とある学園生活は制限付き能力とともに

りゅう

間合いの弱点














「ふう、ダイナさんに何かあったみたいなので来てみれば、なかなかめんどくさそうなことになってますね…」

ダイナに与えた式神からダイナの異常を察知した巫女さんが先程ダイナが戦っていた部屋に足を踏み入れながら呟く。

「今なら見逃してあげる。さっさと撤退しな…今機嫌が悪いの…」

「機嫌が悪い…へえ、どうしてか教えていただいても?」

巫女さんがそう尋ねながら足を進める。

「その線よりも先に入ったら斬る。はやく撤退しな…」

敵の忠告を聞かずに巫女さんはあっさりと線を超えた。その瞬間、不可視の斬撃が巫女さんを襲う。

「悪いけど、私にあなたの攻撃は届かない」

敵の斬撃は反射の式神によってあっさりと軌道を変えられた。巫女さんは反射の式神の他に防御の式神と剣聖の式神を召喚、そして防御の式神をダイナの元に送り気を失ったダイナを守らせる。

「悪いけど、その程度で私の矛は止められない。黒の蝶最強の剣士、刹那の剣は何よりも強い矛だから」

そう言いながら刹那は刀を3度振るった。直後、剣聖の式神、防御の式神、反射の式神が真っ二つになる。

「なっ…」

「私の剣は目に見えるもの全てを斬る。火だろうが風だろうが水だろうが能力だろうがなんでも斬る。あなたは私に勝てない」

3体の式神を同時に破壊された巫女さんに反論の余地はない。

「さあ、私の勝ち…大人しくあの子の横で鎖に繋がれて…」

刹那がダイナの方を指差しながら言う。

「確かに…あなたの勝ちです。私はあなたに負けました…」

「そうそう。よくわかってるじゃない、だからさっさとあそこで…」

「ですが、私たちはまだ負けてません。そして私たちの勝ちです」

刹那の言葉を遮り巫女さんがそう言い放つ。その顔は勝利を確信した表情だった。

「はあ、何を言って…」

刹那の真後ろから攻撃が加えられる。それに気づくことすらできなかった刹那はあっさりと攻撃を加えられてその場に倒れこむ。そしてその手からは刀が取り上げられていた。

「遅いですよ。志穂先輩」

「ごめんなさい。私、走るのはあまり得意じゃなくて…」

刹那から少し離れた場所には刹那の刀が浮かんでいた。そこからは謎の声が聞こえる。

「最強の矛の弱点は不可視の少女でした」

志穂先輩は透明化したままそう呟き刀を巫女さんに渡す。

「この刀を失った以上、あなたの負けです。鎖につながれるのはあなたでしたね」

巫女さんはそう言いながら拘束の式神で刹那を拘束した。

「これでもう安心ね、巫女さんは大丈夫?怪我とかしてない?」

「大丈夫です。ただ式神が3体やられたのでこれらが回復するまで少し時間がかかりそうですね」

「そう。じゃあ、とりあえずダイナちゃんを起こしましょうか。一応警戒はしておいてね」

服を着たため透明化が解除された志穂先輩が巫女さんに言う。

その後、巫女さんと志穂先輩をダイナの鎖を解いてダイナを起こした。















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