ラスボス転生!?~明日からラスボスやめます~
昔々のお話し2......です!!
「ハハッ......ラスボスが最初の敵とか......」
俺はその場に倒れこんだ。あの戦いは、『戦い』では無かった。ラスボスが最初から本気だったなら俺は一瞬で死んでいただろう。
まったく、ふざけてる。俺の心はこんなに暗く深い闇につつまれているのに、空は清々しく晴れていた。
......プニ
そんな音に反応して、首を動かす。すると見えてきたのは、透明な何か。少し見えづらいそれは、いわゆるスライムというやつだろう。
......プニ、プニ
良く見ると、スライムは二体いた。そして、俺にジリジリと近付いてきている。
だが、俺は動けない。出来ることと言えば転がる事ぐらいだ。あのラスボスはステータスを消したと言っていたけど、それが本当だと分かった。
 体は動くけど、少しでも動かすだけで骨が折れる。 ......自身の重さにも耐えられない防御力。だが、『耐性・免疫』の能力によって身体が少し強くなって再生する。確かに、この能力があればラスボスが言ってた通り、死ぬことは無いだろう。
スライムに負けることも......
......プニプニプニプニプニプニプニ
気付くとスライムに囲まれていた。でも、『耐性・免疫』なら......
スライムの中の一匹が俺の腕に飛び付いてきた。水が腕を包み込むような感覚がした瞬間。
「がっ!! 痛ッ!?」
スライムに包まれた腕が段々と溶けていく。その痛みとスライムの透明な身体の中で、自分の腕が溶けていく腕が見える事に気持ち悪さを覚え、思いっきり腕を振り払う。
勿論、腕の骨が折れ、その痛みが身体を走る。だけど、すぐに能力で再生した。
だが......
「......なんで、スライムに攻撃された腕が治らない!?」
折れた骨は、すぐに治った。なのにスライムがくっついていた腕は、表皮が溶け赤い肉が見えるだけ......治る様子が全く無い。
ふと、俺が振り払ったスライムが目に写った。
そのスライムは、グニャグニャと動き、俺の腕の表皮を溶かした。
まるで、俺の腕を食べたみたいに......
そこで、気付く。スライムは俺に攻撃したんじゃなくて、俺を食べただけ。能力が発動しないのも、それが『攻撃』ではなく『食事』だから......
プニプニプニプニプニプニ
最弱のモンスターに最弱と認識されているこの状況に、俺は絶望し、恐怖した。
ガタガタと体が震えるのを初めて実感した。ガチガチと歯が震え、死がこんな身近に潜んでいるのだと......
「くっ......そ」
俺は......ここで死ぬのか......
スライム達が、飛び付いてくる。
包まれた部分が、ジワジワと溶かされる...いや、食べられる事は、例えようも無いほど痛い。激痛。苦痛。イタイ。
「ぐっ...ぁあぁあアあぁあァァあァ」
これが、人を殺した罪なのか? 世界に変化を求めた罰なのか? 決まっていた運命なのか?
その答えは返ってこない。
ついに、スライム達は顔に迫ってくる。
この世界に......救いは......無...
「スペル:二雷炎」
突如として聞こえた声と共に、視界を赤い光が埋め尽くした。
なぜかその雷は俺に当たらず、スライムにも当たらず、少し先に生えていた木に命中し、燃え上がらせた。
パチパチと音をたてて燃え上がる木を見てか、スライム達が俺から離れていった。
「助...かったのか?」
しかし、違った。スライムが逃げたのはスライム自身が助かるためだったのだ。
パチパチと音をたてて燃える木。そして、燃えたまま俺の方に倒れかかってくる木を目で捉えた。
俺は目を閉じて、"死"を覚悟した。目を閉じても微かに感じる赤い光。剥き出しの肌に伝わる熱。
あぁ......やっぱり......死ぬ運命なのか......
「あぶないです!!」
一瞬の浮遊感の後、低く重い音がすぐ近くで聞こえた。
剥き出しの肌を誰かに触られる痛みを感じる......なんで、死んだはずなのに痛みを感じるんだ?
そんな疑問に目を開く。
写ったのは、赤く燃える木とは反対に青く輝く長い髪。そして、青髪をかき分けて生えてるウサ耳。
「痛ッ.....」
触られているだけで針を刺されるような痛みが走る。
「はっ!! ごめんさい」
取り合えず地面におろして貰うが......痛い。地面の方が痛い。
すぐに立ち上がり、体勢を整えようとするが、やはりステータスが無いため、立ち上がれない。四つん這いの状態が限界だ。
「あの......大丈夫です?」
覗きこんでくるウサ耳。
「これで、大丈夫に見えたらお前、どうかしてるぞ」
「むぅ~。お前じゃ無いです。アイラです。アイラには、アイラという名前があるのです」
プクーっと膨らませた頬で、俺を覗きこんでくるウサ耳。そういう仕草をすると子供っぽい見た目が更に子供っぽく見える。
そう......俺は、自分よりも小さい少女に命を救われたのだ。
「いちおう、助けられたんだ。礼を言う。ありがとう」
「いちおうは、余計です。......どういたしましてです」
今度は笑った顔で、ウサ耳は言った。誰かを救えた、と満足そうに俺を見て笑った。
そんな笑顔を守りたいと、俺は心から思った。思ってしまった。
◆◇◆◇◆◇
これが俺。いや、僕とアイラとの出会い。
あの出会いから1年で、僕は強くなった。『耐性・免疫』の能力を最大限に生かし。毎日毎日、実際に血がにじむ努力をしてきた。
アイラに、『スペル:二雷炎』を撃って貰う日々。それも、いつしか慣れ『耐性』ができ、『免疫』によって、俺が『スペル:二雷炎』を撃てるようになった。
そんな風に、毎日『攻撃』を受け続けては、『耐性・免疫』を付ける日々。
いつの間にか、僕はあり得ないぐらい強くなっていて、大抵のモンスターは僕にダメージすら与えられなくなった。
ある日、暇だったのでアイラを置いて、ダンジョンに挑んでみた。
そしたら......1日でダンジョン100階を攻略してしまったのだ。
そして、その噂はすぐに広まり、英雄と崇められた。
ダンジョン攻略者として、ギルドをやってくれないか? と、国の王様に頼まれてしまったので、仕方なくギルドの管理人として働く事にした。
英雄のギルド。と言われ、冒険者達がわんさかとやって来たりもした。
......まぁ、だいたいは、僕の姿を見ただけで去って行くんだけどね......
今の僕は、治っていない。あの時、スライムに食べられた傷は、いまだに残っていて、少しどころじゃなくグロい。剥き出しの肉が服の上からでも見える。
自然治癒で治ってきてはいるが、まだまだ人に見せられるものじゃない。
それでも、いつものように側に居てくれるアイラに感謝している。何気なく会話してくるアイラがいる。外見だけじゃない本当の僕を知っているアイラが居るから僕は、今を生きていける。そんな気がする。
そういえば......少し前から、肌を隠すために豚のコスプレをして見たんだけどコレ大丈夫なのか?
アイラからのプレゼントだから着ているけど......ちょっと趣味悪いよアイラ。
それと、もう一つ。毎日やる俺の強化。つまり、『攻撃』を受ける事だけど......最近、アイラから『攻撃』を受ける事に喜びを感じてきた。実際、全く痛くないし、なんかアイラも楽しそうだし、まぁ、いいかと思っている。
それの影響なのか、変な人がギルドに集まるようになってきてしまった。まぁ、実力は確かなものなので、ギルドマスターとしてはありがたいけど......やっぱ、僕も同じだからいいや。
最後に、感謝を送ろうと思う。それは、祈りみたいなものだけど、神様なら届くだろ?
「ミーニャ様。アイラと出会わせてくれた事。感謝します。僕は今、幸せに生きています。ありがとうございます」
俺はその場に倒れこんだ。あの戦いは、『戦い』では無かった。ラスボスが最初から本気だったなら俺は一瞬で死んでいただろう。
まったく、ふざけてる。俺の心はこんなに暗く深い闇につつまれているのに、空は清々しく晴れていた。
......プニ
そんな音に反応して、首を動かす。すると見えてきたのは、透明な何か。少し見えづらいそれは、いわゆるスライムというやつだろう。
......プニ、プニ
良く見ると、スライムは二体いた。そして、俺にジリジリと近付いてきている。
だが、俺は動けない。出来ることと言えば転がる事ぐらいだ。あのラスボスはステータスを消したと言っていたけど、それが本当だと分かった。
 体は動くけど、少しでも動かすだけで骨が折れる。 ......自身の重さにも耐えられない防御力。だが、『耐性・免疫』の能力によって身体が少し強くなって再生する。確かに、この能力があればラスボスが言ってた通り、死ぬことは無いだろう。
スライムに負けることも......
......プニプニプニプニプニプニプニ
気付くとスライムに囲まれていた。でも、『耐性・免疫』なら......
スライムの中の一匹が俺の腕に飛び付いてきた。水が腕を包み込むような感覚がした瞬間。
「がっ!! 痛ッ!?」
スライムに包まれた腕が段々と溶けていく。その痛みとスライムの透明な身体の中で、自分の腕が溶けていく腕が見える事に気持ち悪さを覚え、思いっきり腕を振り払う。
勿論、腕の骨が折れ、その痛みが身体を走る。だけど、すぐに能力で再生した。
だが......
「......なんで、スライムに攻撃された腕が治らない!?」
折れた骨は、すぐに治った。なのにスライムがくっついていた腕は、表皮が溶け赤い肉が見えるだけ......治る様子が全く無い。
ふと、俺が振り払ったスライムが目に写った。
そのスライムは、グニャグニャと動き、俺の腕の表皮を溶かした。
まるで、俺の腕を食べたみたいに......
そこで、気付く。スライムは俺に攻撃したんじゃなくて、俺を食べただけ。能力が発動しないのも、それが『攻撃』ではなく『食事』だから......
プニプニプニプニプニプニ
最弱のモンスターに最弱と認識されているこの状況に、俺は絶望し、恐怖した。
ガタガタと体が震えるのを初めて実感した。ガチガチと歯が震え、死がこんな身近に潜んでいるのだと......
「くっ......そ」
俺は......ここで死ぬのか......
スライム達が、飛び付いてくる。
包まれた部分が、ジワジワと溶かされる...いや、食べられる事は、例えようも無いほど痛い。激痛。苦痛。イタイ。
「ぐっ...ぁあぁあアあぁあァァあァ」
これが、人を殺した罪なのか? 世界に変化を求めた罰なのか? 決まっていた運命なのか?
その答えは返ってこない。
ついに、スライム達は顔に迫ってくる。
この世界に......救いは......無...
「スペル:二雷炎」
突如として聞こえた声と共に、視界を赤い光が埋め尽くした。
なぜかその雷は俺に当たらず、スライムにも当たらず、少し先に生えていた木に命中し、燃え上がらせた。
パチパチと音をたてて燃え上がる木を見てか、スライム達が俺から離れていった。
「助...かったのか?」
しかし、違った。スライムが逃げたのはスライム自身が助かるためだったのだ。
パチパチと音をたてて燃える木。そして、燃えたまま俺の方に倒れかかってくる木を目で捉えた。
俺は目を閉じて、"死"を覚悟した。目を閉じても微かに感じる赤い光。剥き出しの肌に伝わる熱。
あぁ......やっぱり......死ぬ運命なのか......
「あぶないです!!」
一瞬の浮遊感の後、低く重い音がすぐ近くで聞こえた。
剥き出しの肌を誰かに触られる痛みを感じる......なんで、死んだはずなのに痛みを感じるんだ?
そんな疑問に目を開く。
写ったのは、赤く燃える木とは反対に青く輝く長い髪。そして、青髪をかき分けて生えてるウサ耳。
「痛ッ.....」
触られているだけで針を刺されるような痛みが走る。
「はっ!! ごめんさい」
取り合えず地面におろして貰うが......痛い。地面の方が痛い。
すぐに立ち上がり、体勢を整えようとするが、やはりステータスが無いため、立ち上がれない。四つん這いの状態が限界だ。
「あの......大丈夫です?」
覗きこんでくるウサ耳。
「これで、大丈夫に見えたらお前、どうかしてるぞ」
「むぅ~。お前じゃ無いです。アイラです。アイラには、アイラという名前があるのです」
プクーっと膨らませた頬で、俺を覗きこんでくるウサ耳。そういう仕草をすると子供っぽい見た目が更に子供っぽく見える。
そう......俺は、自分よりも小さい少女に命を救われたのだ。
「いちおう、助けられたんだ。礼を言う。ありがとう」
「いちおうは、余計です。......どういたしましてです」
今度は笑った顔で、ウサ耳は言った。誰かを救えた、と満足そうに俺を見て笑った。
そんな笑顔を守りたいと、俺は心から思った。思ってしまった。
◆◇◆◇◆◇
これが俺。いや、僕とアイラとの出会い。
あの出会いから1年で、僕は強くなった。『耐性・免疫』の能力を最大限に生かし。毎日毎日、実際に血がにじむ努力をしてきた。
アイラに、『スペル:二雷炎』を撃って貰う日々。それも、いつしか慣れ『耐性』ができ、『免疫』によって、俺が『スペル:二雷炎』を撃てるようになった。
そんな風に、毎日『攻撃』を受け続けては、『耐性・免疫』を付ける日々。
いつの間にか、僕はあり得ないぐらい強くなっていて、大抵のモンスターは僕にダメージすら与えられなくなった。
ある日、暇だったのでアイラを置いて、ダンジョンに挑んでみた。
そしたら......1日でダンジョン100階を攻略してしまったのだ。
そして、その噂はすぐに広まり、英雄と崇められた。
ダンジョン攻略者として、ギルドをやってくれないか? と、国の王様に頼まれてしまったので、仕方なくギルドの管理人として働く事にした。
英雄のギルド。と言われ、冒険者達がわんさかとやって来たりもした。
......まぁ、だいたいは、僕の姿を見ただけで去って行くんだけどね......
今の僕は、治っていない。あの時、スライムに食べられた傷は、いまだに残っていて、少しどころじゃなくグロい。剥き出しの肉が服の上からでも見える。
自然治癒で治ってきてはいるが、まだまだ人に見せられるものじゃない。
それでも、いつものように側に居てくれるアイラに感謝している。何気なく会話してくるアイラがいる。外見だけじゃない本当の僕を知っているアイラが居るから僕は、今を生きていける。そんな気がする。
そういえば......少し前から、肌を隠すために豚のコスプレをして見たんだけどコレ大丈夫なのか?
アイラからのプレゼントだから着ているけど......ちょっと趣味悪いよアイラ。
それと、もう一つ。毎日やる俺の強化。つまり、『攻撃』を受ける事だけど......最近、アイラから『攻撃』を受ける事に喜びを感じてきた。実際、全く痛くないし、なんかアイラも楽しそうだし、まぁ、いいかと思っている。
それの影響なのか、変な人がギルドに集まるようになってきてしまった。まぁ、実力は確かなものなので、ギルドマスターとしてはありがたいけど......やっぱ、僕も同じだからいいや。
最後に、感謝を送ろうと思う。それは、祈りみたいなものだけど、神様なら届くだろ?
「ミーニャ様。アイラと出会わせてくれた事。感謝します。僕は今、幸せに生きています。ありがとうございます」
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