過去と現在を結ぶ異世界ストーリー
魔術大会本戦 ~ユウジvsエステル~
『迷宮区』闘技場 ~魔術大会1日目~
[勝者アオイ!]
会場から溢れんばかりの大拍手だ
アオイの戦いは圧巻だった
アオイの溢れんばかりの想いがメロディーにのって聴くもの全てを魅了した。俺も心から魅了された
音楽がこんなにも素晴らしいものだなんて思いもしなかった
間違いなく今回の魔術大会MVPはアオイだろう
アオイは間違いなく俺の自慢のアオイだ
『ユウジ義兄さん!どうだった?』
アオイが俺のほうへ嬉しそうに駆け寄ってくる
「あぁ!最高だった!今回の魔術大会はまさにアオイの為の晴れ舞台だ!俺の自慢の義妹だよ、アオイは!」
俺はアオイを抱きしめ最高に労った
今はただこの小さい義妹を抱きしめたかったからだ
アオイの戦いは最高に美しく、そして興奮した
いや、今もしている。衝動が抑えきれないほど溢れてくる
(アオイ!アオイ!アオイ!・・・今すぐアオイが欲しい!アオイを押し倒したい!凌辱したい!征服したい!今すぐにだ!・・・いかん!抑えろ!なんてこと考えてるんだ・・・色魔、色魔、色魔、色魔、色魔、色魔、抑えろ、抑えろ!)
『ユウジ義兄さん、ありがとう!で、でもみんなが見てるからちょっと恥ずかしいかな・・・えへへ』
周りとかどうでもいい!愛し合う姿をみせつ・・・抑えろ!
「・・・悪いが、もう少しこのままで頼む。今アオイを離したら確実にアオイを押し倒すことになる。今理性で抑えつけてる最中だ」
『え!?ユウジ義兄さん!?』
[えええ!?ハクト様!?いきなりどうされたんです!?]
〔なに発情してるんですか!TPOを考えてください!〕
【あわわわ、本当に禁断の愛だよぉ・・・】
「・・・俺は悪くないぞ?俺は心揺さぶられる最高に美しい戦乙女を見ると征服したくなる狂愛がでる。俺の本能だな。その本能を刺激したのはアオイだから、強いて言うならアオイが悪い。アオイは最高だった!アオイ、可愛いよ、アオイ!・・・ちょっと精神集中するな・・・すまん」
『・・・』
真っ赤になったアオイは可愛いな!今すぐに・・・色魔、色魔
[なるほど。そんな性癖をお持ちなんですね。ということは・・・ぶつぶつ]
性癖!?いや、性癖になるのか?最後のはなんて?
〔最高にめんどくさい方ですね。シャルロッテ様も気をつけてくださいね?〕
自分を棚に上げるなよ?シルヴィも十分めんどくさいから!
【ダメだよぉ、無理矢理はぁ。ハクト君は悪い人だねぇ】
ちょっと言い方!周りに聴かれるから!勘違いされるから!
それからしばらくアオイに抱き着いたまま狂愛の鎮静化を待った
抑えられただけでも立派なものだ。色魔様様だな
サーシャの時は暴発し、ヘイネの時は自我はあったが抑えきれずにいたのを考えれば成長したものだ
本当誉めて欲しい。明日ヘイネに誉めてもらおう!
「ごほん。アオイ、改めておめでとう!いい戦いだった。お義兄ちゃんとして鼻が高いよ。俺も負けてられないな!」
なんかやる気出てきたぞ!アオイの演奏魔法効果か?
『ユウジ義兄さんありがとう!ユウジ義兄さんの為に想いを込めて奏でたんだ』
よしよし、可愛い義妹だな。頭なでてやる!
「お義兄ちゃん冥利に尽きるよ。試合前に言ってたご褒美はなにか希望あるのか?」
なんだろうな?アオイが欲しがりそうなものあったか?
『うん。お姉ちゃんの装備って、指輪を除いてユウジ義兄さんが全部創ったって聞いたよ?僕も杖に、双剣に、帽子とユウジ義兄さんが創ったやつだから、お姉ちゃんみたいに僕の装備を創ってもらいたいなって。いい、かな?』
なんでもお姉ちゃんと一緒ってやつだな。お揃いにしたいのか
「任せろ!最高に可愛い装備を創ってやる!妖精族の名に恥じない装備をな!楽しみだな~。魔術大会とかもはやどうでもよくなってきた!確か自分の日程が終わったら帰っていいんだよな?シャル?」
[え?ええ。そうですわね]
やはりそうか。なら話は早い
「じゃあ、瞬殺して俺は帰るよ。アオイの装備の相談しないといけないからな!あとはたのむ!」
こうして俺は自分の相手を手刀で気絶させて帰宅した
大会1日目はあくまで予選みたいなものだ
明日が本番だし興味はなかった
俺、アオイ、シャルは難無く予選をクリアした
□□□□
『居住区』ユウジ邸
翌日、俺はアオイに渾身の装備品を渡して悦に浸っていた
【アイテムヴェール 『フェアリーヴェール』 】
【アイテムドレス 『フェアリードレス』 】
【アイテムブレスレット『フェアリーブレスレット』】
【アイテムブローチ 『慕愛のブローチ』 】
【アイテムヒール 『フェアリーヒール』 】
【アイテムイヤリング 『フェアリーイヤリング』 】
デザインはセリーヌ考案で、詩乃が監修した
セリーヌはもともとおしゃれ好きで、服飾店開業の勉強中だからよくわかる
意外だったのは詩乃だ。いや、魔女っ子帽子の時もその才能の片鱗をみせてたな・・・
セリーヌと詩乃は今回の件でかなり仲良くなっていた
ブローチだけ違うのはやはりセリーヌと一緒がいいからだそうだ
セリーヌもブローチはプリンセス装備じゃないしな
セリーヌの『慈愛』に、アオイの『慕愛』
どちらも人やものに対して深い愛情を示す類語だ
本当二人はどこまでも仲のいい姉妹だよな。微笑しい
フェアリー装備では一悶着があった
<ユウ様、フェアリー装備一式の色彩はどうするんですの?>
「う~ん。アオイはエルフだし、定番の緑かな?」
まぁエルフで緑ってアニメやらなんやらで定番だよな
《はぁ~?ハクトは何もわかってないわね!金髪エルフの定番が緑なだけでしょ!アオイちゃんは銀髪じゃない》
え?そうなの?・・・確かにエルフは金髪が多いな
「じゃ、じゃあ、詩乃はなにがいいんだよ!?文句つけるんだからなんかあるんだよな?」
《当たり前じゃない。アオイちゃんは黒一択よ。異論は認めないから。異論を挟むのは定番への冒頭よ!》
黒~?しかも一択って・・・。黒は男が好む色だしなぁ
「なんで黒一択なんだ?他の色がダメな理由がわからん」
《まだまだね~。エルフで銀髪って言ったら、あれしかないじゃない》
こいつ!言いたい放題いいやがって!てか、あれってなんだ?
《エルフで銀髪はダークエルフじゃない。ダ・ー・ク・エ・ル・フ!》
「それこそ、はぁ~?だよ。ダークエルフって言ったら褐色肌だろ!エロいお姉さんだろ!アオイは真逆じゃねえか!」
《ふっ。これだからなんちゃって通は・・・。》
今鼻で笑いました!?しかもなんちゃって通!?
《ハクトが言ってるダークエルフのイメージはもう古いのよ!今は青白い肌に銀髪!これがダークエルフなの!しかもアオイちゃんは見た目が幼いからロリフね。最高のダークエルフだわ!今日の演奏もすごかった。私からアオイちゃんに『聴くものに祝福を』の称号を贈るわ!》
お、おぅ・・・。ソウナンデスネ。てか詩乃、お前・・・
「詩乃お前、友達少なかっただろ?同類の匂いがぷんぷんするんだが?」
《・・・。私は孤独を愛する女だったから・・・》
うぅ・・・。詩乃、強く生きるんだぞ?
とりあえず詩乃の悲しい黒歴史は置いておいて、フェアリー装備一式をアオイに渡した
フェアリー装備を着たアオイは可愛くもどこかミステリアスな雰囲気を纏っていた
ふむ、これも悪くない。
セリーヌを光としたらアオイは闇か。常に一緒にいる存在
縁の下の力持ちみたいな存在と思えば闇もまた悪くないか
詩乃がそこまで考えてたかは、いや、考えてないな
可愛いけれど、ちょっとミステリアスなアオイとともに魔術大会最終日の今日ほどほどに頑張ろうと決意した
□□□□
『迷宮区』闘技場 ~魔術大会2日目~
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~。」
深い溜息しかでない。あぁ嫌だ。やる気なくなるわぁ
頑張ろうと決意したが一気にやる気が削がれた
<a href="//23149.mitemin.net/i271266/" target="_blank"><img src="//23149.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i271266/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
闘技場に張り出されたトーナメント表を見たからだ
いつかは身内と当たる覚悟はしていたが、まさか身内より先にチビと当たることになるとは・・・
ブラッドは昨年の覇者だ。シードなのは理解できる
(くそっ!ブラッドとチビで潰しあえよ、めんどくさいな!エステルとか絶対めんどくさいことになるだろ。めんどくさいことになる前にわざと負けるか?いやしかし、あの高慢ちきな貴族の鼻っ柱へし折ってやりたいしな~。う~ん・・・。てか、勝って平気か?いちお公爵令嬢だぞ?)
「なぁ、シャル。すご~くめんどくさいんだが、勝ってもいいの?公爵令嬢だろ?」
[本当に嫌そうな顔されますね。もちろん勝てるようなら勝っても問題ありませんわ。ですがエステル様は本当にお強いですわよ?]
苦笑しながら教えてくれるシャル。大変ですね、と言わんばかりの顔だ
まぁ絶対めんどくさいしなぁ。棄権しないかな~
なんてことを考えていたらシャルが跪く
ま、まさかこの流れは・・・
{平民風情が妾に勝つじゃと?オーホッホッホ!笑えぬ冗談じゃ}
いやいやいや、今笑ってましたよね!?
「おはようございます、エステル様。勝負は時の運です。絶対などとはありません。どうぞ足元を掬われないようお気をつけくださいませ」
堪えろ!我慢だ!もう少しの我慢だ!
{平民風情が話掛けるでない、無礼であろう!それに絶対はある、妾が戦うのじゃ。万が一にも平民風情に勝てる要素などないのじゃ。平民は平民らしく、妾の前で頭を垂れておればよいのじゃ。大観衆の中、無様に頭を垂れるがよかろう。オーホッホッホ!}
「・・・」
こんのくそチビが!だから貴族は嫌いなんだよ!
決めた!絶対こいつを倒す!自信ごとへし折ってやる!
泣かすと決めた!絶対だ!!
{平民、精々逃げ隠れするがよいのじゃ。大衆の前で無様を晒したくないのならば、な?オーホッホッホ!}
エステルはそう言って闘技場の中に消えていった
辺りが静寂に包まれる
俺は堪えた。我慢した。・・・あ~!イライラするな!
癒しだ!癒しが足りない!大きな癒しが必要だ!
ここはやはり・・・
「シャル~。俺頑張ったよな?偉いよな?慰めてくれ~!」
シャルを抱き寄せ、その大きな山脈へと顔を埋めた
この三ヶ月の間でもはや定番の行為になっていた
(あ~。これだよ、これ!この大きな癒しが必要だったんだ。シャルの甘い香りと微かに漂うオーデコロン、そしてアオイにはない大きな柔らかさ!シャルはなんだかんだ言っても俺に甘いところあるからなぁ。魔法学校で甘えるならシャルだな!)
[ハ、ハクト様!?み、みなが見ております・・・恥ずかしいですわ]
この上品な照れもたまらん!
〔離れてください、ハクトさん!シャルロッテ様が穢れます!シャルロッテ様も嬉しそうな顔しないでください!〕
よし、許さん!シルヴィも穢してやる!覚悟しろ!
【はぁ~。よかったよぉ、よくないけどぉ】
悩んだよ?エルナもいいなぁ~って。今回はシャルだけど
□□□□
魔術大会本戦が始まった
第一試合は三年生が相手だったが、シャルが危なげもなく勝利した
魔術士と魔導士では自力が違うから当然だ
魔術士にはランクがある
基本的に魔法を覚えたばかりの魔法使いは魔術士だ
シャルに聞いたところ、イリアスの魔法使いは魔術士から始まりよくても魔導士で生涯を終えるらしい
魔術士のほとんどは魔術士止まりみたいだ
魔法使いが圧倒的に少ない世界だ、そうなるだろう
魔術士の上に大魔術士があり、大魔術士の上に魔術師がある
魔術師の上に大魔術師があり、大魔術師の上に魔導士がある
シャルは魔導士だ。三年生でも魔術士では敵うはずがない
生まれた時からの才能の差なのだろう
イリアスの魔法の世界は理不尽すぎる
ちなみに俺がこれから戦うエステルは魔導師だ
魔導士の上に大魔導士があり、大魔導士の上に魔導師がある
魔導師の上に大魔導師があり、これが最高ランクとなる
シャルも才能に溢れているが、エステルはそれ以上だ
シャルが天才児なら、さしずめエステルは神童だろうか
くそ生意気なチビだが実力は本物ということだ、イリアスなら
期待もされているだろう、将来も約束されてるかもしれない
だが関係ない!自信をへし折りまくってやる!
□□□□
魔術大会本戦 ~ユウジ  vs  エステル~
目の前には小さいながらも気品が漂い、負けるはずがないと言った自信に満ち溢れているエステルがいる
{オーホッホッホ!逃げ出すかと思ったのじゃ。無様に転がる未来を選ぶとはやはり平民、浅知恵なのじゃ}
相変わらず口の減らないチビだな!
「戦いの場だから敬語は使わないぞ?遠慮もしない。エステル、余りピーピー喚いてると底が知れるぞ?おチビ様?笑。あ、お貴族様、か笑。」
もう敬語とかバカらしいわ!鬱憤晴らしてあやる!
{キッー!誰がチビじゃ、誰が!妾を愚弄するとは無礼千万なのじゃ!平民ごときが図にのるでない!}
お前は猿か?ハンカチとかでキッー!ってやって欲しいな
「貴族も平民もない!強いか弱いか、だ。そしてエステルは俺より弱い。降参しろ。無様に転がりたくはないだろ?笑」
慈悲だな、慈悲。さすが俺。紳士だろ?
{なにを世迷い事を抜かしておるのじゃ!妾が平民などに屈する訳がなかろう!顔だけでなく頭も悪いとは・・・哀れなのじゃ!}
な、、んだと!?俺はフツメンだぞ!?決して悪くはない!はず
しばらく低レベルな舌戦が武舞台上で行われた
そしてついに、試合が開始された
まずはエステルの確認だ。神眼!
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エステル=L=シェルストリーム 12歳 ♀ レベル:98
種族:人間
職業:魔導師
体力:450000(+100000)
魔力:1500000(+500000)
筋力:18000(+10000)
敏捷:120000(+50000)
器用:87000(+50000)
幸運:88
加護:大魔導師『魔才』
称号:魔導師
技能:生活魔法/魔力強化/魔導眼/魔力感知/作法Lv.56
火炎魔法/帝国式体術Lv.12/水刃魔法/迅雷魔法
土淵魔法/聖光魔法/ヒール/ヒーリング/キュア
キュアリング/エクストラヒール/リヴァイブ
魔法錬成/爆炎魔法/風凪魔法
『魔才』:全身体的能力のステータスUP(固定)
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(あれから少しは修業したみたいだな。他の生徒よりかは全然強い。さすがエリートというべきか)
{妾を愚弄した罪、後悔するのじゃ!{暴食なる 賢き狂戦士よ 汝が咆哮に 竜は舞躍らん 六花よ 濁流せよ 火炎放射}}
(なにをぶつぶつ言ってんだ?・・・って、詠唱か。エステル、魔導師のくせに無詠唱じゃないのかよ!まぁやり方知らないならそんなもんか)
エステルが呪文を詠唱し終わると竜の形をした火炎放射が放たれた
まぁ強いんじゃないか?ってぐらいの威力はありそう
竜に飲み込まれたら丸焦げになりそうだしな、普通なら
「ん~。普通の属性魔法って加減難しいんだよな。弱すぎて・・・火炎放射」
俺もまた珍しく属性魔法を唱え、全く同じ魔法を放つ
俺とエステルの呪文がぶつかり合うと衝撃音が放たれ、魔法はきれいに打ち消しあっていた
この様子を見ていた観客席は大歓声をあげている
エステルの魔法は人々からすれば見事なものだったのだろう
そこに同様の魔法で対抗したのだから盛り上がらないはずがない
{な、なんじゃと?平民!貴様、今呪文を詠唱していなかったようじゃが!?}
「だから?エステル、お前の力はこんなもんか?なら諦めて降参でもするか?」
慌ててんなぁ。まぁ驚くのは仕方ないか
{ナメるでないのじゃ!平民が!{地の淵より這い出る 数多の星々よ。嘆きの寄る辺は天地の狭間 その開闢は終焉と知れ 土淵災苛}}
(今度は土淵災苛か。それにしても・・・これって待ってるのめんどくさいなぁ。攻撃しちゃおうかな~)
「詠唱中悪いが、今度はほんのちょっぴり力入れるからな。痛い思いしたくないなら避けろよ?・・・土淵災苛」
今度は地面の起伏を利用した土淵災苛だ
お互いが呪文を放つと起伏同士がぶつかり合う
また打ち消し合うかと思われたが、俺の魔法が競り勝ったみたいだ。エステルに俺の魔法が襲いかかる
さて、エステルはどう対処しますかね?
{くっ。小癪な!{聖なる光の鎧 其れは全ての障害を退ける 鎧に傷つけるものは皆無なり 聖光防壁}}
(ほほぉ、防壁魔法か。光系の魔法もなかなかのものだな。それにあれはなかなかの防壁だ。普通ならあれを突破するのは至難なはずだ。絶対の自信の一つか。なら・・・テレポート)
俺が放った土淵災苛はエステルの防壁魔法によってきれいに打ち消された
エステルのドヤ顔が目に映る。ウザい、その自信打ち砕いてやる
エステルの防壁魔法によって俺の魔法が打ち消された瞬間、俺はテレポートを使ってエステルの背後に移動した
{オーホッホッホ!どうじゃ、平民?貴様の魔法がいかに強かろうと妾の絶対的な防壁のまえ・・・え?、イタ!}
「ファウスバンカー!ついでに、てぃ!」
パリンッ!
エステルの絶対的な防壁?が音もなく砕け散った
エステルの呆然とした顔が目に映る
そう、俺はヘイネから伝授された神技で防壁を砕いたのだ
ついでに頭を軽く小突いて元の位置にテレポートした
「お前バカか?対魔術士戦において防壁魔法なんて誰でも対策してるもんなんだよ。自信を持つのはいいが過信はするな。痛い目見るぞ?てか、人が創り出したものなんだから人が壊せるに決まってるだろ。」
まぁ俺は人じゃなく女神に壊されたがな!
{そ、そんな・・・。わ、妾の絶対無敵の防壁じゃぞ?平民如きに破られるなんてありえないのじゃ・・・}
(はぁ~。まだ平民、平民、言ってるのか。本当プライドがお高いこって。こういうやつらはプライドをへし折るぐらいがちょうどいい。自分らの愚かさを徹底的に思い知らせれば少しはまともな人間性になるだろうしな。棄権されないうちに挑発するか)
「どうすんだ?ご自慢の防壁?笑。は平民に破られ、魔法の力も俺が上。勝ち目ないんじゃないか?今なら平民である俺が、お貴族様である公爵令嬢のエステル様を許してやってもいいんだぞ?ん~棄権しちゃいますか?エステルちゃん?笑」
気分はチンピラだな!普通は負けフラグだろうが、断る!
エステルがキッと睨んできた。本当貴族ってのは御しやすい
無駄なプライドとくだらない誇り。日本人の俺には理解できん
{き、きさまぁ!公爵家を!妾を!よくもバカにしおったな!もう許さんのじゃ!貴様がどうなろうと知らんのじゃ!魔法錬成!{灼熱の焔たる炎よ 我が手に集いて 力を暴発せん 全てを滅ぼせ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・}}
エステルは余程頭に来たのか冷静さを失ったかのようだ
(ん~。チョロいやつだな~。・・・にしても面白い魔法の使い方をする。同じ魔法を何度も何度も重ね合わせて威力をあげていくのか。1つの魔法を極めるには時間がかかる。その欠点を補ってるし、魔法を極めていけば自然とこのスキルも強くなる。問題があるとすれば詠唱が更に長くなっていることだな。ただこれ、無詠唱持ちなら欠点を改善できるだろ。もったいないな。いいスキルを持ってるのにそれを活かせないなんて・・・。ムカつくチビだが、この世界での初の魔法をエステルから教わるなんてな。ありがたい!これで俺はまた一つ強くなれた!)
「いいスキルだ、エステル。お前がもう少しまともな性格だったならぁ、と少し残念だよ。そのスキル真似させてもらうぞ?魔法錬成!・・・」
エステルが爆炎なら水で蒸発させてやる!
水の魔法を何度も何度も重ね合わせた
渦龍なら錬成しなくても余裕だが敢えて初級の魔法で対抗だ
相手の自信を打ち砕く有効な手は全ての力が敵わないと悟らせること
相手と同じ条件で叩き潰し、相手よりも不利な状況でも圧倒的な力で勝利すること
恐らくエステルの爆炎魔法は手持ちの魔法の中でも最強なのだろう
だったらこちらは初級魔法だ!その高慢さ打ち砕いてやる!
せっかく初の魔法を教えてくれたんだ、まともな性格になれるんだったら仲良くしてみたいからな!シャル達のように!
{消えてなくなるのじゃ!終極爆発!}
ちょっと!消えてなくなれって殺す気かよ!
「悪いが、まだ死にたくないんでな!水鉄砲!」
両者から二つの魔法が放たれる
最強魔法と最弱魔法のぶつかり合いだ
普通なら敵うはずもないウォーター・シュートだが、何たって俺の魔法だからな!
イリアスでは俺のウォーター・シュートでさえ最高クラスをはるかに上回る
ただそんな魔法をぶつけたらエステルが死んでしまうので、力を抑え付けた状態で錬成すると言う理不尽さだ
最強と最弱のぶつかり合いに決着がついた
武舞台の上は蒸し暑いサウナのようになっていた
どうやら魔法は打ち消しあったみたいだ
俺は予めアプソリュートを展開していたから濡れずに済んだ
エステルを見るとずぶ濡れになって呆けている
(まぁ最強の魔法を最弱の魔法で打ち消されたら誰でもそうなるよなぁ。いい薬になったろ。これで少しはまとな性格になってくれたらなぁ。せめて差別意識さえなければ・・・)
そんなことを考えながらずぶ濡れのエステルを見つめていた
上から眺めていくと、ご自慢?のドリルヘアーも水を被ってただのストレートになっている。髪結構長いんだな。
足まで届きそうな長さだ。ドリルヘアー恐るべし
顔立ちに視線をやると、ふむ?よく見ると結構・・・いや、かなり可愛いな!
さすが公爵令嬢。容姿端麗であらせられた。猫みたいな娘だ
いつもはウザくて目を合わせなかったしなぁ~
視線を下に向ける。服も透けちゃって体のラインがハッキリとわか・・・ん?な、、んだと!?エステル、お前・・・
隠れ巨乳だったのかよ!
ねぇ?その服でどうやって隠してたの!?
その歳でその山脈はやばいから!
マリーよりは小さい。ヘイネと・・・同じぐらいか?
ちょっと小さいかな?白鷺・・・う~ん。同じか少し上?
夢が膨らむなぁ、おい!それは危険物です!処理します!
まだ戦いは続いてるからな!攻撃しても問題ない!
呆けているほうが悪い!戦いは常に危険なのだよ!
「水鉄砲!」
俺はエステルの胸に向けて最・小・限のウォーター・シュートを放った
ゆ、揺れた・・・ぷるんぷるんだ!いや、ぶるんぶるんだ!
き、危険すぎる・・・。慎重に処理せねば!
「風凪の息!」
今度は爽やかな風をエステルに放った
試合中だしな。胸元ばかり狙うのは紳士じゃない!
ほほぉ!いいですな!先程とは違い静かな、でも確かな揺れを確認できる。こちらこそまさにぷるん、ぷるん、だ!
観客席からは大ブーイングが聞こえる
エロいことをしているからではない
それは上手く隠してるからな!
ブーイングの理由は戦意喪失している相手に容赦なく攻撃しているからだ
(ブーイングされてもなぁ。エステルの山で遊んでるだけだし、肝心のエステルが心ここに在らず、だからなぁ。審判もなんで止めないんだ?めんどくさいからエステルの意識を強制的に戻すか)
「帯電衝撃」
{・・・ひゃう!?}
可愛い声だすなぁ。なんか萌えるわぁ~
俺はエステルに向けて微弱の電流魔法を放った
所謂静電気みたいたなやつだ。意識を戻すぐらいなら十分だろ
「よっ!意識は戻ったか?まだ試合中だぞ?」
{・・・先程の、先程のはどうやったのじゃ?妾の最強の魔法だったのじゃ!なぜ水鉄砲で防げるのじゃ!ありえんのじゃ!}
あ、やっぱり最強の魔法だったんだ
「なぜって錬成したから?エステルがやってたやつだよ」
{なぜそなたが錬成を・・・いや、それはよい。問題はそこではないのじゃ!聞きたいのはなぜ水鉄砲で防げたかじゃ!いくら錬成したからと言ってもありえんのじゃ!初級と最上級の魔法には隔絶された差がある、初級をいくら錬成しようがその差が埋まることはないのじゃ。初級と中級なら話はわかる、でも初級と最上級ではありえんのじゃ。そんなことが仮に可能とするなら、既に世界の規格から外れた力・・・?}
エステルさんの山脈も十分規格から外れています、です
(にしても、こいつは驚いた。見た目の可愛さや歳に不釣り合いなバカでかい山脈だけでなく、頭もいいときてる。本当に12か?確かに逸材だ。帝国に留まらないぞ、この才覚は。世界の逸材だ)
「それだけ世界が広い、ということだな。ちなみにだが、俺の知り合いでも同じようなことできるぞ?多分。そいつも平民だ」
間違いなくサーシャもできるな。地力が違い過ぎる
{そ、そなた、以外にも・・・ど、どうなってるのじゃ?}
あれ?気付いたが呼び方変わってる?反省したか?
「エステルが強くなりたい理由はわからんが、以前は持ってなかった錬成なんてスキルを持ってるぐらいだ。強くなりたいんだろ?だったら狭い世界で閉じこもるなよ?世界は広い。平民やましてや奴隷の中にでさえエステル以上のやつはいる。強くなりたいならもっと広い目を持て。狭い了見で人を判断するな。強さに貴族も、平民も、奴隷もない。ただ強いか、弱いか、だけだ。エステルの中での身分という常識を捨てろ。常識に囚われれば囚われるほど、エステルは強くなれない。俺には絶対勝てない。いきなりは難しいかもしれないが、騙されたと思ってやってみろ。それに・・・」
{?・・・なんじゃ?}
「出会いは最悪だったが、俺はエステルと仲良くしたいと思ってるぞ?シャル達みたいな関係なら大歓迎だ!仮にエステルが身分という垣根さえ突破らって、友達になれたとしたら錬成の礼もある。俺が魔法を教えてやってもいいぞ?」
{・・・!本当じゃな!?そなたが魔法を教えてくれるのじゃな!?}
おぅ、なんかやけに食いついてきたな・・・
「エステル次第だな。身分に関係なく、人を人として扱え。遜れとは言わない。エステルは公爵令嬢だからな。立場もあるだろ?俺が言いたいのは見下すなってこと。例え奴隷でもだ。奴隷も命ある人だ、そして中にはエステル以上のやつもいる。見下すことでそこでエステルの成長は止まる。エステルがそれらをちゃんと守って実践できているなら魔法を教えてもいい」
{・・・わかったのじゃ。そなたがそういうならきちんと守るのじゃ!だから、ちゃんと魔法を教えるのじゃぞ!?}
はいはい、わかりましたよ。現金なやつだな
まぁなんとかなりそうではあるか
あとはエステル次第だが魔法を教わる目標がある以上は、ちゃん守るだろう
至らないところは注意すればいい、頭いいしな
とすると、最後の問題は・・・
「さて話し込んでしまったが、まだ試合途中なんだよ。どうする?まだやるか?俺としては降参して欲しいのだが」
それにエステルは気付いてなさそうだな、現状を。
{いや、妾はもう十分じゃ。全く敵わんのじゃ。・・・妾は棄権するのじゃ!}
エステルは高らかに棄権を宣言した
[勝者ユウジ・ハクト!]
審判の宣言とともに会場から溢れんばかりの拍手が降り注がれた
傍から見たら迫力ある魔法戦だから熱狂はしていたのだろう
ふぅ。よかった、よかった。
いくらエステルでもこれ以上はさすがにやりたくなかったからな
しかしまだ気付かないのか・・・
こちらに歩み寄ってくるエステルの山脈が上へ下へと揺れている
け、けしからんな!どうしても目がいってしまう・・・
「エステル、とりあえずこれ」
俺は上着をエステルに貸す。紳士だろう?
{なんじゃ?}
はやく気付けよ~。言わないとダメなのか?テンプレか?
「そのだな・・・凄くいい体だと思います!俺は大好きです!だから早く隠せ?エロすぎだぞ?」
どうせバレるんだ!だったら少しでも好感度を、だな
{?・・・~~~!!!}
おぉ、どんどん赤くなっていくぞ!?
エステルは頭から煙りを出すかの如く赤くなり俯いてしまった
ど、どうなるの・・・
どきどきしながら待っていると、エステルが口を開いた
{お・・・}
ん?・・・お?
{お師匠様はエッチなのじゃ~~~!}
・・・え?今、なんて?
「はああああはああああ!?お師匠様あああああ!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔術大会本戦
第1試合 (○)シャルロッテ vs アルチアン(Х)
第2試合 (○) ユウジ vs エステル (Х)
第3試合 (○) アオイ vs ロラン (Х)
第4試合 (○) イザベラ vs レティシア(Х)
第5試合 (○) ブラッド vs イザベラ (Х)
[勝者アオイ!]
会場から溢れんばかりの大拍手だ
アオイの戦いは圧巻だった
アオイの溢れんばかりの想いがメロディーにのって聴くもの全てを魅了した。俺も心から魅了された
音楽がこんなにも素晴らしいものだなんて思いもしなかった
間違いなく今回の魔術大会MVPはアオイだろう
アオイは間違いなく俺の自慢のアオイだ
『ユウジ義兄さん!どうだった?』
アオイが俺のほうへ嬉しそうに駆け寄ってくる
「あぁ!最高だった!今回の魔術大会はまさにアオイの為の晴れ舞台だ!俺の自慢の義妹だよ、アオイは!」
俺はアオイを抱きしめ最高に労った
今はただこの小さい義妹を抱きしめたかったからだ
アオイの戦いは最高に美しく、そして興奮した
いや、今もしている。衝動が抑えきれないほど溢れてくる
(アオイ!アオイ!アオイ!・・・今すぐアオイが欲しい!アオイを押し倒したい!凌辱したい!征服したい!今すぐにだ!・・・いかん!抑えろ!なんてこと考えてるんだ・・・色魔、色魔、色魔、色魔、色魔、色魔、抑えろ、抑えろ!)
『ユウジ義兄さん、ありがとう!で、でもみんなが見てるからちょっと恥ずかしいかな・・・えへへ』
周りとかどうでもいい!愛し合う姿をみせつ・・・抑えろ!
「・・・悪いが、もう少しこのままで頼む。今アオイを離したら確実にアオイを押し倒すことになる。今理性で抑えつけてる最中だ」
『え!?ユウジ義兄さん!?』
[えええ!?ハクト様!?いきなりどうされたんです!?]
〔なに発情してるんですか!TPOを考えてください!〕
【あわわわ、本当に禁断の愛だよぉ・・・】
「・・・俺は悪くないぞ?俺は心揺さぶられる最高に美しい戦乙女を見ると征服したくなる狂愛がでる。俺の本能だな。その本能を刺激したのはアオイだから、強いて言うならアオイが悪い。アオイは最高だった!アオイ、可愛いよ、アオイ!・・・ちょっと精神集中するな・・・すまん」
『・・・』
真っ赤になったアオイは可愛いな!今すぐに・・・色魔、色魔
[なるほど。そんな性癖をお持ちなんですね。ということは・・・ぶつぶつ]
性癖!?いや、性癖になるのか?最後のはなんて?
〔最高にめんどくさい方ですね。シャルロッテ様も気をつけてくださいね?〕
自分を棚に上げるなよ?シルヴィも十分めんどくさいから!
【ダメだよぉ、無理矢理はぁ。ハクト君は悪い人だねぇ】
ちょっと言い方!周りに聴かれるから!勘違いされるから!
それからしばらくアオイに抱き着いたまま狂愛の鎮静化を待った
抑えられただけでも立派なものだ。色魔様様だな
サーシャの時は暴発し、ヘイネの時は自我はあったが抑えきれずにいたのを考えれば成長したものだ
本当誉めて欲しい。明日ヘイネに誉めてもらおう!
「ごほん。アオイ、改めておめでとう!いい戦いだった。お義兄ちゃんとして鼻が高いよ。俺も負けてられないな!」
なんかやる気出てきたぞ!アオイの演奏魔法効果か?
『ユウジ義兄さんありがとう!ユウジ義兄さんの為に想いを込めて奏でたんだ』
よしよし、可愛い義妹だな。頭なでてやる!
「お義兄ちゃん冥利に尽きるよ。試合前に言ってたご褒美はなにか希望あるのか?」
なんだろうな?アオイが欲しがりそうなものあったか?
『うん。お姉ちゃんの装備って、指輪を除いてユウジ義兄さんが全部創ったって聞いたよ?僕も杖に、双剣に、帽子とユウジ義兄さんが創ったやつだから、お姉ちゃんみたいに僕の装備を創ってもらいたいなって。いい、かな?』
なんでもお姉ちゃんと一緒ってやつだな。お揃いにしたいのか
「任せろ!最高に可愛い装備を創ってやる!妖精族の名に恥じない装備をな!楽しみだな~。魔術大会とかもはやどうでもよくなってきた!確か自分の日程が終わったら帰っていいんだよな?シャル?」
[え?ええ。そうですわね]
やはりそうか。なら話は早い
「じゃあ、瞬殺して俺は帰るよ。アオイの装備の相談しないといけないからな!あとはたのむ!」
こうして俺は自分の相手を手刀で気絶させて帰宅した
大会1日目はあくまで予選みたいなものだ
明日が本番だし興味はなかった
俺、アオイ、シャルは難無く予選をクリアした
□□□□
『居住区』ユウジ邸
翌日、俺はアオイに渾身の装備品を渡して悦に浸っていた
【アイテムヴェール 『フェアリーヴェール』 】
【アイテムドレス 『フェアリードレス』 】
【アイテムブレスレット『フェアリーブレスレット』】
【アイテムブローチ 『慕愛のブローチ』 】
【アイテムヒール 『フェアリーヒール』 】
【アイテムイヤリング 『フェアリーイヤリング』 】
デザインはセリーヌ考案で、詩乃が監修した
セリーヌはもともとおしゃれ好きで、服飾店開業の勉強中だからよくわかる
意外だったのは詩乃だ。いや、魔女っ子帽子の時もその才能の片鱗をみせてたな・・・
セリーヌと詩乃は今回の件でかなり仲良くなっていた
ブローチだけ違うのはやはりセリーヌと一緒がいいからだそうだ
セリーヌもブローチはプリンセス装備じゃないしな
セリーヌの『慈愛』に、アオイの『慕愛』
どちらも人やものに対して深い愛情を示す類語だ
本当二人はどこまでも仲のいい姉妹だよな。微笑しい
フェアリー装備では一悶着があった
<ユウ様、フェアリー装備一式の色彩はどうするんですの?>
「う~ん。アオイはエルフだし、定番の緑かな?」
まぁエルフで緑ってアニメやらなんやらで定番だよな
《はぁ~?ハクトは何もわかってないわね!金髪エルフの定番が緑なだけでしょ!アオイちゃんは銀髪じゃない》
え?そうなの?・・・確かにエルフは金髪が多いな
「じゃ、じゃあ、詩乃はなにがいいんだよ!?文句つけるんだからなんかあるんだよな?」
《当たり前じゃない。アオイちゃんは黒一択よ。異論は認めないから。異論を挟むのは定番への冒頭よ!》
黒~?しかも一択って・・・。黒は男が好む色だしなぁ
「なんで黒一択なんだ?他の色がダメな理由がわからん」
《まだまだね~。エルフで銀髪って言ったら、あれしかないじゃない》
こいつ!言いたい放題いいやがって!てか、あれってなんだ?
《エルフで銀髪はダークエルフじゃない。ダ・ー・ク・エ・ル・フ!》
「それこそ、はぁ~?だよ。ダークエルフって言ったら褐色肌だろ!エロいお姉さんだろ!アオイは真逆じゃねえか!」
《ふっ。これだからなんちゃって通は・・・。》
今鼻で笑いました!?しかもなんちゃって通!?
《ハクトが言ってるダークエルフのイメージはもう古いのよ!今は青白い肌に銀髪!これがダークエルフなの!しかもアオイちゃんは見た目が幼いからロリフね。最高のダークエルフだわ!今日の演奏もすごかった。私からアオイちゃんに『聴くものに祝福を』の称号を贈るわ!》
お、おぅ・・・。ソウナンデスネ。てか詩乃、お前・・・
「詩乃お前、友達少なかっただろ?同類の匂いがぷんぷんするんだが?」
《・・・。私は孤独を愛する女だったから・・・》
うぅ・・・。詩乃、強く生きるんだぞ?
とりあえず詩乃の悲しい黒歴史は置いておいて、フェアリー装備一式をアオイに渡した
フェアリー装備を着たアオイは可愛くもどこかミステリアスな雰囲気を纏っていた
ふむ、これも悪くない。
セリーヌを光としたらアオイは闇か。常に一緒にいる存在
縁の下の力持ちみたいな存在と思えば闇もまた悪くないか
詩乃がそこまで考えてたかは、いや、考えてないな
可愛いけれど、ちょっとミステリアスなアオイとともに魔術大会最終日の今日ほどほどに頑張ろうと決意した
□□□□
『迷宮区』闘技場 ~魔術大会2日目~
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~。」
深い溜息しかでない。あぁ嫌だ。やる気なくなるわぁ
頑張ろうと決意したが一気にやる気が削がれた
<a href="//23149.mitemin.net/i271266/" target="_blank"><img src="//23149.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i271266/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
闘技場に張り出されたトーナメント表を見たからだ
いつかは身内と当たる覚悟はしていたが、まさか身内より先にチビと当たることになるとは・・・
ブラッドは昨年の覇者だ。シードなのは理解できる
(くそっ!ブラッドとチビで潰しあえよ、めんどくさいな!エステルとか絶対めんどくさいことになるだろ。めんどくさいことになる前にわざと負けるか?いやしかし、あの高慢ちきな貴族の鼻っ柱へし折ってやりたいしな~。う~ん・・・。てか、勝って平気か?いちお公爵令嬢だぞ?)
「なぁ、シャル。すご~くめんどくさいんだが、勝ってもいいの?公爵令嬢だろ?」
[本当に嫌そうな顔されますね。もちろん勝てるようなら勝っても問題ありませんわ。ですがエステル様は本当にお強いですわよ?]
苦笑しながら教えてくれるシャル。大変ですね、と言わんばかりの顔だ
まぁ絶対めんどくさいしなぁ。棄権しないかな~
なんてことを考えていたらシャルが跪く
ま、まさかこの流れは・・・
{平民風情が妾に勝つじゃと?オーホッホッホ!笑えぬ冗談じゃ}
いやいやいや、今笑ってましたよね!?
「おはようございます、エステル様。勝負は時の運です。絶対などとはありません。どうぞ足元を掬われないようお気をつけくださいませ」
堪えろ!我慢だ!もう少しの我慢だ!
{平民風情が話掛けるでない、無礼であろう!それに絶対はある、妾が戦うのじゃ。万が一にも平民風情に勝てる要素などないのじゃ。平民は平民らしく、妾の前で頭を垂れておればよいのじゃ。大観衆の中、無様に頭を垂れるがよかろう。オーホッホッホ!}
「・・・」
こんのくそチビが!だから貴族は嫌いなんだよ!
決めた!絶対こいつを倒す!自信ごとへし折ってやる!
泣かすと決めた!絶対だ!!
{平民、精々逃げ隠れするがよいのじゃ。大衆の前で無様を晒したくないのならば、な?オーホッホッホ!}
エステルはそう言って闘技場の中に消えていった
辺りが静寂に包まれる
俺は堪えた。我慢した。・・・あ~!イライラするな!
癒しだ!癒しが足りない!大きな癒しが必要だ!
ここはやはり・・・
「シャル~。俺頑張ったよな?偉いよな?慰めてくれ~!」
シャルを抱き寄せ、その大きな山脈へと顔を埋めた
この三ヶ月の間でもはや定番の行為になっていた
(あ~。これだよ、これ!この大きな癒しが必要だったんだ。シャルの甘い香りと微かに漂うオーデコロン、そしてアオイにはない大きな柔らかさ!シャルはなんだかんだ言っても俺に甘いところあるからなぁ。魔法学校で甘えるならシャルだな!)
[ハ、ハクト様!?み、みなが見ております・・・恥ずかしいですわ]
この上品な照れもたまらん!
〔離れてください、ハクトさん!シャルロッテ様が穢れます!シャルロッテ様も嬉しそうな顔しないでください!〕
よし、許さん!シルヴィも穢してやる!覚悟しろ!
【はぁ~。よかったよぉ、よくないけどぉ】
悩んだよ?エルナもいいなぁ~って。今回はシャルだけど
□□□□
魔術大会本戦が始まった
第一試合は三年生が相手だったが、シャルが危なげもなく勝利した
魔術士と魔導士では自力が違うから当然だ
魔術士にはランクがある
基本的に魔法を覚えたばかりの魔法使いは魔術士だ
シャルに聞いたところ、イリアスの魔法使いは魔術士から始まりよくても魔導士で生涯を終えるらしい
魔術士のほとんどは魔術士止まりみたいだ
魔法使いが圧倒的に少ない世界だ、そうなるだろう
魔術士の上に大魔術士があり、大魔術士の上に魔術師がある
魔術師の上に大魔術師があり、大魔術師の上に魔導士がある
シャルは魔導士だ。三年生でも魔術士では敵うはずがない
生まれた時からの才能の差なのだろう
イリアスの魔法の世界は理不尽すぎる
ちなみに俺がこれから戦うエステルは魔導師だ
魔導士の上に大魔導士があり、大魔導士の上に魔導師がある
魔導師の上に大魔導師があり、これが最高ランクとなる
シャルも才能に溢れているが、エステルはそれ以上だ
シャルが天才児なら、さしずめエステルは神童だろうか
くそ生意気なチビだが実力は本物ということだ、イリアスなら
期待もされているだろう、将来も約束されてるかもしれない
だが関係ない!自信をへし折りまくってやる!
□□□□
魔術大会本戦 ~ユウジ  vs  エステル~
目の前には小さいながらも気品が漂い、負けるはずがないと言った自信に満ち溢れているエステルがいる
{オーホッホッホ!逃げ出すかと思ったのじゃ。無様に転がる未来を選ぶとはやはり平民、浅知恵なのじゃ}
相変わらず口の減らないチビだな!
「戦いの場だから敬語は使わないぞ?遠慮もしない。エステル、余りピーピー喚いてると底が知れるぞ?おチビ様?笑。あ、お貴族様、か笑。」
もう敬語とかバカらしいわ!鬱憤晴らしてあやる!
{キッー!誰がチビじゃ、誰が!妾を愚弄するとは無礼千万なのじゃ!平民ごときが図にのるでない!}
お前は猿か?ハンカチとかでキッー!ってやって欲しいな
「貴族も平民もない!強いか弱いか、だ。そしてエステルは俺より弱い。降参しろ。無様に転がりたくはないだろ?笑」
慈悲だな、慈悲。さすが俺。紳士だろ?
{なにを世迷い事を抜かしておるのじゃ!妾が平民などに屈する訳がなかろう!顔だけでなく頭も悪いとは・・・哀れなのじゃ!}
な、、んだと!?俺はフツメンだぞ!?決して悪くはない!はず
しばらく低レベルな舌戦が武舞台上で行われた
そしてついに、試合が開始された
まずはエステルの確認だ。神眼!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
エステル=L=シェルストリーム 12歳 ♀ レベル:98
種族:人間
職業:魔導師
体力:450000(+100000)
魔力:1500000(+500000)
筋力:18000(+10000)
敏捷:120000(+50000)
器用:87000(+50000)
幸運:88
加護:大魔導師『魔才』
称号:魔導師
技能:生活魔法/魔力強化/魔導眼/魔力感知/作法Lv.56
火炎魔法/帝国式体術Lv.12/水刃魔法/迅雷魔法
土淵魔法/聖光魔法/ヒール/ヒーリング/キュア
キュアリング/エクストラヒール/リヴァイブ
魔法錬成/爆炎魔法/風凪魔法
『魔才』:全身体的能力のステータスUP(固定)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(あれから少しは修業したみたいだな。他の生徒よりかは全然強い。さすがエリートというべきか)
{妾を愚弄した罪、後悔するのじゃ!{暴食なる 賢き狂戦士よ 汝が咆哮に 竜は舞躍らん 六花よ 濁流せよ 火炎放射}}
(なにをぶつぶつ言ってんだ?・・・って、詠唱か。エステル、魔導師のくせに無詠唱じゃないのかよ!まぁやり方知らないならそんなもんか)
エステルが呪文を詠唱し終わると竜の形をした火炎放射が放たれた
まぁ強いんじゃないか?ってぐらいの威力はありそう
竜に飲み込まれたら丸焦げになりそうだしな、普通なら
「ん~。普通の属性魔法って加減難しいんだよな。弱すぎて・・・火炎放射」
俺もまた珍しく属性魔法を唱え、全く同じ魔法を放つ
俺とエステルの呪文がぶつかり合うと衝撃音が放たれ、魔法はきれいに打ち消しあっていた
この様子を見ていた観客席は大歓声をあげている
エステルの魔法は人々からすれば見事なものだったのだろう
そこに同様の魔法で対抗したのだから盛り上がらないはずがない
{な、なんじゃと?平民!貴様、今呪文を詠唱していなかったようじゃが!?}
「だから?エステル、お前の力はこんなもんか?なら諦めて降参でもするか?」
慌ててんなぁ。まぁ驚くのは仕方ないか
{ナメるでないのじゃ!平民が!{地の淵より這い出る 数多の星々よ。嘆きの寄る辺は天地の狭間 その開闢は終焉と知れ 土淵災苛}}
(今度は土淵災苛か。それにしても・・・これって待ってるのめんどくさいなぁ。攻撃しちゃおうかな~)
「詠唱中悪いが、今度はほんのちょっぴり力入れるからな。痛い思いしたくないなら避けろよ?・・・土淵災苛」
今度は地面の起伏を利用した土淵災苛だ
お互いが呪文を放つと起伏同士がぶつかり合う
また打ち消し合うかと思われたが、俺の魔法が競り勝ったみたいだ。エステルに俺の魔法が襲いかかる
さて、エステルはどう対処しますかね?
{くっ。小癪な!{聖なる光の鎧 其れは全ての障害を退ける 鎧に傷つけるものは皆無なり 聖光防壁}}
(ほほぉ、防壁魔法か。光系の魔法もなかなかのものだな。それにあれはなかなかの防壁だ。普通ならあれを突破するのは至難なはずだ。絶対の自信の一つか。なら・・・テレポート)
俺が放った土淵災苛はエステルの防壁魔法によってきれいに打ち消された
エステルのドヤ顔が目に映る。ウザい、その自信打ち砕いてやる
エステルの防壁魔法によって俺の魔法が打ち消された瞬間、俺はテレポートを使ってエステルの背後に移動した
{オーホッホッホ!どうじゃ、平民?貴様の魔法がいかに強かろうと妾の絶対的な防壁のまえ・・・え?、イタ!}
「ファウスバンカー!ついでに、てぃ!」
パリンッ!
エステルの絶対的な防壁?が音もなく砕け散った
エステルの呆然とした顔が目に映る
そう、俺はヘイネから伝授された神技で防壁を砕いたのだ
ついでに頭を軽く小突いて元の位置にテレポートした
「お前バカか?対魔術士戦において防壁魔法なんて誰でも対策してるもんなんだよ。自信を持つのはいいが過信はするな。痛い目見るぞ?てか、人が創り出したものなんだから人が壊せるに決まってるだろ。」
まぁ俺は人じゃなく女神に壊されたがな!
{そ、そんな・・・。わ、妾の絶対無敵の防壁じゃぞ?平民如きに破られるなんてありえないのじゃ・・・}
(はぁ~。まだ平民、平民、言ってるのか。本当プライドがお高いこって。こういうやつらはプライドをへし折るぐらいがちょうどいい。自分らの愚かさを徹底的に思い知らせれば少しはまともな人間性になるだろうしな。棄権されないうちに挑発するか)
「どうすんだ?ご自慢の防壁?笑。は平民に破られ、魔法の力も俺が上。勝ち目ないんじゃないか?今なら平民である俺が、お貴族様である公爵令嬢のエステル様を許してやってもいいんだぞ?ん~棄権しちゃいますか?エステルちゃん?笑」
気分はチンピラだな!普通は負けフラグだろうが、断る!
エステルがキッと睨んできた。本当貴族ってのは御しやすい
無駄なプライドとくだらない誇り。日本人の俺には理解できん
{き、きさまぁ!公爵家を!妾を!よくもバカにしおったな!もう許さんのじゃ!貴様がどうなろうと知らんのじゃ!魔法錬成!{灼熱の焔たる炎よ 我が手に集いて 力を暴発せん 全てを滅ぼせ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・}}
エステルは余程頭に来たのか冷静さを失ったかのようだ
(ん~。チョロいやつだな~。・・・にしても面白い魔法の使い方をする。同じ魔法を何度も何度も重ね合わせて威力をあげていくのか。1つの魔法を極めるには時間がかかる。その欠点を補ってるし、魔法を極めていけば自然とこのスキルも強くなる。問題があるとすれば詠唱が更に長くなっていることだな。ただこれ、無詠唱持ちなら欠点を改善できるだろ。もったいないな。いいスキルを持ってるのにそれを活かせないなんて・・・。ムカつくチビだが、この世界での初の魔法をエステルから教わるなんてな。ありがたい!これで俺はまた一つ強くなれた!)
「いいスキルだ、エステル。お前がもう少しまともな性格だったならぁ、と少し残念だよ。そのスキル真似させてもらうぞ?魔法錬成!・・・」
エステルが爆炎なら水で蒸発させてやる!
水の魔法を何度も何度も重ね合わせた
渦龍なら錬成しなくても余裕だが敢えて初級の魔法で対抗だ
相手の自信を打ち砕く有効な手は全ての力が敵わないと悟らせること
相手と同じ条件で叩き潰し、相手よりも不利な状況でも圧倒的な力で勝利すること
恐らくエステルの爆炎魔法は手持ちの魔法の中でも最強なのだろう
だったらこちらは初級魔法だ!その高慢さ打ち砕いてやる!
せっかく初の魔法を教えてくれたんだ、まともな性格になれるんだったら仲良くしてみたいからな!シャル達のように!
{消えてなくなるのじゃ!終極爆発!}
ちょっと!消えてなくなれって殺す気かよ!
「悪いが、まだ死にたくないんでな!水鉄砲!」
両者から二つの魔法が放たれる
最強魔法と最弱魔法のぶつかり合いだ
普通なら敵うはずもないウォーター・シュートだが、何たって俺の魔法だからな!
イリアスでは俺のウォーター・シュートでさえ最高クラスをはるかに上回る
ただそんな魔法をぶつけたらエステルが死んでしまうので、力を抑え付けた状態で錬成すると言う理不尽さだ
最強と最弱のぶつかり合いに決着がついた
武舞台の上は蒸し暑いサウナのようになっていた
どうやら魔法は打ち消しあったみたいだ
俺は予めアプソリュートを展開していたから濡れずに済んだ
エステルを見るとずぶ濡れになって呆けている
(まぁ最強の魔法を最弱の魔法で打ち消されたら誰でもそうなるよなぁ。いい薬になったろ。これで少しはまとな性格になってくれたらなぁ。せめて差別意識さえなければ・・・)
そんなことを考えながらずぶ濡れのエステルを見つめていた
上から眺めていくと、ご自慢?のドリルヘアーも水を被ってただのストレートになっている。髪結構長いんだな。
足まで届きそうな長さだ。ドリルヘアー恐るべし
顔立ちに視線をやると、ふむ?よく見ると結構・・・いや、かなり可愛いな!
さすが公爵令嬢。容姿端麗であらせられた。猫みたいな娘だ
いつもはウザくて目を合わせなかったしなぁ~
視線を下に向ける。服も透けちゃって体のラインがハッキリとわか・・・ん?な、、んだと!?エステル、お前・・・
隠れ巨乳だったのかよ!
ねぇ?その服でどうやって隠してたの!?
その歳でその山脈はやばいから!
マリーよりは小さい。ヘイネと・・・同じぐらいか?
ちょっと小さいかな?白鷺・・・う~ん。同じか少し上?
夢が膨らむなぁ、おい!それは危険物です!処理します!
まだ戦いは続いてるからな!攻撃しても問題ない!
呆けているほうが悪い!戦いは常に危険なのだよ!
「水鉄砲!」
俺はエステルの胸に向けて最・小・限のウォーター・シュートを放った
ゆ、揺れた・・・ぷるんぷるんだ!いや、ぶるんぶるんだ!
き、危険すぎる・・・。慎重に処理せねば!
「風凪の息!」
今度は爽やかな風をエステルに放った
試合中だしな。胸元ばかり狙うのは紳士じゃない!
ほほぉ!いいですな!先程とは違い静かな、でも確かな揺れを確認できる。こちらこそまさにぷるん、ぷるん、だ!
観客席からは大ブーイングが聞こえる
エロいことをしているからではない
それは上手く隠してるからな!
ブーイングの理由は戦意喪失している相手に容赦なく攻撃しているからだ
(ブーイングされてもなぁ。エステルの山で遊んでるだけだし、肝心のエステルが心ここに在らず、だからなぁ。審判もなんで止めないんだ?めんどくさいからエステルの意識を強制的に戻すか)
「帯電衝撃」
{・・・ひゃう!?}
可愛い声だすなぁ。なんか萌えるわぁ~
俺はエステルに向けて微弱の電流魔法を放った
所謂静電気みたいたなやつだ。意識を戻すぐらいなら十分だろ
「よっ!意識は戻ったか?まだ試合中だぞ?」
{・・・先程の、先程のはどうやったのじゃ?妾の最強の魔法だったのじゃ!なぜ水鉄砲で防げるのじゃ!ありえんのじゃ!}
あ、やっぱり最強の魔法だったんだ
「なぜって錬成したから?エステルがやってたやつだよ」
{なぜそなたが錬成を・・・いや、それはよい。問題はそこではないのじゃ!聞きたいのはなぜ水鉄砲で防げたかじゃ!いくら錬成したからと言ってもありえんのじゃ!初級と最上級の魔法には隔絶された差がある、初級をいくら錬成しようがその差が埋まることはないのじゃ。初級と中級なら話はわかる、でも初級と最上級ではありえんのじゃ。そんなことが仮に可能とするなら、既に世界の規格から外れた力・・・?}
エステルさんの山脈も十分規格から外れています、です
(にしても、こいつは驚いた。見た目の可愛さや歳に不釣り合いなバカでかい山脈だけでなく、頭もいいときてる。本当に12か?確かに逸材だ。帝国に留まらないぞ、この才覚は。世界の逸材だ)
「それだけ世界が広い、ということだな。ちなみにだが、俺の知り合いでも同じようなことできるぞ?多分。そいつも平民だ」
間違いなくサーシャもできるな。地力が違い過ぎる
{そ、そなた、以外にも・・・ど、どうなってるのじゃ?}
あれ?気付いたが呼び方変わってる?反省したか?
「エステルが強くなりたい理由はわからんが、以前は持ってなかった錬成なんてスキルを持ってるぐらいだ。強くなりたいんだろ?だったら狭い世界で閉じこもるなよ?世界は広い。平民やましてや奴隷の中にでさえエステル以上のやつはいる。強くなりたいならもっと広い目を持て。狭い了見で人を判断するな。強さに貴族も、平民も、奴隷もない。ただ強いか、弱いか、だけだ。エステルの中での身分という常識を捨てろ。常識に囚われれば囚われるほど、エステルは強くなれない。俺には絶対勝てない。いきなりは難しいかもしれないが、騙されたと思ってやってみろ。それに・・・」
{?・・・なんじゃ?}
「出会いは最悪だったが、俺はエステルと仲良くしたいと思ってるぞ?シャル達みたいな関係なら大歓迎だ!仮にエステルが身分という垣根さえ突破らって、友達になれたとしたら錬成の礼もある。俺が魔法を教えてやってもいいぞ?」
{・・・!本当じゃな!?そなたが魔法を教えてくれるのじゃな!?}
おぅ、なんかやけに食いついてきたな・・・
「エステル次第だな。身分に関係なく、人を人として扱え。遜れとは言わない。エステルは公爵令嬢だからな。立場もあるだろ?俺が言いたいのは見下すなってこと。例え奴隷でもだ。奴隷も命ある人だ、そして中にはエステル以上のやつもいる。見下すことでそこでエステルの成長は止まる。エステルがそれらをちゃんと守って実践できているなら魔法を教えてもいい」
{・・・わかったのじゃ。そなたがそういうならきちんと守るのじゃ!だから、ちゃんと魔法を教えるのじゃぞ!?}
はいはい、わかりましたよ。現金なやつだな
まぁなんとかなりそうではあるか
あとはエステル次第だが魔法を教わる目標がある以上は、ちゃん守るだろう
至らないところは注意すればいい、頭いいしな
とすると、最後の問題は・・・
「さて話し込んでしまったが、まだ試合途中なんだよ。どうする?まだやるか?俺としては降参して欲しいのだが」
それにエステルは気付いてなさそうだな、現状を。
{いや、妾はもう十分じゃ。全く敵わんのじゃ。・・・妾は棄権するのじゃ!}
エステルは高らかに棄権を宣言した
[勝者ユウジ・ハクト!]
審判の宣言とともに会場から溢れんばかりの拍手が降り注がれた
傍から見たら迫力ある魔法戦だから熱狂はしていたのだろう
ふぅ。よかった、よかった。
いくらエステルでもこれ以上はさすがにやりたくなかったからな
しかしまだ気付かないのか・・・
こちらに歩み寄ってくるエステルの山脈が上へ下へと揺れている
け、けしからんな!どうしても目がいってしまう・・・
「エステル、とりあえずこれ」
俺は上着をエステルに貸す。紳士だろう?
{なんじゃ?}
はやく気付けよ~。言わないとダメなのか?テンプレか?
「そのだな・・・凄くいい体だと思います!俺は大好きです!だから早く隠せ?エロすぎだぞ?」
どうせバレるんだ!だったら少しでも好感度を、だな
{?・・・~~~!!!}
おぉ、どんどん赤くなっていくぞ!?
エステルは頭から煙りを出すかの如く赤くなり俯いてしまった
ど、どうなるの・・・
どきどきしながら待っていると、エステルが口を開いた
{お・・・}
ん?・・・お?
{お師匠様はエッチなのじゃ~~~!}
・・・え?今、なんて?
「はああああはああああ!?お師匠様あああああ!?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔術大会本戦
第1試合 (○)シャルロッテ vs アルチアン(Х)
第2試合 (○) ユウジ vs エステル (Х)
第3試合 (○) アオイ vs ロラン (Х)
第4試合 (○) イザベラ vs レティシア(Х)
第5試合 (○) ブラッド vs イザベラ (Х)
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