度重契約により最強の聖剣技を
第七話 白銀の竜
「まだ、つかないのか······思っていたより長いな」
一人背中におぶってきたから少しばかり疲れたな。
そんな事を思いつつ。急な坂道?を滑らないよう銀竜との決闘に備え聖力を使わずにひたすら登る。
山頂まであと少しの距離まで近づいていることは確かだが、周り一面積雪に覆われている為道の上を進んでいるのかも定かでない。
それに、炎神の加護によって寒さは和らいだものの、今のアマテラスの弱化の影響か自らが進む範囲内の雪を溶かす程の力はないため進むのにも困難している訳である。
「確かに長いわ、このまま行くと銀竜を倒す前に体力が力尽きそうだし……だいたいこんな状況をつくりだしたのは貴方の姉のせいよね?英雄」
「······ああ、そうだ。
弟として面目ない限りだな、まったく。
本当にすまない……だからと言っておぶらないからな」
なんとなく、リナが羨ましそうな視線を送ってきているような気がした。
「そ、そんなこと一言も言ってないでしょ!! 心配なさらずとも自分で進めるわよ」
そう言うと、先程よりも歩む速度をあげ俺の一歩先を行く。
「無理は禁物ですよ。聖力の温存も大事ですが、体力の温存も大切なことです」
「おぶられている貴方に言われたくないんだけど」
「同感だ。そろそろ自分で歩いたらどうだアマテラス」
「私は歩けるって言ったのに無理やり背中におぶったのは瞬じゃないですか!! 自ら行動しておいて何を言ってるんですか? 」
気にさわったのか、発せられる言葉に怒りがこもっている。
今は見えないが、アマテラスのムスッとした顔が脳裏に浮かぶようだった。
その間にもリナは俺達の前を歩み進んで行く。
「仕方ないだろ弱化したせいで小さくなった今のお前じゃ、炎神の加護と小炎球ぐらいしか使えないし歩む速度も遅いんだから」
「確かにそうですけど……それじゃまるで足手まといじゃないですか」
悲しそうにそう呟いた。
弱化した理由は姉であってアマテラスにあるわけではない。
そう思うとなんだか可愛そうになり俺は、元気付けようと咄嗟に言葉をはなつ。
「いや、炎神の加護は十分役立ってるぞ」
「そうですか。炎神の加護は、ですか。それは……良かったです」
さっきよりもなぜか声のテンションが下がったような気がするが、何か……間違えたか?
「……もっと契約主としていたわるべきだと同じ女神の私としては思うのだけれど」
先程まで後ろを歩いていたはずのグランディーネが俺の真横まで近づきそう投げ掛けてきた。
アマテラスに哀れむような目を向けている。
「そうか?……まぁ、この討伐が終わる頃には元に戻ってるさ。だから、万が一何かあった時は援護、頼りにしてるからな」
「ぜんぜんフォローされている気がしませんが、分かりました。任せてください!! 」
背中越しに小さな胸を張っているのが伝わってくる。弱化したせいか、おだてにものりやすいアマテラスである。
「ところで、グランディーネさん。質問があるんだが……」
「はい。何かしら」
「リナの目的を全部はけ。このままだと魔物と戦ってる時すらも背後からの命の危険をリカバリーしなきゃならない。そんなことしてられるか!! 」
「そんな迫った顔をしなくても教えるわよ。リナは―――――」
グランディーネは笑みをこぼすと案外素直に教えてくれた。
「なるほど。なんかしらの対策をしておかないとな。ありがとうグランディーネ」
「いいえ、私はあの子が心配なだけだもの」
「ねぇ!! 話してないで先に進みましょう置いてくわよ。 あぁもう!! 足が疲れて少しだけ痺れてるんだけど!! 」
話題になっていた本人がこちらに近ずいてくる。
あんなにせかせかして歩みを進めたのは自分だろうに、なぜ俺を睨むんだ?
「そうか。それは、ご苦労なことだな貴族様」
こっちは、アマテラスをおぶってここまできたのだ。ムカついたので皮肉口調でそう言ってやった。
「うるさいわね、おだて英雄」
「おだて英雄で結構、結構。運動もしないで優雅な生活をしてきた貴族様とはある意味、格が違うんでな」
「なにそれ! ムカつくんですけど!! 」
「そんなことよりリナ、そんなにも疲れているなら私がおぶりましょうか? 女神解放すれば、宙を移動してすぐに山頂に到着できるのだけれど」
「今さら?! もうつくでしょ!!
それに貴族だって運動くらいしてるわよ!! 銀竜を倒して絶対見返してやるんだから!! 」
……プライドが高いリナであった。
★
山頂につくと、下から伸びた巨大な氷柱が銀竜の周りを円を描くように囲いその中で、眠りについている。
銀色の鱗がびっしり生え、呼吸する度に冷気があふれる。
入り口の氷柱には、ツクヨミと姉が左右それぞれで銀竜の様子を伺っている。
近づいて行くと、姉が気ずき手招きをしてきた。
それに応じ姉の後ろに配置すると、姉が手振りでツクヨミに呼び掛ける。
「ひどいよ瞬ちゃん。私とツクヨミちゃんをあんな風に飛ばすなんて、少し腰を痛めちゃった……」
腰をさすり涙目になりながらそう訴えかけてきた。
「私もです。銀竜に殺されかけてたらどうするです?」
今すぐ、こいつらを銀竜に差し出してしまおうか。そんな怒りを抑えつつ話を進める。
「······銀竜はどうなんだ? 」
「うぅん? 少し戦ってみたけど見た目どうり、固くて聖剣が通らなかったよ。属性技を使わないと厳しいかもね」
そう言うと姉は厳しい顔を浮かべた。
「しかも、あの銀竜は神格の加護を得ているみたいなんだよ」
神格の加護、それは女神の加護よりも強力であり自らの広範囲内すべての物に影響をあたえ支配下に置く。影響を与えられるものは気候や、人など様々である。
この銀竜の場合は、何者かに神格の加護を与えられ自らが操れる本来の寒冷能力範囲を格段に広げることができたのだろう。
「神格の加護か、思ったより厄介だな」
「神格の加護て? 私初耳なんだけど……何が厄介なの」
リナだけが疑問の顔を浮かべ静まりかえる。
「なぁ、グランディーネ。リナにこんなことも教えてないのか? 契約の基本情報だろ」
「だって、そうそう神格の加護を得た魔族なんていない訳で遭遇する確率なんて低いでしょう。
それに説明するよりも、体験した方が早いような気がして、だから説明を省いただけなのだけれど何か文句があるのかしら」
軽く微笑んでるがアテナ並みに威圧感がすごい。
だか確かにグランディーネの言い分には一理ある。神格の加護は、言葉で言い表しても想像できるものじゃないかもしれない。
それだけ壮大で図りきれない加護なのだ。
それに、この弱みは使えそうだ。
「仕方ないか······とりあえずまぁ、戦えば分かる」
姉の前に移動しながら俺は、そう呟いた。
「え、ちょっと」
「俺が、先陣をきる。
アマテラスとツクヨミは万が一に備えてここで待機」
「はい」「(コクリ)」
「グランディーネは、女神解放して銀竜をなるべく引き付け守りに徹してくれ。
姉ちゃんとリナは俺の支援を頼む。
まず、属性技で奴の片足を切り落としにかかる」
「了解したわ」
「うん、任せといてよ」
「······ねぇ、どんな攻撃を仕掛けてくるのか、教えてくれても」
リナは、不安そうな顔でこちらを見ている。
だから彼女の性格を逆手に取って不安感を取り除くことにした。上手くいくかは分からんが。
「もしかして自信がないのか?」
「······そんなことないわよ! いいわ、やってやろうじゃない!!」
思いのほかちょろいな。
どうやら挑発には乗りやすいらしい、貴族出身者特有のさがみたいなものなのだろうか。
「その息だ。指で3つ数える。準備はいいな」
全員が頷くと、俺は左手でカウントを始めつつ銀竜を見据えファイオラセルを顕現する。
3······2·····1
俺の合図でそれぞれが一斉に銀竜に向かって駆けた。
気配を察知されたのか銀竜は目覚め、白い冷気を出しながら咆哮をあげると、次の瞬間には、片腕を大きく振り上げ下げた。
一人背中におぶってきたから少しばかり疲れたな。
そんな事を思いつつ。急な坂道?を滑らないよう銀竜との決闘に備え聖力を使わずにひたすら登る。
山頂まであと少しの距離まで近づいていることは確かだが、周り一面積雪に覆われている為道の上を進んでいるのかも定かでない。
それに、炎神の加護によって寒さは和らいだものの、今のアマテラスの弱化の影響か自らが進む範囲内の雪を溶かす程の力はないため進むのにも困難している訳である。
「確かに長いわ、このまま行くと銀竜を倒す前に体力が力尽きそうだし……だいたいこんな状況をつくりだしたのは貴方の姉のせいよね?英雄」
「······ああ、そうだ。
弟として面目ない限りだな、まったく。
本当にすまない……だからと言っておぶらないからな」
なんとなく、リナが羨ましそうな視線を送ってきているような気がした。
「そ、そんなこと一言も言ってないでしょ!! 心配なさらずとも自分で進めるわよ」
そう言うと、先程よりも歩む速度をあげ俺の一歩先を行く。
「無理は禁物ですよ。聖力の温存も大事ですが、体力の温存も大切なことです」
「おぶられている貴方に言われたくないんだけど」
「同感だ。そろそろ自分で歩いたらどうだアマテラス」
「私は歩けるって言ったのに無理やり背中におぶったのは瞬じゃないですか!! 自ら行動しておいて何を言ってるんですか? 」
気にさわったのか、発せられる言葉に怒りがこもっている。
今は見えないが、アマテラスのムスッとした顔が脳裏に浮かぶようだった。
その間にもリナは俺達の前を歩み進んで行く。
「仕方ないだろ弱化したせいで小さくなった今のお前じゃ、炎神の加護と小炎球ぐらいしか使えないし歩む速度も遅いんだから」
「確かにそうですけど……それじゃまるで足手まといじゃないですか」
悲しそうにそう呟いた。
弱化した理由は姉であってアマテラスにあるわけではない。
そう思うとなんだか可愛そうになり俺は、元気付けようと咄嗟に言葉をはなつ。
「いや、炎神の加護は十分役立ってるぞ」
「そうですか。炎神の加護は、ですか。それは……良かったです」
さっきよりもなぜか声のテンションが下がったような気がするが、何か……間違えたか?
「……もっと契約主としていたわるべきだと同じ女神の私としては思うのだけれど」
先程まで後ろを歩いていたはずのグランディーネが俺の真横まで近づきそう投げ掛けてきた。
アマテラスに哀れむような目を向けている。
「そうか?……まぁ、この討伐が終わる頃には元に戻ってるさ。だから、万が一何かあった時は援護、頼りにしてるからな」
「ぜんぜんフォローされている気がしませんが、分かりました。任せてください!! 」
背中越しに小さな胸を張っているのが伝わってくる。弱化したせいか、おだてにものりやすいアマテラスである。
「ところで、グランディーネさん。質問があるんだが……」
「はい。何かしら」
「リナの目的を全部はけ。このままだと魔物と戦ってる時すらも背後からの命の危険をリカバリーしなきゃならない。そんなことしてられるか!! 」
「そんな迫った顔をしなくても教えるわよ。リナは―――――」
グランディーネは笑みをこぼすと案外素直に教えてくれた。
「なるほど。なんかしらの対策をしておかないとな。ありがとうグランディーネ」
「いいえ、私はあの子が心配なだけだもの」
「ねぇ!! 話してないで先に進みましょう置いてくわよ。 あぁもう!! 足が疲れて少しだけ痺れてるんだけど!! 」
話題になっていた本人がこちらに近ずいてくる。
あんなにせかせかして歩みを進めたのは自分だろうに、なぜ俺を睨むんだ?
「そうか。それは、ご苦労なことだな貴族様」
こっちは、アマテラスをおぶってここまできたのだ。ムカついたので皮肉口調でそう言ってやった。
「うるさいわね、おだて英雄」
「おだて英雄で結構、結構。運動もしないで優雅な生活をしてきた貴族様とはある意味、格が違うんでな」
「なにそれ! ムカつくんですけど!! 」
「そんなことよりリナ、そんなにも疲れているなら私がおぶりましょうか? 女神解放すれば、宙を移動してすぐに山頂に到着できるのだけれど」
「今さら?! もうつくでしょ!!
それに貴族だって運動くらいしてるわよ!! 銀竜を倒して絶対見返してやるんだから!! 」
……プライドが高いリナであった。
★
山頂につくと、下から伸びた巨大な氷柱が銀竜の周りを円を描くように囲いその中で、眠りについている。
銀色の鱗がびっしり生え、呼吸する度に冷気があふれる。
入り口の氷柱には、ツクヨミと姉が左右それぞれで銀竜の様子を伺っている。
近づいて行くと、姉が気ずき手招きをしてきた。
それに応じ姉の後ろに配置すると、姉が手振りでツクヨミに呼び掛ける。
「ひどいよ瞬ちゃん。私とツクヨミちゃんをあんな風に飛ばすなんて、少し腰を痛めちゃった……」
腰をさすり涙目になりながらそう訴えかけてきた。
「私もです。銀竜に殺されかけてたらどうするです?」
今すぐ、こいつらを銀竜に差し出してしまおうか。そんな怒りを抑えつつ話を進める。
「······銀竜はどうなんだ? 」
「うぅん? 少し戦ってみたけど見た目どうり、固くて聖剣が通らなかったよ。属性技を使わないと厳しいかもね」
そう言うと姉は厳しい顔を浮かべた。
「しかも、あの銀竜は神格の加護を得ているみたいなんだよ」
神格の加護、それは女神の加護よりも強力であり自らの広範囲内すべての物に影響をあたえ支配下に置く。影響を与えられるものは気候や、人など様々である。
この銀竜の場合は、何者かに神格の加護を与えられ自らが操れる本来の寒冷能力範囲を格段に広げることができたのだろう。
「神格の加護か、思ったより厄介だな」
「神格の加護て? 私初耳なんだけど……何が厄介なの」
リナだけが疑問の顔を浮かべ静まりかえる。
「なぁ、グランディーネ。リナにこんなことも教えてないのか? 契約の基本情報だろ」
「だって、そうそう神格の加護を得た魔族なんていない訳で遭遇する確率なんて低いでしょう。
それに説明するよりも、体験した方が早いような気がして、だから説明を省いただけなのだけれど何か文句があるのかしら」
軽く微笑んでるがアテナ並みに威圧感がすごい。
だか確かにグランディーネの言い分には一理ある。神格の加護は、言葉で言い表しても想像できるものじゃないかもしれない。
それだけ壮大で図りきれない加護なのだ。
それに、この弱みは使えそうだ。
「仕方ないか······とりあえずまぁ、戦えば分かる」
姉の前に移動しながら俺は、そう呟いた。
「え、ちょっと」
「俺が、先陣をきる。
アマテラスとツクヨミは万が一に備えてここで待機」
「はい」「(コクリ)」
「グランディーネは、女神解放して銀竜をなるべく引き付け守りに徹してくれ。
姉ちゃんとリナは俺の支援を頼む。
まず、属性技で奴の片足を切り落としにかかる」
「了解したわ」
「うん、任せといてよ」
「······ねぇ、どんな攻撃を仕掛けてくるのか、教えてくれても」
リナは、不安そうな顔でこちらを見ている。
だから彼女の性格を逆手に取って不安感を取り除くことにした。上手くいくかは分からんが。
「もしかして自信がないのか?」
「······そんなことないわよ! いいわ、やってやろうじゃない!!」
思いのほかちょろいな。
どうやら挑発には乗りやすいらしい、貴族出身者特有のさがみたいなものなのだろうか。
「その息だ。指で3つ数える。準備はいいな」
全員が頷くと、俺は左手でカウントを始めつつ銀竜を見据えファイオラセルを顕現する。
3······2·····1
俺の合図でそれぞれが一斉に銀竜に向かって駆けた。
気配を察知されたのか銀竜は目覚め、白い冷気を出しながら咆哮をあげると、次の瞬間には、片腕を大きく振り上げ下げた。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
104
-
-
238
-
-
0
-
-
35
-
-
22803
-
-
1168
-
-
755
-
-
2
-
-
1512
コメント