過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~メイドと幼なじみと受付嬢~

帝国エクスペインにユウジ達が到着してはや三ヶ月
その三ヶ月の間にあった、それぞれの日常である

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side  -サーシャ- ~セリーヌとの鍛練

サーシャの世界ダンドリオン

私はここ二ヶ月毎日セリーヌ様と鍛練をしています

今思えばユウジ様の鍛練はとてもお優しかったんだと思います
最初にやる内容を教えてくれました
そしてその内容を行う理由とメリットを教えてくれました
最終的にはどのようにすれば効率的に習得できるかまで教えてくれました
内容・理解・実践の全てを私は考えなく・・・・ても、ただ言われた事をすればほぼ習得できていました

でもセリーヌ様は違いました
ただひたすら毎日実戦をしているだけです

『サーシャは非力ですの。それではセリーヌにダメージすら与えられないんですの。もちろんマリー姉様にも効かないんですの』
なんとなくはわかっていました。非力なことには・・・

そこで私は筋力を伸ばす鍛練をハリーやアイサから聞きだし、実践し始めました
ユウジ様は魔法学校やご自身の鍛練で忙しいのでなるべく頼らないようにしています

『違うんですの!サーシャは早さを活かして、セリーヌに大ダメージを与えないといけないんですの!』
う~ん。筋力鍛練は間違いのようでした

「筋力鍛練が違うとなりますと、どのようにすればいいのでしょうか?」
わからなかったので聞いてみました

『それぐらい自分で考えるんですの。とにかくサーシャが筋力鍛練したところで大した成果は上がらないんですの。特にマリー姉様相手ではサーシャはやるだけ無駄ですの。』
教えてはくれませんでした。とにかく筋力鍛練は無駄みたいです

セリーヌ様が言われた通り早さを活かす鍛練は続けています
早さだけならセリーヌ様を圧倒しているのですが、いつも最終的には吹き飛ばされてしまいます
ダメージが入らないから怖くなく強引にいけるみたいです
私達には乙女ヒールがあるから常に回復します
早さで圧倒してもダメージが与えられないのです
活かせているとはいえないはずです・・・

結局わからなかったので、ユウジ様に頼ることにしました
なるだけ頼らないようにしていましたのに・・・
私の日の夜にユウジ様に尋ねてみました

[セリーヌは教えてくれないのか?俺もサーシャは早さを活かすべきだと思うぞ]
「一度伺ったことはありますが、自分で考えろ、と言われました」
ユウジ様は苦笑していました

[セリーヌらしいな。昔聞いた話だとセリーヌと拳神の特訓もそんな感じだったらしい。とにかくひたすら考えて、技を盗んで、ひたすら鍛えて強くなったらしいよ?]

「「なるほど。ということは、技を盗め、とセリーヌ様は言ってるんですね。しかし私がセリーヌ様の技を盗めたとして、通用するでしょうか?セリーヌ様のお力だからこその技だと思うんですが?」」

そんな考え事をしている私を見て、ユウジ様は苦笑しました
まるで私の考えなどお見通しだよ?、と
ちょっと嬉しくなりました
私の考えを理解して頂いてることに
今は私だけを見つめて下さっていることに

[サーシャが今考えていることは多分違うぞ?セリーヌの技を盗んだところでサーシャの力では活かせないからな]

やっぱりバレていました。さすがはユウジ様です。素敵です
でもそうしたらどうすればいいんでしょう?

[う~ん。サーシャの鍛練はセリーヌに任せてるからなぁ。セリーヌが教えない方針なら俺が教えていいものか・・・]

確かにユウジ様の言う通りです
でもこのままだとわからないんです!
私はユウジ様に懇願しました

[サーシャは可愛いなぁ。仕方ない!ヒントだけな?セリーヌには秘密だぞ?ヘイネとセリーヌが初めて出会った時に戦ったろ?それを思い出すんだ。そしてセリーヌには魔力はない。・・・まぁ、答えのようなものだな]

そのあとはいつものように可愛がってもらいましたので、きけませんでした
ヒントを頂けるあたり、ユウジ様は私に優しい、いや甘いのかもしれません
でもそんなユウジ様に私は甘えています
だっていつでも甘えていい、と言われたから

ヘイネ様とセリーヌ様の戦い・・・
セリーヌ様には魔力がない・・・
ユウジ様が魔力を口に出されたならきっと意味があるはずです

その日からひたすら私は考え始めました
魔力と言えばセリーヌ様は最後に何か魔力を使っていました
人形から魔力を吸収、いや、あれは吸収というより纏わせていた感じでした
セリーヌ様には魔力がない、とはっきり言われましたので魔力を吸収したとは言わないのでしょう
魔力を纏わせる・・・拳に纏わせる・・・

ある事を思い付いた私はその日から魔法の鍛練を再開しました
もう既にユウジ様からの課題は出されていません
だから私は魔法の鍛練は徐々に疎かになっていました
帝国に着いてからはほとんど近接の鍛練しかやっていなかったのです

魔法の鍛練にはアオイちゃんに協力してもらいました
アオイちゃんは魔法学校に通い始めてからメキメキと力を付けています
特に魔法のコントロールに関しては、ユウジ様のお墨付きを頂いてるぐらいです。羨ましいです。
私はこのコントロールが苦手だったので大変助かりました
私が今までずっと習得できなかった魔法を習得するために

それから毎日普段の鍛練とは別に魔法の鍛練もしています
そのおかげか、ようやく習得できるようになりました
魔法の鍛練を再開して一ヶ月後の事です。
ユウジ様はこの一ヶ月、魔法の事や鍛練の話をするととても嬉しそうでした。
最初は何故かわかりませんでしたが、
早々に私がしたいことを感づかれたのかもしれません

今日初めてセリーヌ様に試します
ユウジ様とアオイちゃんも見学にきています
成果を披露するため、お誘いしました。頑張ります

「セリーヌ様。これから試したい技があります」
『なにかアオイとこそこそやってたみたいだから楽しみですの!』
バレてましたか。アオイちゃんにも手伝ってもらいましたし

「準備します、よろしくお願いします」

「「まずは魔力の流れを意識。手元のたんぽぽとかすみに魔力を集中。コントロール、コントロール。魔力を全てたんぽぽとかすみに纏わせるように。集中、集中。・・・魔法発動!」」

魔法を発動すると手元のたんぽぽとかすみがまばゆいばかりに輝いています
私の魔力がごっそりなくなりました
それでも魔法も、手元へのコントロールも練習通りです

私がここ一ヶ月ずっと練習していたのは、
魔法のコントロールと魔法の習得、
そして武器に魔力を纏わせる事です
魔法のコントロールはアオイちゃんのおかげで早く習得できました
コントロールができるようになったおかげで、
武器に魔力を纏わせるのも比較的早くできるになりました
私の最大魔法である、五天龍もその内の一つです
ですが五天龍ではきっとセリーヌ様には通用しないはず
だから私は苦労して魔法を習得しました。まだ一つだけ・・・・ですが

私は嬉しかった!やっと習得できたことに!
一時は諦めていたから余計に嬉しかったです!
だってこの魔法は今は私とユウジ様にしか使えないのだから

私の双剣を見てセリーヌ様が驚いています
ちらっとユウジ様の方を見るとアオイちゃんも同様みたいです
ただユウジ様だけは、やっぱりな、といった感じで平然としています。さすがユウジ様です。お見通しでした

「セリーヌ様、行きます!」
『楽しみですの!セリーヌは避けないですの!』

セリーヌ様が構えました。私との鍛練では初めてです
とてつもないオーラを感じます。これが拳帝・・・
気後れするような感情を押し殺してセリーヌ様に挑みます

「「避けないなら真っ正面から当てに行くだけです!」」

真っ正面から縮地でセリーヌ様に近寄ります
そしてセリーヌ様にたんぽぽを振りかざそうとした瞬間に、凄まじい衝撃波に押し潰され吹き飛ばされました

「「あれ?なんで?」」
吹き飛ばされたその先で目の前が真っ暗になりました

・・・。

目覚めたら呆れ顔のセリーヌ様、苦笑しているユウジ様、心配しているアオイちゃんの顔がありました

『なにをしてるんですの?セリーヌは避けないとは言いましたが、攻撃しないとは言ってないですの。甘いですの』

うっ。確かに・・・。
でも魔法を意識したままで避けられるかどうか・・・
セリーヌ様の拳圧は恐ろしく早いです
普段なら問題ないですが、魔法発動中となる厳しいです

[攻撃する瞬間の時だけ魔力を込めるんだ。コントロールは成功してるんだから即興でできるさ。魔法に大事なのはなにか覚えてるだろ?頑張ってこい!俺の隣でいつも笑っててくれるんだろ?]
ユウジ様が耳元でこっそり囁いてくれました

ユウジ様・・・ありがとうございます
あなたの優しさが、甘さが、私は好きなんです!
魔法に大事なのはイメージ!攻撃の瞬間にイメージを!

それから私はセリーヌ様に挑みかかりました

いつものように拳圧を右に、左に避けます
たまにくるまわし蹴りの旋脚もかろうじて避けます
少しずつ少しずつ差を詰めていきます
私が間合いに入った時、セリーヌ様が深く腰を落とされました。
もう拳圧はきません、勝負の時です

「「イメージ!イメージ!ユウジ様の隣にいるために!この一撃に全力を捧げます!・・・魔法発動!」」
たんぽぽとかすみがまばゆく光りました!成功です

「セリーヌ様、今度こそいきます!」
セリーヌ様に向けて全力で振りかぶります

『・・・幻奥義華蝶閃鈴、ですの!』
あ、初めて奥義を使ってくれました・・・

私の双剣とセリーヌ様の拳がインパクトした瞬間、
凄まじい轟音と光が放たれる
その光はどこか幻想的で思わず見惚れてしまいました

幻想的な光景と何かが砕ける・・・音を確認した私は
心地よい感覚に包まれ、そのまま意識を手放しました

・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。

目覚めたら、ユウジ様が嬉しそうに抱き着いてこられました
温かくて気持ちいい感覚です
思わず頭をすりすりしちゃいました。ユウジ様の匂いです
周りを確認したらどうやら私は負けてしまったみたいです
残念です。しょんぼり・・・

[よかったぞ!サーシャ!久しぶりに戦うサーシャの姿に興奮したよ!夜は頼む!]
期せずして夜のお相手を頼まれました。セリーヌ様と相談です

『なかなかよかったですの!サーシャ!セリーヌも右手やられましたの。痛いですの。合格ですの!セリーヌと一緒にもっと精進しますの!』
合格・・・したんですね。ありがとうございます、セリーヌ様

全力の一撃がセリーヌ様の右手にしか及ばなかったのはショックでしたが、セリーヌ様の言われるよう精進しないと!

『サーシャの武器が・・・』
[ストーーーップ!セリーヌ、待つんだ!これはテンプレの流れだ!俺はめんどくさいテンプレは踏まん!]
な、なんでしょうか?ユウジ様が必死です

[サーシャ、合格おめでとう!セリーヌが認めたんだ。もうサーシャは一人前になった・・・んだ!そんなサーシャに俺からのプレゼントだ。受けとって欲しい]

渡されたのは真新しい白銀と漆黒の双剣でした
『愛双・たんぽぽ改』・『愛双・かすみ改』 

「え?ユウジ様?これはなんですか?私には頂いた、たんぽぽとかすみがありますが・・・」
[ほらな、セリーヌ。サーシャは気がついてないだろ?これ、先にセリーヌが言ってたらサーシャが絶対悲しんだぞ?サーシャ、お前の相棒たちを見てみろ]

私は訳がわからないまま、たんぽぽとかすみを確認すると、
たんぽぽが砕けていました・・・

「そっか、気絶する前に聞こえた砕ける音はたんぽぽだったんだね。ごめんね。力のない主人で・・・」
私がたんぽぽに謝っていたら、ユウジ様が

[おっと!謝るのは違うぞ、サーシャ。前にも言ったが、そついらはあくまで訓練用だ。一人前の戦士は一人前の装備を身につけるものなんだ。訓練用であるたんぽぽ達が、本物の強者であるセリーヌを認めさせるまで頑張ったんだ。誉めこそされ、謝られる云われはないはずだぞ?それは逆にたんぽぽに対して失礼だ。謝るんじゃなく、誉めてやれ。そのほうがたんぽぽも喜ぶだろ]

・・・。
そっか、そうですよね。
たんぽぽ、今までありがとう
どうか安らかに眠ってね、おやすみなさい
そしてよろしくね!新しい相棒達!
私は真新しい双剣を胸に抱きしめました

『それにしてもサーシャの技には驚きましたの。セリーヌの拳武解放みたいでしたの!』
実際セリーヌ様を参考にしましたから

[原理は一緒だ。サーシャは自前の魔力でやっただけだな。コントロールが難しいんだが見事だったよ。サーシャ、知ってるか?サーシャが生み出した技は魔法剣って言うんだぞ!ほれ!こんな感じだ!]
目の前で魔法剣?を見せるユウジ様

「ええええええええ!?」
なんでそんなあっさり使えちゃうんですか!?

[ん?俺ももちろん使えるぞ?そもそも俺、魔法戦士だしな。今まで使うほどの敵がいなかったから使わなかっただけだぞ?]
そ、そうなんですね・・・。私の苦労は一体・・・

『なにを落ちこんでるんですの?サーシャは自分でみつけたんじゃないんですの?』
「はい、確かに私が考えて見つけましたが・・・」

『ならいいじゃないですの。サーシャの本物の強さですの』
「ど、どういうことでしょうか?」

『わからないんですの?サーシャの今までの強さはユウ様から借りただけの力だったんですの。ユウ様から教わり、ユウ様からもらったものばかりだったはずですの。サーシャが自分で考え、自分で得た力なんてほとんどなかったはずですの。例え考え出したものが既にあったものでも、考え出した力は間違いなくサーシャの力ですの。だからその魔法剣はサーシャの力で、本物の強さですの!』

「ありがとう・・・ございます。セリーヌ様!」

私は思わず涙しました
確かにセリーヌ様の言う通りです
私の力はほとんどユウジ様から頂いたもの・・・
借りものの強さでなく本物の強さを認めてくれたセリーヌ様
存在していたものでも、私の力だと言ってくれたセリーヌ様
確かにユウジ様がセリーヌ様を愛される理由がよくわかります

『ほら、しっかりするんですの!セリーヌのお姉ちゃんが、だらしないんですの!セリーヌはサーシャを認めましたの!だから今日からサーシャは、サーシャねえですの!』
「[〔サーシャ姉!?〕]」

[あちゃ~。ヘイネの時と一緒か。諦めろ、サーシャ!サーシャは今日からセリーヌの姉になった。アオイも妹だな]
〔え、えっと。サーシャお姉ちゃん?〕
「セリーヌ様、ノリ軽くありませんか?」 
『サーシャ姉!お姉ちゃんが妹に敬語や様はおかしいですの!やり直しですの』

くっ・・・。実はこのタイミング狙ってませんでしたか?
うまくセリーヌ様の手の平で躍らされた感がします

『ほら、サーシャ姉、早くですの!スイやレンみたいにするんですの』
「わかりました、セリーヌちゃん」
『ほら、サーシャ姉、早くですの!スイやレンみたいにするんですの』
「同じ事二回言いました!?」
『ほら、サーシャ姉、早くですの!スイやレンみた・・・』
「わかった、わかったから、セリーヌちゃん!これでいい?アオイちゃんも改めてよろしくね」
『ですの!』

こんなやりとりを見て笑い転げるユウジ様
嬉しそうな笑顔で抱き着くセリーヌちゃん
一つ上の姉の態度に苦笑するアオイちゃん
これが私達の日常なんですよね!笑顔の絶えない生活です

[サーシャ。相談なんだが、かすみはアオイに渡してもらえないか?かすみも使われないよりかは、義妹のアオイに使ってもらったほうが嬉しいだろ]
さすが、ユウジ様。かすみの事も考えておられたのですね

「そうですね。アオイちゃん、かすみをよろしくね。かすみも今までありがとう。今度はアオイちゃんを、妹を、守ってあげてね」

〔あ、ありがとう、サーシャお姉ちゃん。よろしくね、かすみ!〕


別れたんぽぽとかすみ出会いたんぽぽ改とかすみ改がありました
新しい義妹二人セリーヌとアオイも増えました
新しい力も手に入れました

これからも愛しいユウジ様の側に入れるよう日々努力しようと思います

【スキル『魔法圧縮』を取得      ランク:SS】
【スキル『魔法剣』を取得       ランク:不明】
【スキル『セブンバレット一式』を取得 ランク:不明】


side  -サーシャ- ~終了~

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side  -白鷺あかり- ~特訓から猛特訓~

月あかりの下で決意してから私には二つの加護がついた

一つは雄司君からの加護『親友』
もともと雄司君はあまりコミュニケーションを取る人じゃなかった
だから親友だと思われているならすごく嬉しい
かなり数の少ない親友だよね
ちょっと特別視されてたりして?だったら、いいな

もう一つは女神ヘイネ様からの加護『神援』
内容は恋の応援みたい。えっと、どなた?
なんとなくそうなのかな?って人はいる
いつか王宮内でサーシャさん以外で
雄司君と腕を組んでいる人がいたけど
確か神界で受付をしていた人にすごく似ていた気がする
私は加護効果もあってどんどん強くなってるよ!

□□□□

魔山48合目

「サンライト・ブリッツ!・・・ふぅ。そろそろ50合目目指そうかな?邪竜王いるんだよね?」

私は今一人でひたすら特訓をしている

王都旅立ちの日私はなっちゃんと別れて王都に残る決意をした
私は魔王を倒したいんじゃないの、旅をしたいんじゃないの
雄司君の隣にいたいの!だからなっちゃん達とは目的が違う
なっちゃんは心配していたが、それでも私の意志は強かった
ごめんね、なっちゃん。せめて旅の安全を祈るね

王宮をでてからは城下町の宿屋にお世話になってる
話を聞くと魔山は魔境にあり、このあたりでは圧倒的に強い魔物が多いらしい
特訓するなら王都しかない!それが残った理由だった

□□□□

魔山12合目 ~特訓一ヶ月目~

最初の一ヶ月は酷かった
魔物が怖くて隠れたり殺されかけたり夢にも見たり・・・
その度に何度も勇気を奮い立たせた
全ては雄司君の隣にいるために・・・
少しでも強くなる為に雄司君から聞いたことはなんでもした

~~~~回想開始~~~~~~~~~~~~~~~~~~
雄司君の鍛練中での会話

「ねぇ、雄司君。例えばだけど、私みたいに弱い人が強くなるにはどうすればいいの?特訓はするけど、まだ強くない内は戦ってもまけちゃうよね?」

『なんだ?強くなりたいのか?白鷺が?珍しいな。まぁ手っ取り早く強くなるには武器や防具だろうな。道具に使われている感が出るから傍から見れば滑稽だが、そんなものは一時だけだ。まずはいい装備を使って自身のレベルを上げる。いい装備であれば倒すのも早くなるし、生存率も上がる。生存率を上げる為の装備だな。ただ装備がいいだけなのに己の力だと慢心するバカが多いな』

「私はなりたくないけど、参考にね。でもいい装備なんて簡単に手に入らないよね?どうするの?」

『方法はある。まずは奪う、所謂強奪だな。盗賊行為にあたる。あとはその強奪したやつから奪う。盗賊退治とかがこれにあたる。後は魔物からのドロップ品。強い魔物からはいい装備がでる。そして金はかかるがオークションだな。殺しをしないならオークションぐらいだろうな。王都にもあるみたいだぞ?』

~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~

まずは装備を揃えないと!
お金、お金だよね!
私は旅立ちの日にもらった餞別のお金をオークションに注ぎ込んで武器を購入した
早速魔山にいって特訓開始だ

「う~ん。強くはなってるけど・・・」

確かに殲滅速度は上がったが今より上の場所だときついかも
でもお金はないし・・・
仕方ないので現状でできる範囲で頑張ることにした
ある日いつものように魔山に向かうと様子がおかしかった

「魔物の気配がしない・・・?」

見渡すと魔物が全滅している
驚愕した。どうやったらここまで徹底的に狩り着くせるのか
ただ・・・これはチャンスだよね!
素材とドロップ品を拾うチャンス
情けない行為だけど、チャンスは全部拾うって決めたから!
こうして私はある程度のお金と装備品を手に入れた

~~~~回想開始~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇねぇ、私も攻撃手段って増やした方がいいのかな?」

『当たり前だろ。白鷺は危機意識が足りな過ぎる。ここは日本じゃない。自分の身ぐらいは最低でも守れ。襲われることも当たり前ぐらいに思っておいたほうがいい。俺がチンピラなら白鷺を確実に襲う』

「そ、そうなんだ。例えばどんなのを増やしたほうがいい?」

『当たり前だが対人用と対魔物用は別がいいな。人に魔法は危ないだろ?殺したいなら魔法でもいいが。まぁ対人用は体術系がいいかな?対魔物用は魔法でいいが、必ず魔法以外も何かしら用意すべきだ。魔法が使えない場合や魔法が効かない敵もいるからな』

「ありがとう!私はどんな武器がいいと思う?」

『白鷺はあまり運動神経よくないからなぁ。短剣あたりでいいんじゃないか?大抵魔法が使えない、効かない場面になると動揺して間合いを詰められるからな。小回りが効く短剣がいいだろう』

「う、運動神経悪くないよ?体術とかはどうやって鍛えるの?雄司君のスキルがあれば問題ないだろうけど・・・。」

『パーフェクトフェイクか?あげる訳ないだろ。スキルは魔物相手に使え。魔法で半殺しにして止めにスキルを使えば鍛えらるぞ。と言ってもレベルだけだが。レベルあげるだけでもある程度は動ける。更に極めたいなら型を覚える、誰かに教わるだな。魔法で半殺しも魔法の調節とかで役にたつ』

~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~

魔山22合目

「うん、大分魔法も上手く使えるようになってきた。この前のお金で短剣と魔法書も揃えたし攻撃面は大丈夫かな。これならどんどん魔山を攻略できそう!」

私は完全に慢心していた
22合目ではもはや敵なしだったから
そこで初めて出会ったのが中ボスクラスの魔物だ
いつものように戦っていたが、突如体が震えてきた
呼吸も困難になってきた、目がチカチカする・・・

「え?なんで?」

自分に鑑定してみたら毒状態だった
魔物は毒持ってたの?確認してなかったよ・・・
キュアで毒は解除したもののその場で意識を手放した

・・・。

生きてたみたい。何故か麓の安全な場所にいる
よくわからないけど助かった。よかった・・・
やっぱり雄司君の言うことは守るべきだ

~~~~回想開始~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「なんで雄司君は防具をあまり装備しないの?王宮から支給されてるやつ貰えるよ?」

『現状はあまり必要ないから。それと俺は常に魔法で守ってるしな。でも白鷺はちゃんと装備しろよ?障壁も張れ。自分を守れそうなスキルは惜しみなく使ったほうがいい。特に鑑定は癖つけるんだ。これをするだけでも生存率はかなり上がる。装備も障壁もみんなそうだ。まずは生き残れ。生き残る為なら無様に逃げてもいい』

「逃げてもいいの?勇者なのに?」

『当たり前だな。死にたくないに決まってるだろ?生きてさえいればやり直しがきく。最初の内は生き残ることに全力を注げばいい。それでもいつかは逃げられない場面がくる。逃げちゃいけない時もくる。その時までは無様に逃げてもいいんだよ。その時までに力を手に入れて逃げなくてもいいぐらいに強くなればいい。生き残れよ?白鷺。結果はどうあれ、生き残ることが重要だ。生き残る為には防具や結界系のスキルはおろそかにするな』

~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そこからは防具を揃えるまでは無茶をしない程度に魔山に通った
最初の一ヶ月は死に物狂いだった
生き残ることに全力を注いだ。逃げたことも何度もある
雄司君の言葉を思い出しながら、その言葉をただひたすら守って特訓していた

□□□□

魔山26合目 ~特訓二ヶ月目~

しばらく死に物狂いで特訓し、装備も揃ってくると魔山攻略も少し順調になってきた
装備とかのおかげもあるが、やはり一番恩恵があるのは加護なんだろう
どんどん強くなっていく
でも慢心はしないよ!雄司君の言葉は必ず守るから!

魔山の攻略が進んで行くと単体だけでなく複数の魔物が襲ってくることもある
死にかける時は大体複数の魔物が襲ってきた時だ

「いつまでも同じようにはいかないからね!複数障壁展開ロック・オン!・・・サンライト・バースト!」

~~~~回想開始~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「たくさんの敵に囲まれた時は雄司君はどうするの?剣で戦うの?」

『まぁ状況にもよるが大抵は剣だな。それでも問題ないし。一般的には魔法だろうな。全体魔法だな』

「雄司君あまり魔法使ってないよね?ねぇ、私はどんなの覚えたらいいかな?攻撃手段増やしたいの!教えて!」

『いやいや、俺にも魔法あるから。どんなのって・・・可能なら全種類だろうな』

「全種類って?」

『火・水・風・土・闇・光の全種類だ。属性によっては効かない敵もいるからな。数は多いに越したことはない。ただ・・・白鷺は普通の属性魔法じゃない方がいいかもしれないな。白鷺はサンライトのスキルあるから、それと属性を加えた複合魔法の方が万能だ。威力もあがるし、そもそも弱点が弱点でなくなる。複合してるしな。いいか?複合魔法のポイントは相手に複合魔法と悟らせないようにすることだ。火に見えるけど実は複合。水に見えるけど実は複合。これぐらいできるのが理想だ。だから魔法の訓練は怠るなよ?』

「悟らせない複合・・・あれ?もしかして雄司君があまり属性魔法使わないのって、もしかして?」

『おぅ、さすが白鷺だな。・・・まぁいいか。俺は月や星あたりの力を利用してるからな。白鷺とは対になる力だな』

「私と雄司君が対に・・・特別な力なんだよね?そっか、私と雄司君は特別なんだね・・・えへへ」

『なんか言ったか?・・・あと白鷺は障壁を上手く使え。障壁を上手く使うことで被害を最小限に抑えられる』

「障壁?障壁って防御魔法だよね?」

『頭固いなぁ。なんで防御魔法限定なんだよ。障壁は見えない壁を作って攻撃を防ぐだろ?対象を選んでそいつだけを守ることもできる。そして対象の選択は敵にもできる。例えばだ、障壁の展開を敵に指定して・・・』

「敵を障壁で囲って簡易的な檻を作るってこと?・・・障壁の力の反作用なんてできるの?」

『・・・ふむ。さすが才女だ、頭の回転が早いな。白鷺の言う通りだ。しかも檻は全体を囲むよりも一瞬で個別に囲えるぐらいに精密さを誇れるようにするのが理想だ。その訓練をしていれば力の反作用なんてもののついでにできる。力は応用するものだ。固定観念は自由を奪う。気をつけろ?』

~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~

力の応用、力の応用
私は毎日魔法の特訓は欠かしたことがない
雄司君が誉めてくれたスキルを持っているのだから
私と雄司君が対。光と闇。どちらも欠かせないもの
常に一緒に存在するもの。特別なもの。私達は特別な関係
頑張るしかないよね!

まずは魔法のコントロールが大事だと聞いたので、雄司君に教わった方法でひたすら訓練した
魔力操作が上手くいくようになったら、今度は魔力を可能な限り圧縮して高純度高密度を保てるようにした
魔力圧縮が上手く使えるようになったらいよいよ複合だ

サンライトと既存魔法は問題なくできた
こうなってくると魔法の複合が愉しくて仕方がない
水があるんだから氷も、氷ができたなら雷も、火と水を利用して霧も・・・
次から次へと魔法を作成しては複合し、いつしか複合した魔法同士を融合するようにもなっていた
作成した魔法は試してみたくなるもの
いつしか魔山は特訓場というよりかは実験場になっていた
これが特訓二ヶ月目で雄司君と別れてからの二ヶ月間だ

□□□□

魔山48合目

「サンライト・ブリッツ!・・・ふぅ。そろそろ50合目目指そうかな?邪竜王いるんだよね?」

もはや特訓場ですらなくなった魔山に敵はいなかった
残すは邪竜王のみ。でも油断も慢心もしていないよ

これまでも何度か油断して死にかけた事があった
その時も偶然・・助かっている。いつも麓にいた
誰かに抱き抱えられているような温かさを、次第に感じることができるようになっていた

これまでも何度も慢心しかけた事はあった
その度にたまに起こる魔物の全滅現象に出会い、その力に恐怖した。上には上がいるのだと

心も体も強くなっていた。そして力も徐々につけている
もう魔山に敵はいない、邪竜王ですら負ける気がしない
そしてその日の内に私は魔山を攻略した
邪竜王はいなかった。証のみだ。拍子抜けだ
どうしよう・・・魔山じゃ特訓にならない・・・

~~~~回想開始~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「雄司君、やっぱりあのスキル欲しいんだけど・・・。ダメ、かな?」

『パーフェクトフェイクはあげない、危険だしな。今の白鷺だと死ぬ可能性の方が高い。積極的になるのはいいが、自分の力を見誤るな』

「うぅ・・・ケチ。じゃあ代わりにどんなふうに特訓したらいいのか教えて。魔物を倒すのは分かってるからね!効率的に、だよ!」

『ケチじゃない、ケチじゃない。そうだな、魔山みたいな特殊な場所だろうな。あとは迷宮だ。特殊な所は場所が限られているだろうが、迷宮なら冒険者ギルドとかで情報を得られるだろう。情報収集なら冒険者ギルドだな』

~~~~回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~

□□□□

私は情報収集するために冒険者ギルドに出向いた
特訓を開始してから何度もお世話になっている場所だ
そして友達が、いや、恋友がいる場所でもある

「リアさん、こんにちは。迷宮のある街を教えて」
〔アカリさん!こんにちは。・・・いよいよ、アカリさんも旅立たれるんですか?〕
リアさん、淋しそう・・・

「魔山も攻略したし、特訓にならなそうなんだ。少しでも早く強くなりたいよ。ごめんね、リアさん」

〔そうですか、頑張って下さい!迷宮ですが、近場だと帝国エクスペインかサラセニア王国でしょうね。特にサラセニア王国は迷宮大国とも言われています。王国内に5つの迷宮があると言われていますよ。そして帝国エクスペインは
・・・〕

「・・・雄司君がいる可能性が高いんだよね?」

〔・・・あくまで可能性です。ユウジさんは発行されたクエストの進捗状況を度々確認されにきます。頻繁に確認にくる以上、王都の近場にいらっしゃる可能性が高いかと。そうなると帝国エクスペインかサラセニア王国のどちらかになるでしょう。帝国エクスペインは武闘大会や迷宮、魔法学校などもあります。何より先日の武闘大会で、剣聖でSランクの冒険者を倒した少女がいるらしいです。ユウジさんなら興味を持たれるかと思います〕

「うん、雄司君は帝国エクスペインにいると思う。なら私が行く先は・・・サラセニア王国だね!まだ雄司君の隣で気持ちを伝えられるほど強くはなっていないから」

〔アカリさん・・・。どうかお気をつけて。お互いの恋の成就の為、頑張りましょう!〕

こうして私は次の特訓場所、サラセニア王国に向けて旅立った


応援してくれる友達リア女神様ヘイネ様がいる
力になってくれる愛しい人の言葉がある

私の側には思い出すだけで雄司君の言葉がたくさん溢れている
言葉を守るだけで私はどんどん強くなれる

「雄司君!サラセニア王国の迷宮を全てクリアしたら想いを伝えに行くね!う~んといい女になって、雄司君に、側にいて欲しいって言わせてみせるんだから!」


こうして一人の女の子が新たに決意して新天地に向かった
数ヶ月後一人の女の子が5つの迷宮全てを一人で制覇した、
という噂がサラセニア王国全土に広がった

後に女の子は人々から敬意を込めてこう言われた、
孤高の踏破者ダンジョンクイーン』、と


side  -白鷺あかり- ~終了~

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side  -リア- ~開始~

ユウジさんに想いを告げたが断られた
それでもユウジさんは私に尊敬の気持ちを誓ってくれた
一体なにに尊敬してくれたのかはわからない
でも尊敬してくれるならその気持ちに応えたい
私は何度断られても諦めない。必ず振り向かせてみせる

私はユウジさんからクエストを任されている
イシス王国城下町の公園のお掃除だ
ギルド長へクエストの依頼を掛け合ったらバカにしたような目で許可がおり、ギルド長から直々に私の担当クエストとされた

「「・・・許さない。ユウジさんのクエストを、ユウジさんが私との思い出を守る為に考えてくれたクエストをバカにするなんて!」」

ギルドにクエストを張り出してからの評判はイマイチだった
冒険者さん達は基本自分のランクに合わせて依頼される
下位ランクの依頼には目を通されないことが多い
更に依頼の内容にも理解が及んでいないようだ
困った、どうしよう・・・
せっかくユウジさんに任されたのに・・・

『やぁ、リア。こんにちは。クエストどうなった?』

「ユウジさん!尋ねてきてくれたんですね!嬉しいです!クエストはすいません。発行はできたんですがあまり芳しくはありません・・・」
やっぱりクエストの事だよね。失望されちゃうかな・・・

ある日ユウジさんが尋ねてきてくれた
予想通りクエストの依頼の確認だった

『おぉ!さすが、リア!俺が期待した通りだな。クエスト発行ありがとう、助かるよ!偉いぞ、よしよし。それにしても芳しくないのか。なんでか原因はわかる?おいしいクエストのはずなんだがなぁ』

あれ?誉められちゃった?しかも頭をなでてもくれた
多分無意識なんだろうけど、とても気持ちいい・・・
あぃ~ユウジさんと話してると心がときめく

「う~ん、一番の原因は認知されてないことでしょうか?高ランクの方はそもそも下位ランククエストは見ませんし、クエストの内容にも理解が及んでないのかと。意味はわかるんでしょうが・・・」
あ~もっといっぱいなでて~

『認知、認知ね~。例えばだけどさ、クエストの受注時や報告時、冒険者登録とかの受付時に一言宣伝とかしてみたらどうだ?リアだけでなく受付担当の人みんなにお願いしてみるんだ。お願いする立場だしある程度は交遊が必要だろう。食事なんかに誘って、おいしいものでも食べさせればなんとかなるんじゃないか?交遊費は預金とはまた別にリアに渡すよ。張り出すだけでなくこちらから積極的に動くわけだ』

なるほど。それぐらいなら私でもできる
交遊費は断ったけど結局押し切られて渡されてしまった
ユウジさんはお金に関してはルーズすぎる
簡単に大金を置いていくし、ハラハラする
ユウジさんから預かってる報酬金額は王金貨30枚
国家クラスの金額。絶対使いきれないよ・・・
渡された交遊費は黒金貨10枚。一体何を基準にしているのか

ユウジさんは進捗確認だけ済ませると酒場で飲んでいた冒険者さん達を強制的に公園に連れていった
手伝ってくれてありがとう、ユウジさん!

それからの私はユウジさんが奨めてくれたように受付時に一言宣伝したり、協力を仰ぐために同僚とも積極的に交遊し始めた
宣伝の効果は徐々に出始めていた
日増しに受注していく人が増えている
さすが、ユウジさんだ!

そんな時ある一人の女の子に出会った
名前はアカリ・シラサギ
黒髪でとても綺麗な人だった。黒髪の人はとても珍しい。
しかも家名持ち。名前の雰囲気からすぐにユウジさんと同じ出身地だろうとは検討がついた

私の仕事が休みの日にアカリさんを食事に誘ってみた
ユウジさんの事を色々聞きたいからだ
アカリさんは驚いていたが快く承諾してくれた
食事をしながら私は、

「アカリさんはユウジさんをご存知ですか?」
いきなり切り出してみた。確信はあったから

〔え?雄司君?知り合い・・・幼なじみになるのかな?リアさんも雄司君の事知ってるんだね〕
幼なじみ!?まさかここでユウジさんの身近な人に出会えるとは

意外な出会いに驚いたが感謝もした
ユウジさんの事を色々知るチャンスだから
私は聞けることならなんでも聞いた、と思う

〔リアさんも雄司君の事、好きなんですか?〕
根掘り葉掘り聞いたらわかるよね。・・・ん?私も?

「私も、って事はアカリさんもですか?」
アカリさんから恥ずかしがった笑顔が返ってきた

〔気付いたのは本当に最近。少しの間一緒にいて、その時好きになってみたい。私の初恋だよ。まだ気持ちは伝えてないけど、多分今じゃ絶対無理だと思う〕

色々話してる内に、私と少し境遇が同じ事に気付いた
なんとなく親近感がお互いに沸きはじめていた
私はアカリさんの恋も応援したい!

アカリさんはユウジさんに気持ちを伝える為に魔山に通うことを教えてくれた
さすがにアカリさん一人では危険じゃないかな?

〔大丈夫ですよ。私これでも勇者ですし!〕
・・・え?勇者?アカリさんが?あのおとぎ話の?

〔あれ?雄司君も勇者だよ。私達召喚されてこの世界に来たんだから〕
あ~、聞いたことある、召喚の話。そっか、ユウジさんも

なるほど、それで色々納得できる
ユウジさんの非常識な強さや、私達とは違う考え方
異世界の人なのか。だから珍しい黒髪なのか
でもさすがにアカリさんは心配だ・・・

こうして私とアカリさんは友達、恋友になった

□□□□

ユウジさんのクエストは順調だ
ただ問題が発生している

人によって拾ってくる量が違う
受注時に規定の袋を渡しているが、いっぱいになるまで拾う人と明らかに少ない人がいる。
でも報酬は同じだ。
それで揉めている受付と冒険者さんの姿をしばしば見るようになった
せっかく認知され始めたのにどうしよう・・・

悩む日々が続いたある日、ユウジさんが尋ねてきた
私は思い切って相談してみた

『はぁ~。どこにでもいるんだな、せこいやつ。それは頑張ったやつにちゃんと酬いるべきだな。そうだな~、・・・重さで決めてみたらどうだ?ある一定の重さを決めて、それ以上にたくさん拾ってきたやつには追加報酬を出すんだ。また一定の重さを決めることでクリア基準の目安にもできる。頑張れば頑張るだけ報酬がもらえるなら目の色を変えるだろう。まぁこれでもバカなやつは途絶えないだろうな。人間なんてそんなもんだ』

そのあとは規定の重さや追加報酬の事に託けて、
ユウジさんと一緒にお茶を楽しんだ。もちろん、早退して
ユウジさんは苦笑はしていたが嫌な顔はしなかった
フッた相手なのに以前と変わらない態度なのが嬉しかった
この優しさが、この温もりが私は好きなんだろうな・・・
きっとアカリさんも・・・

私はアカリさんの事が気になっていたのでユウジさんに話した
ユウジさんは私とアカリさんが知り合いな事に驚いていた

『白鷺と知り合いってのも驚いたが、白鷺が一人で魔山にってのも更に驚いた。う~ん、仕方のないバカだな・・・はぁ。俺がちょくちょく様子を伺うよ。様子を見に行った時に死んでたりしたらどうしようもないが。まぁ白鷺も覚悟の上だろう』

呆れつつもどこか放っておけないといった顔で請け負ってくれたユウジさん
多分二人の関係はこんな感じなんだろうな、とつい微笑ましかった

□□□□

ユウジさんのクエストはかなり順調だ
ユウジさんも度々進捗確認に来てくれるので、都度相談に乗ってもらっている

そう度々来る。どんどん来てほしい。いつでも会いたい
でもおかしい。ユウジさんは確かに旅立つと言っていた
進捗確認にくる頻度が少し多い
依頼したクエストの進捗を気にするのは責任感があって好ましい。さすが、ユウジさん
でも私が言いたいのはそうじゃない。今どこにいるの?
この頻度からすると、帝国エクスペインかサラセニア王国

「「この二つなら・・・ユウジさんなら帝国エクスペインかな。もっと会いたいな~、たくさん話したい」」

仕事に身が入らないこともしばしばある
全く会えないのも淋しいが、度々会えるから余計切なくなる
今まではそれでも大丈夫だった
たまにアカリさんとお茶をして楽しんでいたからだ

やはりアカリさんは何度も危なかったらしい
そのたびに運よく助かったみたい
きっとユウジさんだ、でも姿をアカリさんに見せたくないみたい。だから私も黙っておいた
不器用な人達だな~、微笑ましい。そして羨ましいな・・・
なんだかんだ言ってアカリさんの事を気にかけてるユウジさん
私はどうなんだろう・・・
ちょっとは気にかけてくれてるかな・・・

□□□□

そんなアカリさんももう旅立ってしまった
仕事に集中しないと!

ユウジさんのクエストは今や大人気のクエストだ
毎日受けている冒険者さんもいる
そして城下町の人々にも変化がでてきていた
捨てる人が減り、さらには自主的に拾う人も出てきた
それは公園だけに留まらず、城下町全体に拡がった
今やイシス王国は最も綺麗な都市である、と冒険者さん達が話していた
この後、ユウジさんのクエストは完了した

ユウジさんはとても喜んでいた
ご褒美にいっぱいなでてもらえた
たくさん甘えることができた

でもこのクエストが完了した今、
もうユウジさんには会えないかもしれない・・・
会いにきてくれないかもしれない・・・

・・・だから私は決意した
このクエストで得たギルド長昇進の話を断り、
帝国エクスペインに移籍することを

ユウジさんはきっと帝国エクスペインにいる
確証はない、でも確信はある
アカリさんと約束したお互いの恋の成就のために
いつまでも愛しいユウジさんの側にいるために


こうして一人の受付嬢は帝国エクスペインへと旅立った


side  -リア- ~終了~


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