教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

誘拐

その日は珍しく二井見さんが部室に来なかった。
珍しいこともあるんだなと思いその日は自分の部屋に帰った。
・・・ただこの時にもう少し深く考えるべきだった。

その日の夜
いきなり僕の携帯が鳴りだした。
相手は非通知だった。
「はい」
「一色先生かい」
「校長先生!?どうかされましたか?」
電話の主は校長先生だった。
「・・・今すぐ校長室に来てくれ」
とそれだけを言い、電話が切れた。
何か問題でも起きたのだろか?
僕は普段着からスーツに着替えなおし
校長室に向かった。

校長室
「一色です」
「入ってくれ」
と校長室に入るといつものように校長先生がいた。
ただいつもと雰囲気が違った。
「・・・何かあったんですか?」
「単刀直入に言おう。
・・・二井見が誘拐された」
「!?」
誘拐だって・・・?
「本当ですか・・・?」
「ああ、校内くまなく探してみたんだが
見つからなかった。とりあえず今日は学校を欠席扱いにした」
「だから部室に来なかったのか・・・
ちなみの他の先生方は知っているのですか?」
「いや、知らせてない・・・
あちらのご両親から口止めをされているからな」
「そうですか・・・
ちなみに警察には?」
「犯人側から口止め」
「案の定ですね・・・
犯人からの要求は・・・?」
「そこまでの情報は私のもとには来ていない」
なんだろうか既に嫌な予感しかしない。
絶対ロクでもないことが起こるぞと
僕の勘が告げている。
・・・ここは逃げるか。
「一色先生をよんだ理由は
薄々わかっているよね?」
作戦失敗。
「・・・はい、分かりたくないですが」
「なら早い、君に二井見を奪還してきて欲しい!」
「やっぱりかよ!」
なんとなくそんな気がしていたよ!
”誘拐”って単語を聞いた時点で
そんな予感がしていたさ!
「一応聞きますが・・・
私に拒否権はありますか?」
「奨学金の・・・」
「やりますよ・・・」
まさか就職して三か月もしないで
荒事に巻き込まれるなんて思ってなかったな・・・
「バイクを貸していただいてもいいですか?」
「分かった。裏に準備しておこう。
・・・他にはあるか?」
「これとって無いですね」
とりあえず”足”があればなんとでもなるし
・・・というか道具の一式、部屋にあるからな。
「一色先生には申し訳ないね」
「そう思うのでしたら、僕の弱みを交渉の材料に
使わないでほしいのですが・・・」
「とりあえずよろしく頼むよ」
「分かりました」
・・・荒事は嫌いなんだけど、頑張りますか。

その後、僕は自室にて準備をした後
学校の裏側にあるバイクを借りて
町に繰り出した。
どうやら犯人は気づいてないようだが
二井見さんの持ち物の中に校長先生は
GPSを仕掛けたらしく、大体の場所は分かった。
「・・・流石に自分が顧問を勤めている部活の生徒が
被害にあったんだ。本気ださないとね」
と自分に言い聞かせながら目的地に向かった。
そして目的地が見える場所まで着いた。
その場所を見ると、2、3人の男たちが
建物の周りを見張っていた。
・・・どうやら当たりみたいだ。
とりあえずの流れ
・見張りを気付かれないようにつぶす。
・犯人(単独犯ではないだろう)を倒す。
・二井見さん助ける。
「まぁ面倒ですが・・・
一肌脱ぎますかね」
と僕は目的地の建物に近づいて行った。

そして茂みに隠れながら機会を伺っていると
見張りの2人が建物に入っていき
外にいる見張りは1人になった。
「よし・・・今だな」
と僕はその見張りに背後から近づいて
「お、お前だ・・・」
「すまないね」
と相手に何もさせない内に気絶させておいた。
気絶させた相手は近くにある木に縛り付けておいた。
「さて、行こうか」

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