TS転生は強制的に

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十一話~ボクとゴブリンと真っ白にゃんこ~

「……勘でこの森に来ちゃったけど、良かったのかな? ゴブリンが居なかったらナタリーにまた説教されちゃうんだけど」

 ギルドから、何も考えずに、ラノベによくあるゴブリンが出て来そうな森林に来たのだが、ここは現実世界なのでゴブリンに会えるかもわからないのにね。……本当にボクって馬鹿なんじゃないかと思うよ。
 一応これでも焦っている方なのだけれどね、今から焦っても仕方がないと切り替えてるだけだから。
 ボクの長所は、瞬時に意識を切り替えるって言う事だからね。

「と言っても、こういう森って前世でも歩いたことがないなぁ」

 エルンスト周辺の森は、人間の手があまり加わっていない様で、人間が通れる小道程度があるだけで、蔦や草が伸びきっており、視界は悪いと言った様相だった。
 ただ、虫が全くいないので、地球の人間が管理している森よりも快適だ。

「と言うか、この世界で無視を一度も見かけてないんだけど、どういう事なんだろうね? 単純にいないだけなら地球よりも快適なんだけど」

 実際の所、転生して一番疑問に思ったことがそれだ。
 本当にいないとすると、黒光りする悪魔ゴキブリや八足の禁忌蜘蛛や恐怖の魔音蠅と言った物が居ないので、ここは楽園と言う事になる。
 ただ、魔物として虫系のものが出てくる場合があるしね。まあ、基本的にいないだけいいんだけどね。
 そんな事をかんがえながら歩いていたのだが、ゴブリンどころか小動物すら出会わなかった。

「はあ、どうしたもんかなぁ?」

 ボクが更に森を歩いていても、何にも会う事は無く、ただただ時間だけが経過していくような状況になっていた。まあ、今まで転生してから落ち着くと言う事は……ま、マイク君が居たせいでできなかったから、自分を見つめなおすって言うのは良いかもしれないね。

「ふう、いやぁ、これがアロマセラピー? って奴なのかなぁ、いやさr「ブヒィィィ!!!」ないね」

 しかし、これがフラグと言う物なのか、もしくは物欲センサーと言う物なのかボクが自然に癒されようと思った瞬間に、今まで何も現れなかった森から、オークらしき、豚顔の巨人が現れた。
 まあ、隙を見せた所を襲うって言う作戦だったのかもしれないけど、完全にフラグにしか思えない様なタイミングだったよ。

「ブヒヒヒ、ブヒィ! 『ブヒヒヒヒ』!」
「ちょ、ちょっとぉ!?」

 しかし、「別に深淵魔法があるから何があっても死ぬ事は無いでしょ?」と言う風な考えをしていた瞬間、オークが何かを話出し、魔法を撃ちだした。
 オークが放った魔法は、森に燃え移るような魔法ではなかったものの、マイク君がいつかに放った氷の魔法よりも広範囲で攻撃的な魔法をだった。

「あっぶなぁ!?」

 本当に危機一髪のところでボクの異常に発達した危機察知能力があり、地面に倒れ込んだお陰で、助かった。
 辺りの木々は何十本も切り倒されており、倒れ込んでなければボクもあんな風になっていたかと思うと、ゾッとする。

「な、何するのさ! 危な「ドゴォンッ!」ッ!」
「ブッヒィィィ!!」

 オークに人間が話しているような言語が伝わる訳が無いと言う事は分かっていたのだが、文句をつけ言わずにはいられなかった。
 しかし、そんな事をしていると、今度はオークが地面を殴り、足が麻痺するかと思った。

「ふぁ、『炎球ファイアーボール』」
「ブオオォ」

 流石にこれ以上何かされてしまうと、本気で殺されてしまいそうだったので、少しでもダメージを与える為に使い慣れていない魔法を使った。……全く被害を与える事はできなかったけど。

「悪魔からd「『ブヒィブヒィィィ!!!!』」ッ!」

 そして、深淵魔法を使おうと思い、非常に長い詠唱を開始したのだが、その隙をつかれ初めに撃った魔法とは違う魔法を放たれてしまった。
 勿論今回も地面に飛び込んだのだので、被害はなかったが、また周りの木々が倒れているので、当たってはいけない魔法ということは分かった。

「え、詠唱くらいさせてよ! 『魔力球マナボール』」

 詠唱が長い深淵魔法をが使えないと分かった今、ボクがマトモに戦えないと分かったも同然なので、交戦しつつ隙を見て逃げるという方向に作戦を転換していった。

(はあ、貴様は馬鹿か)

「うぇ?」
「ブヒィィィィィィ!!!」

 そんな事を考えると何処かからか女性の声? のような物が聞こえた。
 しかし、目の前のオークには全く反応が無いため、きっとボクにしか聞こえていないのだろう……疲れ過ぎて幻聴が聞こえてしまったのだろうか?

(やはり貴様は馬鹿だ。
「『死デス』)」

 しかし、ボクは幻聴を聞いたわけでもなく、よく分からない状態になってしまった。

「ブヒッ!? ブフッ!?」
「え? なんで血吐いてるの?」

 ただ分かった事はオークが死んだということだけだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「グギャ!」
「ぐぎゃ!」
「「「「グギャッ! ギャ! グギャァァッ!」」」」

 ボクがオークを倒したと言う事実に放心していると、本来の目標であるゴブリンを見つけ、放心状態から一転、喜んでしまった。
 数は二、三十体近くいるため、下手したら殺されるか、もしくはくっころ状態になってしまう。
 それだけは本当に回避したいが、ボクのスキルは一体多戦闘には向いてないんだよ。

「仕方がないか。
 生命、精神、文明、空間を破壊する厄風、『厄災の嵐ディザスターテンペスト』」
「「グギャァァッ!?」」

 流石に死んでしまうのは元も子もない為、深淵魔法を使う事にした。まあ、周りに人が居ないと言う事もあって使ったけど、効果はてき面の様だ。
 ゴブリンたちは魔法により発生した風に触れ、その触れた部分からどんどんと崩壊していった。勿論、ゴブリンたちにはそこまでの知能があるわけはなく、一分後には魔石だけを残し、すべてのゴブリンは死んでしまった。

「深淵魔法って、強いなぁ。もう依頼達成しちゃったよ」

 別にこの世界にはRPGの様なレベル制度も存在しないし、魔石を追加で取って来たのなら、報酬が加算される、なんていう事もないので、ここに残る必要がない。 
 それに今すぐに、オークの返り血を洗い落としたいし。

「にゃおぉん」
「…………よし、帰ろうかな」

 そして、ボクはギルドの方へと帰って行った。
 途中で出会った真っ白なにゃんこを持ちながら。

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