子連れプログラマーVRRPG脱出計画
第22話 北の不安
「何から何まで感謝しか無い。まさかあのような場所でこんなにもゆっくりと身体を休めるとは」
パリスさんがキラキラとした目でお礼を言ってくるが、室内着のためにパタパタと振られる尻尾が可愛すぎてそれどころではない。
獣人、まじやばい。
「それでは王都へ向けて出発しましょう」
家をしまうとまた大層驚かれたが、気にしても仕方ない。
サラが修理してくれた馬車と一緒に歩きだす。
尻尾のメンバーはナユタと一緒に馬車の中だ。
馬車は思いっきり走っていいと言ってある。
俺とサラは周囲に気を配りながら俺はスキルで、サラは魔法によって馬車と同じ速度で並走している。
どうやら、こんなにも長時間スキルや魔法を使って身体能力を上げ続けられるのは異常なことらしい。
仕方ないね。早いとこ魔王倒して現実世界に戻らないと死んじゃうし。
ナユタが聞いたらどの口が言うんですかってものっすっごい冷たい目で言われるな。
「また敵襲ですパパ」
馬車からナユタが叫ぶ。
ナユタは生まれつき敵意への反応がすごいって事で皆は納得している。
馬車の進行方向斜め前方から先行してくる魔犬達が来る。
その背後には……
「騎兵までいるのか……軍隊だな……」
「馬じゃなくて犬にまたがってるけどね、その方が厄介だよね……」
ある意味魔物の生みの親の方が何かおっしゃってる。
「サラ魔法でやれるか?」
「もっちろーん」
サラはすぐに無数の火球を作り出して魔犬と騎兵たちの向かってくる辺りに絨毯爆撃を仕掛ける。
地面に触れた火球は激しく爆発し燃え広がる。
周囲の草原の自然破壊も甚だしい。
「いくつか抜けてきてるな!」
俺は弓を構えて走りながら放つ。
こんな名人芸もこの世界でなら可能だ。
放たれた弓は寸分たがわず魔犬の額を貫く。
後続で様子を見ていた奴らは撤退していった様子で、追撃はなかった。
「……ほんとに鋼クラスなんですか?」
「まだ冒険者になったばかりなんですよパパ達は」
「なるほど、世界は広いということですね……」
ほんとはチート使っただけです。ごめんなさい。
その後は王都正門まで敵襲なくたどり着くことが出来た。
正門の警備は物々しく、外部の人間を人海戦術で調べてさっさと城門内へと入れてしまおうという焦りみたいなものを感じた。
「そこな者たち、身分を確かにできるものはあるか?」
兵士の一人が俺達に気がついて話しながら近づいてくる。
「あ、はい。ほとんど冒険者で彼女だけここで冒険者登録する予定です」
「よし! ならばすぐにこちらからカードを調べて入ってもらう。さぁ急ぐんだ!」
乱暴な感じはしない。本当に安全対策のために急いでいるんだろう。
やはり王都のそばまで魔物が現れるという話は本当のようだ。
冒険者のカードはかなり信用性の高い証明書になる。
冒険者が責任を持てばサラの身の上も保証される。
もちろんサラが何か問題を起こせば俺のせいになってしまう。
「それでは一旦我々は依頼主に報告していきます。
昼はこちらの食道でお待ちしている」
尻尾のメンバーはまず仕事を片付けて、どうしても俺達にお礼をしたいというので、昼飯をごちそうになることにする。断っても聞いてくれなそうだしね。
俺達は冒険者ギルドへと向かう。
サラの冒険者登録を済まさなければならない。
「流石に王都の城下町は凄いな」
建物が立派だ。道路もきちんと整備され人の数も段違い。
「……ちょっと人がおおすぎますね……」
ナユタがそう思うのも仕方がない、いくらなんでも人が多い。
歩いていても気をつけないとぶつかり合ってしまう。
その理由は冒険者ギルドで教えてもらえた。
「最近の魔物の大量発生と、王都への接近で外出には厳しい条件ができちゃってね、足止めを食らってる人も多いんだよ」
話し好きの人懐っこいギルドの受付のおっさんがいろんなことを教えてくれた。
「王都の軍はこの町を守ることに全力を上げていて、外にまで魔物退治に出られないんだよ。
魔物共はちょこちょこ城壁付近まで現れては嫌がらせみたいな事をしてくるせいでね」
「噂では北の方に何かできたとか……」
「おお、それそれ。突然北の山岳地帯にダンジョンが出来たって噂なんだよ!
ただな、あまりに不釣り合いな高レベルモンスターのせいで侵入に成功した冒険者は皆無なんだ。
本当にダンジョンがあるのかもまだ確かめられていないしな……
王都はどうなっちまうのか……」
王都の人々も不安がっているようだが、強固な城壁に守られている安心のほうが買っているみたいで、そういう意味でも王都軍が王都の防衛のみに注力しているのは正解かもしれない。
「こうなると、俺ら冒険者が頑張らねーとな、よっしゃ登録は問題なし、未来の女王の誕生だ!」
サラの登録はスムーズに終わった。
すこしランク差があるパーティだが、戦闘記録などはギルドカードに残される。
きっとすぐに追いついてくるだろう。
何と言っても魔法主体で戦うサラは、近接特化の俺よりも多数の敵を相手にすることに優れている。
「依頼は王都内の物が多いな……やっぱり外へ不用意に出るのは危険みたいだ」
手持ちの道具でクリアできる依頼を幾つかサラにこなさせていく。
外に出られない分素材などが高騰しているようだ。
「早いとこ、なんとかしないとな……」
現状の状況を知ることが出来てギルドで得られたものは大きかった。
俺達はギルドを後にして、この街での宿を探すことにした。
パリスさんがキラキラとした目でお礼を言ってくるが、室内着のためにパタパタと振られる尻尾が可愛すぎてそれどころではない。
獣人、まじやばい。
「それでは王都へ向けて出発しましょう」
家をしまうとまた大層驚かれたが、気にしても仕方ない。
サラが修理してくれた馬車と一緒に歩きだす。
尻尾のメンバーはナユタと一緒に馬車の中だ。
馬車は思いっきり走っていいと言ってある。
俺とサラは周囲に気を配りながら俺はスキルで、サラは魔法によって馬車と同じ速度で並走している。
どうやら、こんなにも長時間スキルや魔法を使って身体能力を上げ続けられるのは異常なことらしい。
仕方ないね。早いとこ魔王倒して現実世界に戻らないと死んじゃうし。
ナユタが聞いたらどの口が言うんですかってものっすっごい冷たい目で言われるな。
「また敵襲ですパパ」
馬車からナユタが叫ぶ。
ナユタは生まれつき敵意への反応がすごいって事で皆は納得している。
馬車の進行方向斜め前方から先行してくる魔犬達が来る。
その背後には……
「騎兵までいるのか……軍隊だな……」
「馬じゃなくて犬にまたがってるけどね、その方が厄介だよね……」
ある意味魔物の生みの親の方が何かおっしゃってる。
「サラ魔法でやれるか?」
「もっちろーん」
サラはすぐに無数の火球を作り出して魔犬と騎兵たちの向かってくる辺りに絨毯爆撃を仕掛ける。
地面に触れた火球は激しく爆発し燃え広がる。
周囲の草原の自然破壊も甚だしい。
「いくつか抜けてきてるな!」
俺は弓を構えて走りながら放つ。
こんな名人芸もこの世界でなら可能だ。
放たれた弓は寸分たがわず魔犬の額を貫く。
後続で様子を見ていた奴らは撤退していった様子で、追撃はなかった。
「……ほんとに鋼クラスなんですか?」
「まだ冒険者になったばかりなんですよパパ達は」
「なるほど、世界は広いということですね……」
ほんとはチート使っただけです。ごめんなさい。
その後は王都正門まで敵襲なくたどり着くことが出来た。
正門の警備は物々しく、外部の人間を人海戦術で調べてさっさと城門内へと入れてしまおうという焦りみたいなものを感じた。
「そこな者たち、身分を確かにできるものはあるか?」
兵士の一人が俺達に気がついて話しながら近づいてくる。
「あ、はい。ほとんど冒険者で彼女だけここで冒険者登録する予定です」
「よし! ならばすぐにこちらからカードを調べて入ってもらう。さぁ急ぐんだ!」
乱暴な感じはしない。本当に安全対策のために急いでいるんだろう。
やはり王都のそばまで魔物が現れるという話は本当のようだ。
冒険者のカードはかなり信用性の高い証明書になる。
冒険者が責任を持てばサラの身の上も保証される。
もちろんサラが何か問題を起こせば俺のせいになってしまう。
「それでは一旦我々は依頼主に報告していきます。
昼はこちらの食道でお待ちしている」
尻尾のメンバーはまず仕事を片付けて、どうしても俺達にお礼をしたいというので、昼飯をごちそうになることにする。断っても聞いてくれなそうだしね。
俺達は冒険者ギルドへと向かう。
サラの冒険者登録を済まさなければならない。
「流石に王都の城下町は凄いな」
建物が立派だ。道路もきちんと整備され人の数も段違い。
「……ちょっと人がおおすぎますね……」
ナユタがそう思うのも仕方がない、いくらなんでも人が多い。
歩いていても気をつけないとぶつかり合ってしまう。
その理由は冒険者ギルドで教えてもらえた。
「最近の魔物の大量発生と、王都への接近で外出には厳しい条件ができちゃってね、足止めを食らってる人も多いんだよ」
話し好きの人懐っこいギルドの受付のおっさんがいろんなことを教えてくれた。
「王都の軍はこの町を守ることに全力を上げていて、外にまで魔物退治に出られないんだよ。
魔物共はちょこちょこ城壁付近まで現れては嫌がらせみたいな事をしてくるせいでね」
「噂では北の方に何かできたとか……」
「おお、それそれ。突然北の山岳地帯にダンジョンが出来たって噂なんだよ!
ただな、あまりに不釣り合いな高レベルモンスターのせいで侵入に成功した冒険者は皆無なんだ。
本当にダンジョンがあるのかもまだ確かめられていないしな……
王都はどうなっちまうのか……」
王都の人々も不安がっているようだが、強固な城壁に守られている安心のほうが買っているみたいで、そういう意味でも王都軍が王都の防衛のみに注力しているのは正解かもしれない。
「こうなると、俺ら冒険者が頑張らねーとな、よっしゃ登録は問題なし、未来の女王の誕生だ!」
サラの登録はスムーズに終わった。
すこしランク差があるパーティだが、戦闘記録などはギルドカードに残される。
きっとすぐに追いついてくるだろう。
何と言っても魔法主体で戦うサラは、近接特化の俺よりも多数の敵を相手にすることに優れている。
「依頼は王都内の物が多いな……やっぱり外へ不用意に出るのは危険みたいだ」
手持ちの道具でクリアできる依頼を幾つかサラにこなさせていく。
外に出られない分素材などが高騰しているようだ。
「早いとこ、なんとかしないとな……」
現状の状況を知ることが出来てギルドで得られたものは大きかった。
俺達はギルドを後にして、この街での宿を探すことにした。
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