TS転生は強制的に

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四十四話~ボクと私と破壊神アルテナ~

そうだよ? そう思った君はどう思ったのかな? ぷくく」 
「な、何笑ってんのさ! マイク君、カズトを奪っておいて!」 
 
 勿論、私はそんな挑発に乗らないようにと言う風に、ボクの事を止めて来たけれど、流石にボクだってこんな挑発には乗りたくはないけれど、マイク君が死んだんだ、こいつの愉快犯的な行動により。 
 そんな事を許せるわけがないよ! 
 
「おやおやぁ、何を言っているのだか、君はマイクを助ける力を持っていなかったからmマイクが死んだだけだ。そう、これは運命なんだよ」 
 
 そして、闇に堕ちたアルテナはボク達に向けて、本当に狂った笑みを浮かべつつも更なる追撃を行っていた。 
 ボク達は魔法も使えない今では、この光から逃げ続ける以外の行動は出来ず、それは圧倒的劣勢と言う事を指している。だからここで相手が何か別の攻撃を放った瞬間に、ボク達が死ぬ可能性が著しく上昇するだろう。 
 
「そして、君に残されている運命は、このまま私に殺されるか、もしくは散々いたぶられた結果、私と仲間になるかのどちらかだろうね?」 
「だ、だからさっきから!」 
 
 アルテナの言動的にはところどころに、ボク、と言うか私であるハデス、アルテナにとっては幼馴染的存在? のハデスを仲間にしようと必死になっている様で、屈服するのを待っているように思える。 
 まあ、愉快犯的な行動を現在している時点で行動なんて予想不可能だし、そもそもそう言う思考に陥らせて、そして混乱させた隙に殺すと言う作戦かもしれない。 
 
「あはは、それにだよ、純粋な神ではない君が私を打ち破ったとしても、その後はどうするのかな? ハデスには超大規模空間を作れるくらいの力はあるけれど、魔力、星、そして生命体を新たに作り出すような力は存在していないよ?」 
「煩い! ボクはボクのためにお前を殺すんだ!」 
 
 勿論、そんな風に、もしかしたら正気になっているにもかかわらず、何かに洗脳、脅されているとしても、流石にカズトを殺されているのだから、ボクは容認しないし、私もこの世界を破壊したのだから容赦などする気はない。 
 
「はぁ、君たちは本当に愚かだね、一体戦って何のためになるって言うんだ? 戦っても負けて、そしていたぶられるだけじゃないか」 
「……」 
 
 ただ、今のアルテナの言っている言葉は、ボクがカズトを殺されたことに対しての、そして私はこの星を破壊されたことに対しての、仇や執念と言う物がなければ、そしてその両方をした犯人であるアルテナが言わないのならば、絶対に正しいだろう。 
 勿論、その事により、許容できる範囲を大幅に越している為、完全に無視をしている。 
 
「じゃあ、これを見せてあげようか?」
「……」

 そして、ボクが、私が黙りながらアルテナの事を睨んでいると、アルテナはまた魔力ではない何かを媒体に、別次元から何かを取り出した。
 そして、その何かを凝視していると、それをどんどんと認識するように、認識してしまうようになり、そして更に私と言う魂が薄れ、ボクと言う魂が強くなり、心の中には私が抑えきれないほどの怒りやら、執念、殺意、失望、絶望……などと言った、まさに混沌だった。

「貴様、いい加減にしろ」
「ごめんねぇ、愛情と嫉妬の神の時だったら私はその返答にYESと答えたかもしれないけど、今は破壊神なんだよ。だからそんな願いには答えられないかなぁ? クスクス」

 ボクが、本当に人格が崩壊するのではないかと一瞬にして分かってしまう位の、怒りを感じ、そして体中を駆け回った。
 勿論、それはボクだけではなくハデスもなのだろうけれど、ボクの怒りが強くてハデスの魂は完全になくなったも同然な状態になっていた。

「どうしようかな? ならマイクではなく、カズトの顔にしてみるかい?」

 そんな風に、怒りに体を震わせるどころか、怒りによって体が壊れかけてきているように思える状況の中で、またアルテナが行動を開始した。
 そして、アルテナがした行動は、マイクの顔とカズトの顔を移り変わりにして遊ぶと言った行動だった。その一魂二人のカズトとマイクで遊ぶという行為にボクは完全に吹っ切れてしまった。

「……どうしたの? 急に魔力的な反応が起きたけれど」

 どうやら、ボクは間違っていたのかもしれない。
 吹っ切れた事により、自我を失い、そしてがむしゃらに行動し、そして魂を自ら消耗していって、その後にアルテナに殺されてしまうのでは、と言う風に思っていたけれど、実際は全く違った。
 実際は、怒りにより濁っていた、狭まっていた視界が広がり、そして陰鬱な感情にあふれていた心内は晴れ渡っている空の様な、清々しさを見せ、そして体内から発生する力と言う物が、大量に出ているように感じられた。

「カズト、帰ってきて」

 何故だか、体内、心内、ボクの魂の奥底から出てくる強力な力、エネルギー、そういった物の使い方を覚えているような気がして、知っているような気がして、そしてそういう風に言ったのも懐かしいように思えた。
 そして、そんな直感で、勘で、自分の魂に刻まれて、どんなに魂が消耗しても、絶対に消える事の無い様に、協力に魂に刻まれている様な感じがする願いをした。

「なっ!? お、おまえは不屈の救世主ではないのか!? 不屈などと言った物では遠く及ばない様な力が発さられているのに」
「ナタリー、帰ってきて」

 そして、ボクが心で思うのではなく、魂が思ったことをどんどんと口に出した。
 心ではボクも、こんなことをしても意味はないと言う風に思っていても、それよりも単純な、心と言う様な虚の盾で魂を塗りつぶし、高等的な生活を送るためにどんどんと小さくして行っても、その魂の協力の呼びかけの前には塵に等しかった。

「そして慈愛の勇者よ、今こそ、ここに真の姿で現れよ」

 慈愛の勇者と言う物は、ボクと仲が極端に悪く、そしていつの間にか仲の悪さを解消していた、そしてボクがいつも勇者と呼んでいる、あいつの事だろう。あいつの本名など知らなくてもよい。
 そして、ボクの魂が呼びかけた慈愛の勇者は、以前であった聖龍ホーリードラゴンが人型になったような異形と言えば異形だが、そこからも、絶え間なく湧き上がっている慈愛、やさしさの雰囲気が近くにあふれていた。

「はっ、わが主よ」

 そして、その声はあの勇者と何も違いはなかった。……こんな場でふさわしくは無いだろうけれど、少し気持ち悪く感じてしまったのは、多分仕方がない筈だ。

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