度重契約により最強の聖剣技を
第六話 寒冷の山地にて
「ずいぶんと焦ってるわね、英雄。いいきみだわ」
声がした方向に振り向くと球体の岩石に頭一つ分の穴があり、そこから見知った人物が顔を覗かせていた。
そしてそのとなりに突然、同上の穴がもう一つ開きそこにも見知った人物が穴から顔を覗かせる。
「……あら、英雄さん大丈夫?
この大地の加護で作ったドームに貴方も入れてあげたいところなのだけど、二人分のスペースを作るので精一杯なの。
……ごめんなさいねこんな事を言いたくないのだけれどリナがどうしてもって言うものだから」
「ちょっと、グランディーネ!!
……私に、土下座してお願いすれば力を貸さないこともないわよ」
「そうか······心配ご無用だ。
これは俺自身の力で乗り越えてやるから。
だから、ほっといてくれないかな?!
こっちは、お前たちと違って生死がかかってるんだ!! 邪魔するな!!」
俺は再びアマテラスに向き直り、今度は作戦を変更し腹をくすぐる。
「ウフッ。ッフハハ。やめてくりゃしゃい」
確かに効いている。効いているのだが······寝ぼけたままだ。
ただ、これは間違いなく先程のビンタよりは効果があり期待できそうだった。
「あの……土下座…すれば、協力……」
「だまれ!! 邪魔するな」
リナを見つめる俺の目は間違えなく、血走っていただろう。
自らが生きる為ただ、ひたすらにアマテラスのお腹をくすぐることに情熱を燃やし没頭する。
「わ、悪かったわよ」
「あれは見ていると、ものすごく胸を痛める情景なのだけれど」
(まだ、起きないのか。
ならば! ビンタも加えよう。
この際、人に見られている情景なんて関係ない)
アマテラスは、痛がり笑いを繰り返したが、寝ぼけたまま起きる気配は全くない。
いつの間にか意識がもうろうとしていた。
制服に供給する聖力がとどこおってきたのだ。
(こうなったら聖剣の聖力を使うか······
ダメだ。声さえ出させない。
間違いない、これは死ぬかもだ)
「もう見てられないわ。グランディーネ! 」
拳分ほどの球体の岩石が出現し鈍い音をさせながらアマテラスのおでこ直撃する。
すると、アマテラスは目を見開きおでこを両手で押さえると赤い瞳をみるみる涙ぐませた。
「痛ッ。誰ですか! こんなのぶつけたのは……瞬? 瞬?! しっかりしてください!! 」
(ようやく……起きたか駄女神。遅すぎだろ)
俺の意識は、遠のいていった。
どれくらいの時間が流れていたのだろう、
目を覚ますと、白雪の上に横になっていた。
体はポカポカしてとても暖かいがなぜかリナに膝枕されている。
「あ、起きた······さっきはその……悪かったわね。まさか、ちょっとした恨み晴らしがあんなことになるなんて思ってもみなかったわ。計画も狂ったし」
「計画? 」
「何でもないから気にしないで」
「気にするなと言われて気にしない奴が」
「黙って」
人差し指を口にあてがう彼女の動作に自然と視線は彼女の顔へと向いてしまう。
「だからこれで許して……くれる? 」
そう言うとリナは少しばかり赤らめた顔を近づけ、俺の頬に口づけをした、しかも唇に近い場所にだ。
そしてそっとその口を離していく。
「!!!」
俺は、今起こった事への衝撃に思わず立ち上がった。
「な、なんで恥ずかしがってるのよ!!
こっちまで恥ずかしくなるじゃない。
それに、イギリスじゃこんなの挨拶程度よ
……まぁ、なかなか膝枕でする事はないけど」
「別に恥ずかしがってる訳じゃない
ちょっとあれだ……驚いただけだ!! 」
「ふーん、どうだか」
「以外と、英雄さんも可愛らしい部分があるのかしら」
「······そんなことより、アマテラス。
俺に何か言う事がないか」
リナとグランディーネから発せられるむず痒い視線をごまかそうとおもわず俺は、アマテラスにむきなおった。
「はい。このような事態を招き大変申し訳ありませんでした。契約女神として面目ございません。
ましてや、瞬の命の危険が迫っていたのに私は……」
膝をつき胸に手を当てると深々と腰を折り謝罪の意を示す。
それを終えるとアマテラスは俺を潤んだ紅の瞳で見つめてきた。
まだ、ちまっとしたままなのでなんだか愛らしく感じられ怒る気がおもわずうせる。
「まったくだ。危うく死にかけたぞ」
「すいません。まさか私が、ツクヨミの眠りに引かれるなんて。これも弱化した影響でしょうか? 」
立ち上がりながら肩をがっくりとおろすアマテラスに、先ほどまで眠りこけていたこの一件の引きがねであるツクヨミと姉が寄り添ってきた。
「アマテラスだけが悪い訳じゃない。
私も眠りこけていた。元気だして」
「そうだよ、アマテラスちゃん。
失敗は誰しもつき物。だから前向きに行こう!! 」
「マスターの言うとうりです。
前向いていこう……です! 」
「お前らな······」
今、押さえこんだ怒りの衝動を向ける対象はどうやらこいつらで間違いないらしい。
「や、やぁ瞬ちゃん。さっきは危なかったんだって? 姉として無事で何よりだよ……」
「……マスター。私は、逃げます」
「え、ちょっと! ツクヨミちゃん!!
置いていかないでよ~~~ 」
「逃がすか!! 顕現せよファイオラセル!!!」
並走する二人に追い付き近づくと、その背中に向け聖力を込め構えていたファイオラセルの平面を思い切り振り払う。
すると、二人は絶叫をあげながら弧を描き山頂付近まで飛んでいく。
「……しまった」
衝動が押さえきれず我を忘れてついやってしまった。
だが、少しは反省になっただろう。
敵の偵察にもなるし二人なら大丈夫なはずだ。
そう思いつつ、俺は来た道を戻った。
声がした方向に振り向くと球体の岩石に頭一つ分の穴があり、そこから見知った人物が顔を覗かせていた。
そしてそのとなりに突然、同上の穴がもう一つ開きそこにも見知った人物が穴から顔を覗かせる。
「……あら、英雄さん大丈夫?
この大地の加護で作ったドームに貴方も入れてあげたいところなのだけど、二人分のスペースを作るので精一杯なの。
……ごめんなさいねこんな事を言いたくないのだけれどリナがどうしてもって言うものだから」
「ちょっと、グランディーネ!!
……私に、土下座してお願いすれば力を貸さないこともないわよ」
「そうか······心配ご無用だ。
これは俺自身の力で乗り越えてやるから。
だから、ほっといてくれないかな?!
こっちは、お前たちと違って生死がかかってるんだ!! 邪魔するな!!」
俺は再びアマテラスに向き直り、今度は作戦を変更し腹をくすぐる。
「ウフッ。ッフハハ。やめてくりゃしゃい」
確かに効いている。効いているのだが······寝ぼけたままだ。
ただ、これは間違いなく先程のビンタよりは効果があり期待できそうだった。
「あの……土下座…すれば、協力……」
「だまれ!! 邪魔するな」
リナを見つめる俺の目は間違えなく、血走っていただろう。
自らが生きる為ただ、ひたすらにアマテラスのお腹をくすぐることに情熱を燃やし没頭する。
「わ、悪かったわよ」
「あれは見ていると、ものすごく胸を痛める情景なのだけれど」
(まだ、起きないのか。
ならば! ビンタも加えよう。
この際、人に見られている情景なんて関係ない)
アマテラスは、痛がり笑いを繰り返したが、寝ぼけたまま起きる気配は全くない。
いつの間にか意識がもうろうとしていた。
制服に供給する聖力がとどこおってきたのだ。
(こうなったら聖剣の聖力を使うか······
ダメだ。声さえ出させない。
間違いない、これは死ぬかもだ)
「もう見てられないわ。グランディーネ! 」
拳分ほどの球体の岩石が出現し鈍い音をさせながらアマテラスのおでこ直撃する。
すると、アマテラスは目を見開きおでこを両手で押さえると赤い瞳をみるみる涙ぐませた。
「痛ッ。誰ですか! こんなのぶつけたのは……瞬? 瞬?! しっかりしてください!! 」
(ようやく……起きたか駄女神。遅すぎだろ)
俺の意識は、遠のいていった。
どれくらいの時間が流れていたのだろう、
目を覚ますと、白雪の上に横になっていた。
体はポカポカしてとても暖かいがなぜかリナに膝枕されている。
「あ、起きた······さっきはその……悪かったわね。まさか、ちょっとした恨み晴らしがあんなことになるなんて思ってもみなかったわ。計画も狂ったし」
「計画? 」
「何でもないから気にしないで」
「気にするなと言われて気にしない奴が」
「黙って」
人差し指を口にあてがう彼女の動作に自然と視線は彼女の顔へと向いてしまう。
「だからこれで許して……くれる? 」
そう言うとリナは少しばかり赤らめた顔を近づけ、俺の頬に口づけをした、しかも唇に近い場所にだ。
そしてそっとその口を離していく。
「!!!」
俺は、今起こった事への衝撃に思わず立ち上がった。
「な、なんで恥ずかしがってるのよ!!
こっちまで恥ずかしくなるじゃない。
それに、イギリスじゃこんなの挨拶程度よ
……まぁ、なかなか膝枕でする事はないけど」
「別に恥ずかしがってる訳じゃない
ちょっとあれだ……驚いただけだ!! 」
「ふーん、どうだか」
「以外と、英雄さんも可愛らしい部分があるのかしら」
「······そんなことより、アマテラス。
俺に何か言う事がないか」
リナとグランディーネから発せられるむず痒い視線をごまかそうとおもわず俺は、アマテラスにむきなおった。
「はい。このような事態を招き大変申し訳ありませんでした。契約女神として面目ございません。
ましてや、瞬の命の危険が迫っていたのに私は……」
膝をつき胸に手を当てると深々と腰を折り謝罪の意を示す。
それを終えるとアマテラスは俺を潤んだ紅の瞳で見つめてきた。
まだ、ちまっとしたままなのでなんだか愛らしく感じられ怒る気がおもわずうせる。
「まったくだ。危うく死にかけたぞ」
「すいません。まさか私が、ツクヨミの眠りに引かれるなんて。これも弱化した影響でしょうか? 」
立ち上がりながら肩をがっくりとおろすアマテラスに、先ほどまで眠りこけていたこの一件の引きがねであるツクヨミと姉が寄り添ってきた。
「アマテラスだけが悪い訳じゃない。
私も眠りこけていた。元気だして」
「そうだよ、アマテラスちゃん。
失敗は誰しもつき物。だから前向きに行こう!! 」
「マスターの言うとうりです。
前向いていこう……です! 」
「お前らな······」
今、押さえこんだ怒りの衝動を向ける対象はどうやらこいつらで間違いないらしい。
「や、やぁ瞬ちゃん。さっきは危なかったんだって? 姉として無事で何よりだよ……」
「……マスター。私は、逃げます」
「え、ちょっと! ツクヨミちゃん!!
置いていかないでよ~~~ 」
「逃がすか!! 顕現せよファイオラセル!!!」
並走する二人に追い付き近づくと、その背中に向け聖力を込め構えていたファイオラセルの平面を思い切り振り払う。
すると、二人は絶叫をあげながら弧を描き山頂付近まで飛んでいく。
「……しまった」
衝動が押さえきれず我を忘れてついやってしまった。
だが、少しは反省になっただろう。
敵の偵察にもなるし二人なら大丈夫なはずだ。
そう思いつつ、俺は来た道を戻った。
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