TS転生は強制的に

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十二話~ボクと悪魔悪魔と呼ぶギルドの人達と喋るにゃんこ~

「ねえ、あの娘どうしちゃったのかな? 血まみれだけど」
「なんか大物狩って来たんじゃないの? 珍しいけど、ない事ではないと思うわ」

 オークを、ここに転生してから初めて苦戦しながらも倒し、ゴブリンの集団を瞬殺した後、ボクはギルドにやって来ていた
 ただ、街なかを歩いている時ボクは滅茶苦茶好奇の目線や、怯えの目線で見られていた。
 理由は簡単、ただ単にオークやゴブリンやらの血を浴びてしまったからだ。それに頭に猫ちゃんも乗ってるし。

「おじゃましまー「あ、悪魔が来たぞ! あいつに目が有ったら即死するぞ! 気をつけろ!」」

 ギルドの中に入ると、昨日の昼の様に筋肉が大量に闊歩していた。
 しかし、昨日の事が有ったせいで、筋肉から恐れられてしまっていた。……別に筋肉に恐れられても誰得だって話だし。
 と言うか、ボクは誰かしらから伝令されたのだろう。その誰かは殴りに行かないと。

「……君たちの中ではボクはどんな存在になってるのさ? ボクだってそんな事されたら怒るよ?」
「ひぃぃ!? ゆ、許してくださいぃ! 全財産を差し上げます! 差し上げますからぁ! どうか、どうか魂だけはぁ!」

 しかし、入った時に悪魔扱いされ、目が合った瞬間に殺されると言う、メデューサの上位互換的な生命体扱いされたことは無視できることではない。と言うか、今無視したのなら今後永遠と言われ続けてしまうかもしれないと言う可能性がある。
 しかし、恐怖状態から恐慌状態に陥ってしまい、ボクの話が全く聞こえていないのか、もしくは昨日の受付さんの様な新人いびり的な事をしているつもりなのか、どちらかは分からないが誰かに見られてはいけないと言う事だけは分かる。

「……じゃあ、水とほかの人から見れない場所を提供してもらえないかな? この血を洗いたいし、それと悪魔扱いは止めてもらいたいんだけど」
「あ、ありがとうございます、悪魔様ぁぁ!! 今すぐに持っていきますのでごゆっくりしていて下さぁい!!」

 水を欲しいと言いつつ、さり気なく呼び方の改善を呼びかけたのだが、その願いは受け入れられる事は無く、何故か敬語まで使われてしまった。
 もう、ここまでくると、怖い位だよね。
 恐慌状態から救ってくれたものには、なんにでも心服してしまいそうなことは分かる気がするけど。やめてもらいたいよね。

「こ、こちらへどうぞ」

 そして、数分後、ボクは何故か、豪華な部屋に、案内されそこには水があった。
 誰も見ないところと言っても、ここまで豪華な部屋を使うか? そもそも、ボクは血をあ洗い落としたいって言ったよね? ボクは貴族じゃないし、悪魔でもないんだよ。
 と言うか、さっきからずっと、筋肉がボクの事を見ているんだけど……まさか、少女趣味ロリコンなの? それとも日本人的性欲を保持している人間なの? それとも、ボクが謎の儀式をしようとでも思っているの? 本当に訳が分からないよ。

「あの、ちょっと席を外してもらえないかな?」
「は、はい! 分かりました!」

 流石に退いてくれた。
 ただ、今度はボクの上に載っていた猫ちゃんが水の入った桶の中に入り込んでしまい、ボクが水浴びすることが困難になってしまった。
 別に猫ちゃんをどかせばいいのだろうけど、「にゃぁ~う」と言いながらくつろいでいるところを見ると、絶対に退かしたくない。このまま延々とこの猫ちゃんを見ていたい。
 でも、猫って普通、水とか嫌いじゃなかったっけ? 嫌がる姿も可愛かったんだけどなぁ。まあ、この子が特別なのかもしれないけどね。

「う~ん、猫ちゃん? ちょっとどいてもらえるかな?」
「妾は猫などと言う下等な生物ではない。神獣だ」

 へえ、この猫ちゃんは神獣なのか、可愛らしいのに、すごいねぇ。
 ……って、シャベッタァァァァ!?

「なななななな、なんで喋れるの!? 猫でしょ!? 猫じゃないの!?」
「妾は神獣だと言っておるだろうに。それよりも、早く体を洗わんか、臭くて仕方がない」

 ボクが、人間の言語を理解し、それを上等にしゃべると言う様な摩訶不思議生命体(猫)と言う様なものに対して、慌てすぎてろれつが回らない位には驚いてしまっていた。
 しかし、その摩訶不思議生命体(猫)はボクの気持ちを全く知らずに、オークの血にまみれたボクの服に対しての嫌悪感をボクに伝えてきた。
 そんな事を、可愛らしい猫ちゃん(摩訶不思議生物)に言われてしまったら、洗わないといけない気分になってしまう。
 それにボクもこのままいることを気持ち悪いと思っていたしね。

「う~ん、体は洗えたけど、服はどうしようかな、水洗いしておこうかな」
「……」

 いろいろと悩んでいる間も、ずっと猫ちゃんに見られていたため、少しだけ居心地が悪かった。それにこの子が何故喋れているのかも謎だし、何故あんなに仰々しい話し方なのかも意味不明だし、神獣とか言ってるけど意味不明だし。
 ギルドの人達の次に謎だよ。ボクはどこぞの謎と死体を量産する名どこぞの名探偵なんじゃないんだから。

「よし、空いている時間を使わせてもらうぞ。
 まず、貴様は何だ?」
「……どういう事? それは生物かっていう事を聞いてるの? それとも動物かっていう事を聞いてるの? 若しくは人間か、と言う事を聞いてるの? それとも名前を聞いてるの?」

 この子良く分からないよ。
 猫だからあまり人間界の事を知らないのは当然だし、そもそも猫が人間の言語を話すことは異常だろうとは思う。と言うか、猫の骨格じゃあ無理だと思うから、魔法か何かを使って話しているのだろう。

「人間か、と言う事を聞いている。貴様の魔力量は異常だ。その魔力量は魔王をも超えるだろう。それに貴様の記憶には何者かが介入して記憶を覗くことができなくなっている」
「に、人間だよ」

 この猫はどうやらボクの心を覗けるみたいだ。ただ、何者かが介入して記憶を覗けないらしい。
 まあ、何者かが介入して記憶を覗くことを阻止していると言うのは、きっとアルテナだろう。でなければその横に居た天使さんだろう。

「はっ! なにを馬鹿な事を、貴様からは邪と聖の気が入り混じっている。そもそも人間には邪なる気がある場合は有るが、聖なる気がある人間は存在していない。だからその時点で貴様は人間ではない。
 しかも邪と聖の二種類の対する気を保持しているなどと、貴様の存在は混沌そのものと変わらない。だからこそ、妾は質問をしているんだ」
「……そんなこと言われても、ボク自身人間だよ。もしかしたら人間じゃないのかもしれないけど、両親は人間だったよ」

 ……この子はちょっと良く分からないことを言い過ぎだよ。
 なにさ、邪と聖の気って、そんなものをいつの間にボクは取得していたんだよ。それに二つを持っていると人間ではないとかって、意味が分からないよ。
 ボクの力は人外だとは思っていたけど、ボクは人間だよ。前世も今世も記憶のある限りは人間だよ。と言うか人間以外の種になりようがないでしょ?

「分かった、時間はかかるだろうが仕方がない。『看破』」
「……」

 猫ちゃんが看破と言った瞬間に、ボクの意識はなくなってしまった。

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