そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

ゴーレムの頑丈さ

 俺らはこの森の支配者として森の平和だの何だののために定期的に集まっている。
 俺は人間どもを嘗てのように襲いたいと言っているのだがどうにも尻尾が反対する。
 アイツも落ちたもんだ。

 そしてこの前の集まりの内容は久々に驚かされた。
 何でも西側の牙が殺られたって言う話だ。
 アイツは長年付き添ってきた友人だ、殺った奴は俺がぶっ殺す!
 そう言って立ち上がろうとしたがここでも尻尾が邪魔をしやがる。

 情報集めだ? んなもん力業でどうにかすりゃ良いだろうがよ!
 俺は一刻も早く調子にの乗った奴をぶっ殺してぇんだ!
 だが、流石に尻尾の奴が説得をする。
 そもそもアイツが提案してきてそれが上手くいかなかった事は殆どねぇ、それだけ信頼だってできる。

 「ちっ! 仕方ねぇ、テメェらに譲ってやる、だが、牙を殺った奴は俺が殺す!」

 条件は出しておいた。
 そいつだけは許しちゃおかねぇ。



 ………………

 …………

 ……


 今日から新しく任命された牙が参加する。
 先代程じゃあねぇがなかなか良い実力を持ってるじゃねぇか。
 これからに期待ってとこだ。


 集まりが尻尾によって開かれた。
 つまりはある程度の情報は集まったってこった。
 だが、集まった情報は森に作られた何かの道、それと正体は掴めねぇって話だ。
 あの尻尾の情報網をすり抜けるたぁ、なかなかやるやつだな。
 おまけに目撃した奴は全員が殺されている可能性もあるらしい。

 流石にそこまでされちゃあそろそろ黙ってる訳にはいかねぇよなぁ!
 すると尻尾の奴が話を変えやがった。
 なに? 川の水飛沫? どうだって良いんだよそんなのぁ!
 だが尻尾程の魔物をして、いつ現れるかわからないと言われちまえば警戒せざるをえねぇ。






 あれからまた少したった、俺は集には最初の着いき、そのすぐ後に牙が来た。恐らく尻尾もすぐに顔を出すはずだ。

 少したったが尻尾は全く影も形も見せねぇ。
 あの野郎、遅刻の常習犯とは言えどこの緊急時に遅刻なんてしやがるのか!
 殺られたって事はないよな?

 「もしや、尻尾殿は殺られたのではないか?」

 牙の奴がおれと同じように不謹慎な事を言ってくる

 「いや、奴に限ってそれはない!……と言いたいが今回ばかりはマズイかもしれんな」

 信じたくはないが、そう思ってしまうのも頷ける。
 アイツはなんだかんだ言って接近戦となると途端に実力が落ちるからな。

 「いやいやぁ、勝手に殺さないでよぉ」

 噂をすればだ。
 おせぇんだよ! 何してやがった! と叫ぼうとしたがアイツの姿を見て声は出なかった。
 尻尾は大怪我をしているのだろう。
 包帯で全身を覆っていた。
 何とか無事立ったらしいが、それほど恐ろしい敵なのだろうか。

 驚いたことに、あの尻尾が何も出来ずに負けたと言う。
 アイツはたまに嘘をつくがこんなことましてこちらを欺くようなことはしない!
 尻尾が言うにはやって来た魔物はこの森に存在する筈のない、ゴーレムらしい。
 ゴーレムと言えば石で出来た体で並外れた防御力を持つが自我の類いは存在しない魔物の筈だ。
 因みに尻尾から聞いたがな、俺にわかるはずがない。

 尻尾は暫くは動けない。
 牙も新しく代替わりをしたせいで大きな行動には出れない。
 となると残った俺がアイツを殺すしかないな。
 久しぶりに骨のあるやつなら良いんだがな!
 まぁ、所詮Bランクである俺に叶うはずもない。
 石ころに変えてやるとするか。





 その後、俺は部下であり子分でもある仲間を集めて対策をとる。
 んまぁ、対策と言っても簡単だ。
 ただ全力で正面衝突だ、俺達はこれだけでここまでの地位に上がってこれたからな、今回もこれで十分だ。
 子分どもにやられるならそのゴーレムもその程度だ、所詮オーガには勝てないと証明できるだけだ。
 とすると? へっへ、この森の強さでは俺らオーガの地位が確立する。
 アイツらは友人だが、俺にも支配欲ってぇもんがある。
 この森の覇権を握って人間と全面戦争でも始めたいところだ!
 その前にはゴーレムには、俺の踏み台になってもらおう。


 ……………………
 ……………
 ………


 おかしい。
 おかしすぎる!偵察に行かせた奴等が帰ってこねぇだと!?
 どうなってやがる!
 俺は様子を見るために俺の側近を残して他の子分どもにも偵察序でにゴーレムがいればぶっ殺せと命じた。

 おい! 何で誰一人戻ってきやしねぇ!
 思わず側近の一人をぶん殴る。
 ちっ! 腹立たしい! 

 「おい! 酒持ってこい!」

 命令をして酒を持ってこさせるが、頭に来すぎて旨く感じねえ!
 だが、少しして、ボロボロになった子分の一人が戻ってきた。

 「つ、角さま! 大変です、奴が! ゴーレムが現れました!
 ついに来たか。
 だが、他の奴がいねぇ。
 それにこいつは最初に行かせたやつだ。

 「おい、他の奴等はどうしたら」
 「全員、何とか生きてはいるものの、動くことは不可能。先に動けるようになった私だけが来ました!」 
 な! あの数を全員、ぶっ飛ばしたってぇのか!
 仕方ねぇ、俺様が直々に出向いてやる。
 子分を引き連れて、集落の外へと行くと、俺たちの前に奴が、俺らの森を土足で踏み荒らすゴーレムが現れた。
 俺の子分どもをよろしくしてくれた見てぇじゃねぇか。

 「おい! てめえが俺の子分どもと仲良くしてくれたってのぁ本当か!」

 ゴーレムに問いかけるが答えやしねぇ。
 そりゃそうだ所詮はゴーレムだからな。
 だが、こんなところに現れるほどの奴だ、ただ者ではない筈だ!

 もう一度聞いたが、答えなかった。
 まぁ、良いだろう所詮ここで消えるのだからな!
 部下に命令し、挨拶代わりにボコってやるぜ。
 俺の部下の3人は俺には及ばないものの、実力がある。
 金棒を持っているが、ゴーレム相手に使うほどじゃねぇだろ。

 だがおかしい、ゴーレムの奴は微動だにしない。 
 それどころかこちらのオーガにダメージが入っているようだった。
 どんな固さをしてやがんだ!
 すると、あの3人が金棒を抜いた、武器を使わせるとは大したもんだぜ。
 だがここで終わりだ!

 ──バキンッ!

 見事に3人の金棒がへし折れ、折れた部分は飛んでいった。
 少しだけ傷つけただけじゃねぇか!
 アイツらでは荷が思いか。
 交代するように促そうとするが遅かった。
 その隙を狙ってか、ゴーレムの奴は俺の子分どもを吹き飛ばしやがった! 一撃でだ!
 子分どもは茂みに消えたが、無事であることを祈ろう。

 だが、そのお陰でマジでキレたぜ。
 思わず酒を落としちまったが、こいつで思う存分やらせてもらおう。
 手始めだ。
 ゴーレムに仲間をボコった文句を言い、飛びかかる。


 「うおぉぉぉぉぉ! 死にやがれ!」

 ──ドゴァァァァァァァァァァン!!

 俺とゴーレムを中心に爆風が枚踊る。
 手応えはあった。  
 流石に無事じゃすまねぇだろ! 
 軽く殴ったつもりだが終わったかもしれんな。
 だが結果はどうだろう。
 吹き飛ぶどころか少し後ろに行っただけだ。
 なかなかやるが、俺も本気じゃねぇ。  
 久しぶりに楽しくなってきて思わず口走った。


 「こんなに良い戦いは久しぶりだ! よし! テメェは絶対にぶっ殺す!」

 そして再び殴りかかると、受け止められた挙げ句、吹き飛ばされた。
 なかなか良い攻撃をする、だがこの程度じゃ俺はやれねぇよ!
 飛び出した勢いを利用した拳を捻り出す。
 だかそれは交わされて逆に反撃されたが、その反撃が何をされたかわからなかった。
 だか、かなりのダメージだ。
 尻尾がやられるのも頷ける。
 ムカついてきやがる!
 俺は! 俺様は天下のオーガ、角だ!
 こんなやつごときに負けてたまるか!

 「角さま! 頑張ってください!」
 「そうだ! そんな奴に負けないでくれ!」

 いつの間にか、広場を囲むように子分達がいた。
 俺を応援してくれているようだ。
 なぜだろう、力が沸いてくる気がするぜ!
 これなら奴にも勝てる! 勝てるぞ!

 俺は、すべてを拳にかけ、全力を奴にぶつけるために飛び出す!

 「うおぉぉぉぉぉ! この一撃に俺のすべてを懸ける! 行くぞ! ゴォーレムゥー!」

 いける! いけるぞ!
 と思いゴーレムに届くと思われたときに俺の意識は途絶えた。


 

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