過去と現在を結ぶ異世界ストーリー

なつきいろ

~賢妻と愛姫と愛妖精~恋の相談会?②

side  -セリーヌ- ~開始~

セリーヌの夜はほとんどが妹のアオイと一緒ですの
順番でくるユウ様の夜のお相手の時だけアオイとは別々になりますの

でもセリーヌはその日もアオイと一緒でいいと思いますの。アオイだってユウ様の事が好きなんですの!
だからセリーヌとユウ様とアオイの三人で仲良く寝ればいいんですの!
一人の幸せセリーヌ一人より二人の幸せアオイと一緒のほうがきっと幸せですの!

なのにアオイはユウ様にちっとも告白しようとしないですの。なんでですの?
じれったいですの・・・セリーヌお姉ちゃんアオイの為になんとかしてあげたいですの
でもユウ様からは「変にけしかけるな!」と言われていますの・・・
ユウ様の言葉は絶対ですの!だからセリーヌはユウ様との約束を守りますの

────それでもアオイの幸せも叶えてあげたいですの。どうしたらいいんですの?

□□□□

商都リブループ・ユウジ別荘 ~とある夜~

今日はサーシャの日ですの
だからセリーヌはいつものようにアオイと一緒に夜を過ごしてますの

アオイと一緒の夜の日はアオイの演奏鍛錬に付き合っていますの
アオイはいつの日か急激に成長しましたの!大人っぽくなりましたの!
その影響ですの?アオイの奏でる演奏はどこか哀愁が漂いながらも、アオイのその時々の想いを聴くもの全員の心に強く訴えかけてくる素晴らしい演奏なんですの!
セリーヌはアオイの演奏が大好きですの!そしてユウ様も・・・

その演奏を聴きながらセリーヌはいつしか眠りについてることが多いんですの
もちろん今日もアオイの演奏を聴きながら静寂な夜を楽しんでいましたの

そんな時でしたの・・・

────コンコンっ

アオイの演奏を中断するかのように不意にドアがノックされましたの

[[・・・どなたですの?せっかくアオイの演奏を楽しんでましたのに!でもこんな遅い時間に訪ねてくるなんてなにかあったんですの?なにかあったならセリーヌの出番ですの!ユウ様の愛しい人が集まるこの別荘はセリーヌが全力で護りますの!]]

〈あ、僕が対応するからお姉ちゃんは座ってていいよ〉
[わかりましたの。アオイよろしくですの]
アオイはよく気が利く妹ですの。さすがセリーヌの妹ですの

アオイがドアを開けるとそこには・・・

{こんばんはなのじゃ。夜遅くに申し訳ないのじゃ・・・少し時間いいかの?}

夜の演奏のひとときを破った訪問者はエステルでしたの。・・・珍しいですの
最近よく接する機会が増えてきたとはいえ、セリーヌとエステルの間で共有できる話題なんて特にないような気もしますの

[[あ!もしかしたらセリーヌ達と一緒に遊びたいんですの?それならエステルも一緒にアオイの演奏を聴きますの!・・・でも夜更かしはユウ様に怒られますの。だから少ししか遊べないですの]]

エステル
エクスペインの公爵令嬢とユウ様から聞いてますの
いつしかユウ様の家にやってきて、夏休み中はそのまま居つくことになった人物ですの
最初は無愛想もいいとこでしたの。セリーヌや家族のことなどまるで興味がないような・・・
家族みんなが仲良くすることはユウ様の願いですの!だから最初はエステルにいい印象はなかったですの
それが最近は積極的にユウ様の婚約者や家族に関わろうとしていますの。どういう心境の変化ですの?
ただエステルが積極的にセリーヌや家族に接してくることはとてもいいことですの!
だからセリーヌもエステルとは仲良くしたいですの!

アオイに部屋の中に招きいれられたエステルはどこかそわそわと落ち着きがないようでしたの

[[わかりますの。エステルもいちお公爵令嬢ですの。貴族なら仕方ないですの・・・セリーヌ達と一緒に遊びたいけど、貴族故のプライドですの、一緒に遊んでほしいと恥ずかしくてなかなか言い出せないもどかしい気持ち・・・わかりますの、わかりますの。だからここはセリーヌがエステルの気持ちを汲んであげないといけないですの!]]

[恥ずかしがらなくてもいいんですの、エステル。セリーヌもエステルと一緒に遊びたいんですの!だから一緒に遊ぶんですの!]
{・・・いや?遊びに来たのではないのじゃ。話をしにきたのじゃが・・・}
[そうなんですの!?]
{〈・・・〉}

遊びにきた訳じゃないみたいでしたの
じゃあなんなんですの?話ってなんですの?

{・・・}
[・・・]
〈・・・〉

セリーヌの勘違いのせいか部屋の中に微妙な雰囲気が流れましたの
エステルも何か話しづらそうにしてますの
確かにセリーヌも悪かったですの!
でも話にきたのはエステルですの!早く話して欲しいですの!

そんな場を和らげてくれたのは頼りになるアオイでしたの

〈エステル様、ユウジ義兄さんのこと?〉
{そ、そうなのじゃ。アオイにも分かるんじゃな}
[?ユウ様がどうしたんですの?]

[[どういうことですの?ユウ様に何かあったんですの?そもそも、なんでエステルがユウ様のことをセリーヌ達に話にくるんですの?ユウ様に何かあったら、サーシャ姉やあかりが伝えにくるはずですの。しかも今日はサーシャ姉の日ですの。ユウ様に何かあってもエステルには分からないはずですの]]

セリーヌは訳が分かりませんの
エステルは言い出しにくいのかなかなか話出しませんの
困りましたの。だからアオイに助けを求めましたの

[お姉ちゃん。きっとエステル様はユウジ義兄さんとの仲について相談しにきたんだと思うよ?だって見てたら分かるもん。エステル様がユウジ義兄さんのこと好きなのが]

{そ、その通りなのじゃ!その・・・妾はお師匠様のことが好きなのじゃ。お師匠様から告白もされたのじゃ。とても嬉しいのじゃ!・・・しかし悩んでいることもあるのじゃ。今回セリーヌ達の所にきたのはそのことについて相談したいからなのじゃ}

[[なるほどですの。確かにエステルがユウ様に気があるのは前々から気付いてましたの。セリーヌの専用場所であるユウ様の膝上を、エステルが狙っていることぐらいセリーヌだって知ってますの。でもエステルはユウ様のことが好きで、ユウ様もエステルのことが好きなら何を悩む必要があるんですの?・・・これはエステルから詳しく話を聞く必要があるんですの!エステルのユウ様への気持ちが本物なのかどうか、セリーヌのこの「審美眼」で見極めますの!]]


こうしてセリーヌとアオイ、エステルの恋の相談会が始まりましたの


side  -セリーヌ- ~終了~

□□□□

side  -エステル- ~開始~

サーシャの提案通り、最近妾はお師匠様の婚約者である、サーシャやセリーヌ、アカリ達、そしてお師匠様の家族達と過ごす時間を増やしているのじゃ

お師匠様と一緒にいる時間は減ってしまって寂しいのじゃが、それでもみんなが良くしてくれているので悪い気はしないのじゃ

────いつからなのじゃろうか?こうして他人と深く関わり合うことをやめてしまったのは・・・

妾は今までお師匠様のことしか見ていなかったのじゃ
お師匠様が妾とみんなの不仲を嫌がるから、表面上はサーシャやセリーヌ達とは仲良くしていたのじゃ

それがこの前、サーシャが真摯に妾の相談に乗ってくれたことが嬉しくて・・・
そしてそのサーシャが真剣に妾のことを想って提案してくれたことが嬉しくて・・・

そんなサーシャが本当の母上みたいに想えた妾は、サーシャ母上の提案してくれたことを真剣に試してみたくなったのじゃ
妾自身の為に、そしてサーシャ母上の気持ちに応える為に

その日から妾は表面上だけではなく、心からお師匠様の家族達と接するようにしたのじゃ

始めはなかなか距離感が掴みづらく苦労もしたのじゃが、サーシャやアカリの手助けもあり、今では本当の家族のように妾も接することができ、また家族達も本当の家族のように接してくれるようになったのじゃ

しかし同時に分かることもあったのじゃ

家族達みんなが心からお師匠様を愛していることを・・・
妾が仮にお師匠様を独占などしてしまったら、家族達みんなが悲しんでしまうことを・・・

{{嫌なのじゃ!嫌なのじゃ!妾だけが幸せになるなど嫌なのじゃ!以前聞いたお師匠様の願いは家族の幸せだったのじゃ!なら妾の幸せもまた、本当の家族のように接してくれるお師匠様の家族達の幸せなのじゃ!だから妾がお師匠様を独占など絶対できぬのじゃ!してはならないのじゃ!・・・しかしどうしたらいいのじゃ?妾はお師匠様を独占などしたくないのじゃ。でも!妾の本能がお師匠様を独占したいと叫んでいるのじゃ・・・どうしたらいいのじゃ。分からぬのじゃ・・・}}

こうしてまた一人悶々と考える日々が続いたのじゃ

しかし以前とは違う何かを妾は感じていたのじゃ


上手く表現できぬが、妾の中にある何かが徐々に溶け始めているのを確かに感じていたのじゃ・・・


□□□□

妾は今、セリーヌの部屋の前にいるのじゃ

セリーヌの部屋からは夜の静寂に溶け込むような優しく、でも奏者の気持ちを十分に載せた美しい調べが聴こえてくるのじゃ

{{これはアオイじゃな。とても美しい調べなのじゃ。中断させてしまうのが申し訳ないぐらいなのじゃ・・・相談は中止しようかの?しかしサーシャからはみんなの意見をなるべく聞いたほうがいいとも言われておるしのぅ。せっかくここまで来たのじゃ!今更躊躇ってどうするのじゃ!}}

一人悶々と考えていても良い結果はでないと思った妾は、誰かに相談しようと思い立ったのじゃが・・・

相談するならサーシャが一番いいのじゃが、今日はサーシャの日らしいのじゃ
それならアカリなのじゃ!と思ったら、アカリは仕事で今夜は遅くなるとのことじゃ

そうなると残りは・・・

セリーヌに関しては正直相談しても大丈夫なのか不安なのじゃ
別にセリーヌのことは嫌いじゃないのじゃ
むしろ可愛らしいのじゃ

ただ相談するとなると、こう一抹の不安があるというか相談にならなそうというか・・・

ただ妾の足をセリーヌの部屋の前まで運ばせたのは、セリーヌと同室しているアオイの存在なのじゃ
アオイがいるなら相談しても、ちゃんと相談になるのではないのかとそう思えたからじゃ


────コンコンっ


サーシャの時もそうだったのじゃが、この瞬間は慣れないものじゃ。何と言うか変に緊張するのじゃ

{こんばんはなのじゃ。夜遅くに申し訳ないのじゃ・・・少し時間いいかの?}

出迎えてくれたのはアオイだったのじゃ
部屋の奥にはベッドの上で寝転んでいるセリーヌも見えたのじゃ
お揃いのパジャマに、似たような髪型。とても可愛らしい二人なのじゃ

{{確かにお師匠様が二人を可愛がる気持ちがよく分かるのじゃ。妾だって二人を可愛いがりたいのじゃ!と言っても、お師匠様からすれば妾も二人と大差ないみたいなのじゃが・・・}}

部屋の中に案内され、どう切り出したらいいか迷いながらも妾はそんなことを考えていたのじゃ

ふとセリーヌの表情を伺うと、なにやらしたり顔をしていたのじゃ
まるで妾の用件などお見通しとばかりに・・・

{{そんなに妾の態度は分かりやすいものなのかの?それにしてもまさかセリーヌにすらバレておるとは・・・妾は心のどこかで、セリーヌは子供で相談に足る人物ではないと完全にセリーヌを侮っていたのじゃ・・・考えてみれば、セリーヌは小さいながらもお師匠様の婚約者なのじゃからな。侮るほうが間違っていたのじゃ。セリーヌに対する認識を改めないといけないのじゃ}}

妾がセリーヌに対する認識を改めていたら、当のセリーヌが口を開いたのじゃ

[恥ずかしがらなくてもいいんですの、エステル。セリーヌもエステルと一緒に遊びたいんですの!だから一緒に遊ぶんですの!]

{{・・・へ?遊び?セ、セリーヌは一体何を言っているのじゃ!?さっきまでのしたり顔は妾が遊びに来たけど恥ずかしがってるとでも思っておったのか!?・・・訂正なのじゃ。やはりセリーヌはまだまだ子供なのじゃ。これでお師匠様に抱いてもらっているとか正直驚くのじゃ。とりあえずセリーヌの勘違いを正さないといけないのじゃ}}

{・・・いや?遊びに来たのではないのじゃ。話をしにきたのじゃが・・・}
[そうなんですの!?]
{〈・・・〉}

{{ほら、アオイまで驚いているのじゃ。どうやらアオイは、妾が遊びで訪ねて来たわけではないと分かっていたようなので助かったのじゃ。相談するならアオイじゃな。しかしどうやって切り出したらいいのものか・・・}}

妾が相談内容の切り出し方に悩んでいたら、助け舟を出してくれたのはやはり頼れるアオイだったのじゃ
対してセリーヌは自分の予想が外れた影響からか、なんかぽか~んとした顔をしているのじゃ

〈エステル様、ユウジ義兄さんのこと?〉
{そ、そうなのじゃ。アオイにも分かるんじゃな}
[?ユウ様がどうしたんですの?]

やはりアオイはサーシャ同様、妾の用件に感づいていたようじゃ

これで確定したのじゃ

妾のお師匠様への気持ちはみんな(一部除く)に筒抜けになっていたのじゃと・・・
隠せていたと思っておったが、全く隠しきれていなかったのじゃと・・・

{{みんなにバレておるのならもう隠すのはやめじゃ!どんどん相談していって妾なりの答えをみんなと一緒に考えていくのじゃ!妾も幸せで、お師匠様も幸せで、そして家族みんなも幸せになれる。そんな方法を見つけだしてみせるのじゃ!}}


こうして妾とセリーヌ、アオイの恋の相談会が始まったのじゃ


side  -エステル- ~終了~

□□□□

side  -アオイ- ~開始~ (お姉ちゃん=セリーヌ)

〈エステル様のお話を要約すると、ユウジ義兄さんを独占したいけど、それをするとみんなに迷惑かかっちゃうからエステル様はしたくない。でもエステル様の本心はユウジ義兄さんを独占したい。だから悩んでるってことでいいんだよね?〉

僕とお姉ちゃんがいつものように夜まったり過ごしていたら、突然エステル様が訪ねてきたんだ

僕はすぐにピンッときたよ。ユウジ義兄さんのことだってね
だって僕はあらかじめサーシャお姉ちゃんに相談されていたから
もしエステル様が訪ねて来たら、ユウジ義兄さんのことだから力になってあげてねって感じでね

お姉ちゃんに相談しなかったのはお姉ちゃんだからかな?
多分みんなも分かってくれているよね?
お姉ちゃんはお姉ちゃんだから

途中予想通りお姉ちゃんの勘違いがあったけど、エステル様の相談内容を聞き出すことができたんだ
既に内容は知っていたから、エステル様から聞き出す必要もなかったんだけど形式的には必要だよね

〈〈さてどうしたもんかな?正直言うと僕には独占欲とかよく分からないんだよね。好きな人と一緒にいれて、お互い愛し合っているならそれだけでいいような気もするしね。そもそも僕がユウジ義兄さんへの気持ちを封印できたのも、ユウジ義兄さんとはいつも一緒にいれるし、僕もユウジ義兄さんもお互いを愛しているからなんだよね。もちろん家族愛だけどさ。それでも僕は十分満たされている。あれかな?ユウジ義兄さんと恋人になりたいって思ったら僕にも独占欲とか出るのかな?・・・でもユウジ義兄さんと恋人なんかになったら、今よりも幸せな気分になりそうな気がして独占欲とか結局出なさそうかも?────ユウジ義兄さんと恋人か~・・・はっ!ダメだよ!僕にはお姉ちゃんがいるんだから!お姉ちゃんは裏切れないよ!僕はお姉ちゃんを悲しませたくないからね!封印の扉は開けちゃダメなものなんだよ!・・・う~ん。やっぱり僕には恋ばなは危険な気がするよ。お姉ちゃんに任せたいけど、お姉ちゃんには嫉妬のしの字も、独占欲のどの字もないぐらい心が広いんだよね。エステル様の相談の件は僕達には荷が重すぎるかも・・・〉〉

僕は力になれないかもしれないと思い、申し訳なさそうにしていたんだけど、お姉ちゃんは・・・

[ユウ様を独占ですの?そんなのエステルには無理ですの。ただただマリー姉様に殺されるだけですの。死にたくないなら独占なんてバカな考えは捨てるんですの]

・・・。

部屋の中をなんとも言えない空気が流れちゃったよ
僕も又聞きだけど聞いたことがあるよ
お姉ちゃんのお姉ちゃんで名前をマリーさんと言うんだよね
お姉ちゃんのお姉ちゃんだから、僕のお姉ちゃんにもなるのかな?

なんでももの凄く嫉妬深いんだとか
ユウジ義兄さんに手を出そうとした女性が何人も犠牲になっているんだとか

〈〈────こ、怖いよ。僕、ちゃんとマリーお姉ちゃんって言えるかな・・・こういう世界だから、ある程度人が死んじゃうのは仕方ないけど、好きな人にちょっかい出されただけで殺しちゃうとか凄すぎるよ・・・むしろ本当に人を愛するってそういうことなのかな?それでも僕には無理!無理!〉〉

{サーシャからもマリーとやらのことは軽く聞いておるのじゃ}
[だったら話は早いですの。ユウ様と一緒になりたいなら独占したい気持ちは捨てるしかないですの。ほら、解決しましたの。簡単ですの!]

〈〈ええええ!?確かに最終的にはそうならざるをえないんだろうけど、それが難しいからエステル様は相談しにきたんじゃないの!?〉〉

お姉ちゃんの正論なんだろうけどあまりにも強引な答え
当然だけどエステル様は納得していない顔をしているよ
いや、当たり前なんだけどね・・・

{いや、しかしの・・・!!?}

・・・ん?なんだろう?部屋全体が少しずつ揺れている?

部屋の微妙な違和感もそうだけど、それよりも異常だったのは目の前のエステル様だ
言葉を発しようとしていたのが遮られ、今はガタガタと震えている

・・・なんで!?エステル様になにがあったの!?

異常事態が発生したと思い、すぐさまお姉ちゃんを確認しようとしたときにその原因が分かったよ

[しかしもカカシもないですの!!!どれだけユウ様に甘えるつもりですの!!!いい加減にしないとマリー姉様が殺す前にセリーヌがエステルを殺しますの!!!]

〈お、お姉ちゃん!抑えて!抑えて!本当にエステル様死んじゃうから!エステル様が死んじゃったらユウジ義兄さん悲しんじゃうよ!?〉

お姉ちゃんから放たれたユウジ義兄さんの神圧みたいな凄まじい威圧が部屋全体とエステル様を襲ったみたい
エステル様の聞き分けのなさにお姉ちゃんが憤怒した結果が今の状況なんだろうけど・・・

〈〈お、お姉ちゃんが憤怒した所なんて、僕初めてみたよ・・・そういえば、魔術大会で僕に呪いをかけた相手に憤怒してたってのはユウジ義兄さんから聞いたことあるけど見るは初めて・・・〉〉

ユウジ義兄さん曰く、バカと天才が紙一重なのと同じく、慈愛と憤怒も紙一重なんだとか
慈愛に満ちたお姉ちゃんがここまで憤怒するなんて正直驚いたかも・・・

とりあえずエステル様を介抱して、あとお姉ちゃんの気が鎮まるのもだね、しばらく待つことになったよ

────。

〈エステル様、ごめんね。落ち着いた?〉
{う、うむ。ありがとうなのじゃ、アオイ}
エステル様も大分落ち着いたみたいでよかった

時折お姉ちゃんをチラチラと見てはいるようだけど・・・
それは仕方ないよね。僕も同じ立場ならそうしちゃうから

〈〈それにしてもお姉ちゃんは急にどうしたんだろう?とりあえずエステル様だとお姉ちゃんに聞きづらいだろうから、僕が確認しないといけよね?エステル様もどうしてお姉ちゃんが怒り出したのか気になるだろうし〉〉

お姉ちゃんは今だ頬をぷぅと膨らませてそっぽを向いている。まだ怒っているんだろうけど・・・
あ~!お姉ちゃん可愛いよ~!ぎゅ~ってしたい!
・・・はっ!と、とりあえず確認しないとね!

〈お姉ちゃん、急にどうしたの?〉

僕の言葉にエステル様も耳を傾けているみたい
やっぱりお姉ちゃんが怒り出した理由気になるよね

[エステルが我が儘ばかり言ってるからですの。別に嫉妬や独占欲を持つなとは言わないですの。それはある意味仕方ないことですの・・・でもそれはあくまでユウ様以外に関してのみですの。ユウ様のことに関してはエステルは我が儘を言う資格は全くないですの!言える立場でもないですの!]

資格も立場もないってどういうことだろう?
きっとエステル様も僕と同じ疑問を抱いているよね
僕も気になるしもう少し詳しく聞いてみようかな
僕は更に詳しく説明してくれるようお姉ちゃんにお願いしてみたよ

[エステルは、ユウ様のお側にいれるということがどれだけ凄いことか、そしてどれだけ大変なことかということを全く分かっていないですの。例えばエステルが、ユウ様の家族という立場に留まるつもりなら別に今の考え方でも構いませんの。でもエステルの願いは家族ではなく、ユウ様の隣にたつセリーヌ達と同じ立場ですの]

〈〈ええええ!?なんか僕に飛び火してきたんだけど!?というか、ってどういうこと!?ぼ、僕の気持ちにお姉ちゃんは気付いているの?〉〉

僕が慌てているのを余所にお姉ちゃんは慈愛に満ちた目で僕を見つめる
あっ。いつものお姉ちゃんだ。お姉ちゃんなんだけど・・・?
でもどこか違う。普段のあどけなさのない大人っぽい雰囲気だ

[エステルもアオイもよく聞くんですの。願いを叶えるには必ず力が必要になりますの。望む願いが大きければ大きいほど必要になる力も当然大きくなりますの。]

〈う、うん。それはなんとなく分かるよ。よくユウジ義兄さんが言ってるからね。力無き正義は無力だ!って。世の中綺麗事だけでは何も解決しないって意味らしいけど・・・〉

[さすがアオイですの!つまりセリーヌが言いたいことは、ユウ様を望むには力が必要だということですの。例えば、お姉様は言わずもがなですの。それにサーシャだって毎日厳しい鍛練をしていますの。アカリだってユウ様の隣にくるまでは死に物狂いだったと聞いていますの。みんなユウ様の隣にいる為に今まで頑張ってきたし、今も頑張っていますの。今のエステルよりも遥かに力を持っているのに、ですの。それでもまだ満足せずに毎日精進していますの。それに対してエステルは何をしてきたんですの?何をしているんですの?ただただユウ様の愛に甘えているだけではないですの?更に甘えるだけではなく我が儘も言ってますの。だからセリーヌは怒ったんですの。エステルはユウ様の愛に甘えるだけではなく力をもっとつけるんですの。我が儘を言いたいなら我が儘を言えるだけの力を手に入れるんですの。それらをせずただただ甘えているエステルがセリーヌは気に食わないんですの。ユウ様とはそれだけの人なんだということをエステルはもっと意識したほうがいいですの]

〈〈そうなんだ・・・ユウジ義兄さんを愛するってそういうことなんだ────そういえばお姉ちゃんも含めて、サーシャお姉ちゃんやアカリさんも一度ユウジ義兄さんにフラれてるんだっけ。それならユウジ義兄さんの側にいるってことがどれだけ凄いことなのか、どれだけ大変なことなのかをみんな身に染みて感じてるんだよね。そんなお姉ちゃん達からしてみれば、今のエステル様はただ我が儘を言っているだけと見られても仕方ないのかな・・・って、あれ?〉〉

〈気の持ちようが大事ってことをお姉ちゃんは言いたいんだよね?それはいいんだけど、なんで僕も?〉

そう、お姉ちゃんはなんで僕にも言い聞かせたの!?
もちろんお姉ちゃんの話を聞いて、今の僕じゃユウジ義兄さんを愛するだけの力はないのは分かったけどさ・・・

[何を言っているんですの?毎日頑張っているのはサーシャ達だけではないですの。セリーヌも日々頑張っていますの。それはユウ様のお側にいる為だけではなく、いつかと素直な気持ちを出した時に、セリーヌがアオイを護る為にですの。アオイは別に強くならなくていいんですの。セリーヌがアオイを護るからですの。でも気持ちだけはしっかりと持っていて欲しいから、アオイにも言い聞かせたんですの]

〈お姉ちゃん!?〉

お姉ちゃんは僕にそれはもう可愛い笑顔でサムズアップしてきたよ
どうやら僕のユウジ義兄さんに対する気持ちはバレバレだったみたい
お姉ちゃんはなんだかんだ言ってもやっぱり僕のお姉ちゃんでした

しっかり僕のこと見てくれてるんだね。ありがとうお姉ちゃん!


こうして僕とお姉ちゃん、エステル様の恋の相談会はお開きとなったよ


途中エステル様は放置状態になっちゃったけど、そもそも僕とお姉ちゃんには荷が重いしね

お姉ちゃんからの叱責が今回のアドバイスだと、エステル様が受け取ってくれたら嬉しいな


side  -アオイ- ~終了~

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