教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

厚い封筒

その日の夜
僕は校長先生に呼び出されていた。
「一色先生、なんで呼ばれたか
分かりますか?」
「いえ、分かりません・・・」
あ、これヤバい呼び出しじゃね?
だってあの二井見さんを怒らせたらしいし・・・
親が学校に沢山の寄付金をしているのだろう。
そんな親の娘を怒らせたのだ。
かなり厳しい処分が下される可能性大。
最悪クビか・・・
「ど、どうした一色先生?
顔色がどんどん悪くなっていきますよ?」
「いえ・・・私の無知を今更ながら
後悔しているだけです・・・」
「?」
まさか早1ヶ月でクビで牢屋行きか・・・
あっ、でも荷物は少ないから
引っ越しは簡単だな〜
「一色先生が何に悩んでいるのかは
分かりませんが・・・
とりあえず、これをあげます」
と校長先生から一つの封筒をもらった。
「わ、分かりました」
と封筒を触ってみると中々の厚さがあった。
・・・あっ、クビの通告書って
こんなに厚いんだ。
どんな文面で書かれているのか気になり
中を開けてみた。
そうしたら・・・
「ん?んんん⁉︎」
中にはお札があった。
「どうかされましたか?」
「な、何故お札が・・・
口止め料ですか?」
「一色先生は何を想像したんですか・・・
これはボーナスですよ」
「ボーナス?」
「一色先生は二井見を怒らせましたよね?」
「まぁ・・・確かに」
「だからです」
「はい?」
全く状況が読めない僕。
二井見さんを怒らせたからボーナス?
ナニソレイミワカラナイ。
「まさか二井見が怒るとは〜
それが凄いんですよ?」
「は、はぁ・・・」
「そもそも二井見が教師に感情をぶつけるのが
珍しんですよ〜まさかそれを新任の先生が
やってのけるとは凄いです」
「あれ、なるとクビではないのですか?」
「何故クビにするのですか・・・
クビにするにしても年度末ですよ・・・」

校長室を出て自室に戻った僕は
部屋に入った瞬間ベットにダイブした。
「・・・よく分からないけど疲れたよ」
手元には先ほど貰ったボーナスが入った封筒があった。
改めて見てみると、この学校の教師の月収分は入っていた。
・・・二井見さんを怒らせたからボーナス?
何故に?そんなにすごいのか?
コンコン
と誰かが僕の部屋の扉をノックした。
多分海斗だろうと思い、つい
「入っていいよ~」
といつものノリで答えた。
「へぇ~ここが一色先生の部屋ですか~
意外と片付いていますね~」
何故か五十嵐先生が部屋に来た。
「い、五十嵐先生!?
なんでいるんですか!?」
僕は勢いのあまり、ベットから落ちてしまった。
「痛たたた・・・」
「大丈夫ですか一色先生・・・?」
「だ、大丈夫です。
それよりもなんで五十嵐先生がここに
いらっしゃるのですか?」
「私?今日のことを褒めに来たんです」
「はい?」
「だから二井見さんのことです」
「あぁ・・・二井見さんですか」
「すごいですよ~
私たちが出来なかったことを
軽々とやってしまったんですから!」
「そうですか・・・」
・・・全然軽々ではないんですかね。
「いや~流石です!」
「ありがとうございます・・・?」
と五十嵐先生は手元から何かを取り出した。
「とりあえずこれあげます~」
「これは・・・イチゴ大福ですか?」
「そうです!私からのプレゼントです!
今日のご褒美です~」
「あ、ありがとうございます・・・」
とその後は海斗も僕の部屋に呼んで
三人でお菓子を摘まみながら
雑談をした。

・・・だがこの後僕は面倒なことに
巻き込まれていくのだが
この時から何かしらの準備はしておくべき
だったのだと思う・・・

そしてそれが教師である僕と生徒である二井見さんとの
仲を深めることになるのであった・・・

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