そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

最後の挑戦者2

面倒だな、いやもう面倒と言うレベルじゃないと思うぞ。
 今までで一番のピンチだ。

 カウントゴリラ、ガケトカゲ、さらにグラスウルフの群れと戦わなければいけない訳だ。

 確かに1人じゃないとは言っていたがまさか他の種族も混ざるなんて誰が予測できただろうか。

 そんな事考えている場合じゃ無いんだが、どうしても現実逃避してしまいそうになる。
 これ、命の奪い合いじゃない筈なんだけどな。

 「さぁ、覚悟するウホ!」

 すかさずゴリラが俺へと飛びかかってくる、空中で拳を構え、地面に着地すると同時に振り抜かれる拳は俺ごと叩き潰すほどの威力が有るのだろう。
 『付与』を使えば耐えられるとは思うけど『物質操作』を使って勝つのをこっそりと目標にした手前、変更するのはちょっとな、死なない可能性があるわけだし、そこは死にそうになったら使うと言うことで。

 取り敢えず横っ飛びで回避を選択して飛ぶ、直後に俺のいた場所に穴が空いて、土が飛び散る。

 「『物質操作』」

 範囲内に入っている飛び散る土を操りゴリラを包みこむ、これで少しは時間が稼げる。
 その隙に拳を叩き込んでやる。

 「ガゥ!」
 「む!」

 踏み込む瞬間に1匹のグラスウルフが邪魔に入り逆に時間を稼がれた、そのせいでゴリラを包み込む土の塊はそろそろ解除されそうだったので嫌がらせ程度にもう一度固めた。

 「ウホ! またか!」

 折角破壊しかけていたのに再度修復されて四苦八苦しているゴリラへの攻撃を中断し、未だに動いていないガケトカゲの方から片付けようかと思ったがグラスウルフが悉く邪魔してくるのだ、鬱陶しい。

 ガケトカゲに向かおうとしていたのがバレたお陰でやっと動きを見せられた。
 ガケトカゲは正直に言えば動きは森のなかで一番遅い、だが、攻撃力と防御の固さは俺くらいはあるだろう、なので戦いのスタンスは受けて反撃するタイプだ、回避は一切考えることのない脳筋である。

 「隙有りウホ!」

 土の塊から抜け出したゴリラが後ろから攻撃を仕掛けてくる。
 バカめ! 何も言わず殴れば良いものを、前へと行けばガケトカゲの攻撃が来る可能性があるので右か左だ、よし、左!

 幸い左側には少しのグラスウルフしかいなかったので、蹴飛ばして安全を確保した。
 ついでに邪魔なので土をかけて固め、動きを封じる事にした、さすがにゴリラ並の怪力がなければ対処は出来まい。

 5匹程しか拘束出来なかったが1匹も出来ないよりはましだろう、未だになにもしてこない狼が気になる、この中ではダントツで速い筈、それならば狼が率先して行動するのが普通だ、なのに何故なにもしない?

 何か狙いが有るのだろうか……今は考えても仕方ない、先にゴリラとガケトカゲをどうにかしなければいけないだろう。

 ゴリラは、今度は地面を削らないように横薙ぎにする攻撃と正拳突きを使っての攻撃になる、これなら確かにこちらに有利になりにくいだろう、考えたな……グラスウルフによる俺の行動範囲を制限しながらなら避けることは難しいからな。

 「ウホホウ!」

 正拳突きを放つゴリラの拳を裏拳で受け流しながら懐へ潜り込む事にする。
 これなら周りにグラスウルフも乱入は難しく、入ってこればゴリラの動きが逆に悪くなる……はず。

 目論みは成功し、右拳はゴリラの腹を目掛けて一直線だったがゴリラか体を無理矢理捻り、避けられた。
 体勢の崩れたゴリラを追撃するために追うと、嫌なタイミングでグラスウルフが割り込んで来るが、このチャンスを逃すつもりはない。

 「うらっ!」
 「ウホっ!?」

 グラスウルフの攻撃により多少軌道はずれたが追撃に成功し、なんとか遠くへと飛ばすことができた。

 直後、俺の周りに影ができた。
 ……なんだこれ、心なしか大きくなってるような、上?

 影の正体は後ろへと接近していたガケトカゲの鈍器のような尻尾。
 これ、回避は難しいな、ゴリラを飛ばしたことによる気の緩みだな。
 両手を掲げ尻尾を正面から受ける。

 若干地面に沈んだが、お陰で尻尾の衝撃により土ができた、作るのは小さな玉、それをただぶつけるだけでガケトカゲにはなんのダメージにもならない筈だ、それならば狙うは周りのグラスウルフ。

 「アォン!?」

 全く意識をしていなかったのだろう、虚をつかれたグラスウルフ達は見事に拘束され動くことが出来ずに倒れる。

 意識を失って貰いたいがちょっとそんな余裕はない。
 こうしてる間にもじわじわ埋まっていっているからな、足首まで埋まってる。
 両手に亀裂も入ってるし、最近俺の体脆い気がする。
 近くの木を操作し折れない程度に曲げ、一気に操作を解除するとそのしなりが戻り凄まじい勢いでガケトカゲへと命中し多少動かすことができ、重さから解放された俺は隙を見せている狼へと攻撃することにした。

 寸でのところでかなりの速度で回避されたのでムカッと来た。

 「様子見とはずいぶん余裕みたいじゃないか」
 「いやいや、そうでもないぞ、ここまでして結構な数の我が部下が止められてガケトカゲ殿、カウントゴリラ殿まで退けられた……余裕は既に消えている」

 なんて言ってるがこっちとしては全然堪えてる様子は見られないんだけどな。

 「何を考えている?」
 「ふふふ、そんな事を決闘の場で話すようなことはしないさ、当然である」

 確かに……くそ、なんか腹立つなコイツ。

 「それよりも良いのか? 我にだけ注意していて」

 すると後方から何かが来ているのを察知し、その場から退いた、ゴリラが飛んできて土を撒き散らす。
 先程これで墓穴を掘ったのを忘れたのだろうか、また拘束してやるよ。

 「ウホぉ!」

 周囲に集まり固まろうとしていた土をその場で無理矢理回転して全部を弾き飛ばされてしまった。

 やはり対策されてしまったか。

 すると少し飛ばされたガケトカゲまでこちらへと接近していることを視界の端に捉えた。

 「ここからが本領発揮だべ」

 どうやらまだ、終わってくれなさそうだな。

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