過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~特訓と情愛~

サーシャの世界ダンドリオンを創った翌日
俺達は旅を1日休むことにした
馬車で旅を続ける間サーシャには鍛練してもらう
その為のスキルをあげるのとスイとレンに逢いに行くためだ

「今日は旅は一日休みにして、サーシャの世界ダンドリオンにでも行くか。サーシャに鍛練用のスキル渡したいし、スイとレンの様子もみたいしな。サーシャもそれでいいか?それとも町見てくる?」

『食料は問題ありませんし、私もユウジ様にお共します』

そうして俺達は朝食を済ませ、サーシャの世界ダンドリオンに向かった

□□□□

サーシャの世界ダンドリオン ~午前~

「おはよう、スイとレン」
『おはよう、スイ、レン』

【おかえりッス。おにぃ、おねぇ】
【おかえりナノ~。お兄ちゃん、お姉ちゃん】

朝の挨拶を済ませ状況を見渡すと、菜園・ガーデニング関係はもういつでもいけそうな感じだ
後は何を育てるか、ってとこか
小屋はさすがに出来上がってないが、必要な素材は揃ってそうだった
なかなか二人とも優秀だ

「へぇ~。なかなか二人ともあの短時間でよくやってるな。偉いぞ!」
スイとレンの頭をなでてやる

『菜園やガーデニングはもうできそうですね!ユウジ様どうされます?』
サーシャがうずうずしている。遠慮しなくていいのに

「菜園関係はレンだろ?相談して決めてくれ。ここはサーシャの世界なんだからさ。俺はたまに口を出す客人の位置に甘んじることにする。二人は魔力足りてるか?」

【足りてるッスが、おにぃ来てくれたし、レン。補充してもらうッス!】
【お兄ちゃん~、お願いナノ~】

はいはい、とレンを抱き寄せ長めのキスをした
レンはそれはもう嬉しそうでベタベタしてきた。可愛いな!
ふとサーシャを見ると、サーシャの視線は非常に冷たかった
これ、魔力補充だから!怖い、怖いから!
あまりに恐怖を感じたので、サーシャにもキスをした
サーシャは華やいだ笑顔になった。可愛いなぁ~
でもこうなると、やはり仲間外れはまずいだろう
スイは赤い顔をしてそっぽを向いていた、したいんだろう
スイを強引に抱き寄せ、そのままキスをした。萌えるわ~
結論、魔力補充の際は全員キスすればいい 
誰かに絞るから問題がでる、なら絞らなければいい

「よし決めた!魔力補充の際は全員キスする!異論は受け付けない、以上。各自持ち場に戻るように!」

【り、了解ッス!小屋作成にいくッス!】
嬉しそうにしちゃって。素直じゃないな、スイは

【了解ナノ~。お兄ちゃん、お姉ちゃんまたナノ~】
うん、レンはレンだな。素直が一番

「じゃあ、サーシャ。俺達も始めようか」 

『はい、ユウジ様』

「サーシャに渡したいのは訓練用魔法だ。完全自己投影魔法パーフェクトフェイク。俺もこれで鍛練している、実戦方式だな。今後はこれで訓練してもらう。それとは別に体作りの基礎もやるように。実戦鍛練も重要だが、何よりも重要なのは基礎だ。基礎を怠ると痛い目にあうからな。体を壊さないよう気を付けてくれよ?」

『承知しました、ユウジ様。ユウジ様は普段どのような鍛練をされているんですか?』

あれ?サーシャは鍛練見たことないんだったか
まぁ鍛練なんて見せるもんじゃないしな 
白鷺がおかしかっただけか、元気にしてるかな?

「基礎は筋トレ、素振りだな。俺の場合は圧倒的な力で捩じ伏せるから、筋トレのような体作りは重要なんだ。それと剣術。サーシャも二刀流あるからって、スキルに頼り過ぎるなよ?技術も重要だが、型である基本も重要だ」

『キントレ?ですか?よくわからないのですが、私もユウジ様と同じ内容ではダメですか?』 

あぁ~、異世界では筋トレないのか
素振りとか型、走り込み、実戦ぐらいか?
まぁそれでもいいがせっかくの異空間だしなぁ

「俺とサーシャだと鍛える場所が違うんだよ。俺のはいいとして、サーシャの戦い方は如何に速く動いて、倒すかまたは避けるか、だろ?俺と一緒の内容でも鍛えられるが、余計な筋肉がついて速さが損なわれる可能性あるんだ。それにサーシャがムキムキになるのは嫌だ!しなやかなサーシャがいい!」
俺はサーシャを抱き寄せて柔らかい体に訴えかけた!

『ユ、ユウジ様。スイとレンに見られますよ?それに本音駄々漏れですよね?ユウジ様と別ならどうしたらいいのでしょうか?考えられるのは走り込みや素振りぐらいですが』
いや、別にスイとレンには見られてもいいのだが

「そこで俺の世界の遊びを取り入れてみようと思う。遊びながら鍛えられる一石二鳥だろ?しかもスイとレンも遊べるしな」

俺が考えている遊びとは、水泳に縄跳び、反復横飛びだ
まぁ反復横飛びは遊びではないが・・・
どれも異世界で問題なく作れる、行える代物だ

そこでスイを呼び25mプールが作れないか相談したところ、優先的に建設すれば明日できるとのこと
スイとレンは俺の魔力から生み出しているから、地球の知識もあって話が早い
小屋は後回しになるが、プールの建設をお願いした
もちろん迷惑をかけてしまうので、いっぱいなでてあげた

「一つはプールってやつなんだ。そうだな、大きな池だと思ってくれ。サーシャは泳げるか?」
あれ?この世界泳ぐ文化あるのか?海はあるだろうけど

『泳ぐ?いえ、私は海女の経験はありませんから』
泳ぐ文化自体ないのか。王都の服飾店でビキニ作ってもらうか・・・サーシャにビキニとかいいな!すぐ作れるだろ

「わかった。泳ぎ方は俺が教える。安心しろ。泳ぐ事で体全体が鍛えられるんだ。それに水に触れながら気持ちよく鍛えられるし、スイとレンの息抜きにもなる」

次に俺が用意したのは縄跳びだ
なんの問題もなく作成して、サーシャに実際見せてみた

「さっき見せたようにただ飛ぶだけでいい。それを繰り返すんだ。慣れてきたら早く振って跳ぶようにする。簡単そうで楽に見えるが結構疲れるぞ?時間は砂時計(イリアスは6分)が全部落ちるのを最初は・・・3回でいいだろ。1回全部落ちたら少し休憩するように。慣れてきたら砂時計の回数を増やせばいい。これは体力だな。持久戦に向けての体力だ。自分と同等または格上と対峙したら間違いなく持久戦になる」
時間の目安がわからん。休憩入れるし3回分でいいだろ

サーシャがぴょんぴょん跳んでいる
サーシャの山脈も上に下に揺れている、いい!すごくいい!

最後に見せたのは反復横飛びだ
こんなの縄を3本用意すれば解決だ
もちろんやり方も教えた

「さっきのが反復横飛びだ。これも砂時計3回分かな?1回終わったら休憩するように。これもかなりきついぞ。これは瞬発力だな。サーシャの戦いは速さ。即滅だからな。きっと役に立つ。以上3つが俺の世界の遊びだ。鍛練の際は必ずやるようにな。必ず強くなるから。それと素振りも必ずな」

サーシャが横に素早く反復している
サーシャの山脈も右に左に揺れている、いい!俺天才!
サーシャも強くなって、スイとレンも遊べて、俺もサーシャを楽しめる
この3つは最高だよな!

「そして最後が今から渡すスキルだ。実戦だな。自分と全く同じ容姿・ステータス・技を持っている。自分と戦うことになる。常に同格、いや格上だな。と戦うことになるぞ」

『自分と同じなのに同格ではなく格上なのですか?』
いい質問だ!サーシャ。頭なでなで

「格上だな。スキルにも自我があるようにしている。だからもう一人の自分も考えて戦う。ただ俺らと違うのは、常に最善・・の選択肢をしてくることだ。そこには容赦もなければ、躊躇もない、情けもない。行動に迷うこともない。本気でやれ?死ぬぞ?吹き飛ばされて生きていた場合・・・・・・・は追撃しないように設定してある。ただ吹き飛ばす際は向こうも全力だ。」

『・・・』
まぁ黙っちゃうよね、死ぬ可能性あるし

「サーシャが付いてきた世界はそういう世界だ。それでも諦めないんだろ?だったら強くなれな?」
サーシャならきっと大丈夫だろう。努力の人だしな

『ユウジ様は毎日をこれをされてるんですか?』
一番効率的だしなぁ。常にライバルと切磋琢磨な感じ?

「そうだな。転移してから毎日だ。これ知ってるのサーシャと白鷺くらいだぞ?」

『アカリ様も知ってるんですか?』
サーシャ驚いてるなぁ。
いつも一緒にいたサーシャが知らない事を、白鷺が知ってたら驚くか

「転移してから一ヶ月ぐらいかな?夜に鍛練してるのバレて毎日押しかけてきたんだよ。とりあえず白鷺の事はいい。頑張れそうか?」

『はい、頑張ります!ユウジ様のお側にいる為に!』  
サーシャ健気や!頑張ってほしい

頑張る決意をしているサーシャを俺は優しく抱きしめて耳元で囁いた

「最後に。無理だけはするなよ?強くなるのもいいが、サーシャが壊れたら話にならないからな。俺の為にも無理するな?じゃあ、スキル渡すから」

愛しく抱きしめたあとにスキル複製のキスをした
サーシャにスキルを渡す際はキスする必要もない
ただこのほうがなんとなく強くなれそうだから、採用している。形は重要だしな!

・・・。
視線を感じる

【かぁ~。おにぃ、それもあれッスか?キスしたらスキル渡すとかって設定ッスか?キザすぎッスね】
【え~。カッコイイと思うナノ~。お姉ちゃん、羨ましいナノ~】

「・・・」
『・・・』

「王宮以外にも出羽亀いたな・・・」
『そ、そうですね。妹達の前で恥ずかしいです・・・』
顔を真っ赤にして俯くサーシャ

【こんなところでいちゃいちゃしてるのが悪いッス】
【お兄ちゃん、お兄ちゃん。レンも!レンも!】

しっかり者のスイに注意され、変わらないデレさで甘えてくるレン
そんな二人を見て、俺とサーシャは顔を合わせ苦笑した

□□□□

王都・城下町 ~昼前~

サーシャに鍛練内容やスキルを渡し終えた俺は一旦、サーシャの世界ダンドリオンを出て王都に転移した
目的はサーシャとスイとレンの水着だ

スイとレンが増えてるだろ!って?当たり前だろ!俺が見たいんだよ!
サイズわからないだろ!って?なめるなよ?
普通の水着ならもちろんわからん
だが俺は素材となるもの際あれば、スキルでそれを装備品にできる
そして装備品は自動調整されるのがイリアスだ!

実際サーシャの髪飾りや闘うメイドさん服は、俺が素材となる髪飾りやメイド服を装備化したものだ
だから水着も装備化すればいい
サーシャやレンの豊満な肢体やスイのスレンダーな体・・・あ~楽しみだわ~

水着自体は2時間もあればできるらしい
戻ってもよかったが久しぶりの王都で過ごすことにした
ちなみにサーシャは鍛練中だ
出掛けてくることを伝えたら、ついて来ると言ったが、鍛練やスイやレンと一緒に過ごしてほしいと言ったら諦めてくれた

(それなりに時間あるな。せっかく王都に来たんだし、リアに挨拶しとくか。微妙に顔合わせづらいんだよなぁ)

□□□□

冒険者ギルド ~昼前~

相変わらず騒々しいな。
人が出入りするたびにいちいちチェックすんな!
俺はまっすぐ受け付けに向かった

「リア、久しぶり。たまたま寄ったから挨拶きたよ。元気にしてたか?」
な、なんか色々視線感じるな。まだ一ヶ月たってないしな

{ユウジさん!私に会いに来てくれたんですね!嬉しいです!}
いや、間違ってないけど。まぶしい、まぶしいよ!その笑顔

「あ、あぁ。元気にしてるかなって。またすぐ戻る予定なんだが、少し時間できたんだ。だから顔見に来た」

{・・・。すぐ戻られるんですね。でも今は時間あるんですよね?・・・ユウジさん!ちょっと待ってて下さい!}
え?なに?どうしたの?

困惑するユウジを置いて、リアは受付を離れ奥にいってしまった
しばらくするとリアが戻ってきた
変わった点と言えば、仕事着でなく私服になっていることだ

{さて、ユウジさん。いきましょ!}
「は?え?どこに?ちょっと!てかリア、仕事は!?」

ユウジの腕に強引に、自分の腕を絡めてギルドの外に引っ張っていくリア
リアにただ引きずられていくユウジ

{デートに決まってるじゃないですか!仕事は有無を言わせず、ギルド長に許可貰って早引きしてきました。だから大丈夫ですよ!}
「はあああああぁぁぁぁぁぁ!?大丈夫じゃないだろ!?」
なにこの子!なんなの!?大丈夫なわけないよな?  

{大丈夫ですよ?実際問題なく抜けてこれてますよね?} 
「いや、そうだけどさ・・・。いきなり過ぎんだろ」
リア、突拍子もないな。驚くわ!

{だって・・・戻られちゃうんですよね?少しくらい付き合ってくれてもいいじゃないですか。ダメ、ですか?}

泣きそうだ、泣きそうだよ。だからっていつもそんな顔したらいいと思うなよ!男の意地見せてやる!
その時リアは泣きそうな顔ながらも微笑んできた
え?なにその微笑み!?
俺が断っても罪悪感持たせないようにしてくれたの!?

「夜更け前には帰るからな?それでいいか?」
{はい!ありがとうございます、ユウジさん!}
うぅぅ、可愛いな、その笑顔。人を気遣う優しさがある

□□□□

カフェ

{ユウジさん、お昼も近いですし、お昼にしませんか?}
「確かに腹減ったかも」

{行きつけのお店あるんです、そこにしましょう!}
おぅ、ぐいぐいくるな。なんか新鮮かも

リアに連れて来られたのはこ洒落たカフェだった
自慢じゃないがカフェなんて所に入ったことはない
ちょっとドキドキして店に入った
中は大人な雰囲気のある落ち着いた感じだった
俺はよほど落ち着かない雰囲気だったのだろう

{ユウジさん、緊張されてます?あまりこういう所に入りませんか?}
「実はかなり緊張してる。いつも俺含めて騒々しいからさ。こういう落ち着いた場所に縁がないんだよ」
子供なんです、ごめんなさい!

{意外ですね。顔は幼いですが、雰囲気は落ち着いてる感じしますよ?歳の割に大人な雰囲気です}
あれか?日本人は幼く見える的な?

「気のせいじゃないか?まだまだ子供だよ。リアは落ち着いてるよな」
{ふふ、ありがとうございます。ユウジさん、17でしたよね?もう子供じゃないですよ。}
リア大人!その笑顔めっちゃ大人だよ!ドキッとした

その後も落ち着かない俺はとりあえずカルボナーラを頼んだ
食後の紅茶はどうするか聞かれたがよくわからんから、リアにお任せした
食後の紅茶とかあるんだ・・・飯と一緒でいいんじゃね?
あれ?そう言えば、リアは何か頼んだっけ?
そんなことを考えてたらカルボナーラがきた
リアは頼んでないみたいだ。ダイエット中?

{はい、ユウジさん。あ~ん}
「あ~ん。ありがとう、リア。リアは食べないのか?」
てか、こういう店であ~んとかしていいのか?

{食べますよ?ユウジさんと同じものを、いいですよね?}
おぅ、一つの料理を二人でつつくか・・・大人だな

「構わないぞ。・・・あれ?俺のフォークは?」
{はい、あ~ん}
「あ~ん。・・・リア?俺のフォークもっ・・・」
{ユウジさん、あ~ん}

こいつ!絶対フォーク隠しやがったな!
店員に頼めば新しいのもらえたのだろうが、そんな勇気はない!

その後、リアのあ~ん攻撃は続いた
弱冠?いや、かなり店内の雰囲気は険しくなった
俺に刺さる視線が痛い
リアさん、色々強引すぎます。まぁ可愛い範疇だけど
食後の紅茶が届いた。だから一緒でいいだろ?
リアはちゃっかりパンケーキを頼んでいた。抜け目ないな
俺は苦笑しつつ目の前紅茶に口をつけた
スーッとした刺激的な香りにスッキリした味わい、ふむ。

「リア、ありがとう。これローズマリーじゃないか?見えない気遣い感謝するよ」
{よくご存知でしたね、驚きました。興味あるんですか?}
だってほぼ毎日飲まされたし・・・さすがに覚える

「いや、そういう訳じゃないんだけど、ちょっと失礼」
俺はリアの紅茶にも口をつけた、やっぱりか・・・

{あっ}
「ん?どうした?」
敢えてすっとぼける。間接キス的なやつだろ?今更だろ!

「リアのは・・・確かローズだったか?それ好きな人多いの?」
甘ったるいやつだったからかろうじて覚えてた

{驚きました!ユウジさん多趣味なんですか?}
リアからの尊敬の眼差しが気持ちいいが、ちょっと痛い

「知り合いに詳しいやつがいるんだよ。そいつに飲まされたり、飲んでたりしてたから知ってただけ。詳しくはわからん」
{それ絶対女の子ですよね?}
「・・・」
痛い!リアからの視線が痛いよ!

なぜ紅茶に興味がない俺が知ってたか。それは白鷺だった。
毎日鍛練の見学にくるから見学セット(テーブル・椅子・紅茶・お菓子)を用意してあげた

お菓子は色々レパートリーを変えたが、紅茶なんてコンビニのレモンティーしか飲んだことがなかった。
つまりレモンティーしか用意できなかった
最初はよかったが次第に不満に思ったのか、勝手に紅茶を持参し始めた。それ目的変わってるよね?と、ツッコんだ

その時飲まされたのがローズマリーだ
やれ疲労が回復するとか、集中力上がるとか、全く興味ない
ちなみに白鷺が飲んでたのが、リアのやつだ
甘い味がするやつでローズなんだとか

あまりにも地球と似通いすぎだろ!と思ったが、紅茶系は全く一緒らしい
これ絶対神様、神界で飲んでるよな?地球参考にしすぎ!

おっと!今はリアとデート中だった。白鷺はほっとこう

「んんっ、飯も食ったし、出るか!」
{ごまかしましたよね?}
スルーしてください!お願いします!

ごまかそうと必死にはなっていたが、リアが会計伝票を取ろうとした所を横から掠め取った

「デートなんだろ?」 
{・・・そういう所が子供じゃないんですよ?}
ちょっとキザだったかな?スイの辛辣な言葉が聞こえる

□□□□

公園 ~ベンチ~

カフェでの支払い時に一悶着あったが無事店を出た
サーシャと同じ内容だった。またそれ?

{ユウジさん、いつもそうなんですか?だから、唐揚げだの餃子だの言われるんですよ?}
「ぶっ!?リアさん、やめてくれます!?過去の傷刔るのは!恥ずかしいので!」
リアにまで知られてんのかよ!

俺達は公園のベンチに座りまったりしていた
もちろんデートだから?リアの肩に手を回し体を引き寄せている
リアは最初は驚いていたが、俺の肩に頭を乗せて寄り添う形になっている
全く強引なんだか、強引じゃないんだか・・・

「リアなら知ってるだろ?俺がどれだけ稼いでるか。金貨あれば大抵なんとかなるから便利だし、お釣り重くなるし、金はまた稼げいいし。合理的じゃね?」
{それは合理的とは言いません。無駄遣いです。ユウジさんは最初からめちゃくちゃでしたもんね} 
最初はお互い悪印象だったんだろうなぁ

「そうかぁ?とても紳士的だったような?」
{私の説明聞いてませんでしたよね?いちゃいちゃしてましたよね?キレてましたよね?}
興味なかったし?サーシャの髪気持ちよかったし?リア融通聞かなかったし?

「・・・う~ん。改めて聞くと酷いな。あの時は悪かった。謝罪の気持ちでなでなでしてあげるな」
{なんで謝罪してるのに上から目線なんですか?・・・でもなでなではお願いします}
「ぷっ。よしよし。いい子だなぁ。なでなで」
{今笑いましたよね?あ、でもなでなでは気持ちいいので続けてください}

リアの外ハネミディアムヘアもなかなかのものだ 
外ハネ部分をくいくいっと引っ張ると、リアは怒るが顔は満更でもないらしい

傍から見たら恋人らしく見える俺達は昔話に花を咲かせていた
やれ、強引だの、傲慢だの、めちゃくちゃだの、女垂らしだの、唐揚げだの、酷い言われようだった
そんなに酷いか?俺?
からかうような話ではあるが、決して傷付けない気遣いにさすがプロだな、と思った

「リア、気になってるんだが公園汚くね?国とかが掃除したりしないのか?せっかくの憩いの場が台なしだろ。誰が掃除すんの?」
{特に誰も掃除したりしないですね。そういう決まりもないです}
へ?なにそれ?荒れ放題じゃん  

そう公園の至る所にゴミが溢れている
ゴミ箱なんてものもない
なまじ屋台なんてもんも出てるから尚タチが悪い

「なにそれ?じゃあゴミで溢れたらどうすんの?」
{そもそもゴミ捨てるのがダメですよね?}
いや、その通りなんだが・・・リアは融通聞かないからな

あぁ~そもそも捨てないことが前提なのか・・・
実際ゴミが溢れてるのに常識が邪魔してんだな

「う~んと、ゴミが溢れた後どうなったかの前例ないの?」
{う~ん。その場所は廃棄されるんじゃないですかね?}
マジかー。無茶苦茶だな。異世界・・・

あれか?マリーア○トワネ○トのパンが無ければケーキを食べればいいじゃないの土地版か?
土地が汚いならきれいな土地を使えばいいみたいな
この場所も時間の問題かな・・・

「ここも廃棄予定組なんだろうか、リアとデートした場所がなくなるってのも悲しいもんだな」
この感覚は現地人にはないのだろうか?

{捨ててはいけないものを捨ててるんですから、仕方ないんでしょうね}
それはそうだが・・・掃除すればいいだけだよね?
まぁ俺はめんどくさいからやらないが

いや、待てよ
俺がやらなくてもやらせればいいんだよな?
格好の獲物がわんさかいるじゃないか

「リア、あそこの屋台のりんご飴。一緒に食べないか?」
甘いものは苦手でござる!甘いものは苦手でござる!

{え?ユウジさんが食べたいなら}
「勘違いするなよ?2つ買うんじゃない。1つを二人でだ!」
なんでりんご飴なんだよ、せめてアイスクリームにしろよ

{!それならぜひ!}

□□□□

公園 ~りんご飴屋台前~

屋台の前に子供達が群がっている
きっと出来上がるまでの行程を見ているのと欲しいのだろう
ふむ、12人か。多くね?女の子は3人だな

「そこの子供達、りんご飴欲しいか?買ってやるぞ?タダだ」
{ユウジさん!?}

子供達はもちろん欲しがった
早くしろ、早くしろ、うるせぇな!

「おっちゃん、りんご飴『4つ』ね」
{え?なんで4つなんです?12人いますけど?}
え?リア含めて女の子4人だよね?

リアと女の子達だけにりんご飴をあげた
もちろん男の子達は怒った
リアも困惑していた

「うるせぇな!男がタダで物をもらおうとすんな!りんご飴欲しいなら働け!この公園のゴミ拾ってこい。この袋がいっぱいになったらあげるから!」
俺は卑しい根性の男の子達に一喝した

「おっちゃん、りんご飴12個追加ね。金貨1枚。お釣りいらないから」
あっ。女の子達には追加はもちろんタダです

騙されるかも、嘘かも、怪しいかも、なんて思うのはテンプレだよな?
だから先に報酬は確保する

「ほら、りんご飴あるだろ?約束は守るから、さっさと拾ってこい。サボったやつにはやらないからな?」

大人ならまだ疑心暗鬼なやつもいるだろうが、子供は純粋だ
ちゃんと約束を守ることをわからせれば動く
めんどくさい大人よりよっぽど行動力がある

結局すぐ袋はいっぱいになったので、りんご飴をみんなにあげた
行動早すぎだろ!子供おそるべし!

□□□□

公園 ~ベンチ~

{驚きました。最初は子供達に意地悪してるのかと思いました}
え?俺ってそういう目で見られてたの?

「いやいや、女の子にはあげてたじゃん」
{ユウジさんらしいですね。でもいきなりなんであんなことを?子供達の頑張りだけでは・・・}

そう、子供達の活躍があっても焼石に水なぐらい汚い
俺の目的は最初から子供達だけできれいにさせることじゃない。
俺の狙いはリアの、この世界の人達の常識を捨てさせることだ

サーシャもそうだった。
魔法は使えるのに、この世界では使えないことが常識だった。
でもサーシャは魔法を使っている。常識を捨てたからだ

それはリア達にも言える。
ゴミで溢れたら土地を捨てるんじゃなく、掃除すればいいだけだ。
ゴミを捨てないのが常識になってるなら常識を捨てればいい
ゴミはすてられるものだ。土地がゴミで溢れる。じゃあ掃除しよう。当たり前の流れになる

それをリアにわかって欲しくて、感じて欲しくて、わざわざ小芝居をしたのだ
後は問題を解決する手段だけだ
俺はやりたくないし、やる暇もない
だったら他のやつらにやらせればいいだけだ

「なぁ、リア。さっきの子供達みたいにゴミ拾っていって、もしだぞ?もしゴミがなくなったら、ここ廃棄されないよな?」
{確かにゴミがなくなれば、廃棄はされないでしょうが実際難しいですよね?ユウジさんもすぐ戻られるんですし。}

「子供達『だけ』で考えたら難しいよな。例えば、冒険者にクエストとしてやらせたらどうなる?冒険者達でもすぐには終わらないだろう。だから定期クエストとしてクエストを出し続ける。可能だよな?猫の捜索依頼とかあるぐらいだし。ゴミ拾いの依頼主は俺だ。報酬さえちゃんと出せば、こんな安全でうまいクエストないはずだからな。冒険者達が拾っている姿を見れば、ゴミは捨ててはいけない。捨ててあっても拾えばいいって、いずれ都の人達もわかるだろ?集めたゴミは燃やせばいい。燃やす、消化係のクエストも俺が依頼する。俺の預金全財産をリアに托す。うまいことギルド長と相談してやってくれ。リアにしか頼めない」

{・・・どうしてそこまでするんですか?}

「言ったろ?リアとデートした場所がなくなるのが悲しいって。俺にとっては金なんかよりずっと価値があるものだよ。リアとの思い出の場所がなくなるのは俺が絶対許さん!金はまた稼げばいいしな。俺にとっては大した問題じゃない。それはリアが一番知ってるだろ?」

俺はそう言って、リアにサムズアップした
大丈夫だよな?そういう雰囲気だったよな?
スイからは、かぁ~おにぃはキザッスね、とか言われる可能性高いが・・・

{・・・わかりました。ギルド長と相談してみます}
「おぅ、頼む!リアにしか頼めないからな!」

リアがどう思ったかは知らない
恥ずかしくて聞けない
でもリアならきっと大丈夫だろう

□□□□

神殿前 ~夕暮れ時~

{ユウジさん!ここです!この時間帯に来たかったんです}

俺はもうすぐ帰る旨を伝えたら、最後にどうしても寄りたい場所があると言われた

「これはすごいな・・・さすが神殿だ」

リアのどうしても寄りたい場所、それが神殿前の噴水だった
日が暮れるとライトアップされる仕組みになっていた
どこの地球だよ!と、ツッコミたかったが、やはり幻想的だ

(やっぱりカップル多いなぁ~。こういうとこは地球も異世界も変わらないよなぁ~。てか、ヘイネやサーシャともデートの時に来たかった・・・。サーシャ知らなかったのか?)

{これをユウジさんと一緒に見たかったんです、綺麗ですね}

・・・。

(どうする?ここはあれだよな?テンプレ的なやつなんだよな?リアのほうが綺麗だよ、的な。クエスト関係手伝ってもらうんだし、良好な関係は維持したい・・・)

「リ、リアのほうが綺麗だな。ライトアップされた噴水よりも、この場にいるどの女性よりも、リアのほうが綺麗だ」
ど、どうなの!?

{え?}

「ごめんなさい、なんでもないです!キザったらしくてすいません!」
テンプレ許さん!恥かいたろ!

{なんで謝るんですか?ちゃんと聞こえてました!もっと堂々としてください。本当はカッコイイんですから}

「あ、ありがとう」

(う~ん。この流れはやばいよなぁ。明らかに告白からのキスなんだよなぁ。気持ちはすげ~嬉しいけど・・・。なんとか流れを・・・)

{ユウジさん。前も言いましたが、私はユウジさんが好きです。諦めないし、諦めたくないです。だからわ・・・}
俺が遮ったことでリアは一緒ビクッとなった

「リア。俺の国の物語にさ、こういう幻想的な場面で、騎士がお姫様に騎士の誓いをする話があるんだよ。」

そう言って、俺はリアと向かい合い、肩膝を立ててしゃがみこみ、リアの左手を取った

騎士は、リアお姫様に誓うよ。『尊敬』の意志を込めて、リアお姫様に誓う」

騎士は、リアお姫様騎士の誓い尊敬をし、そっと左手の甲にキスをした

「そして受け取って欲しい。リアはギルドの受付嬢だから、目立ったアクセサリーはまずいとおもうんだ。だからこれを。お手製のアクセサリーだ。大切にして欲しい」

キスした左手の甲をくるっと翻し、手の平に一つのアクセサリーを渡した

マジックイヤリング 『情愛のイヤリング』

俺はそのまま立ち上がり、リアを抱きしめ、耳元で

「ごめん」

と、たった一言つぶやいた

リアは俺の胸の中で泣いていた 

しばらくして泣き止んだリアをギルドまで送った
デートの始まりは腕組みだったが、今は手を繋いでいる
ギルドにつき、別れの挨拶をすませた俺はリアから

{ユウジさん!それでも私は諦めませんから!}

と、高らかに宣言された

泣いたせいで目は真っ赤になってひどい顔だったが。

それでも宣言した時の笑顔は、ペチュニア決して貴方を諦めないの花のように大人っぽかった

ユウジはリアのそんな決意を見て
「リアは何度も何度も叩き落とされても決して諦めないんだろうな、だから『尊敬』する」

苦笑しつつも、リアを愛しく思い始めた


マジックイヤリング 情愛のイヤリング

込められた想いは、『永遠の愛と尊敬』

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後日ある王国にて、今までとは違うクエストが発行された
冒険者は異例のクエストや高額の報酬に歓喜し、こぞって参加を表明した
そのクエストの消化率は凄まじく、クエスト対象地域がわずか三ヶ月でクエストクリアになるほどだった
クエスト担当者はその功績を讃えられ、ギルド長昇格の権利を手に入れた
しかし担当者は昇格を固持し、代わりに一つの要望を出した
その要望は許可され担当者は王国から帝国へと職場を変えた
担当者の耳元には綺麗なイヤリングがいつも身につけられていた

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