TS転生は強制的に
三十七話~俺とライムと化け物と~
「ま、マイク君? う、嘘だよね?」  
 
突然出てきた真っ黒い人型をした何かを認識し、防御魔法を俺とあいつらに張ったのだが、どうやら、完全に張り切れていなかったらしく、マイクに真っ黒な人型の攻撃が当たったようで血まみれになっていた。 
 
「ふん、外したか」 
 
そして、その真っ黒い人型は、俺を狙っているような発言をしていたが、攻撃目標は俺ではなくその周りの俺よりも歳の低い子供達の様だった。 
そんな事も知らずに、マイクが大量に血を流しているところを見て、崩れ落ちているライムを見て、あいつは卑劣な笑みを浮かべていた。 
 
「ライム! そこから離れろ! 狙われるぞ!」 
「今度は命中させて」 
 
やはり、あの黒い人型は俺を狙う事が目的ではなく、子供たちを狙う事が目的らしく、完全に俺以外の残りの二人を見ている様だった。 
そんな状況に、俺はライムに呼びかけをしたのだが、マイクが死にかけているという状況に絶望し掛けているのか、俺の話が全く聞こえていない様だった。 
 
「マイク君を殺しておいて何を言ってんのさ! マイク君を返してよ! 『冥府の――』」 
 
しかし、ライムはあの黒い人型に狙われている事には全く気付かずに、マイクの仇を問うとでもしたのか、俺の隣に居たライムから膨大な魔力量が放出されたようだが、魔法の使用はとどまった様だ。 
 
「……いや、どんな場所でライムは憤死したんだっていうんだ」 
「『神遺物:超電磁砲』」 
 
勿論、正気に戻ったらしく、魔法を使う事は無かったが、何かをつぶやいていてマイクを失った事がかなり傷付いたのだろう。 
そして、あの黒い人型から、マイクが殺された攻撃と同じものがライムへと放たれた。流石の俺でも、あそこまで早い攻撃は防ぎきれないので、諦めるしかなかった。 
 
「ふん、そんなお粗末な攻撃をしないでほしいね!」 
「な、なに!? どうやって防いだんだ!?」 
 
俺が諦め、脳内でまた新たな犠牲者が出ると悔やみ、その現実から目を逸らすように、俺は無意識に目をつぶってしまっていた。 
勿論、俺のせいで出てしまった死者の姿をもみたい訳がなく、けれどそれでもまだ生きている人が居て、俺の様な特殊なものではない限りこの世界が崩壊してしまう。 
だから現実を見るため、俺は目を開いた。 
 
「少し私を舐め過ぎだよ、まあ、君たちもそういう情報は分からなかっただろうしね」 
 
しかし、新たな死者が出ることはなかったようだ。 
俺の目の前でライムは目の前の黒い人型を呆れながら見ていた。 
あの光と言ってもいいくらいの攻撃は、全く認識できるレベルの速度ではなく、何かまぶしいものが通った気がする、と言う位の事しか、俺も分からない攻撃だったのを、ライムは防いだのだ。 
 
「私はそういう情報はあまり持っていないけど、そんな攻撃位は防げるよ」 
 
ただ、何故かライムはいつもと違う様な気がしてならない。一人称は、普段の男が使う様な”ボク”ではなく、女らしい”私”と言う一人称に代わっている。それに、口調は普段と同じ様な気がしても、相手を見下すような、そして、その笑顔は嘲笑をしている様な感じで、普段とは少しだけ異なる雰囲気を醸し出していた。 
 
「まさかッ!? 貴様はアルテナなのかッ!?」 
「……君には重要な情報が与えられていないのかな、一応言うけど私はアルテナではないから、流石にあそこまで馬鹿ではないし」 
 
やはり何かがおかしい。 
いつも通りのライムの喋り方とは同じなのだが、身振り手振りがいつもとは異なっていて、見る者を魅了するような行動の仕方になっている。 
アルテナ神を貶すような、常識ではありえないほどの無礼な事を言っているのにもかかわらず、その言動を信用してしまう様な雰囲気が作り出されている。 
 
「まあ、今の私には君を殺し切ると言う事は無理だけど、致命的な傷害を負わせることはできる。それは物理的にも、精神的にも……『無限地獄への門』」 
「な、なんだその門は!?」 
 
そして、ライム……なのかは分からないが、これで終わりだと、何もなかった空中に禍々しい門が出来上がった。 
その門は混沌としており、幾千もの色がまじりあったような、純粋な漆黒ではなく、少し違う色が混ざった黒色をしていた。 
 
「じゃあ、頑張ってね!」 
「な、何をする!?」 
 
そして、その黒い人型は、ライムと思わしき人物が空間に作り出した禍々しい門に、吸い込まれてきていた。 
勿論、黒い人型はそれに抗おうと、魔法やら攻撃やらをあの門にしていたが、門には傷一つついておらず、そのうちに吸い込まれていった。 
 
「はあ、なんでこんな面倒な奴がこんな早く来るんだよ」 
「お、お前は本当にライムなのか?」 
 
勿論、そんな魔法使う様な化け物はライムではないと予想がつく。……まあ、あれも相当規格外だったけれど、ここまで狂った力を持ってはいなかったはずだ。 
それに、黒い人型もいなくなったのでライムと思わしき人物に質問を始めた。 
 
「おぉ! すごいねぇ! 私とライムは性格が似てるのに」 
「……だ、誰なんだ!」 
 
その、ライムらしき人物は、やはりライムではなかったらしい。 
そのライムと同じ容姿を持った人物は、その事を全く重要に考えていないのか、それともライムと同じく馬鹿なのか、それともそういう事を演じているのだろうか? それでもばかげた喋り方で話している事には変わりなかった。 
 
「う~ん、アルテナに従順な君には伝えられないかなぁ」 
「なんだ? 疚しい事でもあるのか?」 
 
どうやら、ライムに化けたその人物はアルテナには存在がばれてしまう事を恐れている様だった。 
完全に、これはこの世界に対する外敵、もしくは害意のある人物なのだろう。ここで討伐するべきなのだろう。ライムの姿を勝手に使うものが悪逆非道に走るような事が有ったら、ライムが本当に可哀そうだ。 
 
「まあ、疚しい事しかないけれど、それでもこの世界を守るために居るって言う目的は一緒だよ、だから早くその剣に触れている手を放してもらえないかな」 
「はっ! 何を馬鹿な事を、貴様の嘘はバレバレなんだよ」 
 
しかし、ライムに化けた悪人は、完全に追い詰められているというのにまだ言い逃れをしようとしていた。 
そもそも、あんなに禍々しいものを作り出しておいて、勇者である俺の様にこの世界を守ると言う事が目的だと言う。本当にふざけた奴だ。 
 
「はぁ、じゃあ名前を言えば信用してくれるのかい?」 
「今更そんな事をして騙せるとでも思ってんのか!」 
 
もう、本当に呆れる。こう言う所だけを見ているとライムに似ているからなおさら質が悪い。本当に注意してみなければ分からないだろうし。 
そんな事を考えながら俺は剣を鞍からぬき始めた。 
 
「はあ、だから独善者は嫌いなんだ」 
「っ!?」 
 
しかし、ライムに化けた人物は、俺が瞬きをすると、人一人分くらいの間が空いていた空間を瞬間的に移動し、俺の持っていた剣を奪い取った。 
そして、その奪い取った剣を俺ののどぼとけに向けて構えた。 
 
「私は”ハデス”、分かりやすく言うのならば冥府の神だ」 
 
そして、その人物はハデスと名乗り、自らを冥府の神だと名乗った。 
一般的な、アルテナ神を祭る法典だと、冥府神の記述は原初の生物を分割し封印された中野一つと言う扱いになっている。 
だからこのような見た目をする訳がなく、暴虐を尽くすはずの生物なはずなのだ、だからそれは自然と嘘と言う事になる筈なのだが、そのライムに化けた人物はその常識さえも超えるような、人々を洗脳するような力を持ちながら自信ありげに言った。 
 
突然出てきた真っ黒い人型をした何かを認識し、防御魔法を俺とあいつらに張ったのだが、どうやら、完全に張り切れていなかったらしく、マイクに真っ黒な人型の攻撃が当たったようで血まみれになっていた。 
 
「ふん、外したか」 
 
そして、その真っ黒い人型は、俺を狙っているような発言をしていたが、攻撃目標は俺ではなくその周りの俺よりも歳の低い子供達の様だった。 
そんな事も知らずに、マイクが大量に血を流しているところを見て、崩れ落ちているライムを見て、あいつは卑劣な笑みを浮かべていた。 
 
「ライム! そこから離れろ! 狙われるぞ!」 
「今度は命中させて」 
 
やはり、あの黒い人型は俺を狙う事が目的ではなく、子供たちを狙う事が目的らしく、完全に俺以外の残りの二人を見ている様だった。 
そんな状況に、俺はライムに呼びかけをしたのだが、マイクが死にかけているという状況に絶望し掛けているのか、俺の話が全く聞こえていない様だった。 
 
「マイク君を殺しておいて何を言ってんのさ! マイク君を返してよ! 『冥府の――』」 
 
しかし、ライムはあの黒い人型に狙われている事には全く気付かずに、マイクの仇を問うとでもしたのか、俺の隣に居たライムから膨大な魔力量が放出されたようだが、魔法の使用はとどまった様だ。 
 
「……いや、どんな場所でライムは憤死したんだっていうんだ」 
「『神遺物:超電磁砲』」 
 
勿論、正気に戻ったらしく、魔法を使う事は無かったが、何かをつぶやいていてマイクを失った事がかなり傷付いたのだろう。 
そして、あの黒い人型から、マイクが殺された攻撃と同じものがライムへと放たれた。流石の俺でも、あそこまで早い攻撃は防ぎきれないので、諦めるしかなかった。 
 
「ふん、そんなお粗末な攻撃をしないでほしいね!」 
「な、なに!? どうやって防いだんだ!?」 
 
俺が諦め、脳内でまた新たな犠牲者が出ると悔やみ、その現実から目を逸らすように、俺は無意識に目をつぶってしまっていた。 
勿論、俺のせいで出てしまった死者の姿をもみたい訳がなく、けれどそれでもまだ生きている人が居て、俺の様な特殊なものではない限りこの世界が崩壊してしまう。 
だから現実を見るため、俺は目を開いた。 
 
「少し私を舐め過ぎだよ、まあ、君たちもそういう情報は分からなかっただろうしね」 
 
しかし、新たな死者が出ることはなかったようだ。 
俺の目の前でライムは目の前の黒い人型を呆れながら見ていた。 
あの光と言ってもいいくらいの攻撃は、全く認識できるレベルの速度ではなく、何かまぶしいものが通った気がする、と言う位の事しか、俺も分からない攻撃だったのを、ライムは防いだのだ。 
 
「私はそういう情報はあまり持っていないけど、そんな攻撃位は防げるよ」 
 
ただ、何故かライムはいつもと違う様な気がしてならない。一人称は、普段の男が使う様な”ボク”ではなく、女らしい”私”と言う一人称に代わっている。それに、口調は普段と同じ様な気がしても、相手を見下すような、そして、その笑顔は嘲笑をしている様な感じで、普段とは少しだけ異なる雰囲気を醸し出していた。 
 
「まさかッ!? 貴様はアルテナなのかッ!?」 
「……君には重要な情報が与えられていないのかな、一応言うけど私はアルテナではないから、流石にあそこまで馬鹿ではないし」 
 
やはり何かがおかしい。 
いつも通りのライムの喋り方とは同じなのだが、身振り手振りがいつもとは異なっていて、見る者を魅了するような行動の仕方になっている。 
アルテナ神を貶すような、常識ではありえないほどの無礼な事を言っているのにもかかわらず、その言動を信用してしまう様な雰囲気が作り出されている。 
 
「まあ、今の私には君を殺し切ると言う事は無理だけど、致命的な傷害を負わせることはできる。それは物理的にも、精神的にも……『無限地獄への門』」 
「な、なんだその門は!?」 
 
そして、ライム……なのかは分からないが、これで終わりだと、何もなかった空中に禍々しい門が出来上がった。 
その門は混沌としており、幾千もの色がまじりあったような、純粋な漆黒ではなく、少し違う色が混ざった黒色をしていた。 
 
「じゃあ、頑張ってね!」 
「な、何をする!?」 
 
そして、その黒い人型は、ライムと思わしき人物が空間に作り出した禍々しい門に、吸い込まれてきていた。 
勿論、黒い人型はそれに抗おうと、魔法やら攻撃やらをあの門にしていたが、門には傷一つついておらず、そのうちに吸い込まれていった。 
 
「はあ、なんでこんな面倒な奴がこんな早く来るんだよ」 
「お、お前は本当にライムなのか?」 
 
勿論、そんな魔法使う様な化け物はライムではないと予想がつく。……まあ、あれも相当規格外だったけれど、ここまで狂った力を持ってはいなかったはずだ。 
それに、黒い人型もいなくなったのでライムと思わしき人物に質問を始めた。 
 
「おぉ! すごいねぇ! 私とライムは性格が似てるのに」 
「……だ、誰なんだ!」 
 
その、ライムらしき人物は、やはりライムではなかったらしい。 
そのライムと同じ容姿を持った人物は、その事を全く重要に考えていないのか、それともライムと同じく馬鹿なのか、それともそういう事を演じているのだろうか? それでもばかげた喋り方で話している事には変わりなかった。 
 
「う~ん、アルテナに従順な君には伝えられないかなぁ」 
「なんだ? 疚しい事でもあるのか?」 
 
どうやら、ライムに化けたその人物はアルテナには存在がばれてしまう事を恐れている様だった。 
完全に、これはこの世界に対する外敵、もしくは害意のある人物なのだろう。ここで討伐するべきなのだろう。ライムの姿を勝手に使うものが悪逆非道に走るような事が有ったら、ライムが本当に可哀そうだ。 
 
「まあ、疚しい事しかないけれど、それでもこの世界を守るために居るって言う目的は一緒だよ、だから早くその剣に触れている手を放してもらえないかな」 
「はっ! 何を馬鹿な事を、貴様の嘘はバレバレなんだよ」 
 
しかし、ライムに化けた悪人は、完全に追い詰められているというのにまだ言い逃れをしようとしていた。 
そもそも、あんなに禍々しいものを作り出しておいて、勇者である俺の様にこの世界を守ると言う事が目的だと言う。本当にふざけた奴だ。 
 
「はぁ、じゃあ名前を言えば信用してくれるのかい?」 
「今更そんな事をして騙せるとでも思ってんのか!」 
 
もう、本当に呆れる。こう言う所だけを見ているとライムに似ているからなおさら質が悪い。本当に注意してみなければ分からないだろうし。 
そんな事を考えながら俺は剣を鞍からぬき始めた。 
 
「はあ、だから独善者は嫌いなんだ」 
「っ!?」 
 
しかし、ライムに化けた人物は、俺が瞬きをすると、人一人分くらいの間が空いていた空間を瞬間的に移動し、俺の持っていた剣を奪い取った。 
そして、その奪い取った剣を俺ののどぼとけに向けて構えた。 
 
「私は”ハデス”、分かりやすく言うのならば冥府の神だ」 
 
そして、その人物はハデスと名乗り、自らを冥府の神だと名乗った。 
一般的な、アルテナ神を祭る法典だと、冥府神の記述は原初の生物を分割し封印された中野一つと言う扱いになっている。 
だからこのような見た目をする訳がなく、暴虐を尽くすはずの生物なはずなのだ、だからそれは自然と嘘と言う事になる筈なのだが、そのライムに化けた人物はその常識さえも超えるような、人々を洗脳するような力を持ちながら自信ありげに言った。 
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