教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

そんなわけあるかー!!

あの事件から数日が経ち、何事もなく
日常が過ぎていく・・・はずはなく
「ねぇ二井見さんや」
「・・・何?」
「あのですね・・・
この距離感はなんですか?」
「・・・普通。
今までと同じ」
とぴったり僕の隣に座っている二井見さん。
「そんなわけあるかー!!」
僕はたまらずツッコミを入れた。
「・・・?」
「あの、なんで怒っているのみたいな顔
やめてもらえませんか?」
「・・・なんで怒っているの先生?」
「いちいち口に出さなくてもいい!
・・・じゃなくて!なんで僕の隣にいるの!?
今まで僕とあなたの距離ってだいぶあったよね!?」
そうである。今まで教室の端と端だった距離が
ココアを要求する時には近くに来ていた。
それが今では間は殆どない。
「・・・それは目の錯覚。
先生疲れてる」
「そんなわけあるかー!!
今まで僕から5メートル以上離れていたよね?」
「・・・ちっ」
「おい、今舌打ちしたろ?」
「・・・知らない」
「嘘つけぇぃ~!」
「・・・ここ文芸部の部室。
本読む場所。うるさい」
「僕かい!?僕が悪いのか!?」
「・・・他に誰がいるの?」
「へいへい、分かりましたよ。
静かにしますよ・・・」
・・・なんか反論するのが
面倒になってきた。
と僕は二井見さんの隣から立ち、
反対側の席に座った。
ここならば変なこと起きないだろう。
「・・・あっ」
「ん?」
と二井見さんはさっきまで座っていた
席から立ち、また僕の隣に来た。
「何しているの?」
「・・・何しているの?」
「それは僕のセリフだ!!
さっきまで席、あっちだったよね?
なんで移動した!?」
「・・・本を読むため」
という謎の理由を言われた。
「ごめん、全然理由が分からない」
「・・・先生はご飯を食べるとき
自分にとって食べやすい環境に行くでしょ?」
「ああ、そうだね」
僕個人としてはできれば静かな場所で食べたいね。
「・・・そんな感じに物事には
それを行う場所がある。
本を読む際には適した場所もある」
「で、まさか棒の隣がそういう場所では
ないだろうね?」
「・・・そう」
「んなわけあるか~!」
「・・・先生
私が言いたい事が分かった。
私達以心伝心」
「まさか、ふざけで予想したのが
あたるなんて思ってなかったよ!」
「・・・これで二井見検定2級合格」
「そんな検定あるの!?」
「・・・級が上がっていけばいくほど
私のことをわかってる証拠。
ーーーだから付き合って」
「いやいや!?今の流れで
どうしてそうなった!?」
「・・・私のこと分かってる。
だから、付き合って」
・・・マズいぞ
もしここで付き合うことになったら
確実にクビだ・・・
これはなんとかしてでも回避しなくては
「いや~僕はまだ二井見検定2級だから
まだ付き合えないかな・・・」
「・・・なお先生限定で
3級以上で付き合える」
「そんな横暴な!?」
というその検定色々と駄目だろ・・・。
「はぁ、とりあえず僕は今から
仕事するから離れてくれ」
「・・・拒否権行使」
「ハハハ、君に拒否権なんて使えるはずが」
「・・・拒否権、寄付金特権」
「それずるくないか!?」
彼女の家はこの学校にかなりの額の寄付金を
入れているらしい。
そのため下手な事をしたら危ないのである。
「・・・さぁどうする?」
「くそっ、分かった。
隣にいるのは構わないが
邪魔をしないでくれよ・・・」
「・・・きょ」
「待てぃ!?
今の何処に拒否権を使う動作があった?」
「・・・
私の気分?」
「質が悪い・・・」
・・・これが俗にいう独裁国家の君主だろう。
一応、社会担当なので、こういう人物は歴史上に
何人も見てきた。
・・・まさか、それを現代の日本で見るとは・・・。
「とりあえず邪魔はしないでくれ
それ以外は基本的に何をしててもいいから・・・」
「・・・うん」
と二井見さんはさっきまで読んでいた本に
再び目を移した。

とこんな感じでこの日は終わった。

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く