TS転生は強制的に

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三十三話~ボクと天然勇者と遂に完成したマイク君包囲網~

「向こうにもいるからついてこい」 
 
 そして謝り終わった瞬間に、勇者が勝手に一人で別方向に進んでいってしまった。 
 本当にここだけを見ていると、さっきの仰々しい雰囲気を纏っていた人間とは同一人物には思えない。 
 まあ、頑張って敵対している謎生命体を倒そうとしている事は分かるけど、やっぱり横暴だ。一応謝っていは居たけれど、 周りに迷惑を掛け過ぎだよ。
 
「……ゆ、勇者って人格が複数あったりはしないよね?」 
「……急に何を言い出すんだ。別に俺は複数の人格は持ってねえよ。だからさっきのも本心だ」 
 
 別に冗談で言ったわけではなく、こちらも本心をもってして質問をしたはずだったのだが、勇者からは完全に馬鹿にしたような目で見られながら文句を言われた。 
 ……おかしいよね、きっと勇者だってボクが急に性格の良い人に変わったら別人格を疑うだろうに。 
 
「勇者ってなんであんな力を持ってるのさ? 神にも抗えるんじゃないの?」 
「はあ、お前の魔法ならまだしも、俺のあれは害意のあるものにしか効果がないから、大量殲滅は出来ない」 
 
 もう勇者は多重人格と言う事で話を終わらせておいて、先ほどの謎生命体を一瞬で消滅させたあの、魔法? の様なものは何なのかと言う風に勇者に聞いたのだが、あまり使いどころのない魔法の様だ。 
 まあ、ボクの深淵魔法は、なんであろうと破壊、腐食、消滅と言った様な魔法なので、使いどころは勇者の方が数字化出来ない位使いどころは良いだろうけど。 
 
「勇者は本当にこの世界を守るために生まれたようなものなんだね」 
「……俺から言わせてもらえば、お前は世界を破壊するために生まれたようにしか思えないんだが?」 
 
 ボクも深淵魔法と言う殆ど世界を破壊する魔法と言っても過言ではないので、もしかしたら先ほどの謎生命体よりも圧倒的に危険なのかもしれない。と言うか危険だ。 
 本気でボクがキレてしまった場合は、やばい事になってしまうかもしれないね。ボクって結構短気だから。 
 
「ボクもそれは同意だよ、まあ、破壊する気は全くないんだけどね」 
「だろうな、流石に俺もお前がそこまで超猟奇的な思考をしているとは思っていないしな、俺に現実を確り見せてくれるくらいには優しいもんな」 
 
 何故か良く分からないが、いつの間にか勇者がボクを褒めると言う良く分からない状況になってしまった。 
 ボクは一度も正面を向いて褒められたと言う事は、転生してから一度もないと言う悲しい状況だったので、とても嬉しかったのだが、何か裏があるのかと勘ぐってしまう。 
 ……人間の悲しい性だよね。 
 
「勇者、気をつけろ、こいつを褒めたりすると付け上がるからな」 
「そ、そうか」 
 
 しかし、勇者のデレパートはマイク君の意味不明な忠告により、終わってしまった。……もしかしたら、ボクが褒められてこなかった理由ってこいつのせいだったりするのかな? 
 普通、褒められたことがない子供っていないからね? 初めての生でそんな事が有ったらボクは自殺してるよ? 
 
「いや、それは絶対に君の事でしょ、女子に囲まれて、集団で褒められて、デレデレしていたくせに、「あいつらうぜぇな」とかふざけたこと言っている癖に」 
「はぁ!? 何言ってんだよ、俺がそんな真似するわけがないだろう!」 
 
 勿論、あんなふうに馬鹿な事を言っているので一度自分を見てもらうために、今までしていたことを、ぶつけてみた。 
 「それは違うよ!」とでもいえばよかったかな? まあ、ナタリーも確りと頷いているのでボクが妄言を言っている訳でもなく、虚言を言っている訳でもないと言う事は分かっているだろう。 
 
「お前、容姿が良いからってそれは無いだろう、俺だってモテてるように思えるが、あいつらは一応国王やら大貴族やら豪商の娘とかなんだ、だから俺は実質護衛に過ぎない」 
「お、おい、勇者もほぼ同類だろうが、俺を一人にするんじゃねぇよ! 俺だってモテてねぇからな!」 
 
 しかし、勇者も完全にボク達に乗ってきてしまって、完全なるマイク君包囲網が完成してしまい、初めて、マイク君が反論できない状況を作った。 
 勿論、その事にはマイク君もきづいているだろうが、抵抗している。無駄だと分かっているのにね。 
 
「はあ、お前名の言ってんだよ、美少女二人と行動してるんだぞ、確実にもててるだろうが」 
「ナタリーはともかく、ライムは違うな、だってあいつの目的は俺を陥らせるためとかだからな」 
 
 色々と、ひどい、一応ボクも陥らせようとしているような事をしているのが悪いと思うけど、何故ここで被弾しなければいけなかったんだろうか? 本当に意味が分からない。 
 それに、あれはボクの裸を見たんだぞ、確実に責任を取らせて、一生付きまとってやるからな。 
 
「はあ、もう黙っとけ、喋れば喋るほどぼろが出てるぞ」 
「お、おう、分かった」 
「もうすぐあいつらに出会うから気をつけろよ」 
 
 そんな風に勇者も混じった馬鹿話をして、崩壊し掛けている街を歩いているという、傍から見たら絶対に人間ではないと思われてしまう位な状況でゆっくり歩いていた。 

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