子連れプログラマーVRRPG脱出計画
第18話 親子
『ふむふむ、つまり貴殿らはこの世界の歪みを治すために旅をしていると。
なるほどなるほど、それなら合点がいった。
仮にも聖獣などと大層な名を得られるほどは私も力を持っていたはずなのですが、あの奇妙な物で赤子の手をひねるようにやられてしまった。
さらには我が力を禍々しくも変化させ守るべき山の民を苦しめていたとは……面目ない』
虎の名はビャッコ。
この山、古くはその名を冠した白虎山を守っていた聖獣だそうだ。
王国だったり白虎だったり、ここらへんは統一感をもたせたほうがいいな……
「取り敢えずアレの原因の一部はこちらにある。
私達の旅もアレらを排除することも大きな目的です。
ご迷惑をおかけして申し訳ない」
『いやいや、何を申される。
命を助けてもらったばかりか、このような力まで与えていただいて……
そうだ! この力ならば成せる。
リョウ殿! せめてもの礼を受け取ってくだされ』
ビャッコはささっと奥へと駆けていくと、すぐに何かを咥えて戻ってきた。
『あとはもう少し……ぬううん』
咥えた球のようなものにビャッコの力が注ぎ込まれる。
『よし、これでいいだろう。
リョウ殿、最後に貴殿の力を少し注いでもらえるか?
やり方は私にやったのと同じようにしてもらえればいい。
なぁに、跳ねっ返りですから思いっきりやってやってください!』
なんだかよくわからないが真っ白い珠を渡された。
ビャッコの力が注がれていたせいかほのかに温かい。
俺は先程と同じように両手で力を注ぎ込んで見る。
みるみると力が入っていくのがわかる。
それでも余裕なのでちょっと込める力を強くしてみた。
『おお! なんと神々しい!』
白珠は光り輝いて美しく輝いている。
籠める魔力の性質で色が変わるようで、風なら緑、水なら青、これは綺麗だ。
面白がって色々な魔力を注いでいるとピシピシと白珠にヒビが入る。
「えっ、これ大丈夫なんですか?」
『ええ、ええ、その中身がリョウ様への礼です』
太鼓判を押されたのでもうちょっと強く力を込めてみた。
珠全体にヒビが広がっていき、ついには殻が砕けた!
中から光の塊みたいなっものが飛び出して……ドーンと派手な音を出して壁に激突していた。
「熱い!! 熱い熱い!! 何これ!? 体の内側から燃える!!
弾ける熱い熱い!!」
ゴロゴロと身体を地面に擦り付けている。
可愛らしい子供の虎だ。
ビャッコとそっくりで真っ白な身体に黒い文様。かわいい。
『これ、バタバタしておらんでお前の主に頭を垂れぬか』
ゴロゴロ転がっている子虎はぐしゃっとビャッコに抑え込まれる。
「と、父様? ここは……主様?」
『そうだ、我ら親子はこちらのリョウ殿に命を救われた。
お主はリョウ様の手助けをしながら旅のお供をしなさい』
そうなのか! 聞いてなかった!
「え、えっと……リョウ様……今後共よろしくお願いしますにゃ」
その時。俺の背中に電撃が走った。
小さく可愛らしい(と言っても成猫以上には大きいが)子供の虎が人語を話し、首を傾げ……
そして語尾がにゃである。
何という攻撃力だろうか……
「いけない、パパの様子がおかしい……これはママに言われたメインヒロインという悪魔の予感が……
コレ、を使う時が来たか……」
何やらナユタがブツブツと話しているが、俺はもうその子にメロメロだ。
『身体は小さいですが核となるものは数千年の時を経ております。
きっとお役に立てると思います』
「しかし、白い虎は少し目立ちますね……」
『なあに、これでも聖獣の娘、人化も变化もお手の物です。ほら』
「娘! 人化! 緊急事態! ママ使います!」
ボワンとありきたりな煙が出て子虎の姿が変化していく。
何故かナユタがその煙に突入していく。
「こら、ナユタ! 何してるんだ?」
俺からは煙で何も見えないが、何かの作動音とニャ! という声が聞こえる。
「……任務完了……」
「リョウ様、ビャッコの娘サラでございます。
今後共よろしくお願いします」
さきほどの子虎は人の姿に変わった……女性だ……
「沙羅……」
「はいニャ」
どこからどうみても沙羅である。
「詐欺だ。やり直し」
「なんだと馬鹿リョウ!」
「え?」
『え?』
「なんでもありませんわ主様、お父様。それでは主様、早く戻らねば日が昇ります。
さぁ、さぁ!」
どう見ても沙羅なサラは俺を強引に洞窟から引きずり出してしまう。
『り、リョウ殿、また何かあれば立ち寄ってくだされ!』
あっけに取られていたビャッコさんに送られて、俺とナユタ、そして……
「ぷはー! やっと外だー」
「おい……」
「さて、村に急いで戻りましょう!」
「おい、サラ!」
「はい! ……あっ! ハイにゃ!」
「どういうことだ? ナユタ……なにか改ざんしたろ?」
「黙秘します」
「あ、ナユタ! ずるい!」
「どうしてナユタのことをそんなに知ってるんだ?」
「え、えーっとその、わかんないニャ!」
「はー……」
俺はおもむろにげんこつを作りサラのどたまを小突いてみる。
「いったーーーー! 急に何すんだ馬鹿リョウ! ステータス考えろ!
私じゃなきゃ頭が吹っ飛ぶぞ!」
「研究員サラ。現状報告を」
「はい! ビャッコ氏の娘に疑似人格サラを反映させました……あっ……」
「ママ……残念な子……」
それから二人をめっちゃくちゃ説教した。
なるほどなるほど、それなら合点がいった。
仮にも聖獣などと大層な名を得られるほどは私も力を持っていたはずなのですが、あの奇妙な物で赤子の手をひねるようにやられてしまった。
さらには我が力を禍々しくも変化させ守るべき山の民を苦しめていたとは……面目ない』
虎の名はビャッコ。
この山、古くはその名を冠した白虎山を守っていた聖獣だそうだ。
王国だったり白虎だったり、ここらへんは統一感をもたせたほうがいいな……
「取り敢えずアレの原因の一部はこちらにある。
私達の旅もアレらを排除することも大きな目的です。
ご迷惑をおかけして申し訳ない」
『いやいや、何を申される。
命を助けてもらったばかりか、このような力まで与えていただいて……
そうだ! この力ならば成せる。
リョウ殿! せめてもの礼を受け取ってくだされ』
ビャッコはささっと奥へと駆けていくと、すぐに何かを咥えて戻ってきた。
『あとはもう少し……ぬううん』
咥えた球のようなものにビャッコの力が注ぎ込まれる。
『よし、これでいいだろう。
リョウ殿、最後に貴殿の力を少し注いでもらえるか?
やり方は私にやったのと同じようにしてもらえればいい。
なぁに、跳ねっ返りですから思いっきりやってやってください!』
なんだかよくわからないが真っ白い珠を渡された。
ビャッコの力が注がれていたせいかほのかに温かい。
俺は先程と同じように両手で力を注ぎ込んで見る。
みるみると力が入っていくのがわかる。
それでも余裕なのでちょっと込める力を強くしてみた。
『おお! なんと神々しい!』
白珠は光り輝いて美しく輝いている。
籠める魔力の性質で色が変わるようで、風なら緑、水なら青、これは綺麗だ。
面白がって色々な魔力を注いでいるとピシピシと白珠にヒビが入る。
「えっ、これ大丈夫なんですか?」
『ええ、ええ、その中身がリョウ様への礼です』
太鼓判を押されたのでもうちょっと強く力を込めてみた。
珠全体にヒビが広がっていき、ついには殻が砕けた!
中から光の塊みたいなっものが飛び出して……ドーンと派手な音を出して壁に激突していた。
「熱い!! 熱い熱い!! 何これ!? 体の内側から燃える!!
弾ける熱い熱い!!」
ゴロゴロと身体を地面に擦り付けている。
可愛らしい子供の虎だ。
ビャッコとそっくりで真っ白な身体に黒い文様。かわいい。
『これ、バタバタしておらんでお前の主に頭を垂れぬか』
ゴロゴロ転がっている子虎はぐしゃっとビャッコに抑え込まれる。
「と、父様? ここは……主様?」
『そうだ、我ら親子はこちらのリョウ殿に命を救われた。
お主はリョウ様の手助けをしながら旅のお供をしなさい』
そうなのか! 聞いてなかった!
「え、えっと……リョウ様……今後共よろしくお願いしますにゃ」
その時。俺の背中に電撃が走った。
小さく可愛らしい(と言っても成猫以上には大きいが)子供の虎が人語を話し、首を傾げ……
そして語尾がにゃである。
何という攻撃力だろうか……
「いけない、パパの様子がおかしい……これはママに言われたメインヒロインという悪魔の予感が……
コレ、を使う時が来たか……」
何やらナユタがブツブツと話しているが、俺はもうその子にメロメロだ。
『身体は小さいですが核となるものは数千年の時を経ております。
きっとお役に立てると思います』
「しかし、白い虎は少し目立ちますね……」
『なあに、これでも聖獣の娘、人化も变化もお手の物です。ほら』
「娘! 人化! 緊急事態! ママ使います!」
ボワンとありきたりな煙が出て子虎の姿が変化していく。
何故かナユタがその煙に突入していく。
「こら、ナユタ! 何してるんだ?」
俺からは煙で何も見えないが、何かの作動音とニャ! という声が聞こえる。
「……任務完了……」
「リョウ様、ビャッコの娘サラでございます。
今後共よろしくお願いします」
さきほどの子虎は人の姿に変わった……女性だ……
「沙羅……」
「はいニャ」
どこからどうみても沙羅である。
「詐欺だ。やり直し」
「なんだと馬鹿リョウ!」
「え?」
『え?』
「なんでもありませんわ主様、お父様。それでは主様、早く戻らねば日が昇ります。
さぁ、さぁ!」
どう見ても沙羅なサラは俺を強引に洞窟から引きずり出してしまう。
『り、リョウ殿、また何かあれば立ち寄ってくだされ!』
あっけに取られていたビャッコさんに送られて、俺とナユタ、そして……
「ぷはー! やっと外だー」
「おい……」
「さて、村に急いで戻りましょう!」
「おい、サラ!」
「はい! ……あっ! ハイにゃ!」
「どういうことだ? ナユタ……なにか改ざんしたろ?」
「黙秘します」
「あ、ナユタ! ずるい!」
「どうしてナユタのことをそんなに知ってるんだ?」
「え、えーっとその、わかんないニャ!」
「はー……」
俺はおもむろにげんこつを作りサラのどたまを小突いてみる。
「いったーーーー! 急に何すんだ馬鹿リョウ! ステータス考えろ!
私じゃなきゃ頭が吹っ飛ぶぞ!」
「研究員サラ。現状報告を」
「はい! ビャッコ氏の娘に疑似人格サラを反映させました……あっ……」
「ママ……残念な子……」
それから二人をめっちゃくちゃ説教した。
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