過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~純愛と情愛~

帝都エクスペイン・『中央区』待ち合わせ広場

「あの・・・。なんであかりさんがいるんでしょうか?」

今俺の目の前には、本来この場にはいないはずの愛しい純愛の撫子あかりがいる
どうしてあかりがこの場にいることに驚いているのか、それは・・・
今日はリアとのデートの日だからだ。
ねぇなんでいるの!?みんなには上手くいって出てきたのにさ!

先日ギルドを訪れた際には伝道師カインとの出会いがあったが、本来の目的はリアをデートに誘うことだった
そしてリアの仕事の休日に合わせた日が今日だったのだが・・・

《ん?リアさんが誘ってくれたんだよ?一緒にデートしましょうって》

(・・・へ?当事者の俺に相談もなく勝手に!?しかもリアから誘うとかなに考えてるんだ!?てか、リアとこっそり付き合ってるのがあかりにバレたじゃねぇか!せっかくエステルにも内緒で出てこれたのに俺の苦労が台無しだろ!せめて相談ぐらいしてくれよ・・・相変わらずリアはやることなすこと強引なんだよなぁ~)

いちおリアとの付き合いは家族には内緒にしている。多分バレてないはず・・・
というのもマリーの件がある以上、リアとの事はなかなか公けにできないからだ
だからこっそりお付き合いするという形にしている。先月11月もこっそりデートをしていた
家族にバレるリスクもあるので、リアとのデートは大体月1ではあるのだが・・・

「そ、そうなんだ・・・。まぁリアが許可だしてるなら構わないけど。とりあえずデートなんだし腕でも組んどくか?それとも手を繋いどく?」

《あれ?意外とすんなり受け入れてくれるんだね?じゃあ、お言葉に甘えて腕組ませてもらおうかな!》

あかりは驚きながらも俺の最愛ポジション(仮)?である左腕に、自分の腕を絡めてきた
いや、だってあかりも一緒にデートするんだろ?だったらいちゃいちゃしたいしな!
最初あかりがいることには驚いたがこうなった以上は仕方がない、楽しんだもの勝ちだ

「意外と言えば、今日はリアがメインのデートなのにちゃっかり俺の最愛ポジションを占拠するんだな(笑)てっきりあかりは、独占欲とかそういうのはあまりないものだと思っていたんだが?まぁ俺は別に構わないんだが、リアにはその最愛ポジションのことは内緒にしてくれよ?リアとデートするのに拗ねられたらかなわんからな」

独占欲があまりないと思っていたあかりでもやっぱりそういうのはあるもんなんかね?
まぁ他のお嫁さん達と仲良くできて、マリーみたいにあまりにも強烈でなければ全然構わないがな
むしろあかりは従順すぎて少しぐらい我儘を言ってくれてもいいような気もするな
ひたすら尽くされる愛ってのもなんだかんだ結構気にしちゃうもんだな、なんて思っていたら・・・

《私だって雄司君を独占したい気持ちはあるんだよ?私を1番に想ってほしいなとも思うしね。だから、いくら友達のリアさんのデートでも雄司君のここ最愛ポジションは譲れないかな!だって雄司君の最愛ポジションにいれる数少ないチャンスだもんね!私はチャンスを全部掴み取るって決めたからね!それにね、私は雄司君と一緒にいれる幸せのほうが強いから独占欲とかはあまり表立って出てないだけだよ?・・・なんなら私を雄司君の最愛にしてくれる?》
そう言ってあかりは上目遣いで俺に悪戯じみた笑顔を向けてきた

(ごふっ。。。すげ~可愛いな!おい!!ひたすら俺に尽くしてくれて、なおまだここまでの可愛さを引き出せるのかよ!・・・あかりは本当男好きするような女だよな。それにしても最愛かぁ~、いくらあかりでもそれは無理だな~。そんなことぐらいあかりもわかった上で聞いてきたんだろうが。まぁこのデート中ぐらいはあかりを最愛に思っていてもいいかな~~~~は!・・・しまった!今日はリアとのデートだろ!リアを差し置いてあかりを最愛に思うとかどんだけ失礼なやつだよ!)

あかりは魔性の女だ。いつでも俺を狂わせる
そう判断した俺は夫として、一人の男として決断せざるを得なかった
俺を狂わせる魔性の女であるあかりにお仕置きを与えなければならないと・・・

そう決断した俺の行動は素早かった
あかりのしなやかな、それでも肉付きの良い腰にサッと手を回し俺のほうに引き寄せる
そしてあかりの妖しく少し潤っている唇にそっとお仕置きキスをした

《もう雄司君ったら!ちゃんと想いを言葉にしてくれないとダメだよ!罰としてもう一回キスだよ!》

そしてあかりに怒られてしまった俺は罰としてもう一度あかりと唇を重ねることになった
ここまでがもはやテンプレだ。敢えて言葉にしないことであかりともう一度キスを重ねることができる
これが俺とあかりとの間で交わされた『約束』の一つでもある
先日あかりを大切にする『約束』とともにあかりから提示された『約束』だ

俺ならキスぐらいいつでもどこでも何回でもしてあげるが、あかりはそういう訳にもいかないらしい
本当はキスしたいくせに恥ずかしがっちゃって・・・可愛いやつだ!
だから俺は敢えて『約束』を破ってキスする大義名分を手に入れている
あかりもそのことに気付いてはいるが敢えて分からないフリをしているようだ
そんなちょっとめんどくさいながらも可愛らしいあかりは嫌いじゃない。むしろ結構萌える!

(あかりと二人きりのデートとかもなんか新鮮そうだよな。恋人の過程をすっ飛ばして夫婦になっちゃったから、改めてあかりと二人きりの時間を作る大切さが身に染みてわかる。少しずつでいいからあかりとの時間を作っていくか。夫婦だけど恋人夫婦みたいなものも悪くはないよな!)

「あかり。今度は二人きりでデートしようか」
《雄司君?いきなりどうしたの?》

俺はあかりを抱きしめながら語りかける
ここは待ち合わせ場所なだけあって人は多いが気にしない
今更過ぎるし、今抱いてるこの想いをあかり伝えたいから

「あかりとの二人きりの時間がなんとなく必要なんじゃないかな?って思えたんだよ。俺達は既に夫婦な関係だけど、そこまでに至る過程がないだろ?俺があかりを蔑ろにしていたのもきっと結果夫婦にまで至る過程恋人期間がなかったからだと思うんだ。既に俺とあかりには結果がある。だから結果を肉付けしていく上でも過程を作っていきたい。俺とあかりが目指すべきは恋人夫婦だ!」

一息ついてあかりの様子を伺う
あかりは嬉しそうだ。今にも抱き着いてきそうな雰囲気さえある
ここまで喜んでくれるとさすがに提案してよかったと心から思える
そんなあかりの可愛らしい笑顔を見ていると思わず抱きしめたくなったが、俺は想いを全て綴り切れていない

「だから・・・俺と付き合ってくれ!あかり!!」
《雄司君!?》
俺の予想外の言葉に驚くあかり

「驚くことないだろ?まずは形からってな。恋人夫婦を目指すなら告白も当然必要だろ?この前のは夫婦になるための告白プロポーズだった。そして今のは恋人になるための告白だ。あかりだって、もし付き合うなら自然になんとなくよりもちゃんと告白されたいだろ?こういうところから少しずつ過程を作っていこうと思う」

あかりは日本人だからな
やはり異世界人であるサーシャ達とは違い、ちゃんとした過程を踏むべきだった
俺の中にある日本人身内に対する潜在意識が、自然とあかりを蔑ろにしていたんだろう
だからあかりとは、まずは恋人からだ!
既にあかりは俺の嫁という結果がある
その結果を作る為の恋人という過程が俺達には必要なだけだ

「それで?お返事頂けますか?」
《私でよければ喜んで!大好き!雄司君!》

俺は思わず抱き着いてきたあかりを受け止める
確かこれはあかりの愛情表現の一つだったかな?
あかりが愛情表現を示すなら俺もあかりに示したい!
俺はあかりのサラサラで長い黒髪を掬うようになでる
あかりは気持ち良さそうに目を細めている

(そういえば・・・あかりにはなでなでしてあげたこともあまりなかったな。サーシャやセリーヌ、エステルなんかは毎日してあげているのに・・・これが嫁と恋人に対する意識の違いか?普段あかりは何も不満を口に出さないけど、もしかしたら少しくらいは思う所があったのかもしれない。あかりと恋人という過程を経る間にこういうところの意識も変わってくれれば・・・いや変えるべきだな!)

こうしてリアと合流するまでの間、嫁であり新たに彼女にもなったあかりを満足するまでなでなでしてあげた


□□□□

連邦国家ベルカイム・カフェ

俺とリアとあかりは合流した後、ベルカイムへと転移した
目的は紅茶の本場であるベルカイムを楽しむ為だ

『やっぱり本場は全然違いますね!香りと味が全く違います』

ベルカイムに到着した俺達は、早速リアの希望通りカフェへと突撃した
そしてリアとあかりに薦められた紅茶を口にしてみる訳だが・・・

「う、うまいな・・・驚いた」
紅茶に疎い俺ですら、その違いがわかるぐらい全く別物だった

これは所謂あれだよな?
今まで飲んできた紅茶が紅茶でなくなる現象だ
つまり舌が肥えてしまうかもしれない!
さすが本場だ!紅茶素人の俺を唸らせるとはな!
さすがだ。さすがなのだが・・・

「確かに美味いんだが・・・店の雰囲気がな~。もったいないよな」
『確かにそうですね・・・。雰囲気はエクスペインが一番でしょうか』
《でもエクスペインは味が微妙なんだよね》

以前来たときも思ったのだが、ベルカイムは色々と雑多な感じだ
それは市街地だけでなくお店もそんな感じなのだ
まだ宝石商やカフェは綺麗なほうなのだろうが、それでもごちゃごちゃ感はある
味がいいだけにかなりもったいない

比較するとこんな感じだ(紅茶素人評価)

(国)    (味)(清潔感)(ムード)

イシス     ○   ○    ○
エクスペイン  △   ◎    ◎
ベルカイム   ◎   △    △

「まぁ総合的に考えるとイシスが一番なんだな。でもこの味知っちゃうとイシスも微妙になるよな~」
『ユウジさんは転移あるからいつでも来れるじゃないですか』

(いやまぁ、そりゃあそうなんだろうがカフェ童貞捨ててまだ間もない俺が一人でカフェとか難易度高いですから!正直ここまで美味いとなるとやはりそれなりに飲みたくなるよな。というか、市場には茶葉も販売してるんだよな?だったらそもそもカフェ行く必要ないんじゃね?)

「てか、リアが自宅で俺に紅茶淹れてくれよ。そうすればリアに会いに行く回数も増えるし、なによりカフェに行かなくて済むだろ!」

何気にこれ名案じゃね?
ついでに自宅デートもできるしな!
・・・あれ?そもそもリアってどんな家住んでるんだ?
気になったので尋ねてみようとしたら、リアは真っ赤な顔になっていた。なんで?なんか照れる言葉あったか?
そんなリアの様子を見て困惑している俺に、あかりが俺にジト目をしながらも真意を教えてくれた

《雄司君。さりげなくリアさんのお宅訪問をするって言ってるけど、普通そういうのって親密な間柄じゃないとしないと思うよ?》

「・・・?さっぱり意味がわからん。親密な間柄って俺とリアの仲なら今更じゃないか?それにリアは俺の事が好きなんだろ?俺もリアの事は好きだし。これって親密になるんじゃないのか?てか、これ以上親密になるにはどうしたらいいんだ?リアを抱けばいいのか?」

『《・・・》』

・・・あれ?
なんで二人ともそんな驚いた顔してるんだ?
なにか変なこと言ったかな・・・

『わ、私のこと好きなんですか?』
「え?好きだけど?」
『《・・・》』
「・・・?」

なんで今更そんなこと聞くんだ?
どうもあかりとリアの態度に違和感を感じる
これはあれだ。きっと俺がまたなにかやらかしてる系だぞ!
考えろ!リアを傷付けうちに考えるんだ!

『え、えっと・・・それは友達としてではなく異性としてですか?』
「そりゃ、そうだろ。好きじゃなきゃデートに誘ったりしないだろ」

(・・・え?そこ確認とる必要ある?わざわざ何回もデートしてるのに?・・・いや、待て?確認を取ると言うことは、リアは俺がリアのことを好きだとは知らなかったってことだよな?リアからは何回も俺への好意を伝えてもらった事はあるが俺からはあったか?俺はデートをするという態度を見せただけで、リアに明確な好意を伝えたことは一度もない気がするな・・・あちゃ~。またエステルの時の二の舞かよ!・・・いやいや!まだ間に合うよな!今だ!今告白しよう!)

あかりとリアを見ると二人ともキョトンとした顔をしている
やはり俺の考えは間違っていないようだ
告白するなら今しかない!

「あっ。ごめん。俺はリアのことが好きだ。決して諦めないその情熱に俺は心を奪われている。だからリア、俺のものになれ」

『《ええええええええ!?なにサラッと告白してるの(んですか)!?》』

やっぱりこれだったか~。でも俺は告白したぞ!
タイミングはおかしいかもしれないがしたからな!?
あの時からは少し成長したはずだぞ!?

『じ、じゃあ私はユウジさんの彼女なんですよね?』
「そういうことになるな。よろしくな!」
《よ、よかったね!リアさん!ちょっと予定狂っちゃったけど》
「予定?どういうことだ?」

そこで二人から語られた予定はザッとこんな感じだ

そもそもリアがあかりをデートに誘ったのも、俺とリアをくっつけるお手伝いをしてもらうつもりだったらしい
そしてあかりも当然友達であるリアの為に一肌脱ぐつもりだったみたいだ

(・・・あかりは本当か?その割には最愛ポジションを占拠したりしてたよな?明らかにデートを楽しもうとしてなかったか?意外と腹黒い?)

二人で何やら色々と企んでいたようだが、想定外の展開に驚いたということだ
俺としてはその企みも気になるところだが・・・
聞いていいものだろうか?それともこの後してくれるのだろうか?
結局気になったので聞いてみる事にした

『《・・・き、・・・》』

・・・ん?なにか今、耳を疑うような発言が聞こえたな
いやいやいや!この二人に限ってありえないよな?
俺の聞き間違いなだけだ。再確認しよう

「すまん、よく聞こえなかった。もう一度頼む」
俺は満面の笑顔で二人にもう一度言葉を促した

『《・・・》』
おいおいおいおい?まさか、まさかな?冗談だよな?

「・・・まさかとは思うが言わないつもりか?」

俺は二人の肩にそれぞれ手を置く
逃がさないぞ?との気持ちをこめて
顔はもちろん笑顔だ。端から見たら菩薩に見えるだろう

『《あかりさん(私)の薬でユウジさん(雄司君)を眠らせて、その間に既成事実を作ってしまおうかと・・・》』

「・・・そうか。よく正直に話してくれたな。偉いぞ?二人とも。さすが俺の女達だ」

そう言って二人の肩に置いた手を、二人の頭に置き直し優しくなでなでしてあげた
二人は怒られると思っていたのか、急ななでなでに驚いていた
あかりとリアは幸せそうに目を細め、なでなでにとても満足しているようだ

《雄司君に怒られるかと思ったけど、ちょっと意外だったよ。さすが雄司君だね!》
『そうですね。普通は怒るはずですが、さすがユウジさんと言うべきでしょうか?』

俺はより一層二人に愛を込めて頭をなでなでしてあげた
顔は相変わらず笑顔だ。菩薩や釈迦如来像も顔負けだろう

(さてと・・・もう十分だよな?男の度量は十分見せたよな?この二人にはお仕置きが必要だよな?悪いことをしたら(未然だけど)叱る必要があるよな?じゃないずっとなめられっぱなしになるよな?二度とバカなことを考えないよう矯正する必要があるよな?なにをしてくれようか・・・。やはりまずは二人に俺の力を誇示する必要がある。反抗するとお仕置きが待っているとわからせないとな。それと二人には反省してもらう必要がある。そうなると羞恥心か?しかし俺の前だけで恥ずかしがっても反省してもらうにはちょっと効果が弱い気がする。やはり衆人環視に羞恥心を晒してこその反省だよな。しかし二人は俺のものだしな・・・。やはりこれがベストか!)

「なぁ、二人とも聞いて欲しいんだ」

先程まで安堵していた二人は俺の言葉を聞いて体を強張らせた
やはり怒られるのか?といった不安な表情をしている
そんな二人に俺は笑顔で首を横に振りながら優しく語りかけた

「俺には状態異常は全く効かないぞ?だから薬は効かない・・・それと安心しろ?怒りはしない。怒りはしないが、二人には反省してもらう!・・・時間停止魔法アハルテン

『え?ユウジさん?反省ってどう・・・』
《薬効かないの!?というか、反省ってなにす・・・》

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(ふぅ、完了。意外と手間取ったな。そ、それにしても色々なタイプがあるんだな・・・勉強になったし、正直ちょっとドキドキした。思わず見とれちゃったしなぁ。とりあえず・・・時間停止解除!)

『・・・いうことですか?あれ?』
《・・・るつもりなの?ふにゅ!?》

おぉ、おぉ。さすがに違和感を感じているか
それにしてもあかりは可愛い声だしたな。少し萌えたぞ?
にしても気付く様子がない?意外と気付かないもんなんだな
これだと反省にならないんだよな~。教えてやるか・・・

「二人に今お仕置きをした。大いに反省するように!なおノークレームノーリターンでお送りします!」
『な、なにをされたんですか?』
《ね、ねぇ、なにをしたの?雄司君の事だからすごく嫌な予感がするんだけど・・・》

天国から一気に地獄に落とされたようなとても不安な表情のあかりとリア
不安だけで済めばいいね~。反省するのはこれからなんだから!

「リアはあれか?今日俺を襲う予定だったから所謂勝負下着ってやつを着けてきたのか?結構いいセンスをしているよな?思わず見とれちゃったよ。フリル付きの下着なんてな!」

俺の言葉を聞き、リアはすぐさま理解したようだ
バッと体を確認し始めみるみるうちに顔が赤くなりだした
その光景を確認した俺は意地悪な笑顔をあかりに向ける
あかりは既に確認済みなのだろう。顔は既に赤い。俺に対して無言で首を横にふるふる振っている
あかり、気持ちはわかるぞ?リアもいるもんな?言ってほしくないんだよな?
でも俺は容赦はしない!リアだけ辱める訳にはいかないからな!友達なら一緒に恥ずかしさを共有しろ!

「あかりはあれだよな?明らかに俺を誘ってるんだよな?こんなのマンガやアニメでしか見たことないぞ?てか下着なんだろうが、これランジェリーだよな?確か俺の記憶が正しければ・・・ベビードールってやつだったかな?しかもシースルー。ちょっと興奮しました!ありがとうございます!」

『ア、アカリさん!?なんて大胆なんですか!?』
《いやあああああああ!!だって、し~ちゃんがこれ着てけ!っていうから~!》

詩乃の仕業だったのか・・・。ナイスだ!詩乃!!
あかりはエロい体してるんだからそっち方面に才能を伸ばすのは間違ってない!
さすが我が同士詩乃!わかってる~!

『《ユウジさん(雄司君)》!返してください(よ)!!』
「ノークレームノーリターンだ。今日1日デート中はそのままでいろ。二人にはいいお仕置きになるだろ?服着てるんだしそうそうバレやしないよ。あ、でも急な突風にはお気をつけください(笑)こんな感じ?ウィンド・ブレス!」

俺はそう言って二人の足元にさわやかな風を送り付ける
もちろんスカートがめくれるかめくれないかの瀬戸際な強さの風だがな!
それでも二人には効果てき面だ。二人同時に急いでスカートを抑えつけた
そうだよな?必死になっちゃうよな?めくれちゃうと大変だもんな?

こうして服の下に何も身に着けていないという二人の痴女あかりとリアと再びデートを再開することになった

・・・え?奪った下着はどうしたんだって?もちろん回収したが?アイテムボックスにあるぞ?
・・・え?返す予定はあるのかだって?あるわけないだろ!今の所有者は俺だぞ!
・・・え?それをどうするつもりかだって?コレクション?使うことはない!可愛い嫁達がいるからな!


□□□□

《うぅ~。下がスゥスゥして変な気分だよ~》
お約束のセリフありがとうございます!これは定番中の定番だよな!

そんな訳で二人の下着をアハルテンで剥ぎ取った俺は再び優雅にお紅茶を堪能し始めた
二人はそわそわしっぱなしだが俺が返すつもりがないと理解したのかあきらめたようだ
返すわけないだろ!二人へのお仕置きなんだからな!
というかさっきの返事聞いてないんだが?そこんところどうなの?

「ところで話が大きく逸れたが、リアの家に俺が行っても問題ないんだよな?それにベルカイムで茶葉を購入すればリアの家で本場に近い味を堪能できるはずだよな?」

あれ?できるよね?まさか飲み専とかってオチないよね?
この前ティーセット購入してたし、自分で淹れたりするんだよね?

『紅茶を淹れることはできますが、このお店と同じように淹れるのはさすがに無理ですよ?多分味はグッと落ちると思います』

なんで!?ここの店も茶葉はきっと市場のやつだったりするよな?
それとも特別製のやつなのか!?それならそれを買えばいいのか!?
訳がわからない!そんな感じの顔を俺はリアに向けてみた

『紅茶にしてもそのほかにしてもそうですが、水が違ったり、専用の器具を使ったり、もちろん茶葉が違ったりもしますよ?あとは資格とかでしょうか?きっとここのマスターも資格やらスキルやら持ってるはずです。だから素人の私が淹れてもここまで美味しくなることはないと思います。』

ふ~ん。その辺はスキル制に似てるんだな
どんなにスキルのLvがあっても使いこなせていないと本来の力は出せないもんな
ということは、使っている素材が同じでも扱う人間で味も変わるのか・・・

「仮にだが、使う素材や器具が同じで、同じ資格やスキルを持っていたらどうだ?」
『え?そ、そうですね・・・。全く同じ味というのは難しいでしょうが、近い味ぐらいは出せるでしょうか?』

(まぁ近い味が出せるならそれでもいいか。そこまでこだわってもいないしな。素材などは市場でなんとでもなる。器具はここの店のをマジックアイテム化すればいい。スキルや資格もなんとかできる算段がある。あとはリアの気持ち次第だな。とりあえず確認だけでもしとくか・・・神眼!)

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テリー=デューク 46歳 ♂ レベル:12

種族:犬人族
職業:マイスター

体力:200
魔力:30
筋力:150
敏捷:300
器用:400
幸運:66

加護:なし
称号:紅茶マイスター/紅茶アドバイザー/紅茶博士号
   紅茶検定1級
技能:紅茶マイスターLv.256/紅茶アドバイザーLv.244
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(ふ~ん。スキルであるのはありがたいな。そのまま複製させてもらうか。それにしてもマイスターとアドザイバーってなにが違うんだ?まぁどうでもいいか。どっちも複製してリアに与えておけば問題ないだろ)

「ここのマスターはスキルで紅茶マイスターと紅茶アドバイザーを持ってるみたいだな」
『そうですか。これだけ美味しい紅茶なら納得もいきます』
「いやいやいやいや!感心するだけでなくてさ。そのスキルさえあれば美味しく淹れられるか?」
『・・・え?どういうことですか?』

(あぁ、リアは俺がスキル強奪できること知らないんだっけか。いちいち説明するのもめんどくさいし、さっさと渡しちゃったほうが賢明だな。論より証拠ってな!・・・本日二度目の時間停止魔法アハルテン!)

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(ふぅ。完了っと。とりあえずスキルの複製と器具のマジックアイテム化だけでいいかな?あとはリアと相談するだけで十分だろう。これで好きな時にリアの家にお邪魔できるな!いやいや!好きな時に紅茶を飲みにいくことができるな!あくまで目的は紅茶だ、紅茶だ!・・・げへへ)

「リア、頭失礼するぞ~」

そう言ってリアの頭をなでなでしつつスキルを譲渡する
本当はキスがいいのだがいちお店内だしな!TPOは大事だよな!
リアを見ると、リアの体を赤い光が優しく包み込んで次第に体に溶け込んでいった

「よし、成功だな。おめでとう、リア!これで君も紅茶マイスターだ!」
『えええええええ!?なんなんですか、これ!?なんで私にスキルが!?しかもLvすごく高いんですが!?』
「スキルは俺が渡したからだ。Lvはマスターのをもらったからだな」
『はぁ~。もはやなんでもありなんですね、ユウジさんは』

ちょ!?ひどくね!?微妙に誉めてないよね?それ!
リアは常識人だからこういう力を見ると呆れちゃうのか!?
あかりなら手放しで誉めてくれるんだけどな~
男は誉めて伸ばしてほしいもんなんだぞ!

ちなみに俺とリアのやりとりを見ていたあかりもスキルを欲しがったのでついでに渡すことにした
ただあかりにスキルを渡したのはいいのだが、ふとあることを思いついてしまった

「あれ?あかりがスキル持ちなら、リアの家に行かなくても美味しい紅茶が飲めるのか?」
『!!!』

(あっ。失言だったか・・・明らかにリアが落ち込んでしまっているな。ちゃんと想いを伝えてあげないとリアが可愛そうだよな)

「冗談だよ、リア。ちゃんとリアの家に行くよ。だから美味い紅茶を俺の為に淹れてくれ。てか、そもそも俺はリアに会いたいからリアの家に行くんだよ。紅茶はついでだ、ついで」

『ほ、本当に私の家に来てくれるんですか?本当に私に会いに来てくれるんですか?』

う~ん?少しうたぐり深い性格なのか?
・・・いや、そもそも俺が原因なのか
安心させてあげたいがどうしたらいいのだろう?
方法はあるのだが店内だしなぁ・・・
いや、今はそんなことを言ってる場合じゃないか

「『約束』する。俺はリアに会いたいからリアの家に訪問する。だからリアは俺の為に美味い紅茶を淹れてくれ。もちろんリア自身でも大歓迎だぞ?」

『・・・もうユウジさんったら冗談ばっかり!でも『約束』ですよ!必ず来て下さいね?待ってますから!』

はにかんだ可愛らしい笑顔を向けてきたリアが俺に小指を差し出してきた
指切りげんまんか、懐かしいな。イリアスにもそういう文化があるのか
でも俺流は違うんだよな。思わずあかりと顔を見合わせ笑ってしまった
そんな俺とあかりを見て不思議そうにしているリア

「俺の『約束』はやり方が違う。今リアに教えてやるよ」
そう言うと俺はリアの唇にそっと触れるように唇を重ねた

『・・・え?』

リアは俺の突然のキスに呆けた顔をしている
俺にとってはいつもの『約束キス』だが、リアにとっては違うんだよな
思えば俺からリアへの告白もキスもこれが初めてなような気がする

「確かに『約束』をしたぞ?今度寄らせてもらうからな。それと遅くなってすまん。リアからのお願いで俺からリアにキスをするだったか?それも確かに叶えてあげたぞ」

『あり、、、がとうございます。ユウジさん。今日は最高の1日です。ユウジさんの彼女になれて、しかも初めてユウジさんからキスもしてもらえました。ずっと願っていたことが一気に二つも叶うなんて・・・。私、今日の事は一生忘れません!大好きです!ユウジさん!!』

感極まって涙を流し俺に抱き着いてきたリアの顔はぐしゃぐしゃになっていたが、それでも美しいとさえ感じてしまった
いつもは強引にデートやらキスやらされてしまったが、どうやら今回は俺が主導権をにぎれた初めてのデートとなったようだ
それは奇しくもリアが望んでいた結果だったのかもしれない

(う~ん。リアが喜んでくれたのはいいのだが、やはり告白もキスも場所を考えるべきだったよな・・・まぁ状況が状況なだけにどうしようもできなかったけどさ。まぁそうそうくる場所じゃないし、構わないか)

その後勝手に大盛り上がりしていた俺達は、これ以上お店の迷惑にならないようそそくさとカフェを後にすることになった

ちなみにその後向かった公園でリアに親愛のオラクロアリングを渡し、ちゃんとした告白もした
リアに感激されたのは言うまでもない。3人で大いにいちゃいちゃできた1日デートだった


これが俺と情愛の愛民リアとの『はじめての約束』だった


『ユウジさん。今度はご家族に私を『彼女』としてちゃんと紹介してくださいね!』
「ごふっ!?ま、また今度な・・・」

リアに告白はしたが、俺とリアの関係は今までと変わらないし、変えるつもりも今はない
できることならもう少しの間だけはこっそりとお付き合いしたいものだ
マリーの事やエステルの件、色々と考えなければいけないことが山ほどある


(でもきっとリアの事だ。持ち前の強引さでグイグイとアピールしてくるんだろうな。家族に知れるのも時間の問題か。それならいっそ俺から紹介してあげたほうがリアもきっと喜ぶよな。いつ紹介するか・・・今でしょ!といかないのが難しい所だ。まずは先にエステルの件を片付けないとな)


今回の獲得品
・リアのフリル付き下着(青)上下
・あかりのシースルーベビードール(赤)
・スキル『紅茶マイスター』・『紅茶アドバイザー』
・リアの家の合鍵

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