TS転生は強制的に

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二十六話~ボクと切れるマイク君と謎の生命体~

 
 
「はあ、はあ、無理だ、もう魔力がねぇ! 何なんだこいつは! 魂魂うるせぇ!!」 
 
 あれから二十分以上経ち、マイク君の潤沢にあった魔力が完全に底をつき、息が切れている状態のマイク君は、未だにピンピンしている、あの生命体に普通にキレていた。 
 
「あの、マイク君、怒らないで聞いて惜しいんだけどさ、水に沈めれば酸欠で普通に死ぬなんてことは……って思ったんだけどね、どうしようかなぁって」 
「……わかった、怒らないであるからナタリーと今すぐにやれ、やらないのならキレるぞ?」 
 
 一応、マイク君が魔法を撃ち続けている間、いろいろと作戦は考えておいたのだが、その中で一番効きそうな作戦を提案したのだが、マジでキレそうな目で睨まれていたので、そんな中で冗談を言う事は出来なかった。 
 
「ナタリー、ここに水をためれる場所と、水を用意してくれないかな?」 
「分かったわ、『陥没』『流水』」 
 
 勿論、ナタリーにはその場で否定するという選択肢は存在していなかったのだが、一応会話として形を成すために、了承はとった。 
 そして、『陥没』『流水』と言うとすぐ様に水がたまったものが出てきた。 
 
「よし、じゃあ押さえつけとくから反応を見といて」 
 
 水につけている間は、発声器官が使えないのか、それとも発生しないようにしているのかは分からなかったが、「タマシイヨコセ」と言う様な言葉が聞こえなくなった。 
 そのおかげで。少しマイク君に正気が戻ったようで、目を合わせたら死んでしまう位の眼光で、リアルメデューサ状態となっていたマイク君は居なくなっていた。 
 
「マイク君、どんだけキレてたのさ、ボク以上にキレてたよねぇ?」 
「うるせぇな、俺の力がこいつ程度に通じなかったんだからムカつくに決まってんだろ」 
 
 ボクがこの生物を水に押さえつけている間、暇だったので、今まで激おこだったマイク君に対して対話を会話した。 
 勿論、今冗談を言ってマイク君を貶すなどと言ったことをボクができるわけがなく、一応相手を窺う様な感じで対話している。……マジで怒ったカズトはね、ボクが怒られる側の人間だったらギャン泣きして、もう、形容し難い状態にまでなっちゃうと思うよ。 
 
「マイク君は本気で怒らないで、そんな事態になったらボクは真っ先に逃げるから」 
「いや、お前の中だと俺は何だと思われてんだよ」 
 
 そんな事を言われてしまうと、癖で会話の方向を本当に貶しに向かわせてしまいそうになるからやめてもらいたい。今の一瞬でどれだけの理性を引っ張って来たか。 
 まあ、一応マイク君も正気を戻らせているから少しなら貶してもいいだろうけど、一度貶しが始まったらきっと抑えきれないだろうから、やめておく。 
 
「さあ、とりあえずつけてみたけど、これで死ぬのかが疑問になって来たよ」 
「まあ、物は試しだから仕方がないだろ? まあ、死なない可能性は高いけどな」 
 
 本当にそれはマイク君と同意見だ。 
 と言うか、普通に考えてみたら、イベントモンスター的な存在が、溺死とかしょぼいから普通はあり得ない。まあ、ここは現実だからしょぼいとかしょぼくないとかの問題じゃないんだけどね。 
 
「と言うかね、可能性で言うならこれがそもそも生きていないって言う可能性もあるけどね」 
「それだったら討伐できないだろ」 
 
 勿論、討伐と言う定義をボクはあまり知らないので、どうしたら討伐になるのかは知らないが、基本的に殺すか、もしくは魔石をドロップさせた時点で討伐官僚なのだと思っているけれど、この生命体が魔石を持っているかもわからないしね。 
 
「それはもう、仕方ないでしょ、ギルドの人の前で実践させてみて、見てもらうしかないでしょ」 
「はあ、強制的に受けさせられたけど、本当に条件が悪い依頼だな」 
 
 それは、もうボク達全員が思っていた事だけれど、それを言ってしまうと、精神的に本気で辛くなってしまいそうだったから、誰も言わなかったのに、マイク君が普通に言ってしまった。 
 
「はあ、討伐じゃなかったら地中とかに埋めちゃえば、被害をなくせるからよかったのにね」 
「はあ、本当にだ」 
 
 そんな風に本当に鬱になりかけながらも、ボクはただ単に、もごもごと動いている、この生命体を、水につけ続けると言う謎の作業を続けていた。 
 
 
 
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「放出した中の一体の魂の接続が途絶えました、……もしくは勇者との接触があったと思われます」 
「そうか」 
 
 虚空の空にはまた以前と同じ様に、白髪の老人と、ヴェールをかぶった若い女がふよふよと漂っていた。 
 
「作戦をαからβへと移行します」 
「分かった」 
 
 そこでは、以前と同じ様に機械的な会話をしながらも、何かを企んでいるような雰囲気だったが、何のことを話しているかは理解できなかった。 
 
「二次作戦を今から開始します。『眷属:攻性化』」 
「今から作戦を開始する。『空間固定』」 
 
 そして、そこで通信は切れてしまった。 
 
 
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