TS転生は強制的に

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四十三話~私とボクと闇堕ちアルテナ~

「アルテナ! 正気に戻って! 『絶対防御障壁アブソリュートバリア』って、え?」 
 
 流石に今のアルテナの攻撃を無防備に受けようとは思わないし、そもそも、アルテナ側が圧倒的有利になっているこの状況で、私に対し、こけおどし的な攻撃をする必要性など皆無なので、きっと先ほどの攻撃の様にめちゃきくちゃな攻撃なのだろう。 
 ただ、それを防ごうと思った魔法は一切発動しなかった。 
 
「アハハ、不思議そうな顔をしているから教えてあげるね? この空間には本当に何も存在しないんだよ。つまりはね、魔力も存在していないと言う事だよ」 
「ッ!?」 
 
 初めは私が魔法を間違えたりとか、千年近く封印されていたせいで、魔法がうまく使えなくなっているのかと思ったけれど、アルテナの、しなくてもいい説明を自白してくれたおかげで、あの閃光を触れる間際でよけた。 
 アルテナは闇に堕ちて、力も手に入れ、暴虐の限りを尽くすようになってしまっているけれど、所詮はアルテナと言う事なのかな、阿呆であることは変わりないみたいだし、ただ、そのせいで予測がつかないんだけどね。 
 
「むふふ、本当にハデスはおろかだね、今すぐにでも私と同じように堕ちれば、こんな武力が手に入るんだよ? もうそれは誰にも劣らないほどにね『異能:魂の複製ソウルコピー』」 
 
 そして、アルテナが更に、私に追い打ちをするつもりなのか、それとも単なる気まぐれなのか、それとも馬鹿みたいなことを考えているのか、分からないけれど、魔法ではない何か新しい攻撃方法なので、何をするのかは分からない。「ソウル」と言っている為、魂関連の事なのだろうけれど。 
 
「そうしてね、これはこうするんだよ『異能:魂の統合ソウルコンポジット』 
 そうするとね、私の魂が君の魂と統合されるんだよ、つまりは君の考えなど即座に分かってしまうのだよ」 
 
 やはり、ソウルと言ったことで、魂関連の事だったけれど、魂関連で一番やってはいけないとされる禁忌を行ったようだ。 
 そもそも、魂の統合は魔法でも存在するけれど、それは相手の魂を破壊し尽くし、統合を行った側の人間の魂までも破壊し尽くす、それは神でも魂が破壊された場合もあるらしい。 
 
「それに、君は純粋なる神性ではない、だからこそ君が勝てる可能性は魔法の身でだけれど、魔法を封じた今、君の勝つ確率はなくなったね」 
 
 しかし、魂の統合は完全に成功したようで、私がアルテナにも行っていなかった、純神性の神ではなく、人間や生物から、奇跡的に神性を得た、土地神の超上位互換的なものではあるけれど、世界を統べる様な神とは全く違う。 
 そもそも、本質的に、私は生命体で、アルテナは超生命体だ。だから普通はかなわない。私の場合は、魔法でアルテナを奇跡的に超えていたけれど。 
 
「ふふふ、ハデスはそれでもあきらめないと分かっていたけれど、どこまでやれば諦めるのか見ものだねぇ」 
 
 その言葉を発し終えた後、先ほどと同じ様に、詠唱もなく、先ほどの鈍い閃光が束になってアルテナの周囲に発生し、そしてこれも先ほどと同じ様に私に向けて飛んできた。 
 ただ、その鈍い閃光は私が完全に煮えられないように、と言うか先ほど私の魂のコピー 
が入っている為、逃げる場所を分かっているのだろう。 
 ……できるかは分からないけど、もう私も魂を合成させるしかないのか、あれは無能に限りなく近いけれど、そのまま死ぬよりはましだ。 
 
「『魂の総分解』『魂の総合成』『魂の総修復』」 
 
 勿論、こんなことをするのは初めてで、どれだけの魔力をを使うのかが、分からないので危ないかもしれないし、そもそも足りない可能性もあったけれど、そうやら一応成功したらしい。 
 ただ、そのせいでちょっと思考が大変になっている。私の意見も考えつくし、ボクの意見も考えつくし、それを貶しつつ否定する考えも出てくくるし、それについて文句を言う様な考えも思いつくし、本当に大変だ。 
 それでも、しっかりと回避案が出てきた。 
 それは、ただ単に後方へと逃げ続けると言う事だった。……確りと見ていると、こっちに向かってくるにつれ、光の光量がなくなって行っているので、確りと見ていれば分かったのだけれど、そんなことくらいでボクに負けるのは私としてはとても悔しい。 
 
「それでこそ、ハデスだね、一発でそれを成功させるなんてね、驚きだよ、でもジリ貧なのは変わりないんじゃないかな?」 
 
 アルテナは、ただ単にその事を指摘しているだけなのかもしれないけれど、私にとっては、その事を知らせ、こちらを焦らせようとさせている事のように思えてしまう。 
 ボクにとってはそんな事よりも、こんなことに巻き込まれたことに対して、私にムカついているけれどね。 
 
「しかも片っぽは、世界の救世主とか言われてるけれど、無能だし」 
「はぁ? 誰が無能だって!? ボクは勝手に君に誘拐されたんだよ!」 
 
 しかし、本当にこいつボクは、滅茶苦茶なレベルで、馬鹿、と言うか馬鹿と言う言葉で表すと馬鹿に失礼なくらいなほど、馬鹿を超越した馬鹿だ。 
 流石に、ここまでわかりやすい挑発に乗るような馬鹿が本当に存在したとは。 
 
「じゃあ、そんな無能な君に一つ言ってあげようか、君のボーイフレンド的な存在であるマイクは死んだよ、しかも、冥府すらも破壊したから、もう蘇る事すらないよ」 
「……え?」 
 
 しかし、その台詞をボクが聞いた瞬間、私の魂が薄くなってしまうほどの滅茶苦茶な感情が、心の中に吹き荒れ、そして、謎の力的なものが沸き上がっているような感じがした。 
 ……一喜一憂が本当に激しすぎるよ。 

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