教師な僕と生徒な彼女

きりんのつばさ

ポコポコ?

ココアの件で二井見さんと話せて数日・・・
特に変化は無く、僕は二井見さんがいる
部室に向かった。
そして入ると部室には既に本を読んでいる
二井見さんがいた。
「こんにちは〜」
「・・・」
うん、相変わらずの無反応。
そろそろ先生泣くよ?
僕は部室でテストの丸つけや雑務を
するために、雑務道具を一式持ってきた。
そして雑務の相棒のココアを飲むため
いつものようにココアの元、マグカップを
用意していると
「・・・」
二井見さんが無言で自分のマグカップを
こっちに持ってきた。
「・・・飲みたいの?」
と聞いてみると
「・・・入れて」
と言ってきた。
「はいはい、分かりました」
彼女からマグカップをもらい、
ココアの元を入れ、お湯を入れ
出来上がったココアを彼女に渡した。
「・・・」
そしてそれを無言で受け取り
自分の席に戻った。
・・・相変わらずの無反応ですか。
というかこの状況って僕ピンチじゃない?
まだ四月とはいえども会話数がほぼ無い。
これで彼女を学校に行かせる事は可能か?
いや、部室には来ているので
正確には教室に行かせることだな・・・
さてさて、どうする?

学校の良い面を話すか?
・・・多分、今までの先輩の先生方が
散々やってきただろう。

成績の事を話すか?
・・・そもそもお嬢様に成績関係あるか?

結論
彼女自身が自らの意志じゃ無いとダメ。
・・・これってひょっとして無理ゲー?
だってさ、今までの先生が何人も失敗
してきたのを新任の僕が成功できるか?

・・・・

・・・・

・・・・うん
「終わった〜‼︎」
「・・・ッ⁉︎」
二井見さんが驚いてしまったようだ。
「あっ、ごめんね。
僕の人生が終わったので、つい・・・」
さようなら、僕の穏やかな老後
こんにちは、鉄格子の部屋での老後
「・・・貴方は私に行けって
言わないの?」
と久しぶりに二井見さんから質問がきた。
「いきなりどうしたの?」
「・・・文芸部の顧問、2年間で
5回変わった」
「それ変わりすぎじゃないのかな⁉︎」
それって大体半年に1回変わっている
計算になるよね?
「・・・全員、学校行けってうるさかった」
「まぁ言うよね・・・普通は」
「・・・だから無視したり、本を投げたら
顧問が変わっていた」
「そりゃ変わるわ」
精神やられそうだもん。
「・・・貴方は言わないの?」
「だって人に言われてやる事ほど
つまらない事はないでしょ?」
「・・・確かに」
「だから僕は君が自分から行きたいって
言うまで、ここでココアでも飲んでるよ」
・・・学校なんて所詮3年間しかいない。
なら楽しんだ方が数段いいだろう。
「・・・」
「まぁ僕個人としては君が行ってくれた方が
嬉しいんだけどね・・・」
・・・主に僕のこれからの為に。
と彼女はどんな反応をしているのかを
気になり、見てみると
「・・・」
相変わらずのポーカーフェイスのように
見えたがよく見るといつもよりも
目が若干開いていた。
・・・驚いているのか?
と思っていると、彼女が
「・・・善処する」
と言ってきた。
「二井見さん、善処すると検討するって
大体やらない時に使う言葉だよ?」
「・・・だって行かない」
「やっぱりか‼︎」
だよね‼︎そんな気がしてましたよ⁉︎
「・・・フッ」
と誰かの笑う声が聞こえた。
この部屋にいるのは2人だけ
僕では無いとすると・・・
「あれ二井見さん?
笑った・・・?」
「・・・笑ってない」
「いやいや今、笑ったよね?」
「・・・笑ってない」
といつものポーカーフェイスで答えるが・・・
若干だが、頬が緩んでいる。
「よっしゃ〜‼︎
二井見さんが笑ったぜい〜‼︎」
「・・・だから笑ってないって」
「いやいや今笑ったよね〜
いや〜頑張った僕‼︎」
「・・・違うって‼︎」
と二井見さんは僕に向かって
両手を握り、パンチをしてきた。
本人は本気のつもりなんだろうけど
・・・全く痛くない。
擬音語で表すとポコポコという感じだ。
「はっはっは〜」
「・・・この教師ムカつく」
「一色先生だよ〜」
「・・・教師」
「一色先生だよ〜」
と僕らがくだらない会話をしていると
ガラッ
「一色先生〜‼︎
一緒におやつはどう・・・
って大丈夫ですか⁉︎」
と先輩の五十嵐先生が部室に来た。
「いや〜全く問題無いですよ〜
はっはっは〜」
「・・・この、この、この」
ポコポコ
二井見さんのパンチは止まらないが
全く痛く無いため笑っていられる。
と五十嵐先生を見るととても驚いて
いるようだった。
「・・・
す、すいません‼︎
ついふざけてしまいました‼︎」
「あの二井見さんが怒ってる・・・
一色先生すごいよ‼︎」
と五十嵐先生はとても興奮していた。
「は、はぁ・・・?」
全く状況が読めない僕
そんなの構わず叩き続ける二井見さん
1人喜んでいる五十嵐先生
と三者三様の様子になっていた。

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