元、チート魔王が頼りない件。

雪見だいふく

デート

 今日は土曜日。眠かったこともあり、起床時間は昼の十二時。
 まぁ、こんなに遅ければ、魔王様も戻ってきてるかな……。
 部屋を探しても、魔王様はいない。
 まだ、準備か何かをしているのか?まぁ、今日は流石に休んでいいってことだろ。

 俺は、もう一度ベットに入り、眠りについた。

 時刻は五時。魔王様は、まだいない。

 ……今日は帰ってこれないのかな。
 それなら、それで良いのだけれど。

 ……寝るか。
 疲れていた俺は、もう一度眠りについた。

 日曜日。時間は朝の五時半。すること無し。

 さすがに寝れない。勉強でもするか。
 俺は英語のノートを机に広げ、単語を覚える。
 集中し始めて、数時間。なかなかの集中力だったと思う。そんな時、一つの着信音が鳴った。

 ピコン

 L〇NEからの着信音……!? め、珍しすぎる。
 スマホを開く。

『夏奈:今日、会えないかな?』

 ガタッ

 椅子から、崩れ落ちそうになった。
 マジか! やったー!

 会えるよ! いやいや、これだと会いたかったみたいだよな……。

『ん、別に会えるよ』

 ふぅ……。俺は大慌てで、服をタンスから引っ張り出す。
 すると、返信が帰ってくる。

『じゃあ、午後一時に駅集合で!』

 午後かい! 気合いを入れて、早々に準備をしたのは馬鹿だった!
 で、でも、駅ってことは……。デートって事でいいんじゃないか!?

『了解!』

 そこから、勉強に戻ったが、集中することは出来ず、体操に体操を繰り返して、飯を食べ、風呂に入り、デートに備えていると、時間と時間になり、駅へ向かった。

 駅まで、チャリに乗って行き、待機するが夏奈の姿はない。
 十分も早く来たんだし、まだ来てないだけだよな。


 待ち始めて十分が過ぎた。
 ……遅れてるだけだよな。うん。

 それから、五分後。あんな事をしてしまったから、怒って、軽い気持ちで仕返しをしたんだ。と、思った俺は、最後にL〇NEを確認して、帰ることにする。

『夏奈:今どこー?』

 どこって、駅前だろ……。

『駅前だよ』
『夏奈:?? どこの?』

 ……あ! そうか! こんなド田舎に夏奈が住んでるわけ無いじゃないか。

『ごめん! 間違えて、自分の地区の駅で待ってた』
『夏奈:あっ……。私も言わなくてごめんね! 街中の駅!』
『悪い。今すぐ行く!』

 俺は、急いで改札を通る。
 幸い、一時間に一、二本しか通らない電車も十分後には来る。まぁ、それだからバスで学校に来るやつも多いんだよな。

『電車、十分後に来るから、もうちょい待ってて』
『夏奈:むぅ……。何か奢ってね!』
『はいよ』

 こ、こんな可愛いところもあるのか! くぅ!
 右腕を上に掲げる。

 十分後、来た電車に乗り、それから数分すると、ここらで一番の街に到着する。

『今着いた』

「あっ、ここだよー!」

 遠くから、手を小さく振っている。

「遅れてごめん!」
「私こそ、誘うのに精一杯でごめん」

 頑張って、誘ってくれたんだよな。
 俺だったら、とてもじゃないけど無理だぜ。

「いやいや! 誘ってくれてありがとう」
「じゃあ、行こっか。予定は無いけど」
「だね。楽しもー!」

 そして、二人で駅を出たあと、手を繋ぎ……手を繋ぎ!? 街を歩いた。

 その後は、カフェや映画館。ブティックなど、無難なところが多かったが、楽しかった。

「また、明日ー」
「うん。また!」

 こうして、彼女と別れた後。電車に乗り、家に帰ろうとしたのだが……。

 わ、忘れてた!

 魔王様が、そろそろ帰ってきてもおかしくないから、飯を買ってこねぇと!
 六時過ぎてるけど、買わないわけにはいかないからな……。

 バスに乗るために、バス停で待機する。

 すると……。

「あれ、壮一じゃん!」
「胡桃……? おお!? こんな時間にどうしたんだ? 迷子か?」
「迷子じゃないよ! 子供じゃないんだからー。ふふっ」
「何で嬉しそうなんだよ……」
「な、何でもない!」

 と、頬を染める。
 しばらくすると、バスが到着する。

「乗ろっか」
「だな」

 そして、二人で雑談をし、街へ向かった……。

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