とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

来訪者








「やっぱり…だいぶ無茶してました…ね…」

楓先輩の後を歩いていた百合子先輩が今にも倒れそうな楓先輩に言う。

「無茶しないと勝てない相手だったから仕方ないでしょ…」

楓先輩は息を切らしながら百合子先輩に答える。本来、楓先輩の能力は体内に蓄えた電気を放出するだけの能力、それなのに神経に電気を流し体に負荷をかけてしまった。今、楓先輩はかなりの痛みに襲われているだろう。

「とりあえず緑に電話…するので…」
「やめて」

百合子先輩が取り出したスマホを奪い取り楓先輩は百合子先輩が電話をするのをとめる。

「お願いだからやめて、今回の件は私がなんとかしないといけないの…」

かつての恩師が黒幕とわかった今、楓先輩はこの一件は自分が解決しなければならないと思っているのだろう…

「分かりました…そのかわり…私が無理だと判断したら…緑に電話します…だから…無理だけはしないでください…」
「ありがとう」

百合子先輩の弱々しい答えを聞いた楓先輩は短く返事をしスマホを百合子先輩に返す。



百合子先輩と楓先輩がミカさんから離れて数分後……

「あちゃー、本当にやられちゃってるな〜」
「全く、術式使いが能力者に負けるなどあってはならぬのに…」

ヴァイセを見張っていたミカさんを四角く囲むように4人の人間が現れた。

「いつの間に…」

ミカさんは慌てて能力を発動し戦闘態勢に入る。

「まあ待て、落ち着きなさい。今回の私たちの目標はヴァイセの回収だけなのだから」

一人がそう呟くとヴァイセはいつのまにか敵に抱えられていた。

「さて、では我々は撤退するとしよう。目的は果たしのだしな…あ、お嬢さん、何もしないことをお勧めするよ」

ミカさんの浮遊剣による攻撃を全て受け止めながら敵は呟いた。

「今のは大目に見よう…我々が転移術式を起動するまでに攻撃をしてきたら容赦なく殺すからお気をつけて…」

そう言われたミカさんは動くことすら許されなかった。おそらくミカさんより格上の相手が4人、どうあがいてもミカさんに勝ち目はないからだ。

「賢明な判断だ…では約束どおり何もせずに引き返すとしよう…」

敵がそう呟いた直後、ヴァイセを含めた術式使い5人はミカさんの前から姿を消した。








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