そのゴーレム、元人間につき
戦況<角>
<角>
弱い……マジでかコイツら、弱すぎるぞ。
俺は今、戦争と言う名の俺的には祭りの前線を任され(自分から)ゴブリン並びにオークの群れへと部下であるオーガを連れて突撃して薙ぎ倒している最中だ。
最初はこっちの素早さと先制攻撃で上手く行き、ここから徐々に抵抗を相手が見せるはずだ、いや普通ならそうなるんだが、押し返される事がなくどんどん前に進める。
そしてその無双っぷりに俺もテンションが上がってスキル『酒気万力』を使って優越感を味わっていた。
因みに俺のスキル『酒気万力』は酒を飲む量による身体強化みたいなもんだ、ただし決められた量でないと発動しない。
面倒だが俺としては助かる訳だ、適量を飲んで酔っぱらって暴れたら迷惑かかるからな、それはそれで面白いがその後尻尾に酒を禁止させる恐れがある、それだけは避けたい。
そんで、スキルで最初は無双は楽しかったな、久しぶりの強者感が出た、ゴーレム……今はランドだったか、アイツが来てからと言うものの、ガケトカゲに続きカウントゴリラまで来て俺の存在感の薄さと来たら、泣きたくなるし! やけ酒だってするよね!
っと、冷静さに欠いたな、つまりあれだ、最初は楽しかったけど飽きてくるもんだな、こう言うの、俺としてはやっぱり強者同士の殴り合いの方が好みだな。
しかし、コイツら本当にあの昔良い勝負してたゴブリンとオークか? 話にならねぇんだよな、ゴブリンはともかくオークだ、ここまで弱かっただろうか……エマの奴にスキルを教えてもらってから俺らオーガは強くなったんだよな、しっかし今までよく気づかなかったもんだよな、昔から酒を飲んでたら少し力が上がる気がしてたのは無意識にスキル使ってたからって事か。
尻尾が言ってたがスキルを理解したお陰で次の段階へと進めたんだろうとか言ってたが意味が分からん、まぁ強くなったなら良いか、俺はいずれ、ランドを超えるからな、もっと強くなるぜ。
いや、別に認めてる訳じゃねぇよ、今でも俺とランドは互角……むしろ俺の方が勝ってる! うん、この前の戦いはアイツ普通に正々堂々とやらなかったからな、俺とは立つ土俵が違う気がするが、同じ土俵なら負けはしない! ……多分。
弱気は行かんな、病は気からとかなんとか尻尾が言ってたし。
俺病気にかかったことないけどな!
とにかく、コイツらゴブリンとオークの群れが弱すぎると言うことは分かった、コイツらもスキルを理解したら強くなったりすんのかね? まあ戦争後の事考えるのは尻尾の役目だ、俺は目の前の奴を薙ぎ倒すのみよ!
っと、なんだ? 一際デカイ奴が来たな、でも所詮少し太っただけのゴブリンだ。
しっかしあれだ、よく見るとコイツら普通のゴブリンと違って痩せてる気がするんだよな、ちゃんと飯食ってんのか?
「俺様と決闘しろ!」
正直俺が勝つよな、負ける気しないし。
いや、自信とかもあるけどさ、こうこのゴブリンの三下感とか強者に見えねぇって言うか。
……まぁ良いか、面白そうだし。
「良いぜ、ただしお前が勝てる事は無いけどな」
「たかがオーガ風情が調子に乗るなよ!」
そう叫んだゴブリンは一直線に俺へと向かってくる。
バカが、真剣勝負になればそんな真っ正面攻撃なんぞ交わされて終りだ。
だが受ける!
面白いからな!
俺は酷く遅いゴブリンの棍棒を頭で受ける、あ、意外と衝撃が強いな、腐ってもゴブリンの親玉か、まぁちょっと痛いだけだ。
「ギャギャギャ! 鈍ったらしいオーガごときにこの攻撃がかわせるかよ!」
あー、コイツ付け上がるタイプか可哀想に、現実って奴を見せてやらねぇとな。
「こんちはこっちから行くぞ」
「ギャギャギャ……は?」
ちょっと痛いだけで済んだので立て直すのは簡単だ、そこから直ぐに奴の右脇腹に拳をぶつける。
ゴブリンは完全な油断だったので見事に脇腹に拳をもらいその場で膝をついた。
ったく、1回で戦闘が終わるわきゃねぇだろ、少しは考えて戦えよ。
軽く殴っただけでこれかよ、骨は折ってねぇぞさっさと立てや。
「グガッ、なかなかやるじゃねぇか……!」
「御託は良いんだよ、さっさと立て、終わってねぇぞ。良いのか? 次はこっちから行くぞ?」
未だに膝を付いているゴブリンを蹴りあげ掌底を叩き込む。
以前ランドにやられた技だ、アイツ、ずっと祠に居た筈なのにどうやってこんな繋ぎ技が出来たのか不思議だ。
しかも綺麗に繋がるから面白い、肉弾戦をする俺としては極めたい所だ。
ライバル視してる奴を手本にするのはおかしいのか? まぁ俺は俺が強くなれればそれで良い、何でも吸収して上へと行くぜ! そして人里を火の海にするのだ!
多分尻尾に止められるけどな。
っと、なんだ、向こう側が騒がしいな。
あー、ありゃ牙達だな。
そう言えば横から殴りかかるとか言ってたわ、殆ど方はついてるようなもんだけど出番は欲しいわな。
で、あと半分程向こうの森に突っ込んでいったが隣の森って結構遠いよな?
アイツらの早さでも今日中にはたどり着かんだろう、まぁ戦争を1日で終わらせようとしたらの話だけどな。
尻尾が言うには普通は何日もかけるらしいな。
「グガッ、バカな! たかがオーガごときにこの俺が!」
「いや、いつから俺達オーガがてめぇらより弱いと思ってんだよ、つーかやる気ないなら帰れ、邪魔だ」
おっと、うっかり存在を忘れていたぜ。
しかし、戦うつもりのない奴なんて居ても邪魔だしな、こっちが萎える。
しかも、どんどんこっちをみる目が変わってる、恐怖だなこりゃ、昔人間が同じ目をして居たのをよく覚えてる。
こんな怯えた奴をいたぶっても楽しくもなんともないな。
昔はこれで十分楽しんでた気がするがいつの間にか興味が無くなってるな。
俺の言葉で短気なゴブリンの親玉は怒り狂い、棍棒を無茶苦茶に振り回して此方へと向かってくる。
「死ねぇ!」
「殺す気かよ……はぁ、仕方ねぇな、こっちも殺す気で行くぞ」
攻撃なんぞ受けずに迎撃してやろうと思ったがふと上空を何かが通過したのが分かる。
「なんだありゃ……ランドか!?」
いや、アイツゴーレムじゃん、なんで飛んでんだよ! どうやって飛んでんだよ! 面白そうだな! 俺も混ぜろよ!
おっといかんいかん、アイツが行ったってことは尻尾が飽きたって事だろう。
まぁ1匹足りとも通してないからな、尻尾の出番が無いわけだそりゃ直ぐ終わらせるわ。
ランドのあの速度なら直ぐに着くだろ、後はアイツに任せれば牙の部下も戻ってくるんじゃね?
いや、向こうはトレントが大量に残ってたか、遅い援軍になるがまぁいないよりはましだろう。
こっちも終わらせるか。
「いてっ!」
「ギャハハ! 調子に乗るからだ」
うわー脛は痛いわ、ジンジンするし、腹立ってきたな。
油断してたこっちが悪いしな、よしお返しにこっちはぶっ殺してやるよ!
「『酒気万力』、[一杯]」
俺の全能力は向上した、因みに最初で無双してたときは『一滴』だ。
この『一杯』はそれよりも上げる。
ははっ、滾るぜ!
さて、軽く大振り。
──ブォォォン!
「グギャ!?」
まともに食らったゴブリンは後方の仲間を巻き込み大惨事を起こし動かなくなった。
そりゃそうだろうよ、殴ったときには頭潰れてたからな。
巻き込まれた奴等も死んだろ、まぁどうせゴブリンなんてアホみたいに繁殖するからこの程度屁でもないだろ。
一応アイツが指揮官だったんだろうな、他の奴等は逃げていきやがった。
つってもゴブリンだけだ、オークは普通に残ってやがるな、ゴブリン怒鳴ってるけど。
次はコイツらか。
「角様、俺達にも出番下さいよ」
「まぁ一騎討ち黙って見てて貰ったし、良いんじゃねぇの? ……俺より早けりゃ黙って手柄をくれてやるよ!」
「嘘!? ちょっ! 早! 待て! この酔っぱらい!」
俺は部下を置いてオークどもへと攻撃し、後からやって来た部下どもの追撃もあり、オークの群れもボコボコにし、戦いは直ぐに終わった。
因みに、殺してはいない、尻尾がダメだとよ、利用するらしい。
こんなやつら居ても意味はないと思うんだがな。
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