元、チート魔王が頼りない件。
不調
俺達は全力で坂を上る。
いつもよりも、その坂は長く感じられた。
やっとの思いで坂を上り切る。体力のある俺はこんな坂くらいで息を切らすはずは無いのだが、恐怖が混じったせいか、息は切れてしまっていた。
「はぁはぁ……その、小さい体で良く走れたな」
「な、何でだろうな」
と、そっぽを向く。
そんな魔王様は驚く程に息を切らしていなかった。
こいつは何をしたのだろうか……。
「はぁはぁ……。で、、とりあ、えず……皆、部活をしていてくれた、、おかげ、か校門前に人がいない、のはいいん、だが……」
久しぶりに息を切らしてしまったので驚く程に言葉がつっかえてしまう。運動神経が良くてよかった。と、心からそう思えた。
「とりあえず、息を整えてから話そうぜ? こういう時にこそ『冷静に』だ」
「ふぅ……」
と、大きく呼吸をし、息を整える。
「今は……いない。ってだけで、いつ来てもおかしくないだろ? だから、そこの茂みとかにとりあえず行かないか?」
「そうだな」
俺達は壁際にある木と木の間、丁度、死角になりそうな所へ入る。
こんな茂みに来るなんて小学校の時にしてた缶蹴り以外だなぁ……。
まぁ、これから砦を落とすために缶蹴りっぽいことをしないとなんだけどな。
「あと、魔王様……ここからは念話で話した方がいいかもしれない」
「何でだ?」
「作戦を今からまとめたい。
だから、茂みに注目されると困る。ってのもある。
それと、もう一つだ」
「何だ……?」
「これは、この学校に通ってる俺だからこそ分かることなんだが……。
砦の入口。今回は生徒会室と図書室の下って言っただろ?
それがな『現、生徒会長。吉澤 夏奈』ってやつが超人的な地獄耳で有名なんだ。
まぁ、その他にも凄いことは色々とあるんだが……」
「ぷ……ぷぷっ! おいおい。お前みたいなやつが、そんな噂を信じるのかよ!」
「だけどな……万が一、事実だとして、そんな事で誰かに見つかったらたまらないだろ?
『念には念を』ってことだ」
『そういう事か。だな! 俺は念話に切り替えたぞ』
その声で俺もテレビのチャンネルを変えるように切り替える。
『おけ。なら、早速、作戦を決めていこうと思うんだが……』
『おう! 頭のいいお前に任せるぜ』
『とりあえず今日は、前回みたいにならないよう軽く偵察に行くだけだ。いいな?』
『当然だ。敵が来たら、どうする?』
『お前って、今の状態でスキルはどれくらい使えるんだ?』
『軽い火の玉とか小さい氷の粒を撃つぐらいは』
『なら、目に当てたりも出来るのか。幸い、俺もこの前のナイフを持ってきてある。
いざとなったら戦闘だが……基本は逃げることにしよう。
後、砦内も何があるかは分からない。だから、念話にしておこう』
『おう。そうだな。俺も無駄な魔力を使いたくねぇ……また、小さくなるかもしれないし』
俺的には、そっちの方が便利なんだけどな……。
『これ以上は入ってみないと決められないし……今回は詠唱中、会長にバレないようにする。これだけで行こう』
『おう!』
『じゃあ、せーので、詠唱地点までいくぞ!』
『……せーの!』
俺達は茂みから忍のように一気に飛び出し、目標地点まで一気に向かう。
人はいなかったのでバレずに校舎裏まで到着したようだ。
『早く詠唱を……!』
この前とは少しだけ違う詠唱を小声で唱える。
そして、大きな声を最後に決め……不思議な感覚……いや、いつもとは違う感覚で魔界に来た。
『……最後の声、もう少し小さくならねぇのかよ!』
『仕方ねぇだろ! ……いやいや。喧嘩なんてしてる場合じゃねえだろ? な?』
『た、確かに。それはそうだな』
魔王様が珍しくまともな発言したので拍子抜けしてしまう。砦に来ると雰囲気が変わるよなぁ……。
っと……そんな事はどうでもいい。
『ここは一体どこなんだ!?!?』
魔王様との喧嘩に気を取られ、全く意識していなかったがどうなっているんだ?
『俺にも分かんねぇよ……』
俺達がワープした場所。
それは何も無い空間。真っ白な空間だった。
自分達自身も白い場所にポカーンと浮いているだけで何も出来ない。
『おい……! お前の詠唱、ミスってんじゃねぇか!?』
『中途半場だから変な空間ってか?』
『だって……どう考えても、おかっしいだろ! ここは何なんだ? 天国なのか? 何も無い真っ白な空間だしさぁ。俺達、浮いてるし!』
『し、知らねぇよ。ち、中途半場なわけないだろー……』
と、冷や汗なのか汗が流れていた。
黒かったので、そこは魔王様らしいな。と、思ったが……じゃなくて、どうすんだよ!
魔王様と天国に行きました。
シャレになるか! てか、魔王様が天国行ってどうすんだよ! 巻き添えで地獄とかは嫌だけど地獄に行けよ!
俺が一人、脳内でツッコミを楽しみ。楽しくなってきていると魔王様がいきなり誤ってくる。
『……ごめん。ここ最近、魔法の調子もおかしかったし単なるミスかもしれない。
もう一度、詠唱をするから、とりあえず戻らないか?』
『全然いいぞ……疲れてんのかもしれねぇし。力、抜こうぜ!』
すると、魔王様がもう一度詠唱を唱えると、現実世界に戻ってきていた。
『なら……もう一回行くぞ』
自分の力量の無さに絶望しているのか、その声は何だか暗く、いつもの明るさは無かった。
いつもよりも、その坂は長く感じられた。
やっとの思いで坂を上り切る。体力のある俺はこんな坂くらいで息を切らすはずは無いのだが、恐怖が混じったせいか、息は切れてしまっていた。
「はぁはぁ……その、小さい体で良く走れたな」
「な、何でだろうな」
と、そっぽを向く。
そんな魔王様は驚く程に息を切らしていなかった。
こいつは何をしたのだろうか……。
「はぁはぁ……。で、、とりあ、えず……皆、部活をしていてくれた、、おかげ、か校門前に人がいない、のはいいん、だが……」
久しぶりに息を切らしてしまったので驚く程に言葉がつっかえてしまう。運動神経が良くてよかった。と、心からそう思えた。
「とりあえず、息を整えてから話そうぜ? こういう時にこそ『冷静に』だ」
「ふぅ……」
と、大きく呼吸をし、息を整える。
「今は……いない。ってだけで、いつ来てもおかしくないだろ? だから、そこの茂みとかにとりあえず行かないか?」
「そうだな」
俺達は壁際にある木と木の間、丁度、死角になりそうな所へ入る。
こんな茂みに来るなんて小学校の時にしてた缶蹴り以外だなぁ……。
まぁ、これから砦を落とすために缶蹴りっぽいことをしないとなんだけどな。
「あと、魔王様……ここからは念話で話した方がいいかもしれない」
「何でだ?」
「作戦を今からまとめたい。
だから、茂みに注目されると困る。ってのもある。
それと、もう一つだ」
「何だ……?」
「これは、この学校に通ってる俺だからこそ分かることなんだが……。
砦の入口。今回は生徒会室と図書室の下って言っただろ?
それがな『現、生徒会長。吉澤 夏奈』ってやつが超人的な地獄耳で有名なんだ。
まぁ、その他にも凄いことは色々とあるんだが……」
「ぷ……ぷぷっ! おいおい。お前みたいなやつが、そんな噂を信じるのかよ!」
「だけどな……万が一、事実だとして、そんな事で誰かに見つかったらたまらないだろ?
『念には念を』ってことだ」
『そういう事か。だな! 俺は念話に切り替えたぞ』
その声で俺もテレビのチャンネルを変えるように切り替える。
『おけ。なら、早速、作戦を決めていこうと思うんだが……』
『おう! 頭のいいお前に任せるぜ』
『とりあえず今日は、前回みたいにならないよう軽く偵察に行くだけだ。いいな?』
『当然だ。敵が来たら、どうする?』
『お前って、今の状態でスキルはどれくらい使えるんだ?』
『軽い火の玉とか小さい氷の粒を撃つぐらいは』
『なら、目に当てたりも出来るのか。幸い、俺もこの前のナイフを持ってきてある。
いざとなったら戦闘だが……基本は逃げることにしよう。
後、砦内も何があるかは分からない。だから、念話にしておこう』
『おう。そうだな。俺も無駄な魔力を使いたくねぇ……また、小さくなるかもしれないし』
俺的には、そっちの方が便利なんだけどな……。
『これ以上は入ってみないと決められないし……今回は詠唱中、会長にバレないようにする。これだけで行こう』
『おう!』
『じゃあ、せーので、詠唱地点までいくぞ!』
『……せーの!』
俺達は茂みから忍のように一気に飛び出し、目標地点まで一気に向かう。
人はいなかったのでバレずに校舎裏まで到着したようだ。
『早く詠唱を……!』
この前とは少しだけ違う詠唱を小声で唱える。
そして、大きな声を最後に決め……不思議な感覚……いや、いつもとは違う感覚で魔界に来た。
『……最後の声、もう少し小さくならねぇのかよ!』
『仕方ねぇだろ! ……いやいや。喧嘩なんてしてる場合じゃねえだろ? な?』
『た、確かに。それはそうだな』
魔王様が珍しくまともな発言したので拍子抜けしてしまう。砦に来ると雰囲気が変わるよなぁ……。
っと……そんな事はどうでもいい。
『ここは一体どこなんだ!?!?』
魔王様との喧嘩に気を取られ、全く意識していなかったがどうなっているんだ?
『俺にも分かんねぇよ……』
俺達がワープした場所。
それは何も無い空間。真っ白な空間だった。
自分達自身も白い場所にポカーンと浮いているだけで何も出来ない。
『おい……! お前の詠唱、ミスってんじゃねぇか!?』
『中途半場だから変な空間ってか?』
『だって……どう考えても、おかっしいだろ! ここは何なんだ? 天国なのか? 何も無い真っ白な空間だしさぁ。俺達、浮いてるし!』
『し、知らねぇよ。ち、中途半場なわけないだろー……』
と、冷や汗なのか汗が流れていた。
黒かったので、そこは魔王様らしいな。と、思ったが……じゃなくて、どうすんだよ!
魔王様と天国に行きました。
シャレになるか! てか、魔王様が天国行ってどうすんだよ! 巻き添えで地獄とかは嫌だけど地獄に行けよ!
俺が一人、脳内でツッコミを楽しみ。楽しくなってきていると魔王様がいきなり誤ってくる。
『……ごめん。ここ最近、魔法の調子もおかしかったし単なるミスかもしれない。
もう一度、詠唱をするから、とりあえず戻らないか?』
『全然いいぞ……疲れてんのかもしれねぇし。力、抜こうぜ!』
すると、魔王様がもう一度詠唱を唱えると、現実世界に戻ってきていた。
『なら……もう一回行くぞ』
自分の力量の無さに絶望しているのか、その声は何だか暗く、いつもの明るさは無かった。
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