そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

事後処理


 なんてこった。
 喋るのかよコイツ。
 あ、そう言えば魔物は魔物の言ってることが分かるんだっけか?
 となるとその辺のゴブリン痛め付けて命乞いされたら殺し辛いな。

 「た、頼んます! オラァこんなとこで死にたくねぇ!」

 こんなところとは失礼な奴だな散々暴れまわったくせによく言うよ。
 よし、殴ろう。

 「ひぇ!ひぇー! 許してくんろぉ!」

 そんな怯えた顔されてもな……と言うかさっきの威勢はどうした。
 雰囲気全然違うじゃないか。
 と言うか喋りの癖。

 「え、えーと、ガケトカゲだよね? さっきと雰囲気違くないかぃ?」
 「お、オラにもわかんねぇけどこの前崖の上にいて見下ろした時から、急に暴れたくなっちまって、必死に抑えてただよ、そしたら崖から落っこちて、その後はよく覚えてねぇんだぁ、んで気が着いたらこんなボロボロで、怖えぇゴーレムさんに必死に命乞いしてるわけだべ」

 なんで興奮したか分からんのか、それは少し怪しいな、しかしコイツが嘘を着いてる可能性もある。
 簡単に信用すると思ったら大間違いだぞ。

 「でも君を簡単に信用する訳には行かないねぇ。こっちの被害も有るわけだ、ハイそうですかって許す訳にも行かないねぇ」
 「そ、そんな、オラァ悪い事なんざしねぇべさ!」
 「ま、君の処分については追々集まりで決めるよぉ、取り敢えず角を起こさなきゃね」

 そう言うと狐人間は歩いていった。
 取り敢えず俺も追うか、ガケトカゲも追ってきてるけどな、お前が来たらマズイだろ。
 生憎おっさんは元気だった、体に包帯を巻かれて今は酒を飲んで笑ってる。
 ちょっとだけ殴ろうかと思ったがやめておこう。

 「よぅ、尻尾! その様子じゃ片付いたみたいだな!」
 「君は呑気だねぇやることは山積みなんだよ、お酒もほどほどにしなよぉ、あと、負けたのに立ち直ってるとはねぇ」
 「アホか! 悔しすぎて仕方ねぇんだよ! 俺は最近負け続きで自信が無くなってる! 飲まなきゃやってらんねぇよ!」
 「はぁ、ま、そんなに元気なら直ぐに立ち直るでしょぉ。飲んでばかりいないで鍛練でもしたらどうだい? 少しはマシになるかもよぉ?」
 「やることは山積みだぞ尻尾! そんなことはまだ少しさきだ!」
 「君ぃ、それはさっき私が言ったじゃないか、どうして私が悪者扱いされなきゃならないんだい?」

 確かに、このガケトカゲが荒らした森のある程度の修復と片付けの作業が残ってるな、大分広い範囲に広がっている。
 おっと、申し訳なさそうに頭を垂れているガケトカゲ、そうだもっと反省しろ。

 「だがら、君にもガケトカゲにもゴーレムにもこれからたくさん働いてもらうんだ、早く傷を直してくれないと困るねぇ」
 「こんなもんなぁ! 酒飲んでりゃ治るんだよ! ま、力仕事は任せとけ、ん? ゴーレムはともかくガケトカゲ!? っておい! なんでこんなところにガケトカゲが居やがる! ぶっ殺したんじゃねぇのか!」
 「生憎生き残ってねぇ、殺すのもまだ早いと思うし貴重な労働力だよ、今回は見逃しておくれ」

 ちょっと待て、荒らし回ったガケトカゲはともかくなぜ俺が森の木の回収の作業を手伝わねばならん。
 今回は俺の暮らしのためだろう、お前らの戦後処理を何故俺がやる。

 「あ、ゴーレム君はさぁ、ガケトカゲを廻している最中結構な被害妄想を出してるわけだよぉ、それをガケトカゲを大人しくさせたから免除って言うのも違うと思わないかぃ?」

 痛いところを突いてきやがる。
 ガケトカゲは取り敢えずの処罰を免れてホッとしているようだが、それ今だけだからな?
 終わったら即首チョンパもあり得るだろうな。

 「取り敢えず今日は遅いから明日から開始しようか、広いからねぇ2週間はかかっちゃうよぉ、皆頑張ろぉ」

 他人事だと思ってよく言う。
 こいつは重いものを持たずに指示するだけだろうに。
 と言うか疑問だがガケトカゲをどうするんだよ。
 このままここに放置するのだろうか。

 「あ、忘れていたよぉ、ガケトカゲはゴーレム君に着いていってね、もし暴れてもゴーレム君なら抑えられるし、眠る必要も無いみたいだしねぇ丁度いいと思うよぉ」

 このやろう、言いたい放題か、狐目の奥でどう思ってるか知らんが叩き潰したい。
 面倒を押し付けられただけだ。
 おい、ガケトカゲ、キラキラした目で見るな。
 そして俺に迷惑をかけないって言う条件はどうした、完全に崩壊してる。
 コイツらの仲間も崩壊させてしまおうか。

 「頼むよぉ、これが終わったら好きなように暮らしていいからさぁ、私達じゃガケトカゲが暴れると対処できないんだよぉ、角も負けるしねぇ、この森最強が聞いてあきれるよぉ、今や3番手じゃないかぁこれじゃただの穀潰しだねぇ」
 「おい! 尻尾! 後半俺の文句じゃねぇか! なんでガケトカゲを数に入れてやがる! よし、ガケトカゲ! コイツの集落に殴り込むぞ!」
 「え? オラ、暴力は嫌いなんだぁ、気は進まねぇべ」
 「暴力じゃない! コイツの家の解体と修復だ、暴力ではない!」
 「それなら良いべ」
 「ちょっと!? 私死んじゃうじゃないか!」

 それは良いな、好き勝手言ったこいつにはお仕置きが必要だろう。
 俺も参加してやろう。

 「おぉ! ゴーレム! テメェも来るか! そりやぁいい! よし、早速ぶっ壊す!」
 「じょ、冗談だよねぇ? あはは、角は面白いなぁ、あれ? ちょっと? ねぇ、そこは私の家の方向、え、ゴーレム君、ガケトカゲ!? え? 本気なの、勘弁してよぉ!」


 その後、狐人間の家を順調に破壊し、気の済んだ俺らは森の片付けに入った。
 一方の狐人間は、壊れた家の前で四つん這いになって。

 「そ、そんなのあんまりだよぅ……」

 と言っていたが無視だ。
 「壊したんだから直してよぉ!」
 とか言ってたが、優先すべきは森の後片付けだ、私情を挟んではいけない。

 森の後片付けは基本的には俺、ガケトカゲ、おっさん率いるオーガが木をかなりの広場になった西側の狼率いるグラスウルフの元へ持っていき、序でに家を建てる方針だ。
 グラスウルフは森の西側だが、あちこちに移り住んでいて、家を持っていなかった。
 と言うか体の作りからして家を建てるなんて事が出来なかったから尻尾を振って喜んでいた。

 「オラァ、ずっと一人だったから皆と協力して作業すんのが嬉しいべ!」

 と喜んでいる訳だが、お前、片付け終わったら処罰のために話し合いになるんだぞ、忘れてるだろ。
 しかも本当に俺の祠まで着いてきやがるし寝てる。
 おい、狐人間、この祠は俺とお前ら長しか行けないんじゃなかったのか。

 「いやぁ、ガケトカゲはきっと私達レベルの強さを持ってるんだねぇ、そりゃそうかぁ!」

 等と言っていたため、作りかけの家を破壊して許してあげた。
 涙を流していたがおそらくこの程度で済んで喜んでいるのだろう。
 決して苦労して建てていた物を壊されたから泣いている訳ではないだろう。

 俺がのんびり暮らせるのはまだ先だろうか。
 

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