そのゴーレム、元人間につき
森へ帰ります
ギルドに帰るとギルド内の雰囲気は殺伐と、そして俺への視線が痛い。
何かしたかな。
「何を惚けてるんですか、ランドさんがソボロさんをボッコボコにしたからじゃないですか」
「あー、それで、俺を睨んでるわけか……殺気向けようかな」
「止めてあげてください」
隣にいる女冒険者と小声で話していると、こちらに気付いた受付嬢が近寄ってくる。
「ランドさん、ギルドマスターがお呼びですよ」
ほぅ、ギルドマスターが直々にか、それまた何の用だろうな。
「絶対ソボロさんボッコボコ事件の話ですよ、頑張って下さい」
「エマさんもです」
「私もですか!」
女冒険者もお呼びらしいな、証人的なあれで呼び出されているのだろうか。
……俺だけが話すとややこしくなるだけかもしれないから仕方ないだと?
失礼なやつだな。
「ギルドマスター、ランドさん並びにエマさんも連れてきました」
「入ってくれ……エマ? 呼んだ覚えは無いぞ?」
「後で呼んでくれと言われても面倒なので先手を打ちました」
「相変わらずじゃの」
扉を開くと苦笑いをしている白髭の爺がいる、皆大好きギルドマスターだ。
本当に好きかは知らんがな。
あとハゲもいるな、なんでいるんだよ帰れよ。
「まぁ座りなさい……それで、模擬戦でやらかした様じゃの?」
「爺、俺は条件に則って戦っただけだ責められる謂れは無い、それと冒険者同士のいざこざはギルドは関与しないんだろ?」
「いつも話を聞いていなさそうなのにこう言う事は覚えてるんですね」
バカめ、俺が話を聞いていないだと? ……正解だ、因みに使えそうな物はちゃんと覚えるぞ。
「ほっほっほ、痛いところをつくのぅ、じゃが、この田舎にはローカルルールと言うものが有ってじゃな……」
「ギルマス、そんなもんここにはねぇよ」
「無いのかよ」
「バレてしもうたか、ほっほっほ」
高らかに陽気に笑う爺。
ほっほっほ、じゃねよ。
「冗談はさておきじゃな、これはギルドではなく個人としてじゃな、ただえさえ人が少ないのじゃ、あまりボッコボコにするのは止めて欲しいのぅ、ダガシカシならいつでも良いぞ?」
「そうだな、ハゲで勘弁してやるよ」
「ちょっと待て! 俺は手合わせなら良いがボッコボコにされたくはないぞ!」
「ほっほっほ、冗談じゃよ」
「真に受けんなよハゲ」
俺と爺は頷きあって握手をする。
この爺とは気が合うかもしれない。
ハゲは頭に血管が浮き出てる、女冒険者は呆れてものも言えない様だった。
「……話は終わりか?」
「ん、そうじゃな、今後は気を付けてくれ」
「そうか……なら、俺らはそろそろ元いた場所へと戻るとするよ、ハゲももう動けるだろ、領主からの依頼の報酬を受け取り次第出る」
「そうかのぅ、まぁこちらはいつでも戻ってきてくれ、待っとるよ」
女冒険者は大体の情報と約束の酒を揃えたと言っていたらな。
今日出ても問題ないだろう、あとゴリラ向かえに行かなきゃならんし。
女冒険者は荷物を取りに行くために宿に戻ってったが、俺は特に付いていく理由も無いのでギルドで待つことにした。
……席に座って待っているとハゲがこちらへとやって来て向かい側に座った。
座るなよ。
「何か用か?」
「あー、ちょっとな、お前さん、なんでそんなに強いんだ? その体格であんな力が出せる理由が見つからねぇ」
「……考えれば分かる、ただのスキルだ」
嘘です、素の力です。
スキルなんて使ってもない。
「身体強化関係のスキルって事か、なるほどなそれなら合点が行くな」
「理解したなら何よりだ、どこかへ行け」
「冷たい奴だな、暫く会えねぇんだぞ?」
「ハゲとの別れを悲しむ奴なんていねぇよ」
そんな他愛もない話をしていると女冒険者が荷物を手に戻ってきて、ギルドをキョロキョロしているので向かえに行くために席をたつ。
するとハゲが背中越しに声をかけてくる。
「今度会うときはお前さんと良い勝負になるように鍛えておくよ」
「……そうか、」
振り返らずにそのまま立ち去り、女冒険者と共に街の外へと出てゴリラを向かえに行った。
案の定、ゴリラはまた寝てやがった、コイツはいつなら起きているのやら。
「おい、ゴリラ向かえに来たぞ、起きろ」
「ウホ……まだ眠いウホ……」
「永眠させてやろうか」
「起きるウホ!」
とっととゴリラに準備をさせた俺達は、人に見つからない程度に迂回しながら森へと帰る。
こちらの荷物はゴリラに持たせ、俺は女冒険者をこれまたお姫様抱っこで走る。
「なぁ、女冒険者」
「何ですか?」
「カウントゴリラのランクはBなんだろ? じゃあ狐人間達のランクってどうだった?」
「狐人間? ……あ、尻尾さん事ですか、と言うか長い付き合いの方の名前も覚えてないんですか! そうですね、変動は無かったです、寧ろ殆ど存在が確認されていないので絶滅したと言われてますよ」
いよいよ絶滅種になったか、哀れだな。
でもランクの変動も無しか、今頃どうしてるのやら。
「ゴーレムのランクは?」
「……これから名前で呼んでくれるなら答えますよ」
面倒な奴だな。
なぜムスッとしているんだ。
「……エマ、ゴーレムのランクはなんだ?」
「Dランクです! でもランドさんと比べると全く意味はないと思いますよ!」
急に張り切ってきたぞ。
どうしてだろうか、にしてもゴリラも足が速いな、俺と普通に並走している。
この調子なら明日の朝には着くだろう。
「おい、付いてこれるか?」
「全然余裕ウホ! このペースなら朝までは余裕ウホね」
「じゃあこのペースを保つ」
ペースを落とさずに走り続けて、予定通りに森に着いた俺達は、早速森の中へと入っていく。
「ウホォ、ここがランドの住んでる森ウホか、かなりきれいウホ、気に入ったウホ」
「それは何よりだ、まぁこれから他のやつらを説得するんだけどな」
手始めに狐人間の所へ行くとするか、アイツはこの森の相談窓口だ、引き込めば勝ちだからな。
俺らは東側にいるので、もしかしたらおっさんに会うかもしれない、その時にはさっさと酒を渡すとしよう。
……暫く歩いているがおっさん含め、いつもはその辺でたむろしているオーガにすら遭遇しない。
どうなっている?
「ランドさん、オーガさんすらいませんね」
「あぁ、俺もそう思っていた」
だが30分ほど歩いたところで騒がしくなり、オーガの広場の方だとわかった俺達は走り出す、広場へ行くと、そこには異様な光景が広がっていた。
地面には大小様々な穴が空いており、周囲には破壊音が響いている。
その騒動の中心には、1人のかなり屈強な魔物と黄土色の皮膚に発達した尻尾の鉄槌を持つ魔物が戦っていた。
おっさんとガケトカゲだった。
何かしたかな。
「何を惚けてるんですか、ランドさんがソボロさんをボッコボコにしたからじゃないですか」
「あー、それで、俺を睨んでるわけか……殺気向けようかな」
「止めてあげてください」
隣にいる女冒険者と小声で話していると、こちらに気付いた受付嬢が近寄ってくる。
「ランドさん、ギルドマスターがお呼びですよ」
ほぅ、ギルドマスターが直々にか、それまた何の用だろうな。
「絶対ソボロさんボッコボコ事件の話ですよ、頑張って下さい」
「エマさんもです」
「私もですか!」
女冒険者もお呼びらしいな、証人的なあれで呼び出されているのだろうか。
……俺だけが話すとややこしくなるだけかもしれないから仕方ないだと?
失礼なやつだな。
「ギルドマスター、ランドさん並びにエマさんも連れてきました」
「入ってくれ……エマ? 呼んだ覚えは無いぞ?」
「後で呼んでくれと言われても面倒なので先手を打ちました」
「相変わらずじゃの」
扉を開くと苦笑いをしている白髭の爺がいる、皆大好きギルドマスターだ。
本当に好きかは知らんがな。
あとハゲもいるな、なんでいるんだよ帰れよ。
「まぁ座りなさい……それで、模擬戦でやらかした様じゃの?」
「爺、俺は条件に則って戦っただけだ責められる謂れは無い、それと冒険者同士のいざこざはギルドは関与しないんだろ?」
「いつも話を聞いていなさそうなのにこう言う事は覚えてるんですね」
バカめ、俺が話を聞いていないだと? ……正解だ、因みに使えそうな物はちゃんと覚えるぞ。
「ほっほっほ、痛いところをつくのぅ、じゃが、この田舎にはローカルルールと言うものが有ってじゃな……」
「ギルマス、そんなもんここにはねぇよ」
「無いのかよ」
「バレてしもうたか、ほっほっほ」
高らかに陽気に笑う爺。
ほっほっほ、じゃねよ。
「冗談はさておきじゃな、これはギルドではなく個人としてじゃな、ただえさえ人が少ないのじゃ、あまりボッコボコにするのは止めて欲しいのぅ、ダガシカシならいつでも良いぞ?」
「そうだな、ハゲで勘弁してやるよ」
「ちょっと待て! 俺は手合わせなら良いがボッコボコにされたくはないぞ!」
「ほっほっほ、冗談じゃよ」
「真に受けんなよハゲ」
俺と爺は頷きあって握手をする。
この爺とは気が合うかもしれない。
ハゲは頭に血管が浮き出てる、女冒険者は呆れてものも言えない様だった。
「……話は終わりか?」
「ん、そうじゃな、今後は気を付けてくれ」
「そうか……なら、俺らはそろそろ元いた場所へと戻るとするよ、ハゲももう動けるだろ、領主からの依頼の報酬を受け取り次第出る」
「そうかのぅ、まぁこちらはいつでも戻ってきてくれ、待っとるよ」
女冒険者は大体の情報と約束の酒を揃えたと言っていたらな。
今日出ても問題ないだろう、あとゴリラ向かえに行かなきゃならんし。
女冒険者は荷物を取りに行くために宿に戻ってったが、俺は特に付いていく理由も無いのでギルドで待つことにした。
……席に座って待っているとハゲがこちらへとやって来て向かい側に座った。
座るなよ。
「何か用か?」
「あー、ちょっとな、お前さん、なんでそんなに強いんだ? その体格であんな力が出せる理由が見つからねぇ」
「……考えれば分かる、ただのスキルだ」
嘘です、素の力です。
スキルなんて使ってもない。
「身体強化関係のスキルって事か、なるほどなそれなら合点が行くな」
「理解したなら何よりだ、どこかへ行け」
「冷たい奴だな、暫く会えねぇんだぞ?」
「ハゲとの別れを悲しむ奴なんていねぇよ」
そんな他愛もない話をしていると女冒険者が荷物を手に戻ってきて、ギルドをキョロキョロしているので向かえに行くために席をたつ。
するとハゲが背中越しに声をかけてくる。
「今度会うときはお前さんと良い勝負になるように鍛えておくよ」
「……そうか、」
振り返らずにそのまま立ち去り、女冒険者と共に街の外へと出てゴリラを向かえに行った。
案の定、ゴリラはまた寝てやがった、コイツはいつなら起きているのやら。
「おい、ゴリラ向かえに来たぞ、起きろ」
「ウホ……まだ眠いウホ……」
「永眠させてやろうか」
「起きるウホ!」
とっととゴリラに準備をさせた俺達は、人に見つからない程度に迂回しながら森へと帰る。
こちらの荷物はゴリラに持たせ、俺は女冒険者をこれまたお姫様抱っこで走る。
「なぁ、女冒険者」
「何ですか?」
「カウントゴリラのランクはBなんだろ? じゃあ狐人間達のランクってどうだった?」
「狐人間? ……あ、尻尾さん事ですか、と言うか長い付き合いの方の名前も覚えてないんですか! そうですね、変動は無かったです、寧ろ殆ど存在が確認されていないので絶滅したと言われてますよ」
いよいよ絶滅種になったか、哀れだな。
でもランクの変動も無しか、今頃どうしてるのやら。
「ゴーレムのランクは?」
「……これから名前で呼んでくれるなら答えますよ」
面倒な奴だな。
なぜムスッとしているんだ。
「……エマ、ゴーレムのランクはなんだ?」
「Dランクです! でもランドさんと比べると全く意味はないと思いますよ!」
急に張り切ってきたぞ。
どうしてだろうか、にしてもゴリラも足が速いな、俺と普通に並走している。
この調子なら明日の朝には着くだろう。
「おい、付いてこれるか?」
「全然余裕ウホ! このペースなら朝までは余裕ウホね」
「じゃあこのペースを保つ」
ペースを落とさずに走り続けて、予定通りに森に着いた俺達は、早速森の中へと入っていく。
「ウホォ、ここがランドの住んでる森ウホか、かなりきれいウホ、気に入ったウホ」
「それは何よりだ、まぁこれから他のやつらを説得するんだけどな」
手始めに狐人間の所へ行くとするか、アイツはこの森の相談窓口だ、引き込めば勝ちだからな。
俺らは東側にいるので、もしかしたらおっさんに会うかもしれない、その時にはさっさと酒を渡すとしよう。
……暫く歩いているがおっさん含め、いつもはその辺でたむろしているオーガにすら遭遇しない。
どうなっている?
「ランドさん、オーガさんすらいませんね」
「あぁ、俺もそう思っていた」
だが30分ほど歩いたところで騒がしくなり、オーガの広場の方だとわかった俺達は走り出す、広場へ行くと、そこには異様な光景が広がっていた。
地面には大小様々な穴が空いており、周囲には破壊音が響いている。
その騒動の中心には、1人のかなり屈強な魔物と黄土色の皮膚に発達した尻尾の鉄槌を持つ魔物が戦っていた。
おっさんとガケトカゲだった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
141
-
-
768
-
-
147
-
-
32
-
-
29
-
-
0
-
-
140
-
-
238
-
-
6
コメント