わたしのアール

西野佐久羅

同種

初めて自分と似た悩みを抱いた人に会った。何人目か忘れたけど薄汚くボロボロの黄色いカーディガンを着た少女だった。少女は「家に帰りたくない。帰るとまた痣が増えてしまう。だからここでその痣を消し去りに来たの。」と。口を開く気もないのに、思ってもないのに口からはやっぱり言葉が出ていった。「ねぇ、やめてよ。」


ああ、なんて事だ。私にこの子の悩みを打ち砕けるはずがない。寧ろ私には止めれる権利がなかった。それでもこの場から消えて欲しかった。その子を見ていると胸が締め付けられるほど苦しいんだよ。
「じゃあ今日はやめておくよ。」と言って少女は下を向いて去っていった。私はあの子のような子をもう見たくないと思ってしまった。

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