そのゴーレム、元人間につき

ノベルバユーザー168814

床を守るため。


 「質問してきて答えてやったのにその態度は何だ! 冒険者風情が調子に乗るなよ!」

 先程からずっとそれである。

 邪魔だから帰って欲しいんだけどな。
 何の用だろうか。

 「ブンシャ様! ご無事ですか!」

 先程いた七三貴族の部下だろう男達がドタドタと床を荒く踏み鳴らしなから走ってくる。

 おい、そこは直したばかりなんだぞ、踏み抜いたらただじゃおかないからな。

 「まぁ待て、私は寛大だからな。おいお前、今では謝るなら許してやるぞ?」
 「何を謝るかは知らんがそうだな。ごめんなさい、とっとと帰れ邪魔」

 よし、これで大人しく帰ってくれる……ん? 何かプルプルしてるぞ。
 っと、エマも院長もいつの間に、おや? 二人ともどうしてそんな驚いた顔をしているんだ。
 なにか面白い事でもあったのだろうか。

 「七三、トイレなら向こうだぞ、震えてるし、相当我慢していたんだな。我慢は良くない」

 便意を催してるなら早く済ませる方が良いだろ。

 「そうだな、我慢なぞ要らんな……」
 「そうそう、正直に生きるのが一番だ」

 今度はクックックと笑い出す七三貴族。

 まさか……もう手遅れだったと言うのか。
 いや、我慢するなとは言ったがまさかこんなところで解放されるとは思わなかった。
 仮にも貴族だろ、そこは弁えておけよ。

 「ふふふ、ははは! お前達! この屑に分からせてやれ、この私に歯向かうと言うことをな」
 「はっ!」

 あれー、何で俺が悪いみたいになってるんだ。
 ……ちゃんと謝ったんだけどな、可笑しいな。

 部下の男達はゾロゾロと俺の周りを囲み、腰に挿していた武器を取りだし此方を睨んでいる。

 「へっ、悪く思うなよ、ブンシャ様にサカラウてめぇが悪いんだからな」
 「逆らった覚えはないが、建物内で暴れるのは人としてどうかと思うぞ」

 全く、こっちがせっかく直した床を壊す気か、魔物に注意されるとは人間も程度が知れているな。
 しっかしコイツら、貴族の部下と言った割には格好はお粗末な感じだな、チンピラ感丸出しだ。
 これは捕らえたとしても切り離せる丁度良い位の立ち位置の奴を連れてきたのではないだろうか。

 「生意気言ってるのも今の内だ!」

 一人の男が斬りかかってくる。

 あれは、鉄の剣か、長く放置していたがそろそろ俺の強化にも鉄が欲しいところだ。
 ぜひ戴こう。

 剣をギリギリでかわす。
 俺はしゃがんでいて、そこからかわしたので当然相手の剣は俺を逸れて床へと突き刺さる。

 「あ、せっかく直したと言うのに。コノヤロ!」

 剣を抜こうとしている男に前蹴りをぶつけ、窓から外に飛ばす。

 あ、俺も壊してるじゃないか。

 「院長、済まない。続きは外だ」

 俺は割れた窓から飛び出し外へと出る。
 他の男達も俺を追って窓から出てくる。

 蹴飛ばされた男は既に気絶しているので戦力にはなら無いだろう。
 俺を追ってきた残りの連中は驚いている。

 この程度なら誰でも出来ると思うんだけどな。
 一応言っておくが俺はFランク程度の冒険者だ、そこまで強くは無いだろう。

 「良くもやってくれたな!」
 「うおおぉ!」

 次々と武器を手に襲いかかってくる男達。
 残りの人数は四人程、その中でも二人は頭に血が昇ったのか動きが単調だ。

 その程度なら俺でも対処が出来る。
 その技術じゃゴブリンにも負けるぞ。

 特に連携も無いので一人ずつ冷静に対処しよう。

 上段から剣を振り下ろす男にはギリギリで体を捻り避け、肩パン。

 ゴキャッとか変な音が鳴ったが問題は無いだろう、その程度じゃ死なん。

 次に来た男は剣を横薙ぎに振る。
 それを後方に少し下がり体が開ききり、直ぐには戻せない所で腹パン。

 体が軽く浮いて口からなんか出してたけどそこは見事なステップにより避ける。

 この一連で警戒心を強めた残りの二人は一人は俺の死角に入るような位置取りをしている。
 どうやら連携をして向かってきそうだ。

 「はぁ!」

 視界に入っている男が動くと同時に死角にいる男もタイミングを少しずらしながら攻撃に出る。

 ……避けるのも面倒だな、受け止めよう。

 『付与』[硬化]を使い、体を硬くして剣を受ける。
 両側から挟まれるように繰り出される剣劇だが、俺が硬いせいか刃こぼれを起こしてきている。

 ……マズイ、このままでは此方が使える鉄が無くなっていく。
 [硬化]は無しだな。

 俺に攻撃が効かないと分かり、攻撃を止めたタイミングで目の前の男に近寄り顎目掛けて拳を振るう。
 どうなっているのか知らないが空中へと浮かぶ男。

 それを見て唖然としている死角にいる男にも同じことをしてこの戦いは俺が大体一撃しかしてない。

 さて、報酬として剣は全部貰っておこう、大事だよね、少しでも。

 「な、な!?」

 窓から見ていた七三貴族は驚愕していた。
 それほど自身の連れてきた男達に自信があったのだろうか。

 俺には関係ないな。

 さて、お話しようか。 

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