そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

準備

 隣の森が向かってきていると言う事が発覚した次の日、俺達は祠に集まり会議をしていた。

 予定ならばこの日の午後に衝突する予定だ。
 そのために無策で行くわけには行かない、作戦が必要なので今回の会議だ。
 急な集まりだったので直ぐ様対応に走れず、若干この森にかする程の場所が戦場になりそうだ。

 「じゃあ、さっさと話を切り詰めるよぉ」

 尻尾か手を叩き注目を集める。

 「正直に言えばうちの新戦力は余り出すつもりはなかった訳だけどねぇ、ここらで丁度良いし実力見せて2度と歯向かえない様にしようと言うことなんだけどどうかな?」
 「はっはっは! 尻尾! お前もようやくやる気になったか!」
 「違うよ、もうあちらと戦う理由なんて無いからねぇ、正直スキルを理解した私達が勝つに決まってるじゃないか」

 自信過剰過ぎるとは思うが客観的に見ても此方が勝つだろうしな。
 あのゴブリンはしつこくて根性のある珍しい奴だったな、今まで倒してきた奴は逃げるか喚くだけで歯向かう精神なんて持ってなかったしな、そこそこ興味深い奴だった。

 「じゃあ今回はごり押しするのか?」
 「ウホ? ごり?」

 お前じゃねぇよ黙っとれゴリラ。

 取り敢えず叩いて、まあ軽くなのでゴリラには効いていなかった。

 「……まぁその手も考えたけどね、わざわざ真正面から行って此方の被害を増やしたくはないよねぇ、いっそ調子に乗らせて森まで誘い込み私達の罠に嵌めようかとも思っているよ」
 「おい、尻尾! 俺等オーガの見せ場は真正面からの殴り合いだろ! なに、そうそう負けやしねぇ任せとけ!」
 「脳筋は黙っていようか、今重要なのは如何に此方の被害が無く向こうを潰すかなんだよぉ? あんな骨もない連中を殴って何が楽しいのさ」
 「でもオークは少しくらい骨あるだろ? こっちは俺が鍛えたオーガだぞ、万が一でも死なん」

 まぁ実力を試す良い機会だからな、角の暴れたい気持ちも分からなくはない、俺はそんな気持ち持ち合わせてないけどな、正直勝てればそれで良い。

 「牙はどうだ?」

 牙に質問をしてみる。
 角が真正面からの迎撃、尻尾が罠での殲滅、残る牙がどうするかで大体の形は見えてくるだろう。

 「我らは遊撃でもしようかと思うぞ、真正面から殴り合っている横からの攻撃、もしくは回りながら向こうの森に侵攻する事が望ましい」
 「なるほど、それならお前達の機動力が活かせる訳だ」
 「じゃあ、大まかにはオーガの迎撃、妖狐の罠、グラスウルフの遊撃と言う感じかい? まぁ妥当だよねぇ」
 「別に相手は戦略無しだと思うしそのくらいで良いと思うぞ、こっちは自分達の命優先で動けば良いだろう」

 俺もある程度は作戦作りに参加する、ちょっとやってみたかったからな。
 自分達が戦い易い方が今は良いだろう、別段人間と戦争するわけでもないからな。

 人間との戦争が起こるかは知らんが起こるときはこっちも全力で考えよう、まだ死ぬわけにはいかないからな、いやそもそも俺はどうすれば死ぬんだって話だな。

 「オーガ、妖狐、グラスウルフの動きは分かったが俺やガケトカゲ、ゴリラ、それにエマはどうする? 森で防衛か?」
 「うーん、そうだねぇどうしようか、エマ君は行くと無駄な騒動が起こりそうだから居残ってもらおう。ゴリラ君は木を使うその機動力を活かしたいから防衛で、ガケトカゲ君は足が遅いけどその破壊力は高いから中盤にオーガがと共に攻撃に、ランド君は臨機応変に自由にしても良いよ、大将撃ち取っても良いし、引きこもってても良いよ」

 大まかな方針は決まった訳だが、俺の扱い雑だろ。
 何て言うか厄介者扱いされてるぞ、解せぬ。

 「君指示しても聞かなさそうだからねぇ、それなら好きに暴れてもらえれば良いよ、君の戦闘力は分かってるし、どう動いてもこっちの利益になると思うし、別に雑にしてる訳じゃないよぉ」

 まあ確かに言うことは聞かないだろうけどな、でもな頭ごなしに否定するのはどうかと思うんだ、それで俺がどれだけ傷ついているか分かっていないだろ。
 これっぽっちも傷ついていません。

 そうだなあ、好きに動いて良いなら引きこもろうかな。

 「ランドさん! 大将の討ち取り頑張って下さいね!」

 エマがニッコリと此方に微笑んでくる、あれ? なんだろう、笑顔が怖いぞ。
 まるで「引き込もったらぶっ飛ばす」と言われている様な……まさかな、ははは、どうやってぶっ飛ばすのやら。

 「引き込もったらぶっ飛ばす」

 ボソッとエマが呟いた。

 当てちゃったよ、怖ぇ~、これは行くしかないだろうコイツと一緒にいるなんて無理だな。
 しかし何だろうな、殺気がすごいんだ、冗談も本気に聞こえるしコイツなんで俺にそんなに厳しいんだよ。
 おちおちのんびりしてられんぞ。

 「よし、俺は攻撃を中心に回るとしよう」
 「ん? そうかい? まぁそれなら手っ取り早いからねぇ、でもランド君が本気で行こうと思えばすぐでしょ? だから私の合図が有るまでは私の隣にいてねぇ」
 「分かった」

 ちっ、折角開始早々飛んで隣の森に突撃してやろうと思ったのに。
 尻尾め、どんどん頭が良くなってやがる、これもスキル理解の恩恵か?

 明日からに迎撃に入るためにオーガ達はグラスウルフと共に西側へ、尻尾達妖狐は罠を作るために西側を中心に回っている、移動手段は俺とゴリラの機動力で森を走っているので時間短縮になっており、これなら明日までに充分休めるそうだ。

 罠の種類は相手はゴブリンやオークが主なので落とし穴や捕らえる縄、それから幻覚での進路妨害だ、その間ガケトカゲはエマと留守番、と言うか東側と南側の見回りを他のグラスウルフも使いながら行っている。

 動きとしては、まずオーガが先攻し、グラスウルフが横からの遊撃若しくは森への侵攻、妖狐は自陣の防衛、カウントゴリラは万が一の為に東側と南側の見回りをこなしてもらい敵がいるなら随時殲滅。

 ガケトカゲは西側で待機しながら途中で参戦して戦場を荒らす、エマは祠で身の安全を第一に留守番だ、魔物同士の戦いに人間がいると知れば後々面倒なことになりそうだしな。
 参戦したそうだったがそこは尻尾が説得していた。
 魔物同士のいざこざに自分達魔物だけで決着をつけたいと言う感じで。

 まぁ人間が参戦して戦果をあげても向こうは納得しないだろうしな、俺としてはエマのスキルは恐らく戦争ではかなり使えるスキルだと思う。
 いつの間にか背後とって殺せば終わりだからな、かなり使い勝手は良い。
 結局留守番になるんだけどな、流石のアイツも皆に頼まれては仕方ないと思ってくれるだろう。

 そして俺は好き勝手に動いて行くわけだが、狙うは大将の首か降伏を聞くわけだ、最初は待機して防衛に回るけどな。
 でもゴブリンやオーク達でオーガの壁が突破できるかは分からないな、厳しいだろう。
 と言うか尻尾が作り出した罠を突破して俺のところにまで来ないと行けないのは知っていたら絶望ものだな、俺自身そこまで強いと言う自負はないが易々と負けるつもりもないからな、卑怯な方法でしか勝てない俺は大将の首も一騎討ちなどでとるつもりは毛頭ない。

 一先ず準備は終わった。

 後は明日を待つのみだが、油断はやめておこう。

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