子連れプログラマーVRRPG脱出計画
第16話 ミーラ村
チルベの街から街道沿いに二日ほど進み、山間の道を昇っていくとミーラ村がある。
高台から見下ろす台地の姿は絶景の一言。
やや地理的に厳しい場所に村を作ったのは、この高度で育つ果実を特産としているからだ。
しかし最近の魔獣の増加でこの村にもピンチが訪れている。
「うちの商会が大きくなれたのは、この村の特産であるブドーウを独占して扱わせてもらったからなのです。ブドーウを使ったジャムやお酒、様々な利益をあげさせてもらってうちの商会はあるのです。
ですからうちの商会としても出来る限りのことはしたいのです」
生活必需品や保存食などをほとんど仕入れ値でこの村に卸しているのはそういう理由があったのだ。
ナユタと周囲を調べてみると、たしかに魔獣が頻繁に出入りしている。
その痕跡などを探ってみると、どうやら山の上部に魔獣の巣的なものがありそうということもわかった。
「瘴気溜まりと言う、ぶっちゃければモンスターの湧きポイントが出来てしまっているみたいですね」
「……ささっと潰してこようか」
「えっ! パパがそんなことを言うなんて!
村を要塞化して農業を近代化させて、また村人を育成して魔獣の巣殲滅ミッションをやりだすのだろうと諦めていたのに!」
「……一応反省はしてるんだよ」
「パパ、僕は嬉しいです!」
実際には最近の裏働きみたいな、なんていうか闇に潜んだ正義の味方みたいなのが楽しくなってきただけなんだけどね。
あと、戦闘の組み合わせによる楽しさ。コレが大きい。
無双状態の戦闘ではあるけど、それがとても楽しい、次はコレとこれを組み合わせるなんて考えて試しているだけでいくら敵が居ても足りない。
「村を救うことに反対はしません。さらに今晩で片を付けるというのは非常に素晴らしいですパパ!」
「今日はこの村でお世話になるみたいだし、夜にやってしまおう」
密かに物々しい計画を立てる親子であった。
山ほどの物資を持ってきた俺達は村人たちに歓迎された。
特産であるブドーウを使った色々な料理からスイーツ、そしてお酒に舌鼓をうった。
「ガイアー飲み過ぎだよ~」
「い、いやぁリョウが、思ったより強くて……」
そう言えばお酒って酔ったことがない……美味しいから好きだけど。
「まったく顔色変わらないし、リョウは強いのね」
ほろ酔いのウードさんを見てると顔が赤くなりそうです。はい。
「さ、パパもそれくらいにして今日はもう寝ましょう。
移動の旅で疲れているでしょうし」
「ナユタ君はいつも偉いわねー。あー、私もこんなかわいい子供が欲しいなー」
ペルナさんとシェレンが見つめ合って世界を作り出した。
近いうちに子供も生まれることだろう。うんうん。
「では、私もこれくらいで」
「皆様にはあちらの集会所にお部屋を準備しております。
裏には井戸もありますので」
「それでは村長、大変お世話になった。先に休ませてもらいます」
俺とナユタは仲良く手をつなぎながら宴の会場を後にする。
美しい星空のもと、一緒に旅した仲間、村の人々とともに食事をすることは想像以上に心地が良かった。
俺は井戸の冷えた水で顔と身体を拭き、気合を入れ直す。
皆が寝静まったら、この村を苦しめている元凶を叩く。
「……凄いな、星空の明かりでここまで明るいのか……」
ナユタに探ってもらって大体の人が寝静まった頃に活動を始める。
ちょっと一組ほどいい時間だと言うのに活発に活動をし続けているのだが、ここには気が付かれないだろう。
音を遮断する魔法を使いながら窓からそっと外に出る。
素早く村の防壁にとりつき、飛び越える。
山へと続く街道を駆け上がっていく。
「暗視があれば夜の山登りも雰囲気があるし、夜空は素晴らしいね」
「昼間は草原が広がっていた場所が暗闇に包まれているのも、いいですね」
「ナユタは渋いな」
夜風も魔法で和らげているので高速移動をしていても心地よくそよいでいる。
「パパ、魔獣がまばらに居ますね。どうしますか?」
「全部倒しながら行こう。パパもウードさんから教わった弓を試したりしたいし」
ウードさんは上級の弓を使う職業なので簡単な手ほどきをしてもらった。
本気でやったらヤバイので一生懸命手加減してたら手加減スキルも覚えた。
ギルドで開放するだけじゃなくて自力で開放するものもあるようだ。
木製の大型の弓を構える。
魔法で補助された視界にはしっかりと敵の姿が映っている。
魔犬、群れをなすと脅威である。
その額に狙いを定めて弓を放つ。
ヒュッ
空気を切り裂く音が聞こえる。
俺の目には額に10cm程の大穴が空いて倒れる魔犬の姿が映し出されている。
「えげつねぇ威力ですね」
「目をそらしてるけど、パパのステータスは、常軌を逸してきてるから」
ききたくなーい。
それから、弓矢と急接近によって相手に気配を探られることもなく魔獣達を狩っていく。
山頂に近づいていくと集団数が多くなっている。
やはり敵の発生場所が近いのだろう。
数が多くても、暗闇の中飛び交う俺の刃は敵を容赦なく切り裂いていく。
矢を撃ち、敵が混乱している場所に一気に接近して抹殺。
これがパターンになっている。
「あそこか……」
なにやらこのあたりで見たこともない禍々しい植物で覆われている洞窟がすぐに見つかる。
瘴気が濃くて生態系にも異常をきたしているらしい。
「あの村の平穏のためにも、消えてもらう」
瘴気溜まり対策に作ってきた聖水もたくさんある。
初級の浄化魔法なら使える。俺は洞窟へと突入する。
高台から見下ろす台地の姿は絶景の一言。
やや地理的に厳しい場所に村を作ったのは、この高度で育つ果実を特産としているからだ。
しかし最近の魔獣の増加でこの村にもピンチが訪れている。
「うちの商会が大きくなれたのは、この村の特産であるブドーウを独占して扱わせてもらったからなのです。ブドーウを使ったジャムやお酒、様々な利益をあげさせてもらってうちの商会はあるのです。
ですからうちの商会としても出来る限りのことはしたいのです」
生活必需品や保存食などをほとんど仕入れ値でこの村に卸しているのはそういう理由があったのだ。
ナユタと周囲を調べてみると、たしかに魔獣が頻繁に出入りしている。
その痕跡などを探ってみると、どうやら山の上部に魔獣の巣的なものがありそうということもわかった。
「瘴気溜まりと言う、ぶっちゃければモンスターの湧きポイントが出来てしまっているみたいですね」
「……ささっと潰してこようか」
「えっ! パパがそんなことを言うなんて!
村を要塞化して農業を近代化させて、また村人を育成して魔獣の巣殲滅ミッションをやりだすのだろうと諦めていたのに!」
「……一応反省はしてるんだよ」
「パパ、僕は嬉しいです!」
実際には最近の裏働きみたいな、なんていうか闇に潜んだ正義の味方みたいなのが楽しくなってきただけなんだけどね。
あと、戦闘の組み合わせによる楽しさ。コレが大きい。
無双状態の戦闘ではあるけど、それがとても楽しい、次はコレとこれを組み合わせるなんて考えて試しているだけでいくら敵が居ても足りない。
「村を救うことに反対はしません。さらに今晩で片を付けるというのは非常に素晴らしいですパパ!」
「今日はこの村でお世話になるみたいだし、夜にやってしまおう」
密かに物々しい計画を立てる親子であった。
山ほどの物資を持ってきた俺達は村人たちに歓迎された。
特産であるブドーウを使った色々な料理からスイーツ、そしてお酒に舌鼓をうった。
「ガイアー飲み過ぎだよ~」
「い、いやぁリョウが、思ったより強くて……」
そう言えばお酒って酔ったことがない……美味しいから好きだけど。
「まったく顔色変わらないし、リョウは強いのね」
ほろ酔いのウードさんを見てると顔が赤くなりそうです。はい。
「さ、パパもそれくらいにして今日はもう寝ましょう。
移動の旅で疲れているでしょうし」
「ナユタ君はいつも偉いわねー。あー、私もこんなかわいい子供が欲しいなー」
ペルナさんとシェレンが見つめ合って世界を作り出した。
近いうちに子供も生まれることだろう。うんうん。
「では、私もこれくらいで」
「皆様にはあちらの集会所にお部屋を準備しております。
裏には井戸もありますので」
「それでは村長、大変お世話になった。先に休ませてもらいます」
俺とナユタは仲良く手をつなぎながら宴の会場を後にする。
美しい星空のもと、一緒に旅した仲間、村の人々とともに食事をすることは想像以上に心地が良かった。
俺は井戸の冷えた水で顔と身体を拭き、気合を入れ直す。
皆が寝静まったら、この村を苦しめている元凶を叩く。
「……凄いな、星空の明かりでここまで明るいのか……」
ナユタに探ってもらって大体の人が寝静まった頃に活動を始める。
ちょっと一組ほどいい時間だと言うのに活発に活動をし続けているのだが、ここには気が付かれないだろう。
音を遮断する魔法を使いながら窓からそっと外に出る。
素早く村の防壁にとりつき、飛び越える。
山へと続く街道を駆け上がっていく。
「暗視があれば夜の山登りも雰囲気があるし、夜空は素晴らしいね」
「昼間は草原が広がっていた場所が暗闇に包まれているのも、いいですね」
「ナユタは渋いな」
夜風も魔法で和らげているので高速移動をしていても心地よくそよいでいる。
「パパ、魔獣がまばらに居ますね。どうしますか?」
「全部倒しながら行こう。パパもウードさんから教わった弓を試したりしたいし」
ウードさんは上級の弓を使う職業なので簡単な手ほどきをしてもらった。
本気でやったらヤバイので一生懸命手加減してたら手加減スキルも覚えた。
ギルドで開放するだけじゃなくて自力で開放するものもあるようだ。
木製の大型の弓を構える。
魔法で補助された視界にはしっかりと敵の姿が映っている。
魔犬、群れをなすと脅威である。
その額に狙いを定めて弓を放つ。
ヒュッ
空気を切り裂く音が聞こえる。
俺の目には額に10cm程の大穴が空いて倒れる魔犬の姿が映し出されている。
「えげつねぇ威力ですね」
「目をそらしてるけど、パパのステータスは、常軌を逸してきてるから」
ききたくなーい。
それから、弓矢と急接近によって相手に気配を探られることもなく魔獣達を狩っていく。
山頂に近づいていくと集団数が多くなっている。
やはり敵の発生場所が近いのだろう。
数が多くても、暗闇の中飛び交う俺の刃は敵を容赦なく切り裂いていく。
矢を撃ち、敵が混乱している場所に一気に接近して抹殺。
これがパターンになっている。
「あそこか……」
なにやらこのあたりで見たこともない禍々しい植物で覆われている洞窟がすぐに見つかる。
瘴気が濃くて生態系にも異常をきたしているらしい。
「あの村の平穏のためにも、消えてもらう」
瘴気溜まり対策に作ってきた聖水もたくさんある。
初級の浄化魔法なら使える。俺は洞窟へと突入する。
コメント