そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

ゴーレムvsエマ

 「ゴーレムさん、ちょっと良いですか?」

 川に行こうとしたら呼び止められた、名指しで。
 振り替えるとやけに真剣な表情をしている。
 俺に話とは、一体何のようだろうか、さっさと話してほしいものだ。

 「どうにか狐さん達を説得してくれませんか!」

 何を言っているのだろう。
 完全に役者が違うだろうが。
 俺は喋れない、そして賛成している訳じゃない。
 何で助けなければいけないのやら。
 首を横に振って拒否をする。

 「な、何でですかっ! あんなに仲良くしてくれたのに!」

 いつ仲良くしたんだ!
 脳内お花畑か!
 お前が仲良くしてたのは狼の方だろうが!

 「私を助けて安全なところに案内してくれて食料に困らないように川にまで連れてきてくれたじゃないですか! お魚も!」

 脳内の誤変換甚だしいなおい。
 助けた覚えはないし、案内はしてない、お前が着いてきただけだろう、川もまた然り。
 魚に至っては自分で獲ってた。

 「そんな……バカな……私を弄んでいたと言うことですか……」

 膝から崩れ落ちて四つん這いになってる女冒険者。
 勝手に勘違いして勝手にダメージを受けているところは滑稽だな。
 それに人(俺は魔物)をそう簡単に信用してはダメだろ。
 いつか痛い目にあうと俺は思っている。
 ん? 逆に俺はなぜこんなに疑り深いんだろうな……最初からか? まあ今はいいか。

 するとどうだろう。
 女冒険者は四つん這いのままに肩を震わせていた。
 さすがに堪えたか?
 このまま出ていってくれるとありがたいな~なんて思ってたり。

 「ふふふ、こうなったら意地でも居座ってやりますよ、私の本気を見せて差し上げますよ!」

 違った、逆にやる気満々だ。
 え? 居座るつもりなの? なぜ?
 冒険者の方がよくないか? そもそも言葉が通じないのにここを優良物件扱いしないで欲しいな。

 「こんなに住み心地の良いところを手放すなんて勿体ない、魔物の言葉なんて覚えてしまえば良いんですよ……ふふふ」

 なんでこんなに執念を燃やしているのか分からないな。
 まぁ、確かに住みやすいとは思うが、まぁ、俺は他の場所がどうなのかは知らないけど。
 俺は静かな所ならどこでも良いんだが、正直こいつがいれば五月蝿くなること間違いなし。
 よし、追い出そう。

 「取り敢えず行動は明日ですね……ふふふ、今日のところは寝ますね!」

 そう言うと何故か俺の隣の来る。
 凭れ掛かると寝始めた。
 いや寝転がれよ、俺が動けないだろう。
 と言うか石だぞ俺、硬いだろう。
 寝心地悪くないか?
 寝たことないからわからないけど。



 翌日、祠へと朝早くに狐人間がやって来た。
 手には女冒険者に渡すための服だろうか、そんな感じのものを持ってきていた。

 「やぁ、おはよう、早速だが着替えてさっさと出てって貰おうかなぁ」

 いきなり切り裂く奴だな。
 よそ者に容赦しないタイプだな。
 あれ、俺もよそ者じゃね? え、最初から祠にいたから許容範囲? そうですか。

 「やっぱり出ていかなきゃ駄目ですか?」
 「駄目だねぇ、君がいることでこちらにデメリットが生じてしまうのは見過ごせないからねぇ、長としての判断だ」
 「それって、狐さん本人は良いってことですか?」
 「揚げ足を取るねぇ、そうだね、個人としては人間には興味こそあれ敵対するつもりはないねぇ、でも私個人の意見で決めていたら森は終わってしまうからねぇ」
 「そうですか、でも私は諦めるつもりもこの森に仇為すつもりもありませんよ」
 「口ではどうとでも言えるさ、さて、長話が過ぎたね。君は仮にも冒険者、森を抜けて国か街に戻ることくらい可能だろう、じゃあね」
 「ふふふ、出ていってほしいなら力ずくで追い出してください。私は自分の足で戻るつもりはありませんよ」

 どうやら、本当に居座るつもりなんだな。
 がんばれ狐人間、力ずくで対処しろ。
 すると、溜め息を吐いて狐人間は俺を見て言った。

 「ゴーレム君、彼女を森の外まで持っていってくれないかぃ? 私じゃ無理だからねぇ」

 ほう、俺に頼むか、良い度胸だ。
 やってやろう。
 いつの間にか着替えていた女冒険者を肩に担いで森の外まで運ぶ。

 「え!? まさかゴーレムさんが敵に回るとは! ちくしょう! 裏切りましたね!」

 仲間じゃないだろうに、裏切るもくそもない。
 めっちゃ背中叩かれてる。
 全然痛くない。
 抵抗にもならないな、俺は東側なら街にも近いだろうと判断しそのまま進む。
 結構時間はかかったが森の端に着いて、女冒険者をおろすと戻る。
 後ろから着いてくる、いや帰れよ。

 「ふふふ、簡単に帰ると思いますか? 私、頑固さは人一倍あるんですよ! 納得してくれるまで何度もこの往復を繰り返してやりますからね!」

 そうですか、頑張ってくれ。
 俺は女冒険者を無視して祠へと戻る。
 女冒険者はちゃんとついてきていた。
 戻ってきた俺を待っていた狐人間が見たときには溜め息を吐いていた。
 すると俺の肩に乗り耳打ちをする。

 「まぁ、いずれは観念するよぉ、それまでの間、君が何とかしてくれ」

 おっと責任を丸投げされてしまった。
 ……面倒なことになったな。
 でもこいつがいればうるさいのは確実、引き受けることにして早速また担いで外へと運んだ。

 ………………
 ………
 …


 あれから4日程たっただろうか、女冒険者は幾度となく追い出しては戻ってくる。
 もう何回追い出したか覚えていない。
 そろそろ精神的に来る。
 途中で居なくなったと思えば食料をどこからか調達していたり、睡眠などで居なくなるがそれ以外はずっと祠に戻ってくる。
 体力が尽きないとは言え、俺にも限界が来るな。

 「ふふふ、どうですか、居座らせる気になりましたか。言ったでしょう私は頑固ですよ!」

 頑固にも程がある。
 俺の体より固いのではないだろうか、何をどう育てたらそうなるんだか。
 親の顔が見てみたい、面倒だやめよう。


 それから1週間だ。
 コイツ、全然諦めない。
 途中で流石に狐人間が観念しただろうと思って見に来ていたが元気すぎて苦笑いしながら引いていた。
 流石の俺も諦めた。
 このままでは1年は同じ作業の繰り返しだ。
 初めて負けた気がする。

 「やりました! これでゴーレムさんは攻略です!」
 「あちゃー、でも流石の私もここまで長く続くとは思わなかったねぇ」
 「ふふふ、どうですか? 狐さん、私を認めてこの森に住ませてくれてもいいんですよ?」
 「それとこれとは話が別だねぇ、そうだね、君が他の魔物に認められればもう一度話し合いの席を用意しよう。負けっぱなしは私も嫌だからねぇ」
 「言いましたね? 言質とりましたよ? 早速他の方々の攻略といきますか!」

 胸を張って勝利宣言する女冒険者。
 胸を張った拍子に揺れていた。
 狐人間からの条件に賛成するや否やズダダダ、と森の奥へ走り去って行った。
 場所知らないだろうな。
 あ、戻ってきた、顔が赤い。

 「道がわかりません……教えてください」
 「やっぱりかぁ、仕方ないゴーレム君に勝ったサービスだ、ゴーレム君、私達も案内するよぉ」
 「狐さんも来るんですか?」
 「私がいなきゃ誰が通訳するんだい?」
 「それもそうですね!」

 コイツ、以外と考えなしだな。
 それとあっさりと通訳するとか言ってるが狐人間、お前、いつの間にか認めちゃってる側だな。
 さては最初から率いれるつもりだったのか?
 いや、デメリットはどうしたんだよ。
 え? 面白そう? 狂ってるな。
 ピンチになっても俺は知らないからな。

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