魂喰のカイト

こう・くろーど

24話 スキルの確認


 「よっ……と」

 暗黒剣を空中で横に振り抜き、着地する。
 切り裂いたのは緑色の鱗で全身を覆っている二足歩行のトカゲ、リザードマンだ。
 こいつも前に冒険者から情報を聞いていた魔物で、物理に強い。

 だが、さすがに暗黒剣を防げるほどではなかったようだ。
 俺が斬った尻尾は鱗ごと綺麗に切断されており、リザードマンの防御力は完全に無視してしまっている。
 我ながら凄まじい威力だ。

 っと、そうだ。
 魂喰ソウルイーターを忘れちゃだめだな。
 発動、と。

 ああ、この力が溢れてくる感覚はいつ感じても快感だな。
 身体についている枷が外れていくというか……解放感があるのだ。
 今だったら力を求めて闇堕ちしたキャラの気持ちがわかる気がする。

 ……あっ、いや。
 俺は闇堕ちとかしないからね?
 わざわざ大衆を敵回したりとかまっぴらごめんだ。
 こうしてのんびりしている方が俺的には楽でいい。

 まあいいや。
 とりあえずステータスを確認してみるか。

 最初のガーゴイルから結構な数の魔物を仕留めた。
 ガーゴイル3体にリザードマン2体、ゴブリン9体、オーク4体だ。
 これだけ倒せばスキルの方も期待できるだろう。

 ちなみに最初のガーゴイル以降はダンジョン内を高速で駆け回り、暗黒剣を使って斬り倒してきた。
 魔法を構築して魔力を込めるのに時間がかかるからだ。
 開けた場所での多数との戦闘なら使いやすいのだろうけど、魔物が3、4体しかまとめて出ないダンジョンでは剣のほうが戦いやすいし早い。
 このスタイルのほうがストレスフリーで効率的だ。

 さて、スキルはどうなってるかな。
 鑑定を自分に向けて発動する。




名 前:イルム
種 族:半神人デミゴッド
称 号:神喰ゴッドイーター
スキル:【魂喰ソウルイーター
    【絶対悪アンラマンユ 
      ∟【威圧】
      ∟【黒翼】
      ∟【黒霧】
      ∟【暗黒魔法】
        ∟【固有魔法:暗黒剣】
        ∟【固有魔法:暗黒結界】
     【神聖魔法】
     【爆炎魔法】
     【雷鳴魔法】NEW
     【土塊魔法】NEW
     【氷結魔法】NEW
     【時空魔法】
     【鑑定】
     【叡智】
     【岩肌】×4
     【水泳】×2NEW
     【武器創造LV3】
     【剣術LV9】
     【短剣術LV2】NEW
     【大剣術LV1】NEW
     【槍術LV4】NEW
     【斧術LV3】NEW
     【二刀流LV4】 
     【火魔法LV10】
     【水魔法LV7→9】UP
     【雷魔法LV8→10】UP
     【土魔法LV9→10】UP
     【氷魔法LV9→10】UP
     【光魔法LV10】
     【闇魔法LV10】





 おお、予想通り結構増えてるな。

 まずは魔法スキルの成長。
 これらはおそらくガーゴイルとリザードマン、オークがまばらに持っていた分だろう。
 吸収したことにより、雷、土、氷は10レベルまで無事に伸び終わり、それぞれの上位互換となるスキルを手に入れることができた。
 暗黒魔法と並んで主力となりえる魔法だろう。

 次に武器系統のスキルだな。
 こちらはゴブリン、オーク、リザードマンが持っていたものだと思う。
 短剣術、大剣術、槍術、斧術と、近接の武器スキルは大体手に入った。
 あとはレベルを上げないと。

 今気づいたんだが大剣術って持ってなかったんだな。
 てっきり邪神アンラマンユが使ってたから手に入れたのかと思ってた。

 大剣術を持っていなかったことについてざっと思いつく可能性は2つ。

 邪神アンラマンユにとってはあの大きさの剣は長剣ロングソードの範囲だったっていうのが1つめ。
 もしそうだとしたらとんでもないな。
 大剣の威力で取り回しが長剣ロングソードとか、考えるだけで恐ろしい。

 そして、もう1つが魂喰ソウルイーター邪神アンラマンユから吸収した力は全てではなかったという可能性。
 つまり奪ったスキル絶対悪邪神アンラマンユのもつスキルの一部でしかなく、奪った中には大剣術が含まれていなかったということだ。
 ありえないわけではない。
 半神人デミゴッドの身体能力は強力だけど、邪神アンラマンユに届いているかと言われるとそうでもないからな。
 邪神アンラマンユの能力を全て吸収できているとは言い難い。
 良くて8割だろう。
 残りの2割に大剣術が含まれてしまっていたということだ。

 まあ、どっちの可能性が高いかというと後者だろうな。
 身体能力が邪神アンラマンユに届いてないことから考えてもまず間違いはない。
 それに大剣が長剣ロングソードとみなされたという根拠ない推測よりは良いだろう。

 ただ、ゴブリンやオークを吸収したときは魂喰ソウルイーターが制限されている感じはなかった。
 そのまま魔物の全ての力が入ってくる感じだ。
 だから、俺と魔物の強さによって吸収できる割合が変わってくるのだろう。
 俺より格下であるゴブリンやオークは全て吸収できたというわけだ。

 と、まあ考察してみたんだが、考えたところで意味は無いよな。
 結局、大剣術は手に入ったわけだし、吸収した時点で強くなっていることに変わりはないのだ。
 なるようになるだろう。

 さて、最後だ。
 最後はと言うと、水泳だな。
 これは多分リザードマンから入手したスキルだ。

《スキル:水泳 泳ぎがうまくなる》

 おう、まんまだな。

 まあそれはいいんだ。
 問題は横についている×2だ。
 岩肌の隣にも×4があるな。
 初めて見た。
 ここは鑑定してみるか。

《概念:蓄積 特定スキルを重ねて取得することでスキルが蓄積される。効果は重複しないが、蓄積数が上がることで上位互換のスキルが手に入ることがある》

 へえ、そうなんだ。
 じゃあ今の段階では意味は無いってことだな。
 これから岩肌と水泳を手に入れ続けて蓄積させていったら上位互換になると。
 だったら今後はリザードマンとガーゴイルを中心に倒していくか。
 せっかくだから上位互換とやらも欲しいしな。

 それにしても、これだけのスキルを一気に獲得してしまったわけだが、普通に手に入れようとすれば相当苦労するんじゃないか?
 魔法学園に数年間通い、毎日必死に練習していたルティアでさえ火魔法のレベル4が最大だったのだ。
 おそらくレベルが高くなればなるほど上がりづらくもなるのだろう。
 だとすれば1レベル上げるだけでも何ヶ月、下手したら何年もかかるのかもしれない。
 そもそも岩肌や武器創造クリエイトウェポンに至っては習得の方法すら不明だ。
 岩肌とか生物的な特徴だしな。

 今日までまったく使ってこなかったから結構影薄かったけど、魂喰ソウルイーターはやっぱりとんでもないな。
 もし魔物や敵となる人物がもっていたら厄介どころじゃない。
 下手したら神すら超えかねないし。
 俺も扱いには注意したほうが良さそうだな。
 変に言いふらすなんてもってのほかだ。

 さて、確認も済んだしもう少し探索したら武器屋に帰るか。
 そろそろ腹も空いてきたしな。
 外は今頃夕方くらいだろうか。 
 ああ、夕食楽しみだな。 


  




 

「魂喰のカイト」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー331118

    水魔法はござらんか?

    1
コメントを書く