教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

事の顛末&新たな展開

二井見さんを学校まで送り
僕は校長室に向かった。
「只今着きました・・・」
「一色先生か、助かったよ」
「・・・次はしませんからね?」
「奨学金の・・・」
「次の依頼は何でしょうか?」
変わり身が早い僕であった。
「いや~助かるね~
・・・まぁとりあえず今回は助かった」
「いえ、とりあえず二井見にはけがは無いです」
「二井見にはね・・・
まぁ今回の犯人の教員だが
警察に出した」
「そうですか」
「犯行の動機は一色先生への恨みだと。
他の連中は二井見家に恨みをもつ連中が集まったそうだ」
「だと思いましたよ・・・」
なんなら教師の方は直接聞いたし。
「そして教員は表向きは一身上の都合での依願退職にした。
警察にも言わないように圧力をかけておいた」
「・・・よくかけれましたね」
「私の人脈はすごいからな」
「まぁ確かに・・・」
それを実際に味わった人間が僕だからな。
と思っていると校長先生が頭を下げてきた
「ち、ちょっと校長先生!?
何しているんですか!?」
「今回は本当に助かった。
ありがとうという言葉しか言えないが
本当にありがとう」
「い、いえ、私は教師として当たり前のことを
しただけですよ・・・」
「だが本当に助かった。
とりあえず一色先生の口座に
ボーナスをいれておいた」
「それはありがとうございます・・・」
「とりあえず手の治療をしよう」
「だ、大丈夫ですよ!?
こんなのなんて昔なんて
日常茶飯事でしたし
利き手でははないんで大丈夫ですよ!?」
「しかしだな・・・」
渋る校長先生をなだめて
僕は校長室を後にした。

「つ、疲れた・・・
いくら何でもハード過ぎ」
前にもいくつか今回の様な事件に
関わったが、武力を行使するのは
かなり久しぶりだった。
そして今日を二井見さんを庇った手を
試しに握ってみた。
「痛たたた・・・
やっぱりじかに刃物握るんじゃないね」
幸いな事に利き手では無かったため
授業などの日常生活には支障を
きたさないはずだ。
・・・多分そのはず。

そう考えている内に自室に着いた。
今日は寝よう。
部屋に入ったらベッドにダイブだ。
シャワーは朝浴びればいい。
そう思い自室のドアを開けた。
「ただい・・・
ーーーーえ?」
僕がこの様な反応をしてしまったのには
理由がある。
何故なら自室に人がいたからだ。
海斗なら驚かない。
まさかの人物がいたからだ。
「・・・先生」
「に、二井見さん⁉︎
ど、どうしてここにいるの?」
何故か二井見さんが自室にいた。
「・・・お礼が言いたい」
「はい?」
「・・・助けてもらったから」
「あぁ、そういえば」
僕が助けたんだ。
なんか疲れで色々と忘れてたよ・・・。
「別に構わないって。
僕は二井見さんが困っていたから助けただけだし」
・・・まぁ校長先生に頼まれたということもあるが
個人的に助けたいと思ったから助けただけだ。
改まってお礼を言われることではない。
「・・・でも手」
二井見さんが不意に言ってきた。
「ん?手・・・
あ、ああそういえば」
先ほど怪我した方の手を見た。
「・・・私のせいで先生が怪我した」
「別に君のせいじゃないよ。
あの時、気づかなかった僕が悪いからね」
と僕は怪我をした方の手をふらふらと振り
何も問題無いよ、というアピールをした。
と二井見さんが僕の怪我した方の手を掴み
「・・・えぃ」
と傷口付近を指で押した。
「ぎゃぁぁぁぁぁ~~~~」
僕は悶絶した。
女子の力といえども痛いものは痛い。
しかもまだ傷口が塞がってないのだから猶更である。
「・・・全然平気じゃないじゃん」
呆れたように言うと
「そりゃいきなり傷口をピンポイントで
突かれたら痛くなりますよ・・・」
と二井見さんは不意に顔を下に向けて
「・・・私のせい
私のせいで先生が・・・」
「二井見さん?」
「ごめんなさい・・・」
と泣き出してしまった。
「ち、ちょっと二井見さん!?」
あたふたする僕。
個人的に目の前で泣かれるほど
対処に困る物はない。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい
私のせいで・・・」
・・・さてどうしたら泣き止んでくれるだろうか。
そして暫く考えた後、僕は口を開いた。
「二井見さん、ちょっと聞いてもらえるかな?」
「・・・」
とこちらを向いた。
「二井見さんは、怪我をしたのは自分のせいと
思っているけど全然違うよ」
「・・・なんで?」
「ほら僕はまだ新任だが先生だ。
先生たるもの常に生徒のために
行動するのさ」
「でも・・・」
「だから僕はこの傷をただの傷じゃなくて
名誉の負傷と考えるさ!」
「・・・ッ」
「だってそっちの方がかっこいいでしょ?
ただ怪我した出来た傷なんかよりも
1人の生徒を守って出来た傷だって考えれば
僕は誇らしく思うよ。」
「・・・」
「だから泣くのを止めてさ笑って。
君が笑顔の方が僕もうれしいからさ」
「・・・分かった」
「よし、なら良かった。
もう今日は遅いから早く・・・」
帰りなさい、と言おうとしたところで
二井見さんが口を開き
「・・・先生」
「ん?」
「・・・好き」
「・・・はい?」
「だから好き」
「ま、まさかとは思いますが
一応聞きましょう。
相手は誰かな~~~?」
「・・・一色先生のことが」
「やっぱりか~~~!?」

この言葉がきっかけにまた僕は
色々なことに巻き込まれていくのだが
それは次の話。

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