過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~伝道師と未熟者~

『迷宮区』冒険者ギルド 11月30日

夏休みも残すところ後一ヶ月だ
俺と家族達は毎日リブループで充実した毎日を送っている
ダンジョン『山紫水明』をクリアした俺は日々鍛練に勤しむぐらいだが、着々と他のダンジョン攻略に向けて準備もしている

あかりの協力のもと作成を手掛けた迷宮地図は以下だ
〇帝国エクスペイン
〇迷宮大国サラセニア
〇連邦国家ベルカイム
〇獣王国ヴォルダム
〇教国イステール
〇神聖国ルズベリー

なぜ俺がここまで精力的に動いているか・・・
それは単純にユニークアイテムとあかりと一緒にいれる時間を増やす為でもある
やはりダンジョンなどではユニークアイテムの取得率が高いと見ていいだろう
リブループでもユニークアイテムを一つ取得することができた
故に上記の国のダンジョンも夏休み中に攻略する予定だ

当然ダンジョンに潜れば素材も貯まる
だから邪魔な素材を換金するのとある目的の為に、今俺は帝都エクスペインの冒険者ギルドを訪れていた
冒険者ギルドは相変わらずの騒がしさだ
酒場もギルドと併設されているから仕方ないのだろうが、どうもこの喧騒は慣れない
というか男共のバカ騒ぎがイラッとくるだけかもしれない
これが女の子の黄色い声援であったなら・・・

(うん!イラッとこないな!やはり男共が原因だ。うっとうしいし・・・黙らせるか?)

そんな俺の不穏な気配を感じとったのか、酒場がシーンとなった────ような気がした
これでも俺はSランク冒険者だ。ついに顔も知れるようになったのか、と悦に入っていたら・・・

〈おい、あれ兎じゃないか?〉
〈兎?兎ってなんだ?〉
〈お前知らないのかよ。新しいSランク冒険者の兎殺しだよ〉
〈兎殺しって・・・ぷぅ~(笑)なんだよ、それ〉
〈ラブリーファントハンターらしいぞ?だから兎殺し〉
〈ほぅほぅ。確かに運はいいみたいだな〉

「・・・」

ついに恐れていた事態に遭遇してしまった
いちお知られていたがまさかの兎呼ばわり・・・
いや、ある程度は覚悟してたよ?でも実際言われてみると色々と感じるものがあるね
これが女の子から言われたなら笑って許せただろう
しかし野郎共の、しかも酒の肴にされたとなると我慢ならん

「・・・ふふふふふふ。てめえら、いい度胸だな?お?その兎様が一人残らずぶちのしてやるから覚悟しろよ?・・・神圧!」

基本冒険者ギルドでは冒険者同士のいざこざは不干渉だ
だからと言ってギルド職員に、リアに迷惑をかけたくない
だからこの場は大人しく神圧で黙らせることにした
ついでに受付嬢をナンパしてたバカも巻き添えにした

当然その後は戦利品タイムだ
寝ている野郎共の所持品を確認する
俺は成人君子でもなんでもない。歯向かったやつらからはもらえるものならもらう主義だ
冒険者とはそういう生き物だからな
ここにあかりがいたらどうなったかはわからないが・・・

(あかりは真面目だからなぁ。こういう行為はどう思うんかね?勇者なんだから!とか言って怒るのかな?まぁ勇者というカテゴリーから見れば誉められた行為じゃないしな。でもこれも異世界文化だから仕方ない。綺麗事だけでは成り立たないのが人生だ)

野郎共の汚い体に触れたくないので神眼で確認しながら、最低限の所持品だけ押収する
金目のものはいらない。間に合ってるんでな!
狙うはユニークアイテムと転移の護符だ
まぁこんな野郎どもがユニークアイテムなんぞ持ってる訳はないので、お目当ては転移の護符になる訳だが・・・

(・・・お?神興国アステルの護符か。これはまだ持ってないな。頂き!っと)

こんな感じで酒場に転がっている野郎共から戦利品を押収していく
あっ。いちお酒場の店員さんには後で迷惑料を渡しておくからこの件は問題ないぞ?何も今回が初めてじゃないしな!
そろそろめぼしいものもなくなってきたかな、と思い始めてきたときにあるものに目に止まった

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『転移護符』ランク:A
転移魔法を組み込まれた護符
一度きりの使い捨てタイプ
自由な場所に転移ポイントを設定可能
現在設定ポイント『娯楽国家ハルバート』
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(・・・え?ご、娯楽国家、、、だと!?まさか・・・カジノ!?カジノがイリアスにあるのか!?一攫千金とかには興味ないが景品には興味あるな。ユニークアイテムとかありそうな気がする!こいつは詳しく聞き出さないとな!)

カジノを想像し心が少年のようにときめいた俺は、早速護符持ちの男を起こし、『娯楽国家ハルバート』について詳しく聞くことにした
ちなみにすんなり聞き出すことができたのは酒場の惨状を見せればたやすいことだ

「おい!死にたくなかったら『娯楽国家ハルバート』について知ってることを全部吐くんだな。そうすれば命だけは助けてやる」

あぁ~こういう三流悪役のセリフは一度言ってみたかったんだよな!大満足です!
というか、もともと殺すつもりもないし、そもそも転がってるやつらも死んでないからな?
ただ端から見ると死んでるように見えるもんなのかね?
俺が起こした男は酒場の惨状を見て、顔面蒼白になりわすがに震え出してもいる。こいつ本当に冒険者か?
そんななんだか冒険者に見えない男が口を開いた

〈ハ、ハルバートはあらゆる娯楽が集まった一大国家でがんす〉

が、がんすってお前・・・怪○くんの狼男かよ!
あ、古い?じゃあ比較的新しいのだとヤン○ス?
そんなことはどうでもいいんだよ!お前どこの田舎もんだよ!
そんな俺を余所に男は更に説明を続ける

〈別の名で夢の国とも言われているでがんす〉
・・・。ゆ、夢の国だと?あれ?どこかで・・・

〈様々な遊具があって一日ではとても遊びきれないでがんすよ!もう子供達には大人気でがんす!あっしの子供も喜んで・・・〉

(ええええええええ!?お前結婚してるのかよ!?しかも子持ちだと!?ひ、人は見かけによらないな・・・てか、娯楽国家って遊園地のことかよ!いや確かに遊園地も娯楽だけどさ・・・まぁ夢の国とか言われているんだしミー達が喜ぶか)

カジノを期待していただけにちょっと期待ハズレで意気消沈している俺を見て慌てる男
己の命の危機だと感じて慌てているのだろうか?
そりゃあ妻子持ちなら死にたくはないか。何度も言うが殺すつもりはない!

〈ほ、ほほほかにもカ、カジノ!カジノがあるでがんす!あ、あっしには縁がない場所でがんすが、あ、兄貴ならいけるんじゃないでがんすか?〉

兄貴って誰だよ!?なんで兄貴!?お約束のあれか?
てかお前ビビりすぎたろ!しかもカジノあるのかよ!
そういえばあらゆる娯楽があると言ってたもんな・・・
結構デカい国家なんだな、そうかそうか

「カジノは子供でも入れたりするのか?」
〈いや~。さすがに子供は無理でがんすね。いちお入場制限があるでがんす。15歳以上が対象でがんすね〉

(ちっ。やはり異世界でもそういう決まりはあるのか。いや逆に考えればそっちのほうが信用が持てるか?ミーやサリー、エステルも一緒に連れて行きたかったんだがなぁ・・・待てよ?連れていっても他の客がいたら心配だな。遊園地にしてもそうだ。バカなテンプレが付き纏う・・・いっそ俺らしく貸し切るか!うん、そうしよう!確か国の一年の国家予算が王金貨80枚とか言ってたよな?ならチョロいな)

家族で楽しめる目算がついた俺は自然と口元が吊り上がり獰猛な笑顔になっていた
『娯楽国家ハルバート』に想いを馳せていたからだ
嫁やエステル、家族達が喜んでくれる。それだけでも大収穫だ!俺は心の底から嬉しかった。

しかし男はそう感じていなかったようだ
俺の獰猛な笑顔が男からしたら、お前はもう用済みだ、と言わんばかりに見えていたのだろうか
ようやく落ち着いていたのに急にガタガタとまた震え出した
ちょっとひどくね?そこまでひどい顔してたのか?

〈ひぃぃぃ!お、おた、お助けを!とっておき!とっておきを教えるでがんす!!だから殺さないでほしいでがんす!〉
「・・・」

(さ、さすがにここまでビビられると凹むわ~。少しやりすぎたか?・・・でもこいつの無様にも生に執着する姿は悪くないな!好感すら持てる!やはり身の程を弁えていることが長生きできるコツだよなどうにも身の程を弁えないバカが多過ぎるからなぁ~)

というか、遊園地にカジノ以外の娯楽ってなんだ?
あまり思いつかないな・・・
俺が困惑していると、男は周りをキョロキョロし出した
なにしてるんだ?周りに聞かれるとまずいことなのか?
周りに人がいないことを確認した男は、俺の耳元に顔を寄せてきて囁き始めた

周りに聞かれたくないのはわかるが、俺の耳元に野郎の顔があると思っただけでイラッときたがこの際我慢してやろう
何たってとっておきらしいからな!すげ~気になる!
しょうもない内容だったら、男をぶっ飛ばせばいいだけだしな!
どんな内容なんだろうね?君の命運がかかってるからな?

〈『娯楽国家ハルバート』の真髄は夕方からにあるでがんす!〉

夕方から?まさかの時間指定かよ!
神殿みたいなライトアップとかそんな感じか?
遊園地もあるみたいだし、夜のパレード的な?

〈そんなんじゃないでがんす!これでがんす!これ!〉

そう言って男が俺に見せてきたのはハンドサインだ
一見手を握りしめているだけにしか見えないが、微妙に違う
握りしめた拳の人差し指と中指の間から親指が出ている
こ、これはもしかして・・・あれか?あれなのか?
男は少しにやけた下卑た顔で話を続けてきた

〈『娯楽国家ハルバート』には娼館があるでがんす!兄貴もきっと満足するでがんすよ!〉

し、娼館だと!?娯楽!?娯楽なのか!?いや娯楽か・・・
俺も男だ!興味が全くないわけではない!しかし・・・

「お前なぁ・・・奥さんいるんだろ?悪いとは思わないのか?子供だっているんだろ?しっかりしろよ」

興味はあるが愛すべき嫁達がいるからなぁ
やはり罪悪感はあるし、俺が満足したいが為だけってのもな
実際嫁達だけで十分満足しているし、俺には縁がないな

〈はぁ~。兄貴は頭が固いでがんす。あっしは嫁がいるからこそ通ってるんでがんすよ?言うなれば嫁の為に娼館に行ってるんでがんす〉

「お前ふざけ・・・いや、どういうことか詳しく話せ」

俺は一瞬、バカなことを言うなと男を叱り付けようとしたが、男がふざけてなどいないことにすぐ気付いた
どこかおどおどしていて頼りなさげな冒険者風の男が、今はなんとも言い難い自信に溢れた真剣な顔をしていたからだ
他の人にはわからないかもしれない男の微妙な変化
この男はきっと、これから話す内容が常識の範囲を超えた何かを俺にもたらしてくれるかもしれない・・・そう改めて感じたからだ

〈いいでがんすか?そもそも娼館の目的は男の欲望を満たすのが本来の目的でがんす。もちろんハルバートの娼館も大体がそんな感じでがんす。しかしあっしはそんなところにはいかないでがんす〉

男から語られた内容を簡単に説明すると、

ハルバートには全部で5つの娼館があるらしい
①ノーマルな娼館  (幅広い年齢層あり) 夕方開店
②ノーマルな娼館  (若い子のみ在籍)  夕方開店
③ノーマルな娼館  (年齢高めの子が在籍)夕方開店
④アブノーマルな娼館(いろんな事ができる)夕方開店

上記の娼館が男が言う所謂男の欲望を満たす娼館らしい
そこには男は一度も足を運んだことはないのだとか
自信満々に言うことか?結局娼館には通ってるんだよな?
そして男が足繁く通っているのが『愛の伝道館キューピッド』らしい

(で、伝道館!?なにを伝えるんだよ!?しかもキューピッドって・・・ネーミングセンスどうよ?)

〈そもそも兄貴ほどのお人でがんす。周りにたくさんの女性がいるでがんでしょう。中には睦まじい関係の女性もいるはずでがんす。兄貴・・・その女性を満足させてあげているでがんすか?男女において睦み合いとはとても重要なものでがんす。一種の愛情表現でがんす。兄貴は自信を持って愛情をちゃんと与えてあげていると言えるでがんすか?〉

「!!!」

(な、なんだこいつの異様なオーラは!?お、俺がたじろぐだと!?お前何者だよ!?・・・いや今はいい!確かにこいつの言う通りだ!愛し合いは愛情の一つだ!そして俺は『狂愛』や『房中術』によってみんなを満足させてあげてもいる!)

「俺はみんなを満足させていると自信を持って言える」

俺は謎の男の目を見つめハッキリと答えた
普段なら男の目を見つめる行為など吐き気がするほど悍ましいのだが、今は何故か男から目を離したらこの男に負ける気がしたのだ

〈そう・・・でがんすか。まだ若く見えるのにさすが兄貴でがんす。あっしらのような一般市民とは格が違うと言うことでがんすね。お見それしたでがんす!〉

ふ、ふぅ~。なんか異常なオーラ出しやがるから冷や汗掻いたな
それにしてもそれが娼館に通うのと何が関係あるんだ?
俺が思案に耽っていたら・・・

〈時に兄貴。念のため確認するんでがんすが・・・〉

男が更に口を開いた。どうやらまだ話は終わっていないみたいだ
それにしてもこいつの、さっきから俺を伺うような視線と男が放つ底知れない百戦錬磨のオーラはなんなんだ?

〈まさか兄貴は房中術スキルや別のスキルを使って満足させてはいないでがんすよね?大抵自信満々に答える人の大半がスキル使用者なんでがんすよ〉

「!!!」

(どういうことだ!?お、俺もスキル使用者なんだが!?ダメなの!?ダメなのか!?スキルも俺の力であり、俺の一部だろ!?)

〈もちろんスキルも大事なものでがんす。しかしそれはスキルに頼った愛情表現でがんす・・・大袈裟に言うと、スキルが女性を愛しているだけでがんす。そして女性もスキルを愛しているだけとも言えるでがんす。スキルがメインになってはいけないでがんす。あくまでメインは兄貴でがんす。スキルはあくまでスパイスでがんすよ。スキルがメインでない兄貴で満足させてあげる。それこそが本物の愛というやつだとあっしは思うんでがんす〉

俺はその場で膝をつき頭を垂れた
こいつの言う通りだ。反論のしようもない
最近は特に『狂愛』に頼りすぎている気がする
果たして俺は『狂愛』を使わずして、今のみんなを満足させてあげられるだろうか?
俺は『狂愛』の対抗スキル『発情』を使われた状態で、『狂愛』なしでみんなを満足させてあげられるだろうか?

「俺には自信がない・・・」
〈兄貴・・・だからこそ『愛の伝道館キューピッド』が役に立つんでがんす!〉

男が話す『愛の伝道館キューピッド』は以下の内容だ
・スキルに頼らない性技の特訓。娼館内は結界護符あり
・開店は昼から。夜は奥さんとの時間を大切に
・国営店舗。働く娼婦は一級娼婦資格持ちのみ

(ふむ。つまりスキルを使えないようお店に結界を張っている訳だな。徹底しているな・・・まぁ俺には意味ないことだが。そして開店が昼からというのがすごいな。これなら時間を見て・・・いやいやいやいや!やっぱり行くわけにはいかない!みんなに悪いからな!・・・ただこいつの話だと店舗は娼館っぽくない見た目らしいな。そりゃあそうだよな。昼から開いているんだからそのへんの配慮は必要だよな。そして一番驚いたのが国営であり娼婦にも資格があることだな。娼婦と言うと普通は差別迫害対象になるんだがハルバートは?もしかしたらイリアスも?そうではないらしいな。寛容というかなんというか・・・もしかしたら日本とは少し考え方が違うのかもしれない)

男に更に詳しく話を聞くと完全予約制らしい
そして娼婦に情が沸かないよう、一度指名した子は一週間は指名できない仕組みなんだとか
あくまで性技の伝道や特訓が主目的であり、欲望のままのサービスなどはないのだとか。違反すれば出禁になる
そして男は驚くべくことに奥さんから娼館通いの許可を貰っているらしい

(おいおい、冗談だろ!?娼館通いを認める奥さんとかマジでいるのかよ!?羨まけしからんな!!それともイリアスの人はみんな娼婦に対しての意識が日本人とは根本的に違うのか!?確認、確認したい!しかし誰に聞いていいものやら・・・こいつの奥さんが特別という可能性もあるから聞いても意味ないしな。ヘイネは聞かなくても多分許可してくれるから参考にならないな。サーシャ?いやいや!サーシャは絶対嫉妬する。セリーヌ?う、う~ん。。。セリーヌに娼館通っていい?とか聞くのはさすがにどうなんだろ?あかりと詩乃は日本人だしな・・・こういうとき頼りになる詩乃に聞けないのはイタイな。となると・・・リア?娼婦についての考え方を聞くならリアが一番よさそうかな?そもそも今日はリアをデートに誘いにきたんだし、ついでに聞いてみてもいいかな)

〈兄貴、わかって頂けたがんすか?あっしは嫁を満足させて愛を伝えるために娼館に通うんでがんす!これから先もあっしはキューピッドとともに!兄貴もどうでがんす?嫁のため一緒に愛を高めていきましょうでがんす!〉
そう言って自信満々な笑顔を向ける男は件のハンドサインをしている。それなにかの合図なのか?

お、おぉ・・・なんなんだこいつは
まさかこの俺がこいつに感化され始めているだと!?
こんな気分になったのはエステル以来だな。しかも男にだぞ!?実は女でした!とかの展開ないよな!?
そして俺が下した答えは・・・

「よ、嫁に相談してからだな。それでもすごく興味はある。とてもありがたい話を聞かせてもらった。ありがとう。これは礼だ。奥さんや子供になにかプレゼントでもしてやれ」

そう言って俺は男に王金貨1枚を渡す。男にできる最大の礼だ
男は王金貨を初めて見たのだろう。驚きのあまり意識を手放しそうになっていた
本当こいつはよくわからん。凄まじいオーラを出しているかと思えば、頼りなかったり・・・
意識を覚醒した男が遠慮がちに王金貨を俺に返金してこようとしていたが強引に渡した
正直王金貨1枚以上の情報を得た。これでも感謝したりないぐらいだ
渋々といった感じで受け取った男だがなにかを考えこんでいるようだ
他になにかあるのだろうか?正直お腹いっぱいなんだが?まだ衝撃的情報があるのだろうか?
そして何か答えを導きだした男はおもむろに語りだす・・・

〈わかりました。兄貴とあっしの友好の証としてこのお金は頂くでがんす〉
へ?友好の証?別にそういう気持ちで渡したつもりはないんだがな・・・

〈兄貴から証を頂きましたんで、あっしからも兄貴に友好の証を渡すでがんす。どうぞでがんす〉

なんだかよくわからんうちに友好を深めることになってしまったが、この男ならまぁいいか
男から受け取ったのは黒いカードらしきものだった
派手なデザインは一切ない。カードの裏にはよく見るスタンプカードらしきものが見える
そして表には・・・『愛の伝道館キューピッド裏会員証』との文字が!!!
思わず俺は男を見る。男は俺に件のハンドサインをしている。だからそれなんかの合図なのか?

「お、お前。裏会員証って・・・。いいのか?きっとすごく価値のあるやつだよな?」
〈あっしと兄貴の友好の証でがんす。遠慮なく受け取ってほしいでがんす。ちなみにあっしは・・・〉

男が懐から取り出して見せてくれたのは銀色に輝くカードだった。ま、まさか・・・
これランク制なのか!?黒ってことはおそらく一番下か?普通のと裏の違いは!?
俺は食い入る様に男に質問してみた。こういう楽しみは大好きです!

男から更に聞き出した情報は以下だ
・裏会員にのみランク制あり(黒→白→銀→金)
・裏会員には指名制の制限がなし
・裏会員の予約は優先的に受け付けてくれる
・裏会員にのみスタンプあり。特典はお楽しみ

男が言うには裏会員になるには相当通いつめないといけないらしい
そのうえでオーナーに気に入れられる必要があるのだとか・・・
素直に疑問に思う。こいつは一体何者だ?そんなにたやすく裏会員証を配れる地位にいるとなると・・・
俺はどうしても確認したくてたまらなかった。だから・・・

「お前は何者だ?裏会員証を簡単に渡せるぐらいの地位にはいるんだろ?」
〈あっしはカイン。しがない風来坊でがんす。名乗るようなもんではないでがんすよ〉

・・・。
とりあえずわかったことはこいつはバカだということだ
まぁどうせ神眼で見るからいいんだけどね、自己紹介してくれなくてもさ
その後もカインから有用な情報を聞き出した俺はカインと別れることにした

(今日の目的はリアをデートに誘うことだ。いつまでもカインに付き合ってる暇はない。でもその前に・・・神眼!)

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カイン=クイント 33歳 ♂ レベル:26

種族:人間族
職業:伝道師

体力:3000
魔力:500
筋力:4000
敏捷:2000
器用:50000
幸運:89

加護:なし
称号:愛の伝道師/愛のキューピッド7星
技能:房中術Lv.501/愛の伝道Lv.500/四十八手Lv.498
   生活魔法
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(ぶふぅ~~~~~!なんだ愛のキューピッド7星って!?ご大層な称号だな、おい!しかもなんだこのステータスは!?どんだけ愛に満ちてるんだよ!?羨ましいな!!!・・・とりあえず四十八手は複製させてもらおう。それにしてもすさまじいな。世の中には上には上がいるもんだ。俺なんてまだまだだな・・・アンジェリーヌの房中術にも驚いたが、まさかそれ以上のやつがいるとは。いいやつに出会えたと思うべきだろう。愛の伝道館キューピッドか・・・。これは真剣に考えたほうがよさそうだ)


これが愛の伝道師カインとの初めての出会いであり、自分自身がまだまだ未熟者であると思い知らされた出来事でもある




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