出していった
それは嬉しさ爆発といったところだろうか
セリーヌにとってユウジはお兄ちゃんでもあり、愛しい人でもあり、全力でぶつかれる初めての異性だった
逢えるとなれば居てもたってもいられないのだろう
しばらくすると、セリーヌが戻ってきた
『もう~!話は~最後まで聞かないと~ゆう君に嫌われるよ~』
もふもふ、もふもふ~
「マリー姉様ごめんなさいですの。ユウ様に逢えると想ったらつい・・・うぅぅ」
『だ。大丈夫~。怒ってないから~』
泣き出したセリーヌに慌てるマリー
もふもふも忘れるぐらいに
「マリー姉様、大好きですの!」
マリーに勢いよく飛びつく
『それでね~話の続きなんだけど~。ゆう君移動してるみたいなんだ~。だから~転移座標が~正確にできないんだよね~』
もふもふ、もふもふ~
「?どういうことですの???」
小首を傾げるセリーヌ
『簡単に言うとね~。ゆう君の~いる世界にはいけるけど~、ゆう君の側にじゃなく~ちょっと離れた場所に~転移しちゃうかも~』
もふもふ、もふもふ~
「構いませんの!ユウ様を探し出しますの!セリーヌ頑張りますの!」
『わかった~。じゃあ~セリーヌちゃんに~これあげるね~』
もふもふ、もふもふ~
「マリー姉様、これなんですの?」
渡されたのは赤・緑・桃色の3つのキャンディだった
『我が作った~異世界用~マジックアイテムだよ~。セリーヌちゃんは~苦いの嫌いでしょ~?キャンディに~しといたから~。向こうにいったら~食べるんだよ~?今じゃないよ~?』
もふもふ、もふもふ~
「マリー姉様、ありがうですの!キャンディ好きですの!」
キャンディの内容も聞かないセリーヌ
心は既にキャンディに支配されていた
『じゃあ~そろそろいくよ~。ハンカチ持った~?ティッシュ持った~?お金持った~?忘れ物ない~?』
もふもふ、もふもふ~
「全部大丈夫ですの!メイドに用意させましたの!」
気持ちは既に異世界に!ユウ様にやっと逢えますの!
『最後に~。』
もふもふ、もふもふ~
セリーヌはビクビクし始めた
この後の展開がわかるからだ
大好きなマリーでもこれだけは苦手だった
『我の~代わりに~先にいくんだから~・・・ゆう君に悪い虫がつかないようちゃんと監視しなさい。いいわね?セリーヌ』
マリーから強烈なプレッシャーが放たれる
「ひぃぃぃっ!お言い付けしっかり守りますの!悪い虫は全部排除しますの!!」
異様なプレッシャーにビクビク震えるセリーヌ
セリーヌの苦手なもの
それはマリーの強烈な独占欲だ
セリーヌも死ぬ思いをしてようやくマリーに認めてもらった
その時の記憶が鮮明に思い出される
『セリーヌちゃんは~いい子だね~。気をつけて~いってくるんだ~よ?いってらっしゃい~、またね~。転移~』
「行ってきますの!マリー姉様も、またですの!」
いつもの優しいマリーにホッとするセリーヌ
召喚部屋が光で包まれる
光が消え部屋にいるのは魔王マリーのみ
『あ~疲れた~。お昼寝しよ~』
マリーはいつものように昼寝をするべく、借りている部屋へと戻っていった
□□□□
異世界イリアス
帝国エクスペイン領・平原
「ここがユウ様のいる世界ですの?なんか体が軽いですの」
ひとしきり体を動かして異世界に慣らす
拳を振れば拳圧が、旋脚すれば脚圧が放たれた
「体が軽すぎてなかなか慣れないですの・・・。そうですの!マリー姉様から貰ったキャンディたべるですの!・・・ん~おいしいですの!」
キャンディを食べ終えたセリーヌの体が突然、赤・緑・桃色に光り出した
光が消えたと思ったら突然セリーヌの頭に音が鳴った
【スキル『ステータス』を取得 ランク:E】
【スキル『イリアス言語』を取得 ランク:E】
【???『物質変換』を発動しました。所持道具をイリアス式に変換します。・・・変換終了。???を変換、イリアス金貨100枚になりました】
「ビックリしましたの!なんかわからないですが、さすがマリー姉様ですの!」
状況が掴めていないセリーヌ。考えるのは苦手なようだ
「さてと、ユウ様探しますの!とりあえず・・・えぃ!」
セリーヌは足に少し力を入れジャンプをした
爆音と同時にセリーヌの体は上空に跳ね上がり、セリーヌは上空から町を探しだした
「あちらに町がありますの!さっそく行きますの!」
そういって、セリーヌは鍛練も兼ねて走り出した
セリーヌがいた場所にはクレータが出来上がっていた
「ユウ様、待っていてくださいの!ユウ様の愛姫が今参りますの!」
今異世界に舞い降りた『拳帝』セリーヌは愛しい人を想い、町を目指した
ユウジとサーシャが帝国エクスペインに着く3日前のことだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マジックキャンディいちご味(赤)
スキル『異世界ステータス』獲得
マジックキャンディめろん味(緑)
スキル『異世界言語』獲得
マジックキャンディもも味(桃)
魔王流魔法『異世界自動物質変換』発動
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